転生チートオリ主が性格で無惨に離婚された話   作:ややや

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思いついたので投稿します。
続けるかどうかは未定です。


オマケ話
婚活失敗記録/Zero①


 聖杯戦争。

 

 セイバー、ランサー、アーチャー、ライダー、キャスター、アサシン、バーサーカーの七クラスを英霊として現界させ、殺し合わせる蠱毒の儀式。

 

 遠坂・間桐・アインツベルンの『始まりの御三家』によって始まった根源到達の為の儀式は三度の失敗を繰り返し、失敗のツケは御三家に対して確かにつもり続けていた。──外様の参加者が横取りを狙えるほどに。

 

 後に第四次聖杯戦争と呼ばれる儀式も始まって四日が過ぎた。

 

 英霊という埒外の存在を使役(りよう)する儀式も四度目となればセオリーが作られる。既に水面下で始まったこの戦争も、過去三度の苦いマニュアルを持ち抱える御三家は当然警戒対象となり、把握される拠点には参加者達の()がそこかしこに備え付けられていた。

 

 が、その目を盗んで一人の男、サーヴァントが遠坂邸の庭を歩んでいた。

 

 音は無く、跡はなく、遠坂邸に幾重にも張られた結界・警報は仕事を果たせずに沈黙を続けた。全身を黒装束に包んだ髑髏の仮面をつけた彼は自宅のように裏戸口の扉を開き、───全力で飛び退いた。

 

 扉から出てきたのは空間から揺らぐ波紋より飛び出る武具だった。槍・剣・矢・斧・その他諸々。光り輝く財宝の山を掻い潜る男が見たのは、その中心に聳え立つ黄金の男だった。

 

「─雑種が」

 

 如何なる術か、宙に浮く黄金は豪奢絢爛の姿形に見合う傲慢さを以て吐き捨てるように侵入者(ふとどきもの)を睨め上げた。

 

「神の下僕が、(オレ)の土地を踏みつけるなど不敬極まりない。王の前で今すぐその首を献上せよ」

「断る。我とてハサン・サッバーハの名を襲名せし者。そう易々と─」

()()()()()()()

 

 黄金が吐き捨て指を鳴らし、暗殺教団の教主を名乗った男の周りに波紋を展開する。数にして四十二。発射された武器は彼の回避に間に合わなかったものの、男の仮面を砕いた。零れ落ちる素顔は義顎を付けた強面な東スラブ系の顔立ちであり、暗殺教団の出所である中東系では無かった。

 

(オレ)の目を出し抜けると思ったか、アサシン。貴様のチンケな偽装などあってないようなもの。不躾なその目を我が財として王に献上するがいい」

「うーむ。中々上手いと思ってたが。…最後にババを引いたようだ」

 

 アサシンが仮面を拾い上げて辺りを見渡せば、ゆらりと空間に七十九の波紋が彼の周りを囲んでいた。ダメ押しとばかりに財宝には必中で著名な武器も浮いている。それでもアサシンの余裕は崩れなかった。

 

「返答は三つある」

 

 指を分かりやすく黄金に立てたアサシンは舌を出した。義顎の口が滑らかに動き、トラバサミのようにおどろしく煌めいた。

 

「一つ、この身はサーヴァント。所有権はマスターだ。だから売買できない。二つ、俺にも願いがある。お前みたいな()()()()()()に従う気はない」

「…貴様」

「そして最後だが」

 

 アサシンは戯けるように右手で目を隠し、大袈裟なリアクションをしながら魔眼を使用した。その魔眼は酷く睨みつける敵には感知されない。変わるのはアサシン本人の受信側だからだ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()アサシンは内心をおくびにも出さずにギルガメッシュに首を傾げた。

 

「俺達はサーヴァント、偽物だ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()──何で君は()()()()()()()?」

「─吠えたな」

 

 乱雑に発射された筈の財宝は恐ろしいほど正確にアサシンの急所を狙っていた。アサシンは左腕を盾にしてその内の槍を貫かせ、槍ごと回転させることで財宝の檻から脱出した。ギルガメッシュはそれを予測(見た)が、如何なる術か、アサシンの左腕は()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「いつ見ても神の下僕は醜い。貴様なら幾らでも取り繕うことが出来るだろうに」

「いやあ。親の愛の結晶を無駄に弄るのは、ねぇ?それこそ浅ましいでしょ」

 

 話しながらアサシンは左腕にこびりついた血を振り払う。夜露に濡れた雑草に赤色の波紋が広がった。『すべてをみたひと』と称されるギルガメッシュの千里眼はそれが何かを正しく把握したが、些事と判断して放置した。

 

『─王よ。アサシンに関して報告です』

 

 睨み合いの中、状況を変えたのはギルガメッシュのマスター、遠坂時臣からの支援であった。魔力消費を嫌ったのか館からの拡声器を使用した声に、ギルガメッシュは興が削がれたと舌打ちを鳴らした。

 

『軍服と義顎、そして負傷時に発した母国語。アサシンの真名は『ナロー・ブラヴァツキー』。近代の英霊です』

 

 遠坂時臣は御三家の一角であり、この冬木を魔術的に管理するオーナーだった。彼の手腕は本来なら敵である聖堂教会から弟子を請け負うほど卓越しており、情報網は参加者の誰よりも広かった。

 

 横にはその弟子である澱んだ暗い目をした筋肉質な男、言峰綺礼が父の璃正と共に教会の資料を示した。そこには教会が秘密裏に保管している実験用の真祖の実現者としてナローの写真が反映されていた。

 

 その実績を読んで時臣の背中に汗が流れる。ナローは近代の英霊であり、神秘の規模はギルガメッシュと比べようがない。直で見るステータスもオールDの低スペックな代物だ。だが、宝具だけがEX(規格外)であり、エレナの伝説から何らかの『奇跡』が付随しているのではないかと時臣は警戒していた。

 

「えっもうバレたの」

「随分と教会に貢献したようだな。雑種どもが喚いているわ」

「よそ見したなバーカ死ねぇ!」

 

 三下の態度とは裏腹にコンマ単位で展開されたAKの早撃ちにギルガメッシュは反応を示さなかった。弾丸はそのまま彼の顔面に食い込む軌道で突き進み。

 

 カーン。と軽い音を立てて弾かれた。

 

「──えっ」

 

 ナローの素の驚きにギルガメッシュはドヤ顔でゆっくりと胸を張った。ナローはその好意(すき)に甘えて眉間・顎下・左右の足に銃弾を撃ち込んだが、それらは全て見えない壁に阻まれて魔力へと還った。

 

「えっえっ。何そのスーパー鎧。幾ら積めば買えるの?」

「何故王たる(オレ)が三流の手筈など踏まねばならん。本物は造らせる。王は調達も一流を目指さねば失格よ」

「それは…そうなんですが…」

 

 ギルガメッシュの持つ宝具、『王の財宝(ゲートオブバビロン)』はありとあらゆる伝説の原典となった宝具が財宝として収められている破格の性能を誇っている。事実上人類が生み出したものであれば低魔力で全てを引き出せる択の広さは時臣が勝利を確信するに値する万能さを誇っていた。

 

 当然、たかが近代英霊の一柱であるナローの攻撃にその鎧を突破するすべは無かった。

 

「へ、へへっ。マスターの要請に従って聖堂教会の方へ挨拶にきやした」

 

 ナローは三下になった。背中を丸め、かつて戦場で弁当売りをしていた商売人達を思い出しながら上目遣いで揉み手をした。ギルガメッシュは鼻で笑い、時臣達は暴露内容に動揺した。確かに、聖堂教会は聖杯戦争の監督役を務めている。瑠正が遠坂邸にいる以上、訪ねるのは当然の帰結だった。

 

 遠坂と監督役が裏で繋がっていなければ、だが。

 

「はじめに、ええ。教会には伺ったんですが、()()()()()()()()()()()()()()()()此方に。()()()()()()()()()()()()、英雄王殿がこうしてお出になられたということは余計な世話という認識でよろしいですかね?」

『…ああ。彼は私の家に居候している息子の顔を見に来ていてね。偶々留守にしていただけさ』

「それは良かった。マスターは心優しい子でね。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 下手に出ながらにっこりと笑う様はマフィアの様相だった。行動は三下だったが。ギルガメッシュの攻撃で破損した噴水の裏に回ったナローは懐から茶封筒を出して掲げた。その封筒には『嘆願書』と不恰好な文字で書かれていた。

 

「先日、キャスターが敗退しましたが、彼方で発生した人的被害に我がマスターは大変()()()()()()()()()。冬木市におられる無辜の住民に被害が及ばないよう、ルールを制定してはいただけないでしょうか」

 

 野良の魔術師に召喚されたキャスターのマスターは巷で話題の連続殺人鬼であった。幸いにも別の参加者が早期に戦闘、及び撃破をしたことで大きな被害もなく討伐されたが、少なくない子供が犠牲になっていた。

 

 これを幸か不幸かと分類すれば幸運に値するのであろう。場当たり的かつ偶発的に出没する殺人鬼を取り逃がしている警察を考えれば初対面で速攻をかけたマスターは非常に有能である。これ以上の被害の軽減は、聖堂教会ならびにマスター達にガチガチの縛りを付け加える必要がある。

 

『…残念ですが、それは困難です』

 

 資金面、人材面、何よりも英霊達を従わせる強制力が足りていない。理性では納得できる呼びかけの断りに、瑠正は現状の癒着の肯定となる行為をすることで彼、あるいは犠牲者に誠意を示した。

 

『歴代の記録されしサーヴァント達はどれも一廉の人物。縛ることなど聖堂教会ではとても──』

「まあそうだな。なら、こちらが行う分には問題ないと」

『─は?』

 

 この場で聞き耳を立てているマスター達で、ナローを知るものだけがその言葉を理解した。()()()()()()()()()()()()()を成した男の言葉に危機感を覚えたものだけが辛うじて身構えることができた。そして、うっかりなことに遠坂時臣はギルガメッシュへの提言を行うのを忘れてしまった。遠坂家はうっかりの血筋だった。

 

「─我が神の御業を再現しよう」

 

 知るセイバー陣営のアインツベルンは驚愕と憧憬を。

 追うランサー陣営のエルメロイは自身の最高級の観測機器を展開し。

 忘れたアーチャー陣営の遠坂は呆然とそれを見送り。

 解らぬライダー陣営のウェイバー・ベルベットはその眼で空から見守り。

 知らぬバーサーカー陣営の間桐雁夜は無駄にした。

 

「嘘は誠に。誠実は実在に。ラベルはドグマで張り替えた。善なるもの全てを支持し、善ならざるもの全てに反対を示せ」

 

 ナローは近代の英霊である。

 近代にも関わらずに世界に名を刻んだ男の宝具は、ありとあらゆる規格外であった。

 

我が神の名は全てを易く(フィクション・ファンタズマゴリア)

 

 世界が切り取られる音がした気がした。或いは塗り変わり、雰囲気が変わり、空気が混ざり、何かが切り替わったのを勘の良い冬木住民達は感じとった。

 

 ナローが行った()()に、ギルガメッシュは欠片も変わらない。ギルガメッシュは王である。法である。国である。傲慢に合わせた能力が彼の精神を磐石にしていた。

 

「貴様が拵えた法など(オレ)が従うとでも?」

()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

 ナローの減らず口にギルガメッシュは宝物庫を多重展開し、()()()()()()()()()。彼は苛立たしげに時臣(凡夫)へ魔力供給の催促をしたが、返ってくるのは苦悶の呻き声だった。

 

「姑息な真似を…」

「王様が他国嫌いなのが悪いよー。ちょっとした()()()()()()を考えるだけさ。具体的には帰還用の扉を用意するだけ。これどうやっても俺じゃ倒せないし

 

 脂汗を流すギルガメッシュの光景をナローが嘲笑う。が、彼自身も無茶をしたのか霊基が壊れかかっている。身体から血の代わりに光を吐き出す有様はキャスターの討伐を見たライダーをして自爆宝具を使用したのかと錯覚しそうな状態だった。

 

例の退去BGM(あの音が聞こえる)…それ、一時間で解けるから安心して。まあ王様には不要な心配だけど」

「─ハッ。(オレ)に翳りなどない。そして何だ、この乳臭い結界は」

 

 上空で監視するライダーが漁夫の利を取りかねない窮地でも、ギルガメッシュとナローは冷静だった。ライダー達が胡乱げに地上の二人を見続ける中、ギルガメッシュが放り投げた粘土版と翻訳版を参考にナローが楔形文字を書き込みながらギルガメッシュへ説明をしていた。

 

「マスター命名、『魔法少女フィールド』。正々堂々と争わなきゃ女神様のペナルティを受ける、らしい。詳しくはマスターにインプットされたルールを見て」

「随分と他人事だな」

「令呪使われたし…」

 

 本当に限界であったナローはみっともなく四つん這いでマンホールの中へ逃走した。ギルガメッシュが忌避するであろう汚水に塗れての逃げである。千里眼にてナローの裏を見抜いた彼は道化さに免じて静かに遠坂邸へと帰宅した。

 

「マスターのためとはいえ…なんとまあしがない様よ」

 

【魔法少女フィールド ルール】

ルール①

 参加するサーヴァントは以下の七名

 ・セイバー:アルトリア・ペンドラゴン

 ・ランサー:ディルムッド・オディナ

 ・アーチャー:ギルガメッシュ

 ・ライダー:イスカンダル

 ・アサシン:ナロー・ブラヴァツキー

 ・キャスター:ジル・ド・レェ(ライダーにより脱落)

 ・バーサーカー:サー・ランスロット

ルール②

 サーヴァント戦以外で日本法に反した者は以下のペナルティに処す

 ・マスター:罪状に応じた仮想裁判の後、刑に準じた罰金及び年数分の『サーヴァント停止権(一回十秒)』を任意の別マスターに配布する。

 ・サーヴァント:一時間魔力消費が三千倍となる

ルール③

 マスターは聖杯戦争期間中は怪我・病気にならない。ただし、サーヴァント戦による負傷は例外とする。

ルール④

 聖杯戦争期間中に冬木市から外出したマスター・サーヴァントは死亡する。

ルール⑤

 各マスターは新規のルールを提案することができる。ただし、他マスターの過半数の了承を得ること。

 

「ラ、ライダー!これ、やばいんじゃないか!?」

「うむ。…だが…これは…より…恐ろしいことが起きるぞ」

 

「ランサー。これから私はソラウと解析に没入する。貴様の任務は寝ずの護衛だ」

「ごめんなさいね、ランサー。魔法の到達の前には聖杯戦争は些事なの」

「いえ。御二方の一族の宿痾。このディルムッド、一世一代の仕事として果たしてみせましょう。」

 

「ときおみ、時臣、ああ!あああ!!」

「…………なんで、わたしは」

「…ふむ。これは些か不味いのう」

 

(オレ)(けん)に回る。さあ、雑種はどうする?」

「これは…セカンドオーナーとしては…アサシンの罠を信用できるか…?」

「ナロー。愛を得られないのに愛を振り撒いた男。彼もまた、私の様に欠落していたのか…?」

 

「おかえ─くちゃい。おふろ、ご!」

「はくのんちゃん酷いよ。おじさん頑張ったんだよ?」

「むげんのまりょく?にかいぞーしたあくのはかせはもっとがんばるの。せかいへいわにするの。ばしゃうま、ばしゃうま」

「へいへい。悪の博士としての提案だけど、殺された両親は生き返らせないの?」

「それはママとパパじゃない」

「…えらいね、君は」

 

「アイリ、さっきの話は本当かい?」

「え、ええ。キャスターの魂を回収した負荷は消えたわ。何処まで信じたら良いか分からないけど、アインツベルンのホムンクルスとしてコレが魔法規模なのと効果は実現するのは確かよ」

「そうか、そうか…。ああ、希望とは確かに甘いものだな。…本当に、恐ろしい」

「キリツグ…?」

 

 そして、第四次聖杯戦争はその有様を変えた。

 より悪辣で、迷惑をかける余裕の無い、泥のような戦場へと。




アーチャー≧セイバー>ライダー>アサシン=ランサー>バーサーカー位の勝率。
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