SEED時代にFREEDOMな機体   作:BBK

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書きたくなったので続き出しました


正義の名のもとに

「スパイを手引きし、フリーダムの工廠を完全に破壊する原因と目されるラクス・クライン!共に逃亡し行方の解らぬその父!漏洩していたスピットブレイクの攻撃目標!子供でも解る簡単な図式だぞ!クラインが裏切り者なのだ!」

 

 アスランは招集を受けて最高評議会議長室、つまり父の職場に入ると、数名の秘書と補佐官が怒鳴りつけられていた。

 ここに至るまでに聞いた断片的な情報と、入室してからの会話から推測するに、サイクロプスがザフトに致命的な一撃を与えた事について、他の議員から突き上げをくらっているようだった。

 

「なのにこの私を追求しようとでも言うのか、カナーバらは!!奴等の方こそ!いや、奴等こそがクライン一党を匿っているのだ!そうとしか考えられん!クラインと親交の深かった議員は全て拘束だ!」

「……了解しました。至急、司法局と連携を取ります。」

 

 オペレーション・スピリットブレイクの失敗、クラインの幇助による新型モビルスーツの奪取と施設の大破、どちらか片方だけでも評議会が荒れる事件だ。それらの情報が同時に上がってきたことでザフトのみならずプラントが混乱の渦中にあった。

 

 青筋を立てながらも指示を各部署に出した父は疲れたようで、倒れ込むように椅子に腰かける。手で目頭を押さえつけ、厳しい顔のまま目を伏せる。

 滅多に見ない父の疲労した姿に困惑していると、先ほどよりの指示を飛ばしていた時よりも落ちついた声で、しかし未だ怒気を孕んだ声で話しかけてくる。

 

「アスランか、状況は認識したか?」

「はい、……いえ、しかし、私には信じられません。ラクスがスパイを手引きしたなどと、そんなバカなことが……」

 

 アスランの返答を聞いたパトリックは深いため息をつくと、部屋の照明を落としてスクリーンに映像を映し出した。

 

「見ろ。工廠の監視カメラの記録だ。ラクス・クラインと、強奪の下手人の姿だ。この映像を最後に工廠は完全に破壊された。お前がなんと言おうが、これは事実なのだ。ラクス・クラインは既にお前の婚約者ではない。」

 

 そんな馬鹿な話が、と感情では思うが理性の部分では状況証拠としてこれ以上ない事を理解している。クライン家の行方が分からない状況では、どう考えても彼女達が黒だ。

 

「更にフリーダムの開発計画に記載のない兵装によって施設がバラバラに破壊された。八つ裂き光輪を受けたレッドキングのようにな」

「八つ裂き……なんです?」

「言葉の綾だ!深く追求する所ではない!」

 

 拳が机に激しく叩きつけられ、声もひときわ大きくなる。顔が赤いのは怒りのせいか、はたまた……。

 

「兎に角だ、ハインライン設計局は関与を否定しているが、評議会議員を除けば奴ら以外は新型機体の存在自体知りようがない。あの妙な兵装に関わった者は全てを捕縛して詳細を聞き出さねばならん。」

「それでは、私の役目はいったい……」

「お前は奪取された魔改造フリーダムの奪還。それにパイロット、及び接触したと思われる人物、施設、全ての排除にあたれ。」

「……接触したと思われる人物、施設までをも全て排除……ですか?」

 

 父は再び深いため息を吐いた。こちらに向けていた視線を切り、腕を組んで何事かを思案しているようだ。

 僅かな間が空いた後に、父はふたたび口を開いた。

 

「フリーダム、及び、同新型のジャスティスはNジャマー・キャンセラーを搭載した機体なのだ。しかも奪取されたフリーダムは戦艦に匹敵すると考えられる未知数火力すら所有している。これがナチュラル共の手に渡れば、奴らは再びプラントを直接叩きに来るだろう」

 

 Nジャマー・キャンセラー……?そんな馬鹿な!プラントは核を放棄すると宣言したのではなかったのか!

 

「何故そんな物を!」 

「勝つ為に必要となったのだ!あのエネルギーが!お前の任務は重大だぞ。工廠でジャスティスを受領し、準備が終わり次第任務に就くのだ。奪還が不可能な場合は、フリーダムは完全に破壊せよ」

「……了解しました。ザラ議長閣下」

 

 

 

 放心状態のまま議長室を出た。

 再び核が使用される事。そして映像の中でのラクスが謎に煽情的なピンク色のパイロットスーツを身に着けていた事。どちらか片方だけでもプラントが荒れる事件だ。それらの情報を同時に知ってしまったアスランの心境は混乱の渦中にあった。

 

 父の命令、ラクスの行方、そして親友のキラを討ったことを頭の中で反芻しながらぼんやりと歩きつつ工廠へ向かう。

 途中何度か話しかけられたが、なんと答えたのかが記憶に薄い。しかし工廠のセキュリティでニコルの父、ユーリ・アマルフィに声をかけられてようやく目が開けた。

 

「アスラン、ジャスティスを受け取りにきたのかい?」

「え、えぇ、そのつもりで足を運びました。申し訳ありません……隊長として、ニコルを守り切れず……」

「いや、いいんだ……。仇は、君に討ってもらった」

 

 ニコルの事は悔やんでも悔やみきれない。事あるごとにあの瞬間がフラッシュバックする。あまりにも頻繁なのでPTSDの類だろうと思っている。

 その後も二、三言葉を交わした後は、お互いに無言で通路を歩き続けた。

 

 フリーダムの二の舞を恐れたのだろう、評議会ビルと同等かそれ以上に厳重な警備を抜けてジャスティスの存在する格納庫へとたどり着いた。

 

「これが、ジャスティス……?」

 

 アスランの目には赤基調のMSが映っていた。白く鋭いアンテナ、飛行用と思われる背面に装着されたリフター、そして両腕につけられた三本のクロ―。

 

「あれズゴックじゃないですか!?」

「違う、あれはZGMF-X191M2 インフィニットジャスティスだ。資料を見ていないのか?」

「頂いた資料と全然形状が違うのですが!!??」

「ふむ、どうやら行き違いで古いver. の資料が渡ってしまったようだな。アスラン、あれは偽装用のガワだ。フリーダムにはジャスティスの情報も保存されているからな、相手を欺き警戒させないまま奇襲を仕掛け拿捕する、という作戦に変更されているんだ。」

「無茶がすぎます!だいたい、ジャスティスがあのボディに収まるわけがない!」

「不思議だね」

「不思議だね!?」

 

  中身がジャスティスだとは到底信じられないので、整備班に無理を言ってズゴックのガワを外してもらい見分したが、確かに中身はジャスティスだった。工学的に無理しかないと今までの知識が告げている。だが実際に収まっている結果を見て余計に混乱した。

 しかし問題はここからで、ガワを外した事で更に驚くべき事実を知ってしまった。

 

「中のジャスティスも設計からして違うんですが!?」

「うむ……実はこちらもフリーダムと同様に謎の改造を受けていてね。しかしまぁ性能は上がっているのだから問題ないだろうという事で、こうして使用している。」

「問題ない!?正気ですか!?推定敵勢力の手によって知らぬ間に改造を施されているというのに!」

 

 感情が昂ぶり、思わず本音をぶちまけてしまった。言ってしまった後に即座に後悔した。到底上官に対する口の利き方ではない。

 修正を覚悟してユーリ・アマルフィに向き合うと、予想に反して哀しげな顔をしていた。

 

「───ニコルや君や、多くの若者が戦場でその身を犠牲にしてまで戦っているというのに、それを裏切るような真似をする者が居る!私はそれが悔しくてならんよ!犠牲はもう沢山だ!だからこそこうして、使える物は全て利用しているのだ!……無論、安全は確認しているがね」

「……失礼いたしました。全力で任務に挑ませていただきます!」

 

 敬礼を行うと、ユーリ・アマルフィは優しく微笑んで敬礼を返した。

 

 

 

 

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