転生チートオリ主が性格で無惨に離婚された話   作:ややや

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このイベント走っているユーザーはモリアーティの推理シーンの代わりに今までの生前シーン上映しているイメージで書いてます。
英霊にはトンチキ理論を示すノルマがあるらしいので頑張って考えました。


迷宮上層

 結論として、カルデアチームはひとまず引き返して拠点を固めることに決めた。

 

 状況が理解できていないのが一つ、エレナが負傷の上まともに話せない程疲弊しているのが一つ。何よりも、モリアーティが待機を主張したのが一番の理由だった。

 

『さて、説明してくれるかな?モリアーティ』

 宿屋に拠点を構築した6人はベッドに座って打ち合わせを始めた。

 

「構わないとも。何から答えれば良いかナ?」

『色々あるけど─そうだね、まずは()()()()()()()()()()()はナロー君で良いのかい?』

「そうだ。アレは私の親友、ナロー・ブラヴァツキーだ。間違いない」

 

 モリアーティは淀みなく答えた。私の親友を敢えて先に付ける事で理由を隠す。あの虹色の瞳は()()の彼の象徴だ。余りにも異彩なその眼を彼は身体的欠陥の一つとしてコンタクト(チート製と彼は言っていた)を着けて隠していた。その為、一般的な彼の目は赤目と記録されている。事実、モリアーティがカルデアの敵として立ち回った際に召喚した新宿の彼は血のような赤色だった。

 

『ならばなぜ離反する。ナローは人理漂白前からの仲間だろう?私より古株だ!藤丸ゥ、何か分からんのか!』

「ナローさん寡黙で仕事人なのは分かるけど…」

「そう、ですね。私達はナローさん単体の人格を知りません」

 

 マシュの言葉に藤丸はモリアーティをじっと見た。モリアーティはイタズラげにウィンクをかましたが、彼女は動じずに投げキッスを飛ばした。やはりマスターは強敵だ。本来なら頼れる味方なのだが、彼女の頭には優秀な護衛達が存在している。ナローの危惧的に、彼女に察せられるのが最も危険な行為だ。

 

 ナローが生前の眼を取り戻した、このヒントこそが致命点なのだ。

 

『ナロー・ブラヴァツキー。ロシアの軍人で中近東とバルカン半島の支配権を巡って4カ国の連合と争ったクリミア戦争の活躍で特に有名になった英霊だね。チャップリンの『一人殺せば殺人者で百万人殺せば英雄となる』の元ネタとも言われている。要はプロ中のプロの軍人さ』

『まぁエレナ女史の話では魔法使いだったらしいじゃないか。そりゃあ()()()()()()()()なんておかしな経歴にもなる。何で軍人してるんかね彼は』

「さて?まあ、彼の話では相手が魔術使いではない限り魔法は使ってないとのことだよ?」

『はぁ!?おかしくないかね!?殺し合いだよ!?』

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()さ。面白いヤツだろう?」

「エジソン的には、うん、ノーコメント。会った事無いし。ただ、落ちぶれると爆速で引き下がるから経済人には彼の赤目は恐怖の象徴だったと聞いてるよ」

 

 座のシステムはある種残酷な作りになっている。他人の信仰を元にする以上、サーヴァントの容姿は年を経るごとに徐々に()()される。顔を知らない、経歴しか見れない。モリアーティ自身も果たして元来の顔とどれだけ変わっているか。新宿の彼は確かに顔以外は健康体そのものだった。

 

『本来ならノーヒントもいいとこだけど、モリアーティ。君は新宿で彼をサーヴァントとして召喚してたね?さあ、キリキリ吐いてもらうよ?』

「っしー(ゴキゴキ)」

「別に隠さないからヨハンナ君。肩を回すのはやめて、私の腰は有限なんだヨ!?」

「やだなあ。何もしませんよぉ」

「ほんとぉ?…彼のスキルはシンプルさ。触れたものを回復する力。幸運がエレナ女史の機嫌基準になる力。そして、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「ステータス…ですか?」

 

 英霊であれば誰もが必ず持つステータス。その力はDクラスすら頭部を容易く潰せるほどのスペックを誇る。対人であれば無敵のスペックだが、英霊同士では多少の差は人数差で押し切れる、藤丸の認識はその程度だった。

 

「ダヴィンチ…いや、マスター。今、彼から魔力は吸い取られているかい?」

「…ううん。寧ろ全く取られてない。さっきまではトップサーヴァント並みに取られたのに」

「つまり、彼は聖杯を手に入れている。勢力とは全人類に対しての組織人員の割合だ。そして、今のマスターは現人類を全て仲間とした最高のマスター。つまり、彼に制限は一切無くなった」

 

 近代英霊の彼にファンタジーなスキルは殆どない。あるのは軍人の技術にクソみたいな胆力、そして道具を十全に使いこなす力。ヨハンナ迷宮は彼の配下となり、魔力は無制限。彼は武器を、こちらは攻め手を封じられた千日手を作り上げた。

 

「理論上許された最高スペック。幸運以外オールA++の人外を私達は相手取る必要がある」

 

 沈黙が訪れた。ここにいるサーヴァントはエレナを除いて戦闘に関しては中堅以下。おまけに上位の2名は既知の間柄である。勝てる勝率は高いとは言えない。それでも、藤丸は手を叩いて明るく宣言した。

 

「じゃあまずは迷宮で試し狩りをしようか!」

「試し…ですか?そもそも戻れるのでしょうか」

「町の人が騒いだ形跡はないし。あの入り口は入り難いだけで誰でも入れる。つまり、死人怪我人行方不明は出ていない。安全なら突貫も手でしょ?」

 

 人類最後のマスター、彼女はいつでも苦境に強いのだ。

 

 ◼︎▫︎◼︎▫︎◼︎▫︎◼︎▫︎◼︎▫︎

 

 迷宮内部は顔の無いシャドウサーヴァントが大量に彷徨くカジノエリアとなっていた。

 

 スロット、ルーレット、ブラックジャック、ポーカー、花札、チンチロリン、その他諸々。ありとあらゆるギャンブルが存在し、侵入者とギャンブルに勤しんでいた。

 

「シンニュウシャ。ログイン。ツギ、アシタ」

 

 シャドウサーヴァントには人格は無いようである。怪我をしたエレナを無視したナイチンゲールらしき影がカタコトで藤丸達にコインを渡す。横にはカウンターがあり、そこで現金や品物を交換出来る仕組みのようだ。そしてその中には、飾り立てられた一つの木板が存在した。

 

「上層突破権…」

「金を…稼げってことね…任せなさい」

「エレナさん!大丈夫ですか!?」

「取り敢えず動き回るくらいはね」

 

 エレナはふらつきつつも自身の足でスロットマシンに座り、適当にコインを1枚投入し、乱雑にボタンを止める。あっという間に『7』の数字が横並びとなり、受け口にコインが大量に溢れでた。マシュ達が歓声をあげ、エレナが更に増やそうとコインを追加しようと手を上げた腕は、白い手に止められた。

 

 白い肌、白い髪、金色の鎧に意志の強い青い瞳。

 トップサーヴァント『カルナ』がそこにいた。

 

「そこまでだ。イカサマは禁じられている」

「…証拠は」

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「…。………そう」

「罰金は全コインだ。どうする」

 

 エレナは無言で手持ちのコインを受け口に入れた。カルナは頷き、胡乱げな藤丸達に挨拶した。戦闘態勢ではあるが、戦う気はないようであった。

 

「すまない、マスター。()()()()()()()。今から正式にそちらに協力する」

「えっと…その、カルナさんはナローさんに召喚されたのですよね…?い、いいのでしょうか」

「ナローは構わないと言っていた。俺も同意している。問題はない」

 

 戸惑いつつも藤丸はカルナと再契約する。体に流れるパスの感覚はいつもと変わりない。本当に契約を切ったようである。彼女は何やら見定めているモリアーティに尋ねた。

 

「モリアーティ。あの、ナローっていつもこんななの?」

「そうだよ?自由意志での協力が彼の信条だからネ。そもそも仲間である君にそんな無礼な行為はしないさ」

 

 だからこそ、これは鍵なのだが。

 

「無礼?あるでしょう!この横にある『販売予定』の棚!なんで!!何で商品名が『らぶらぶはぁとヨハンナ像(婦人側)』!!」

「ううむ。出来が良い分名前が目立つな…」

「誰ですかこんなのを考え付いたやつは!!」

 

 マスター達は止められた要因がエレナの幸運だと思っているだろうが、それは違う。所詮カジノは金稼ぎの一つ。仕組みを理解すれば誰でも攻略できる。そもそも自分が止められていない。

 

「ナローだ。彼は『利用料は払わないといけない』と語っていた。俺も同意だ。ヨハンナの霊基は不安定。それをカバーする信仰の収集は誠意と思うが」

「なら名前くらい変更しなさいよ!!」

「彼に命名権はない。お前があの石像をらぶらぶはぁとヨハンナ像と称している以上、商品名は固定である必要がある」

 

 そして、トップサーヴァントである必要はない。ナローはカルナを派遣した。逆説的に、カルナなら大丈夫だと当たりをつけた。そして止めたのはエレナ。この中で最も危険なのが彼女という理屈か?

 

「じゃあ変更!へーんーこーうー!」

「あっ。商品名が変わりました。『らぶらぶはぁと像』になりました!」

「見てたんだね」

「名前の方じゃないわよ!!」

 

 だが、それならナローが突貫する理由が薄い。この場所は上層。与えられたヒントは3つ。ならば、ここは『死体』の設問なのだ。カジノはシステム、カルナが安全、エレナが危険。そして『死体』。違う、エレナとナローが危険か。モリアーティは入り口から出た赤い光を思い出す。あの光はナローを思い出した。そして、答えを直感した。

 

 黒幕は既にカウンターサーヴァントのナローに殺されている。

 

 放置して問題無いのは抑止力が殺したからだ。我々が現れたことを察知して、野良サーヴァントのナローは間に合わないと察した。だから霊基ごとまとめてカルデアのナローに譲渡したのだ。間に合わせるために!

 

 モリアーティは口元を抑えてゆっくりと息を吐いた。脳の熱を吐き出すための温かい空気が手に当たった。彼女は察しが良い。頼れるマスターは一味違うネとナローへ自嘲した。

 

 第一の答えは得た。これ以上はマスターを無駄に警戒させる一因になる。

 

「──どう?モリアーティ」

()()()()()()()?」

 

 …本当に、素晴らしい。

 

「無論、出来るとも。と、いうよりその為の人を探していた。後は単純に稼ぐだけさ」

「なら、これ。授業料」

 

 藤丸は何となしに手持ちのコインを全てモリアーティに渡した。

 さっさと解決しろということだろう。モリアーティは意識して不敵に笑い、影ホームズがオーナーのポーカー席へ座った。

 

「モリアーティ。カケ。スル。シネ」

「あらホームズ君影でも言葉強い。ま、イイヨ!全コイン賭けよっか!」

「お、おいおい大丈夫なのかね!?モリアーティ!」

「問題無いよ、エジソン君。…外れたらごめんネ?」

 

 モリアーティはホームズに向き合い、配られたカードを包み込むように掴み、勢いよく取り上げ、交換前に机の下に片手を隠した。ホームズは迷うことなくモリアーティを指差した。

 

「イカサマヲシテキスル…ハンテイ。フカ。バイガク。ヘンキン」

「してないとも。私はただ正々堂々とホームズに全額ベットしただけ。信じられないのはホームズの方さ」

「ツギ。ナイ」

「ああ、()()()()

 

 モリアーティはホームズを無視して席を立ち上がる。ホームズは停止し、待機状態となった。椅子の前にいるモリアーティは再度座り、()()()()()()()()()

 

()()()()()()()()()()()()

「…これは…」

「自動、便利だけどこれほど()()()なものはない」

 

 モリアーティは同じ動作を繰り返しながら億劫に話した。内心、無効試合として掛け金が返金される恐れがあったが、流石にナローもそこまで余裕はなかったようだ。

 

「本来なら初見の威嚇として成り立つのだろうが、これはただの肉人形。同じ動作をすれば同じ挙動を繰り返す。ならば話は単純サ。20回同じブラフをすれば良い」

「総額にして1048576倍。木板の値段には充分だろう?」

 

 数十分後、カルデア一行は問題なく迷宮上層を突破した。

 

 ◼︎▫︎◼︎▫︎◼︎▫︎◼︎▫︎◼︎▫︎

 

 中層と書かれた扉の中は殺風景な空き部屋だった。所狭しと薬莢が散乱し、毛糸で繋がれた弾丸がゆらゆらと動いている。但し、それのみである。敵すらいない部屋は潔いほどシンプルだった。

 

「て、手抜きです!」

『検査したけど弾丸も()()()()()()。コレ、今までの攻略者達の使用品なんじゃないかな?』

「り、リサイクルまでしてるのか…」

『弾丸しか無いけど万一地雷とかあっても困るし、誰か尖兵を頼むよー。サーヴァントであれば怪我はないしね』

「それならば俺が行こう」

 

 回復、耐久に定評のあるカルナが気安く応えて歩き出す。紐にあたり、いくつかの弾丸が下へ落ちるが、当然爆発などしない。鎧の音を鳴らしてカルナは進み、ある一つの弾丸を踏んだ。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 弾丸が変形したのでは無い。弾丸そのものがカルナに変わった。理屈など何一つない、にわか雨に晒された洗濯物がカルデアだった。かろうじて()()に関して理解が及んだモリアーティは弾丸、否、偽カルナに銃弾を浴びせたが、軽く後退され容易く防がれた。

 

「ッ!?コレはナローの宝具か!?()()()()()()()()()()()()()()()()()()!?」

 

 モリアーティが叫ぶのも無理はない。カルナが踏んだ弾丸がサーヴァントに化すなど、変身系の宝具でも困難な手法だ。その上、変じたカルナは当のカルナ本人が見ても全く遜色の無いスペックの持ち主だった。

 

 唯一異なる赤目を光らせ、偽カルナがこちらのカルナに向けて突進した。

 

「…!マスターを逃がせ!」

 

 カルナは偽カルナの攻撃を防いで叫ぶ。魔力消費など気にしてはいられない。全力で応対し攻撃するが、偽カルナも同様に反撃した。藤丸はその場で跳躍し、その腰をマシュが掴んで上層の階段に逃走した。

 

「同一の霊基、同一の魔力量、ならば来るのは───」

 

 モリアーティが気付いた時には決着がついていた。カルナの槍が偽物の心臓を貫き通した。しかし、偽物は止まらない。張り付いた口を開き、カルナを掴んで叫んだ。

 

日輪よ、死に随え(ヴァサヴィ・シャクティ)我が身を糧に(ブロークン・ファンタズム)

「──ッなっ!?」

 

「エジソン!女!宝具を扉に!!」

W・F・D(ワールド・フェイス・ドミネーション)!!」

金星神・火炎天主(サナト・クマラ)!!」

 

 カルナ達が爆発する。余波が藤丸達を襲うが、神秘はエジソンが、威力はエレナがそれぞれ封殺した。煙が舞い、落ち着いた頃にはカルナ達は既にそこにはいなかった。

 

「同一のサーヴァントを召喚して相打ちさせる空間…!」

 

 弾丸に宝具をかけて地面に埋め込み、踏んだサーヴァントそのものと化して相打ち上等の特攻をする。技術も、意思も関係ない道具としての人員の消耗戦。

 

 マスターとしての無慈悲な手腕に、藤丸は手を握りしめて冷や汗を流した。




完璧なる兵士:A++
 クリミア戦争の全ての戦場にて指示された作戦を成功させた逸話から発生したスキル。
 指示者(マスター)の率いる部下・仲間が多いほどステータスが向上する。万単位の場合、幸運以外のステータスはAまで上昇する。
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