不可思議な島の、不思議な生き物達と生きる   作:名無しのパルテイマー

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なんだかんだで初日を終え、生活拠点を構えて眠りについた主人公……
仲間にしたパル達は意外と優秀で、様々な作業を手伝ってくれたようですね。

翌日、主人公は少し足を伸ばしてみるようですよ?
次は何が待ち受けているのやら……



遠出をしてみた

《コッケコッコォォォ〜〜〜〜!!》

 

 小気味よいリズムでタマコッコが鳴いている……まだ少し眠い目を擦り、ギシギシと軋むベッドの上で目を覚ました私は、足を下ろして座り、木の繊維で編まれた靴を履く。

 

「んっ……くぅ……! はぁ……」

 

 藁ベッドの寝心地は寒くなかったが、如何せん柔らかさが足りないので身体はガチガチだ。パル達は平気な顔をしているが、ベッドは柔らかい方が良い……可能な限り早急に改善したいな。

 

(ココを拠点にして良かったな……原始的とはいえ、快適な生活ができている)

 

 昨日から構えたこの生活拠点。

 場所は最初に居たあの海岸と、パル達を捕まえた“草巨獣の丘”とのちょうど中間地点……南にある滝から南東方向に池があり、浅い段差で降りやすくなっている場所の近く。そこへ降りた私は足元を流れる水を手ですくい、顔を洗う。適度に冷たい水は頭を冴えさせるには十分だった……

 

(気温は昨日とさほど変わらず……服があれば夜の寒さは気にならないし)

 

 周囲には巨石と木が疎らに存在し、その近くには“赤い木の実”を実らせた低木がある。

 

(食料……そういえばあれから何も食べてない)

 

 初日からなんだかんだで食料確保を忘れていた私は、“何か食わせろ”と訴えてくる自身の腹に手をやる。

 

《〜♪》

 

 低木に実った“赤い木の実”を食べる野生のパル達……よく見るとそれはベリー系の品種の様で、適度な大きさの赤い実を付けている。丸々とした新鮮な実は朝露に濡れており、朝の澄んだ空気と相まって私の食欲を唆った……

 

《うにゃ〜》

 

 それほど物欲しげに見ていたのだろうか……声がして視線を落とすと、私の足元に何時の間にか、同じ実を付けた小枝を持ってきてくれたツッパニャンが立っていた。

 

「……私に……か?」

 

 しゃがみ込んで視線を合わせ、ツッパニャンの目を見てそう聞いてみる。

 

《にゃ〜う》

 

 そうであるような、ないような……曖昧な鳴き声。とりあえず枝を受け取り、実を全てもぎ取る。小さいが丸々として美味しそうな実は全部で10個あり、その他にもタネが数個付いたままになっていた。種は別に確保する事にし、実を1つずつ……ツッパニャンと食べてみた。

 

「……美味いな……!」

 

《みゃ~♪》

 

 実を食べたツッパニャンの緩んだ顔が示す通り、適度な甘さと爽やかな酸味が絶妙にマッチした赤い実の味……やはりベリー系の品種のようだ。

 

 この島の土は予想以上に栄養豊富な土地なのか、実は小さくとも味は濃く、かと言ってクドくもない……集めて煮詰めるだけでジャムにもなるような風味は、私の空きっ腹が“もっと食わせろ”と急かすには十分過ぎた。

 

「これだけ美味いなら食料になるな……よし!」

 

 朝のひと仕事として、パル達が木の実を食べる為の“エサ箱”を設置する。エサ箱の設置はツッパニャン、木の実の収穫はタマコッコ、実の運搬はモコロンとツッパニャンが手伝ってくれたので、さほど時間を掛けずにエサ箱の設置は終了……

 パル達は自分達用の食料確保として、近くの木の実を順次収穫してエサ箱に運び込み始める。どうやらココに入れておけば“みんなも食べれる”と分かったのだろう。

 

(タマコッコが実を枝から外し、モコロン達がそれを運ぶ……適材適所という訳か)

 

 タマコッコが枝から実を取り、それをモコロンとツッパニャンが運ぶ……”働かざる者食うべからず”と考え、勿論私もその作業に入った。

 

 ……しかし、作業を進める内に先々の不安を感じてしまう。

 

(今は良いが……今ある分では常にギリギリか。パルの数が増えたらすぐに不足してしまうな)

 

 植物の生育には詳しくないが、野生の植物はすぐにまた生えてくるモノでもないハズ……安定して食料を確保するには、やはり“畑”が必要だ。

 

 幸いな事にテクノロジーレベルは“5”に到達しており、前と同じ様にポイントも増えている。

 もちろん、全てを開放するには到底足りないのだが、此処でケチっても致し方ないと私はレベル5の段にある“ベリー畑”を開放……

 いつもの如くモコロン達は畑の設置を手伝ってくれたが、肝心の畑仕事となると、さすがに誰も適していない……当然ながら畑の管理は、私の仕事となった。

 

──────────

 

 装備の状態をチェック……今日はキツネビとタマコッコの2匹を連れて拠点を出る……今日はあのグランモスが居た“草巨獣の丘”を超えて、東の方にある森の方を目指す事にする。

 

 海岸線にはルミカイト達がゆったりと遊覧飛行中……反対側の丘の辺りには、昨日見掛けなかったヘラジカの様なパルが何匹か居た。

 

(帰り際に余裕があるなら、向こうへも足を伸ばしてみるか……)

 

 そう思い、遺跡の様な建造物を潜って島の中央方面へ……

 

 そこに建っていた古い建造物を潜り抜けると、正面奥には“不思議な雰囲気を放つ高い塔”……左右はある程度拓けているが、どちらも野生のパル達が襲って来そうな雰囲気がしている。

 

(……タマコッコでは荷が重すぎるか……?)

 

 端末の情報でも“最弱”と評されるタマコッコ……現状の手持ちパルはコイツとキツネビだが、タマコッコはフンスと息巻いており、やる気はある模様……

 

(危なくなったら交代させるか……)

 

 タマコッコのやる気を買う事にし、そのまま左側に見える池の縁を辿って先へ進む。

 

 なお、道中で数回イノシシそのままの見た目をした“イノボウ”に襲われたが、タマコッコはイノボウの全速突撃を華麗に飛び上がって回避……避けられたイノボウは目標を見失ってそのまま壁や池に突っ込んで気絶するか、動けなくなって戦闘不能になっていた。

 

(……あの評価、本当はアテにならないかもしれない)

 

 まるでベテランの闘牛士の如く……翼を駆使してふわりと飛び上がり、体格から大きなイノボウの突撃を紙一重で避け、それだけで戦闘不能に追い込むタマコッコ。

 

「……やるじゃないか」

 

 私は思わずそう言い放つ……その声はしっかりとタマコッコに届いた様で、此方を振り向きつつ華麗にイノボウの突撃を躱すと、そのまま大仰なお辞儀をするように翼を曲げてポーズを取った。

 

 ……確かに、その一連の動作はスペインの闘牛士みたいだった。直後に迫りくるイノボウさえ居なければ……

 

《コケェエッ?!》

 

 それまでの行動に物申すかのようなイノボウによる執念の突撃……直撃を受けたタマコッコは先程までの華麗な回避から一転、情けない鳴き声と共に空中へと吹き飛ばされ、無様に転がって私の足元近くに落ちて来た。

 

(……そう何事も上手くいく訳ないよな)

 

 ヤレヤレとため息を吐き、気絶したタマコッコをスフィアに戻し、キツネビと交代させる。数秒してタマコッコのスフィアが揺れ始め、この雑な扱いに抗議しているようだがそんな暇はない。

 

 睨み合うキツネビとイノボウ……前足で地面を引っ掻き、如何にもな予備動作の後、突撃を敢行してくるイノボウ。キツネビは上手く半円状に後退して躱すが、イノボウも負けじと追い縋って来た。

 

「岩の上に上がれ!」

 

 私は咄嗟に、キツネビの近くにあった岩の上に上がるよう指示を飛ばす……キツネビもその岩に気付き、岩の近くへと走り始めたが、イノボウの突進スピードは侮れず、みるみる距離が縮まっていく。

 

(間に合うか……?!)

 

 キツネビが岩の傍に辿り着くまであと2m弱……しかし、振り向いてる間に直撃を貰うタイミングであると気付いた私は、判断に困った。

 

(キツネビのジャンプ力だけじゃ、あの岩の上には登れない……どうする?!)

 

 残りはもう1mを切った、どうあがいても間に合わない……その時、再び抗議する様にタマコッコのスフィアが揺れる。

 

(……ッ?!)

 

 咄嗟に私はキツネビのスフィアを翳すと、キツネビの身体は光の塊となって物理的に消え、光の塊はスフィアの中へと秒も掛けずに収まる。当然キツネビを追い掛けていたイノボウは、ターゲットが突然消え、眼前に岩が現れた事に気付くがもう遅い……

 

《ブヒィ……》

 

 岩に激突したイノボウ……全身全霊の突撃のパワーをそっくりそのまま自分に返された様なダメージを負い、残っていた体力のほとんどを持っていかれた様で、目を回して気絶した。

 それでもまだ足は痺れなからも動きを止めず、“走る”と確固たる意志を体現していたので、完全に戦闘不能にはなっていない様だ。

 

(あのしつこさは厄介だな……ん? あれは……)

 

 気絶しているイノボウの傍で、陽光を反射して青い光を放つ物体が私の視界に入る……それはよく見ると、誰かが落としていったであろうパルスフィアだった。

 

(何でコレが落ちてるんだ……? いや、詮索は後だ……みすみすチャンスを逃す事は無い!)

 

 大急ぎで駆け寄り、落ちていたパルスフィアを拾い上げ、そのままの勢いでイノボウへと投げ付ける。

 

 ギュウン……シュウゥゥゥ……

 

 スフィアに触れたイノボウの身体は光の塊に変換され、瞬く間にスフィアの中へと封入されていく……イノボウの身体だった光を完全に閉じ込めたスフィアは、接触した反動で開いていたカバーを閉じきると同時に地面に落ち、その場で揺れ始める。

 

(……捕獲……できるか?)

 

 これまではキツネビの頭脳プレーと慎重な体力調整に助けられ、捕獲に失敗しなかったが今回はあまりにも雑な展開であり、落ちていたスフィアをそのまま使用したので判断に困る……

 まぁ、失敗したらしたで教訓として次回から慎重さを欠かさない様にしていくだけだ。

 

 シュウゥゥゥ……

 

 そうこう思っている間にイノボウを取り込んだスフィアの光と揺れが収まり、沈黙を始める……どうやら今回の捕獲も成功したらしい。

 

──────────

 

(……成る程、種族自体が好戦的……)

 

 イノボウの捕獲から一息吐いた私は、タブレットを取り出して更新されたデータを確認していた。

 この端末で見られる捕獲を済ませたパルのデータ量は半端なく、種族的特徴から主な生息地、作業適性……固有能力まで詳細に確認できる。コレもパルジウムの成せる技、という奴かな……

 

「……ふむ、さっきのイノボウ……なかなか強そうだな」

 

 岩の段差に座っていたので、私の呟きに反応したのかキツネビがタブレットの画面を覗き込む……しかしさすがに文字はやはり読めないらしく、チンプンカンプンだと微妙な顔をして覗くのを止めた。

 

 画面にはさっきのイノボウの固有情報が表示されており、習得している攻撃行動……いわゆる“技”と呼べるリストや、固有能力が分かる。

 このイノボウ……足は早く、攻撃力や防御力も高めだが、咄嗟の判断力は低そうだ*1

 だが私は、イノボウ(コイツ)の足の速さは他の追従を許さない程だろうと直感している……なんせ完全に逃げの体勢だったキツネビにも余裕で追い付き、急角度の切り返しを挟まれてもすぐさま追い付いてみせたからだ。

 

(……そういえば……)

 

 思い当たる節があった私は、画面を切り替えテクノロジーの項目を表示させる。そこには支配下のパルの“能力”を利用する為の専用具【パルギア】があった。

 

「イノボウのサドル……コレがあれば……」

 

 表示させたのは、イノボウの体格にピッタリサイズである取っ手付きの鞍“イノボウのサドル”……説明文によれば、コレを使ってイノボウに“ライド”できるらしい。

 

(素材は……うーん、さすがにすぐには造れないか……)

 

 サドルの作成に必要な素材は、パルジウムの欠片と石ころ……そして“革”だ。残念ながら“革”は一つも無いので、必要なぶんを手に入れるまでは作れない。

 

「しょうがないか……」

 

 まぁ、素材はたまに落ちている場合もあるし……急ぐ訳でもない。必要素材を手に入れたら、という事にしておこう。

*1
パッシブスキル「神速」「脳筋」「硬い皮膚」「走るのが得意」




なかまがふえたよ!

【現在の手持ち情報】
・キツネビ(♀)レベル8
 【高温体質】【勇敢】
・タマコッコ(♂)レベル5
 【打たれ弱い】【うぬぼれ屋】
・イノボウ(♂)レベル10
 【神速】【脳筋】【走るのが得意】【硬い皮膚】

──────────


次回、初めての対人戦──

密猟団とパル愛護団体……対立組織だと言うのにやってる事は等しく同じ。

  • 密猟団に慈悲などやらん!(ロケランぶっぱ
  • 愛護団体? 嘘くせぇなぁ!(アサルト連射
  • 同じ穴の狢(むじな)だ、双方死すべし!!
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