時系列はここだ!
ついでに見たことない人は全部のトレーラーを見よう!
RWBYのアクションは素晴らしいぞ!
シュニー・ダスト・カンパニー。
このレムナントにおいて、最大の勢力を誇る企業。
世界中でダストと呼ばれる特殊なエネルギーを売り、そして製造している企業。
ダストとは固体だったり液体であったりするが運ぶ時はその不安定さから固体である時が多い。
そして、ちょうどそのダストを輸送する列車に私たちは飛び移った。
カンパニーに対する私たち…ホワイト・ファングの活動として。
ダストを強奪するために、パートナーであるアダム・トーラスと共に。
私はブレイク・ベラドンナ。ファウナスと呼ばれる、この世界の種族の一つ。
アダムもまたその一人であり…特に、苛烈に活動している男だった。
ファウナスとは、この世界においてある種軽蔑される種族として一時期は見られていた。
動物的な特徴を持つだけの、人間とほとんど変わらない種族だ。
今ではホワイト・ファングの活動などである程度の社会的地位を勝ち取ることは出来た。
しかし、まだこの社会はファウナスへと偏見の目を隠せていない。
それでも、ずっと前よりはよくなった。だけど……それだけでは足りなかった。
ホワイト・ファングはファウナスと人間との間の関係を改善するために設立されたはずだった。
だけれど、差別という社会に対して平和的な手段ではいつまでもよくなることはなかった。
いつしかデモ隊の持つものは看板ではなく、武器となり、手段は対話ではなく暴力になっていって。
今ではこうして、列車から物資を強奪するような手段すら行うようになっていた。
列車の中の警備用ロボットを蹴散らして、赤い薔薇の装飾が入った黒いトレンチコートの男を見る。
彼がアダム・トーラス。このホワイト・ファングの幹部の一人。
そして今、最も勢力の強い過激派でもあった。
そんな彼はダストの入った箱を一つ開き、中を見て……口を開いた。
「ブレイク。お前は俺が怖いか?」
そう問いかけてくる、仮面をかぶったままのアダムへと私は驚き視線を向けた。
今まで、私にそんな風に聞いてきたことなどなかった。
特にこういう……彼にとっての仕事中では。
思わず無言のままの私に、彼は振り返る。その顔には上半分を覆う白い仮面があった。
仮面の中の視線は、私には読み取ることが出来ない。
ただ……その声には、最近では聞いたことがなかったようなやさしさを感じられた気がして。
「いきなり、どうして?」
「…この列車を襲う前、お前は憂いている顔をしていた。
そしてさっきもお前はこの列車にいる乗組員の人間たちの心配もしていたな」
淡々とそう話していくアダムに、私は視線を下に向けた。
図星だったからだ。
最近の彼は、昔のように相手を傷つける事に躊躇いがなくなった。
まだ殺人までしたという話は具体的には聞いたことはないが…。
活動内容的に死んでいてもおかしくないものだってある。
日に日にそんな黒い話を絶やさない、むしろ増やしていく彼に私は恐れを抱いていた。
そして、この列車にいる人たちをどうするのか、と聞いても彼は応えなかった。
だから、私はいっそ……。
「…その話をする前に、お客さんのようだ」
そう静かに言った彼が向けた視線を追えば
蜘蛛のような下半身の大型ロボットが天井から落ちて来るのが見えた。
「アダム!」
そう私が声をかけるより前に、彼は既に駆けだしていた。
鞘型のライフルのブラッシュ。鞘に収まっている刀のウィルト。
腰に携え、構えたまま走り出した彼はブラッシュを向けずに引き金を引くとウィルトが射出される。
大型のエネルギー砲を構えていたロボットは射出された刀の柄に砲身をズラされ
放たれたエネルギーは天井を貫く。
その隙を彼は逃すことなくロボットに当たって弾かれた刀を握り、ロボットへと切りつけた。
すかさず私も背後に回ってレッグ部分を自らの武器、ガムボール・シュラウドで切りつける。
二度、三度とその間に斬撃を叩き込むが、大した傷をつけることもできずに
姿勢を持ち直したロボットのアームが迫る。
瞬間、私の”センブランス”を発動させた。
自らの分身を作り出し、ロボットのアームが空虚な影に当たる。
その間に後ろに何度かバックステップをしながら距離を取りつつ、自らの武器を変形させた。
黒い帯を伸ばすことによって自在に振り回し、先端の小鎌で何度も切りつける。
確かな手ごたえと金属がぶつかり合う音が響き、視線をロボットの奥に向かわせる。
私と違ってアームを鞘で防ぎ、通路側に押し出された後に壁へと両足を着けてライフルを撃つ。
互いの連携によって着実にダメージを与えるが、それでもまだまだ大きな損傷は見られない。
溜まらず私は彼に向かって叫んだ。
「これは無理よ!撤退した方がいい!」
その言葉を聞きながら彼は床に着地し、納刀して叫ぶ。
「さっきのキャノン砲を俺に向けて撃たせろ!」
「正気なの!?」
言ってる間にもロボットはまたエネルギーをチャージし始めた。
確かに彼の”センブランス”は知っているが、これをすべて吸収しきれるかはわからない。
だが、それを悩むには砲塔がこちらに向けられている以上時間はなかった。
持ち前の身軽さで壁を私は走り、彼の背後へと着地する。
向けられた砲塔は、私の前に立つ彼へと、白い光となって射出された。
「っ…!」
思わず眩しさに片目をつぶるが…私にはその熱は余波でしか感じることはなかった。
彼がエネルギーに向けて、僅かに抜いた刀身を当てていた。
これが彼のセンブランス。向けられたエネルギーや力を武器に吸収させる能力。
そして当然、溜まったエネルギーはそのままなくなるということはない。
「列車から出ろ!ブレイク!」
そう叫ぶ彼の声に、すぐに後ろに向けて走り出す。
同時に、視界の端で彼の赤い髪と、赤い薔薇と……赤い仮面が光る。
溜まったエネルギーがそのまま刀へと集まり、そして一閃。
列車の上部と、ロボットが真っ二つに切り裂かれていた。
「……」
それを見届けたアダムは、私へと改めて向き直った。
「アダム、私「ここでお別れだ」」
えっ、と私が彼の方に目を向けると、その刀で彼は列車の連結金具を切りつける。
そのまま、私のいる前の車両と、貨物を乗せた後ろの車両が離れていく。
「お前はもう今のホワイト・ファングに置く事は出来ない」
そう告げるアダムに、私は彼のいる車両へ飛ぼうと走り出した。
しかし、足元に彼の銃弾が撃たれ思わず足を止めてしまう。
その間にも、車両は離れていき私の跳躍力では届かないところまで行ってしまう。
「どうして!?さっきの話、続きをするんじゃ!」
「話す必要はない!お前が今のホワイト・ファングに憂いているのは分かっていた!
だからこそ、お前はもうホワイト・ファングに置いては行けない!」
あらんかぎりに、離れていく声に対して互いに叫び合う。
遠くなっていく姿に、私は決別することを任務前に考えていたのに。
彼の元へと向かおうとする気持ちがあった。
「これからもホワイト・ファングは血を流すだろう!そのたびにお前はさらに心曇らせていく!
ブレイク!ホワイト・ファングにお前の居場所はない!今のこの組織はお前が望むものではない!
だから、ここでお別れだ!優しいお前は優しいままでいろ!
俺の事を忘れ、ホワイト・ファングの事を忘れろ!」
そんな風に勝手に叫び、別れを告げる彼に私もまた叫びをあげる。
「そんな、勝手よ!まだちゃんと話し合ってないうちに、勝手に決めないでよ!」
手を伸ばすが、既に彼はその視界から見えなくなるほどの距離まで離れていた。
泣き叫ぶ私のことを、ただ欠けた月が見降ろしていた。
物資を強奪し終わったアダムはホワイト・ファングの本拠地に戻っていた。
そこには虎の耳を生やしたファウナスの女―――シエナ・カーンの姿があった。
「指導者カーン。任務を終えただいま戻りました」
そう頭を下げたアダムを見下ろし、シエナは声をかける。
「ご苦労。今回の物資は相当なものだったな、これでしばらくは補給を気にしなくてもいいだろう」
「ありがたきお言葉です」
「…しかし、物資だけの強奪か。
カンパニーはそこそこ痛手かもしれんが、人間どもへの影響力は大したものは望めなさそうだな」
どこか、なじるようにそう告げ見下ろすシエナに対して、アダムは面を上げることなく告げる。
「敵の警備用ロボットの数が多く、アレ以上の交戦は危険と判断しました。
ホワイト・ファングの力と強さを広めるための行動としては些か臆病であったと自覚しております」
「そうか。わかっているなら話は早い、言う事があるだろう?」
「……申し訳ございませんでした、指導者カーン」
しばらく間を置いた後、謝罪の言葉と共にアダムはその赤い短髪がよく見えるように頭を下げる。
そんな様子の彼を見て満足したのか、シエナは組んでいた足を解いて上機嫌そうな顔を見せた。
「冗談だ。此度は危険な任務を果たしてくれたことを労おうではないか。
面を上げよ、今後ともファウナスと、そしてホワイト・ファングの為に忠を尽くしてくれるな?
アダム・トーラスよ」
その言葉と共にようやくアダムは顔を上げ、立ち上がる。
その姿を見た彼を称賛するような声が構成員のそこかしこから聞こえていた。
だが、そんな彼の胸の中はというと。
(所詮、人もファウナスも同じ畜生に過ぎんか)
あまりにも、周囲の熱に対して冷めた反応を見せていた。
(今回の件でホワイト・ファングの脅威はさらに広まり、ファウナスへの偏見は強まるだろう。
差別をなくそうと力で訴えかけた時点で、この組織は最初の目的から逸脱している。
何よりも愚かなのはこの組織の構成員たる彼らはそれをわかっていながら
振り上げた拳を落とすのをやめない。
それも仕方ないのだろう。そう至らせるまで人間たちは俺たちを虐げ続けた。
誰かが立ち上がる必要があったのは間違いない。
だが…このような手段をいつまでも取るのはあまりにも…。
互いの血をずっと流し続け、最後に積みあがった血を誰が見ることになるのだろうか。
その血の精算を払う時が来たら、果たして俺は正気でいられるのだろうか。
あぁ、ブレイク…ブレイク・ベラドンナ。俺の最愛の人よ。
願わくばお前の血がその中に混ざらない事を願う。
そして二度と…俺の前に姿を現さないでくれ)
トレンチコートのスリットを揺らしながら、燃え上がっていく彼らを背にアダムは思考を募らせる。
いつしか流した血を見る事より、これから血を流させる事を考えるようになった今の組織へ。
「…ギラ様。今のホワイト・ファングをあなたが改めて見たら…きっと、幻滅するでしょうね」
そう自嘲すると、彼はそのホールから出ていく。
次の任務が彼にはまだあるのだから。