「ほらスイゲツ、行こ行こ!」
「あーもう、わかったから待てアヤカ!」
「いってらっしゃーい」
「気をつけるんだよー」
『
『おう、よろしくなピカさん』
あれから、大体一週間後。
俺は、今日も今日とて主の
...
「平和だねー」
「平和だなー」
釣竿を構え、糸を垂らして待つ、待つ、待つ...
なんというか、転移なんぞしたわりには大分平和な日常であった。
「...それにしても、村の人に受け入れてもらえたのは僥倖だったな」
「うちの村、知り合いしかいないから!」
いや、本当にこの村の人は懐が広いというか、
主がいるから、というのもあるだろうが...いやまあ、楽でいいっちゃいいんだが。
テレビではなにやら大騒ぎしているようだが、どうせポケモンの出現に伴うあれそれだろう。
俺には知ったこっちゃない、いや一応知っておくべきではあるのだろうが...なぁ?
思い出すは、転移したその日の夜、会合の後...
(ホワンホワンホワンゲコゲコ~)
...
いやこれ見覚えがあるぞ、転生した時やら他にも...
で、俺の前に現れたるは四つ足に赤い目の光輝く影。
毎回思うけど何後光とか差してんのお前、ダッセェからやめーや。
...あっ獣にはダサいとか思う感性ないかぁ、ごっめんねぇ!!
『すべてのポケモンとであえ』
やっぱそれかい。
いやもう大体は達成したろ、この上何をしろっちゅーねん。
『すべてのポケモンとであい、このせかいにポケモンをひろめなさい』
...はぁぁぁぁぁ?
え、何お前、領土的野心とかあったん?
『このせかいのにんげんがしんにポケモンときょうぞんできたとき、またあいましょう』
いや待てや、とりあえずもっかいブッ殺───
...
「え、主もあれ見たん?」
「うん! なんかすごかった!」
マジかよ、ポケモンがいない世界の住人にも干渉できるのかあの野郎。
いやまあそれはこの際置いておくとして、...『この世界にポケモンを広めろ』か。
今回はわりと早かったな、とりあえず目的判明として次の会合までに整理しておくか。
「あれ、なんだったんだろう...!」
『説明するロトー!』
「わひゃあ!?」
「おいロトム、急に出てきてやるなよ。最近は空気が読めるようになったと思ったら...」
『ご、ごめんロト。でも昨日から結構我慢してたロト、許してほしいロト...』
「な、なにこれ...!?」
俺のザックから飛び出してきたのは、オレンジ色のスマホ。
俗に言う、ロトムスマホだ。...俺のは、ちょいと特別製だが。
「あー、ポケモン関係でわからんことがあったら、大体そいつに聞けばいいよ。ロトム、ってポケモンが中に入ってんの」
「へええ...よろしくね、ロトム!」
『よろしくロトー! それで、おそらく二人が夢で見たであろう白い影は、アルセウスと言って...』
(コゲコゲンワホンワホンワホ...)
...釣り糸を垂らしながらも、考える、考える、考える...
まず一つ目。どうやら、俺やあの二匹、爺さんやらも含めたそれなりの数が転移してきたっぽい。
加えてドクの強者センサーを信じるなら、とりあえず伝説連中からもレシラムとゼクロムは確定。他にも何匹かいるらしいがな。
二つ目、主の近所で飼っていた犬がガーディに
こっちに元々いた動物がポケモンになった、これはおそらく邪神の仕業だろう。
最初はこの世界とポケモン世界を置換する、ないし融合させるとかそういうのが目的かと思ったが...だとすると、次の事例が不可解だ。
三つ目、ニュースを見ている限りではポケモンになった動物と『ならなかった』動物がいる。
それも種によって違うとかではなく、牧場のニュースで乳牛とミルタンクを同時に確認できた。
まあ全部が全部ポケモンになったら肉とかだいぶ食いにくくなるだろうしな、その程度のことはあの害獣の頭でも考えつくか。
...うーむ、ダメだ情報が足りない。
いやある程度は集まってるんだが、どう繋げるにしても『その先』が見えてこないというか。
そんな事を考えていると...
「あ、引いてるよスイゲツ!」
「うおっ、来たか!」
見れば釣り竿がぐいぐいと引かれている、チャンス到来だ!!
右に左に格闘していると、水面が膨らみ───
『ピカさん!』
『
「「───フィーーーッシュ!!!」」
『
天高く舞い上がった影に、ピカさんが電撃をお見舞いする。
ピクピクと痙攣しながら落ちてきたのは...
「...サシカマス?」
「え、なにこれ見たことないよ!」
「あー、こいつもポケモンだよ」
「へぇー...」
とつげきポケモン・サシカマス。
ピカさんも加減したのだろうが、最大出力がアレ故に《まひ》は確定の電撃を耐えきるとは...中々ガッツのある個体だな。
「だが逃がす」
「もったいなくない?」
「このままじゃ二重の意味で雑魚もいいとこだろ、成長に期待しようぜ」
カマスジョーの肉はなかなか旨いらしいしな、まあ俺としてはポケモンを食うのはなんというかアレなのだが...
とりあえず『アクアリング』をかけてやり、回復してから針を外して投げてやる。
『また今度なー』
「シー...」
泳いでいくのを見送ってから、ノーモーションで横に
「おっと、動くなよ」
「「ッ!?」」
「あれ、誰あの人たち」
糸を垂らして、釣竿を一旦置いてから...主を庇うように立つ。
「
埠頭のたもとに立っていたのは...黒スーツにサングラスの男二人組。
どう考えても国家権力なりスジモンバトルの予感だ、先手は打っておくに越したことはない。
「...お見それしました、映像は見ましたがまさかこれ程とは」
「とりあえず、これを解除していただいても...?」
「...いいぜ。ただし、両手は上に挙げろよ?」
なんかそこそこ丁寧な口調だな、明らかに人間じゃない奴でもそれなりに敬意は払うのか。
『かげぬい』を解除、一瞬へたり込みそうになったが耐えていた...やるじゃん。
「...我々は、故あって名前は明かせませんが...日本政府の者です」
「陽川 彩香さん、それに...ええと、スイゲツさん。ご同行をお願いしても、よろしいでしょうか」
...
とりあえず二人にも釣竿を渡し、困惑されつつも話は聞いてやることにしたのだった。
釣りは世界を繋ぐ、釣りイズマイフェイバリット趣味。みんな釣りしようぜ!!
ゲコ野郎は釣り『も』趣味、得意なサッカーと三次元機動で張ってくる奴と出会う前から
あとヤツはちゃんと対人の経験も積んでる
次回、他作品からのパク...オマージュその①登場(たぶん)