SEED時代にFREEDOMな機体 作:BBK
「キラはこちらのザフトの制服に着替えてください。」
「う、うん……」
用意された制服は、アスランのものと同じ赤服だった。
腕を通してみるとサイズこそ丁度いいが、鏡に映る自分の姿に違和感が残る。
着替え終わり、ラクスに準備ができた事を告げると、彼女は側近に毅然とした態度で告げた。
「あちらに連絡を。ラクス・クラインは平和の歌を歌います、と──」
──────
恐らくはザフト内でもトップシークレットと思われる、厳重な警備がされている施設に到着する。
何回かのセキュリティチェックをくぐり抜け、奥へ奥へと進んでいく。
途中で何人かの兵士とすれ違ったが、ラクスの方に注目がいき、僕が怪しまれる事は無かった。そこで初めて、”ラクス・クライン”という歌姫の力を僕は知った。
「さあ、どうぞ」
狭いゲートを通り奥へと進むと、照明が落とされていたため薄っすらとしか見えないがMS格納庫らしき場所に出た。
先導しているラクスに連れられ、とあるMSの前で停止すると照明が点灯した。
「これは、ガンダム!?」
目の前には煌煌と輝く、ストライクの顔によく似たMSがあった。
「ちょっと違いますわね。これは ZGMF/A-262PD-P マイティーストライクフリーダムです」
「登場が早くないかな」
「言っても誤差の範囲ですわ」
二人で無言のまましばらく突っ立っていると、後ろから兵士の一人がパイロットスーツを手渡しにきた。今の制服と同じ赤色のものだ。
時間が迫っている事を告げられたため、ラクスと別れて更衣室で急ぎ着替えてきた。
格納庫に戻ってきた時に、彼女の姿はなかった。パイロットスーツを手渡してきた兵士に所在を尋ねたが、時間が迫っております、とだけ言われて行動を急かされる。
(お礼の一つも言えないままだなんて……)
納得のいかないまま、しかし時間は止まらない事がもどかしい。
ラクスを待つことなく機体のコクピットへ向かう。
「これが主電源、かな。───凄い……ストライクの数十倍のパワーがある。武装はサーベルにライフル、それに……実体剣?ビームサーベルが二つあっても不足なのかな」
「それはビーム耐性装甲へのメタですわ」
「うわ!!ラクス!!!!」
コクピットのシート背面からにょっきりと、桃色のやたらセクシーなパイロットスーツに身を包んだラクスが生えてきた。
驚きのあまり声が出ないでいると、ラクスはコクピットに備え付けられた謎の”二人目用のシート”に腰かけ、ベルトを締めた。
「私も同行いたします。ディスラプターの使用にはコンパス総裁の承認が必要ですから。」
「ディスラプター……?それにコンパスって……?」
「いつかヤマト准将にも分かりますわ……ふふ。」
「ふふ、じゃないよ!ていうか准将って!?君はいったい何者なの!?」
「私はラクス・クラインですわ。キラ・ヤマト」
思わず大声で、そうじゃなくって!とぶちまける。その声は起動したMSに拾われ、格納庫中に響き渡った。
「おい!誰が乗っている!」
結果怪しんだ整備員、保守員が機体の周囲に集まるのは当然だった。
「ラクス様!?いったいここで何を!」
「そこのパイロット、貴様何者だ!」
「うっわ、なんだこの二人掛けのコクピット。設計者は何考えてんだか。」
アラートが鳴らされ、施設全体が一気に警戒態勢に切り替わる。
中央制御室にはフリーダムの起動、そしてラクス・クラインの強奪幇助が通達された。
『エアロックを止めろ!本部へ通報!スクランブルだ!』
『何としてでもフリーダムを外に出させるな!』
「無駄に多いエアロックハッチが停止してしまいましたわね、仕方ありません。キラ、ディスラプターを使いましょう。ここをこうして……承認しました!」
「ああもう!発射!」
ぐだぐだした状態で何が何やら分からないまま、ろくに把握していない武装の承認が行われる。そして出力設定の詳細も不明なまま、頭上に向けてマイティストライクフリーダムの額から細いレーザーが発射された。
キラはハッチを開口させるためにマイフリの頭を振るが、機体の敏感過ぎる初期設定に気づかず頭を乱雑に振り回してしまった。
開発施設は裂け、格納庫は火の海に包まれた。
「バスタービームって感じですわね。ドンマイですわ、キラ。」
「もう誰も、誰も殺したくなかったのに……!!ラクス!君は……!!」
施設外で警戒していた数機のジンが切り裂かれ、大破していた事をキラはまだ知らない。