リリカルな百合ハーレム   作:ごまさん

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アリサとパーティー

桃子との初体験から、約一年が経過した。

その間にも色々なことがあった。

まぁ一番大きな出来事と言えば士郎が退院したことかしら。

退院してからも暫くは療養しつつ身体を鍛え直すなりしていたけれど、半年程前から父の会社で専属の警備員のような、ボディーガードのような、要するに荒事全般をこなすための、そんな仕事を始めた。

近頃父の業界の産業スパイに少々手荒なマネを行使する連中が出てきた為、腕利きで信用がおける人員を探していたので、そこで私が提案し、取りなしておいたのだ。

怪我の後は子供たちの事もあって要人警護から身を引いていた士郎だが、危険な仕事で貯蓄こそあっても、子供三人を大学まで通わせる事を考えると翠屋だけでは少し心もとなかった。

ましてや桃子がなのはの事は小学校から私立に通わせたがっていたし、もし子供の誰かが医学部に通いたいなどと言い出しても金銭面から諦めさせなければいけなくなる。

そういった旨を私が士郎に説明し、彼もそれに納得して仕事を探していたため、私が斡旋してあげた。

この仕事ならば以前までの要人警護に比べて危険度はグッと低く、命の危険に晒される事はそうそう無い上に、給料も結構良い。

父は見事に条件に合致する人員に喜んでいた。

私としても、士郎が退院してからは彼は殆ど家か翠屋にいたため、桃子と愛し合う時間が減ってしまっていたため都合が良い。

桃子にとっても、士郎が怪我の後遺症で種無しになってしまった影響か、彼の性欲がグッと減ったらしく、私との刺激的で退廃的な日々に浸かっていた桃子には欲求不満だったようで、ひっそりと喜んでいた。

桃子に物欲しそうな目で見つめられても、士郎がいる為に応えてあげられなかった事も、一度や二度じゃなかったし。

その分に行為の時には機会が減って桃子が性欲を溜めていた事と、旦那の目を欺いているという、入院中よりも強い背徳感もスパイスになって、より激しくてより情熱的なプレイになったけれどね。

因みに桃子はマゾの気が強いので、「愛する旦那がいるのに私みたいな親友の幼い娘にこんなに感じさせられちゃって……とんだ淫乱ね。ドン引きよ、このド変態」といった風な言葉を耳元で囁いてやれば、面白いぐらいに反応してくれる。

閑話休題。

そういう事情からこの提案は四者にとって得のある、win-win-win-winの関係と言うやつなのだ。

 

さて、今日は以前から業務提携しているバニングスグループで大規模なパーティが開かれ、そこにお呼ばれしている。

何でも今回は子供レベルで交流を深めるという試みらしく、ご子息ご令嬢のいる方は是非ご同伴くださいとのこと。

実は今回の試みには、幼稚園で友人のできない娘を心配したデビット・バニングスの親心が多分に込められているようだ。

私としてもアリサと会えるのだから、断る理由も無い。

そんなこんなでワインレッドのドレスで綺麗にドレスアップした私は、父と母と迎えの車に乗り込んでいる。

見送りに来たなのはと桃子にうっとりと頬を染め、熱の篭った眼差しで見つめられて、そんな瓜二つな反応をした二人にやっぱり親子だなぁと半ば呆れてしまったのは内緒だ。

 

「今日の主催者のバニングス家の令嬢だが、どうも性格に難があるようでな。友達ができないことを父親が随分と心配しているらしい」

「知っているわ」

「え!?    ど、どこで知ったんだい、百合」

「幼稚園の先生の友人が彼女の幼稚園の先生だから。茶飲み話で聞いた情報から推理したまでよ」

「そ、そうか……流石だな」

「これくらい、当然よ」

「……まぁ、お前なら、それもそうか」

 

何か釈然としない表情だったが、もう慣れているのか、それ以上の追求は無かった。

こう言う所は大物よね。

 

「それで、私は娘のアリサに話しかけて、仲良くなればいいのよね。彼女はコーカソイドの血が色濃く出てるって言うから、周りは自分達と違うアリサに、イジメとまでは行かなくとも、ちょっかいとかかけているんでしょうね。子供は自分達と違う者を排斥したがるから。アリサは天才児だって聞いているし、きっと幼稚園でもそんな周りが子供じみててバカらしくなってしまうんでしょう。それなら私はお誂え向きよね。確かあそこの家は市内にある大きなお屋敷だったから、小学校は私となのはも通う予定の私立聖祥かしら。それなら都合がいいわ。なのはにも仲の良い友達を私の他にも作ってあげたかった所なの。でもバカが移るといけないから、頭の良い子を探していたんだけれど、丁度いいわね」

「そ、そうだな。彼に頼まれてな……それにしても相変わらず凄まじいな……」

「そう?    これくらい普通よ普通」

 

私にとってのね。

まぁ今回は例の知識で知ってたんだけど。

それでもアリサと月村家に関して情報収集していたのは確かだ。

可愛かったら私のハーレムに加える予定なんだし、情報を集めるのは当然よね。

私の行動範囲の問題から今までは会いに行けなかったけど、この機会は丁度良い。

月村は妹から攻めた方が警戒されなくて楽だけど、すずかは余り家の敷地から出てこないので、入学まで動くつもりは無かったのだけれど、アリサはむしろ余計な知識を身に着ける前に手篭めにしちゃいたかったのよね。

まぁ幾ら天才とは言っても、月村の様な特殊な事情でも無い限り、小一の段階で性知識があるとは考え難いけど……まぁ念のため。早い内から仕込んでおくに越したことは無いわよね。

さて、そんな風に父と母と雑談していたらあっという間に会場のホテルに到着した。

二人と一緒にホテル内を歩く。

それにしてもさっきから視線が鬱陶しいわね……熱っぽいのも混じっているし……ロリコンかってーの。美女・美少女なら大歓迎なのにね。

パーティ会場に入ると、一斉に辺りがシンと静まった。

そしてまた暫くするとガヤガヤ煩くなる。チラチラと私を見ながら。ああ、もう、鬱陶しいなぁ。

どうやら今回は立食式のパーティらしい。

まぁ子連れが多いし当然かしら。

父と母に連れられて挨拶回りをする。

一通り挨拶を終え、わざとデビット・バニングスの近くで私がキョロキョロしていると、デビットに話しかけられた。

 

「どうしたんだい?」

「アリサさんを探しているんです。幼稚園で噂を聞いて、是非話をしてみたいなと」

「おお、そうか!    確かあっちの肉料理が置いてある方にいるから、着いて来てくれるかな。紹介しよう」

 

デビットはやたらと嬉しそうだ。

私の賢さに気がついて、私ならばと期待しているのだろう。

さて、デビットに連れられて歩いて行くと……天使がいた。

弾けるような眩しい金髪、キリリと釣りあがっていて勝ち気そうな碧眼、コーカソイドの絹のような白い肌。エメラルドグリーンのドレスが良く似合っている。

かわいい。かわいい。かわいい。食べちゃいたい。

なのは以来の衝撃だ。

ハーレムに加える事に決定した。

目の前の少女の将来は私のもの。

絶対に誰にも渡さない。

彼女は少し頬を赤らめながらポケッと私を見つめていたが、私がニコニコと見つめているのに気がつくと、キッと私を睨んできた。

 

「な、なによ!    あんた誰よ!!」

 

やゔぁぁい。可愛すぎる!

私のオーラに呑まれないよう虚勢を張っているのだろう。

しかしそんな仕草ですらも愛おしい。

もうお持ち帰りしていいよね?    ゴールしていいよね?

 

「おい、アリサ。そんな言い方は無いだろう」

「うっ……」

「お前は礼儀を弁えなさいとあれ程……」

 

あああぁぁっ、アリサが萎れちゃった……

そんな仕草ですら愛らしいけど、やっぱりこの子は勝ち気な方が似合っている。

ちょっとデビット煩いなぁ。

もっと虚勢張ってるかわいいアリサを眺めていたかったのに。

余計な事言って……

将来の私のハーレムメンバーとの感動の初対面に水を差されて、何だか腹が立ってきた。

貴方の美人の奥さん寝取るわよ?

……ふぅ。まぁいいや。

少し落ち着こう。

私はまだ何かグダグダ言ってるデビットに微笑みかけて口を開いた。

 

「大丈夫ですよ、デビットさん。彼女もこんな大きなパーティに緊張しているのでしょう。その辺にしてあげてくれませんか?」

「しかし……」

「大丈夫ですよ、デビットさん」

「そ、そうか……」

 

ニッコリと有無を言わさぬアルカニックスマイルで喋れば、デビットは気圧されたようにオズオズと引き下り、じゃあ後は子ども同士で……と去って行った。

 

「始めまして。エメラルドグリーンのドレスが良く似合っていてとても可愛らしいわね。私は黒井百合。五歳よ。よろしくね」

「しゃこうじれいは要らないわよっ!    ……私はアリサ、アリサ・バニングス。五歳よ!」

 

アリサはまだツンケンした態度だ。

でもこれはこれで……アリね!

 

「社交辞令なんかじゃないわ。アリサが可愛いことも、ドレスが似合っていることも、紛れもない事実だもの。……ねぇ、アリサ。私と友達になりましょう?」

「と、友達!?    いやよ!    友達なんていらないわ!」

 

あーらら、強がっちゃって。本当は欲しい癖に。

 

「なんで?    私はこんなにアリサと友達に成りたいのに。どうして嫌なの?」

「な、なんで!?    なんでもなの!    とにかく友達になんか絶対ならないんだからっ!」

 

そう言ったアリサは走って逃げてしまった。

まぁいいわ、アレは押せば押し切れるわね。

ゆっくりと歩いて追いかけましょう。

あ、あっちの魚料理の所にいるわね。

 

「アーリサッ♪」

「ひゃっ……な、なによ!」

「友達になりましょう?」

「い、いやよっ!」

 

そう言ってまたスタコラと逃げられた。

次は……あっちのデザートの方。

 

「ねぇ、アリサ。友達になりましょう」

「ひぃっ!?    ま、またなの!?」

 

またスタコラと逃げられた。

あら、会場から出ちゃったわね……

でも、私から逃げ切れると思わないことね。

ふふふ。今度はあっちのトイレの方。

 

「こんばんは、アリサ。友達になりましょう」

「ひゃぁっ!?    こ、こんな所にまで!?」

 

また逃げられた。

そうやって追いかけていく内に、人気のない中庭の庭園の奥の方に追い込んだ。ふふふふふ。これであとは暫くの間は様子を見ていましょう。

そうやってアリサを影から見守っていると、不意にアリサが立ち止まってキョロキョロし始めた。

 

「……あれ?    ここどこ?    パパー?    ママー?」

 

不安そうに辺りをキョロキョロ見渡すアリサ。

 

「パパー!    ママー!    どこー!?」

 

今にも泣き出しそうだ。

ふふふ。可愛いなぁ。

 

「だ、だれかっ!?   あいつでもいいからぁ……だれかぁ……」

 

目元を赤くして、グズグズと鼻声になってきている。

これ以上引き延ばすと本格的に泣き出してしまいそうだ。

ここら辺が潮時かな。

 

「……こんばんは、可愛いお嬢さん。こんな所でどうしたの?」

 

殊更優しい声で話しかける。

 

「あ、あんたっ!    どこ行ってたのよ!    なんでおいかけて来ないのよっ!」

「ふふふ。寂しかったの?」

「さ、さびしくなんかっ!」

 

そう言いながらも私の服の袖を掴んで離さない。

可愛いなぁ。

私はポケットからハンカチを取り出す。

 

「ほら、動かないで。涙を拭いてあげるから」

「い、いいわよっ!?」

「いいから、動かないで」

 

そう言って少々強引に拭ってやる。

今度は泣いていた時とは別の意味で真っ赤になってしまった。可愛い。

 

「……ぁ、ぁりがと……」

「どういたしまして♪」

 

ここでお礼を言えるのは教育の賜物か。

 

「ねぇ、あんた……」

「百合よ」

「いや、」

「百合よ」

「……ねぇ、百合」

「なぁに?」

「どうして私と友達になりたいの?」

「理由なんてないわ。ただ友達になりたいと思っただけ。でも、そうね、強いて理由をあげるなら、アリサが可愛いからかしら」

「……あははっ。なにそれ……おかしっ。百合のが方よっぽど可愛いのに」

「それは私がアリサを可愛いと思う事に関係ないことだわ」

「確かに、それもそうね。……ねぇ、百合は私を変だって言わないの?」

「何が?    私の目の前には可愛い可愛いアリサしかいないわ。変な所なんて何処にもない」

「か、かわいいかわいい言うなっ!    ……だって私ってほら、皆と違うし、おかしいって思わないの?」

「何がおかしいの?」

「肌の色も……」

「絹の様にスベスベで素敵ね」

「か、髪の毛の色も……」

「太陽の様に輝いていて眩しいわ」

「め、目の色も……!」

「まるで宝石の様に美しいわね」

「う、ううぅぅ」

 

ふふふ。恥ずかしがってる。顔が茹でダコみたいだわ。

それと同時に泣きそうにもなっている。なるほど。皆と違う自分の特徴がコンプレックスになっているみたい。

色白だから、表情の変化が良く分かるわ。

 

「アリサはこんなに美しいのだから、それらは恥じる所じゃないわ。むしろ誇っていいのよ。アリサの肌の色も髪の色も目の色も、

全てお父様とお母様から頂いた、大切なものでしょう。堂々としていなさい」

「う、ううぅぅぅ……ぐすっ……でも、でもね、幼稚園のみんなはね、へんな色だって言うの……おばけみたいな肌と、チカチカうっとうしい髪の毛と、緑の目も気持ち悪いって……」

「こんなにも美しくて可憐なアリサにそんな事を言う愚鈍は無視していいの。この私が認めているのだから、それは何よりも価値がある事なのよ。誇りなさい」

「ふふっ……なによそれ……へんなの……ぐすっ」

 

アリサは今にも泣きそうだ。可愛いなぁ。

 

「愚図な連中にバカにされて悔しかったのね。いいわ、存分に泣きなさい。泣きたい時には泣けばいいの。それで後で思いっきり報復してやればいいのよ」

 

そう言って私はアリサの頭をギュッと抱きしめて、髪をすくように丁寧に優しく頭を撫でてあげた。

夜空にくぐもった鳴き声が木霊した。

 

……。

 

「……恥ずかしい所見せちゃったわね」

 

泣き止んで落ち着いたアリサは、羞恥からかまた顔を真っ赤にさせた。

 

「何も恥じる事はないわ。友達には頼るものよ」

「とも、だち……ねぇ、百合はほんとに友達になってくれるの?」

「ええ、そうよ。さっきから何度も言っているじゃない。私はアリサと友達になりたいの」

 

どうやら例の知識によるとアリサは友達という存在を特別視しているらしく、アリサの中での友達の定義とは無条件で助け合うもの無条件で頼れるもの、無条件で頼られるもの、自分を投げ打ってでも何がなんでも助けるもの、とハードルがかなり高いらしいと知ってはいたが、どうやらその知識も正しかったらしい。

まぁいいけど。

私は自分のハーレムは何があっても守るから。

アリサは私のモノになるんだし、何も問題ないわ。

 

「そ、そう……じゃ、じゃあ、その、わ、わたしがっ、とっ、友達にっ、なっ、ななななってあげてもっ、いっ、いいわよっっ!」

「ふふふ。そう。じゃあ私がアリサの始めての友達かしら。嬉しいなぁ」

「そっ、そうよっ!    私の始めての友達なんだから、こーえーにおもいなさいっ!」

「そうね。すごく光栄だわ。本当に嬉しい。こんなに嬉しいのなんて久しぶりよ」

「〜〜〜〜ッ!」

 

憎まれ口もニッコリ微笑んでそう返してやれば、アリサは顔をますます赤くして俯いてしまった。

なんだか興に乗ってきたわね。

 

「どうしたの、可愛いアリサ。俯いてしまって。ほら、お顔を上げて。貴女の可愛らしいお顔をもっとよく見ていたいわ」

 

そう言ってアリサの頬を両手で挟んで、そのちいさなお顔をクイッと上げさせる。

至近距離からアリサの顔を見つめると、彼女は真っ赤な顔のまま、ウルウルと目を潤ませ始めた。

恥ずかしすぎるのだろう。

 

「あら、真っ赤になっちゃって。そんな表情も素敵よ、可愛い可愛い私のアリサ」

「〜〜〜〜ッ!!」

 

頬を両手で挟んだまま、アリサの美しい瞳をじっと覗き込んでいると、ついにそのエメラルドの目からポロリと涙を零してしまった。

 

「あら、どうしたのかしら、私の可愛いアリサ。涙が零れているわ。でも、貴女の涙はまるでパールの様に綺麗ね。世界で私だけの宝石として、ジュエリーボックスに大切にしまって、一生の宝物にしてしまいたいわ」

「〜〜〜〜ッ!    〜〜〜〜ッッ!!」

 

ついに恥ずかしさの閾値を超えたのか、はらはらと静かに泣き出してしまった。

恥ずかし過ぎて声も出せないのか、さっきから音にならない唸り声を上げている。

顔はこれ以上ないくらいに真っ赤だ。

可愛いなぁ。

更に興に乗ってきたわ。

 

「あら、泣いてしまったわ、私の可愛い可愛いアリサ。でもなんででしょう、アリサの涙すら美しいと思ってしまうのは。可愛いわ、アリサ。貴女程に美しい物は果たしてこの世に幾つあるのかしら。ずっと離さない。ずっと一緒にいるからね、私の可愛いアリサ。ずっと守ってあげるからね、私の可愛いアリサ。そのかわり絶対に逃がしてあげないわ。大好きよ、私だけの可愛い可愛いアリサ」

「〜〜〜〜ッッ!!」

 

もうアリサの目からはポロポロと涙が止まらない。

恥ずかしさ6割、嬉しさ3割、なんかヤバイ奴に捕まってしまったのではという、危険察知の獣の本能が1割って所かしら。

ふふふ。可愛いわ、私のアリサ。私だけのアリサ。

 

「こんなに涙を零してしまっては、折角のおめかしが濡れてしまうわ。でも、私の可愛いアリサの美しい涙を地面に吸わせるのは、なんてもったいないことでしょう。そうね、今から私が拭ってあげるからね、私の可愛いアリサ。愛しているわ、私だけの可愛いアリサ」

 

そして私は頬を挟んでいた両手を、片手は顎を抑え、片手は頭の後ろに回して、

 

ぺろっぺろっ♡

 

ぺろりぺろりと両頬から零れ落ちる涙を舐めとった。

 

「〜〜〜〜ッ!?」

 

アリサは訳がわからない、といった顔で混乱している。ふふふ。可愛いなぁ。

 

「ん、おいし。なんて甘いのかしら。どんな甘露にも勝る、至高の美味だわ。あら、また零れてきているわね。もったいない」

 

ぺろっぺろっぺろっぺろっぺろっぺろっぺろっ♡

 

それから暫くの間、アリサの顔中が唾液濡れでデロデロになるまで、舐め続けた。

アリサはもう思考停止しているのか、微動だにせず、ただひたすらにはらはらと涙を零していた。

その涙は始めての友達から受ける激しい愛情表現への喜びの涙なのか、何かを失ってしまった事を悟った悲しみの涙なのか。

友達のいるこれからの人生への希望の涙なのか、自分の将来が決定付られた事を悟っての絶望の涙なのか。

それは私にも、そしてきっとアリサにも、分からないことだ。

 

「ん〜、おいしかった。ごちそーさま、私の可愛いアリサ」

 

そう言ってアリサの顔をハンカチで拭い終えた頃に、漸くアリサは再起動した。

 

「な、な、な、なに、を……」

「ん〜?    美味しそうだったから舐めただけよ。友達なんだからこれ位は普通よ、普通」

「そ、そうよね……友達だもんね……」

「そうそう。それに、顔を舐められるって何かゾクゾクして気持ち良かったでしょ?」

 

ニヤリと笑ってそう言うと、また真っ赤になったアリサが俯いてしまった。

先ほどのアレを思い出してしまったのだろう。

しかし私は私から逃げることを許さない。アリサの顎を押さえてクイッと持ち上げる。

 

「ねぇ、アリサ。どうだったの?    気持ちよかった?」

「っ!    ぅ、ぅん……きもち……よかった……」

「そう、よかった。アリサが気持ち良かったなら、私も嬉しい」

 

ニッコリ微笑んでそう言うと、またしてもアリサは恥ずかしそうに真っ赤になってしまう。

 

「ねぇ、アリサ」

「な、なに……?」

「友達に気持ち良い事をしてもらったら、何て言うのかしら」

「……ぇ?」

「お礼、言うべきじゃないの?」

「……ぇっ……」

「だってそうでしょ?    友達に良い事してもらったら、ちゃんとお礼を言わないと。それが最低限の礼儀でしょ?」

「っ!    ぁ、ぁり……がと……」

「え、聞こえないわ」

「あ、ああ、ありがとっ!!」

「よく言えました」

 

そう言って私はアリサの事をぎゅーっと抱きしめた。

本当は、私の顔をぺろぺろしてくれてありがとうございました、ぐらいは言わせたい所だけど、今日はちょっと難しそうね。

仕方ないけど断念するわ。

抱きしめながら、頭を撫でて、いいこいいこしてあげると、アリサは気持ち良さそうに力を抜いた。

なのは曰く私は撫でるのが上手いらしい。

天然のナデポって奴かしら。

それなら私がニッコリ微笑んで赤面しない人なんていないんだから、天然ニコポも完備ね。

流石は私。

 

「ねぇ、アリサ」

「な、なによ?」

「私の幼稚園に転園してきたら?      今の所に居てもつまらないでしょう。私の幼稚園には私に歯向かう愚か者なんていないから、私がアリサを大好きって事を知れば、誰も貴女を悪く言ったりしないわ」

「え……?    で、でも、それだとあいつらから逃げてるみたいだし……」

「そうじゃないわ、そうじゃないのよアリサ。私が貴女と一緒にいたいの。そこいらの灰塵なんて気に留めてやる必要はないのよ。アリサが気にかけてやる価値なんてないわ」

「で、でも……」

「お願い、アリサ。大好きな私のアリサと少しでも長く一緒にいたいの。ね、お願い」

「う、うぅぅ」

 

本当はアリサも私と一緒にいたいけど、負けん気の強さやプライドが邪魔をするのね。

ならここで、

 

「それにアリサに私の大好きな友達も紹介したいしね」

「え……?」

 

嫉妬心を煽る。

 

「とも、だち?」

「ええ、そうよ。入園前からの親友なの」

「しん……ゆう……」

「ん?    どうしたの?」

「ゆ、百合って私以外にも友達とかいたんだ〜へ〜まぁそりゃーそうよね百合って綺麗だし可愛いしきっと人気者よねそれじゃあ私なんか沢山いる友達の一人よねそれだったら私なんていてもいなくても……」

 

ふふふ。焦って饒舌で早口になってる。

幼い独占欲の発露ね、可愛いわ。

 

「ねぇ、アリサ」

「はっ……な、なによ」

「私には下僕とペットは山ほどいるけど、友達はアリサを除いて一人だけよ」

 

基本的に幼稚園の女の子達と教師の女性はペット、男の子たちは下僕よ。

女の子達を沢山侍らせて、擬似ハーレムごっことか楽しいわね。

以前に気になる女の子(どうせ私よ)の気を引きたかったのか、破壊衝動が湧いたのか、それとも凄いお城を妬んだのか、恐らくそういった衝動的な理由で私となのはが作っていたノイシュバンシュタイン城を誰も見ていない時に破壊したクソガキがいた。

なのはが泣いた。

五分で炙り出して報復した。

それ以降は周りも私に逆らう愚を理解したらしく、今ではアメとムチの使い分けで可愛いペット達と従順な下僕共の出来上がりね。

教師も私には逆らわないし。

わざわざアリサの幼稚園の教師に『友達』を作って情報を集めて来てくれたし、中々に可愛かったから、幼稚園で誰もいない時間にたっぷり可愛がってあげたわ。

 

「へっ?    そ、そうなの?」

「えぇ、だからアリサは大事な大好きな友達よ」

「へ、へー、そーなんだー、で、でも別に私は百合に友達が沢山いてもいなくてもどっちでも構わないっていうかいやそりゃ私が数少ない一人だったら嬉しいけどでも別にそうでなくても構わないっていうか……」

 

ふふふ。

焦ってさっきと言ってる事が矛盾してるわ。

さて、もう一押し。

 

「ねぇ、アリサ。それで来てくれるの?    アリサが来てくれなかったら私はその子ともっと仲良くなるだろうけど、その仲にアリサがいないのは寂しいなぁ……」

「ハッ……そ、そうね、グズグズしてたら出し抜かれちゃう……わ、分かったわ!    パパにお願いしてみる!!」

 

ふふふ。

最初の方はボソッと言ってたけど、丸聞こえよ、アリサ。

 

「ふふっ、ありがと、楽しみだわ。じゃあそろそろ戻らないと心配かけちゃうだろうし、行きましょうか」

「う、うん、そうね!」

「じゃあ手を繋いでいきましょ」

「て、手!?    わ、分かったわ!!」

 

この後ニコニコと微笑んだ私と恥ずかしそうにしたアリサが手を繋いで会場に戻った時の、デビットとバニングス夫人の心底嬉しそうな顔が印象的だったわ。

私の両親は半分呆れていたけれど。

また堕としてきやがって、と言わんばかりの表情だったわ。

きっと私が最初は逃げられてたのを見ていたのね。

 

そしてパーティも終わり、お別れの時間。

アリサと二人でお別れの挨拶。

 

「それじゃあ、またね、アリサ」

「うん……ばいばい、百合……」

 

元気ないわね、アリサ。

私と別れるのに寂しさ半分、幼稚園を変えたいとおねだりする緊張半分、と言ったりところかしら。

それなら。

 

「ねぇ、ちょっとこっち来て」

「な、なによ……?」

 

親達が挨拶している隙に、アリサを人気の無いところに連れ込む。

 

「なによ、こんな所に」

「んー、元気と勇気が出るおまじない。ちょっと目を瞑ってくれるかしら?」

「う、うん……瞑ったわ」

 

ふふふ。よし。

 

「大好きよ、私の可愛いアリサ」

 

ちゅっ♡

 

「な、なな、ななな!?」

「それじゃあ、またねん♪」

 

そう言って私はアリサから離れて、待っていた親と合流し、家路に着いた。

アリサとのファーストコンタクトはほぼ満点と言っていいだろう。




百合ちゃんは情の深い女の子です。
ハーレムを傷つけられたら全力で報復します。
愛人が悲しんだら原因を取り除きます。
ペットが苦しんだら心配します。
下僕が痛ぶられていたら面倒でなければ一応助けます。自分の庇護下にある人間に手を出された=舐められているという事実が癪に触るのです。結果、下僕とペットが増えます。
ペットの女の子達は噛み付いたら躾けられて、それでも主人に反抗したら処分される事を知っています。
従順でいれば可愛がって貰えるので、大人しいものです。
百合のお気に入りのなのはに嫉妬心こそあれど、手は出しません。その先に破滅しか無い事を理解しているのです。
その嫉妬心すら利用されている事には誰も気づいていません。
下僕共にとっては、世界の最上位者が百合だという風に調教されているので反抗心すら湧きません。畏れ多いのです。当然教師よりも命令権は上です。
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