暗黒錬金術師伝説9 暗黒!ライザのアトリエ 作:dwwyakata@2024
門の周囲に、池が出来はじめる。それが徐々に水深を増していく。
だが、この程度の水だったら、フィルフサは犠牲関係なく突破する。とにかく、まだ雨が降っている間に、手を打たなければならない。
先に持ち込んでいる荷車に積んでいる栄養剤を掴むと、あたしは一気に飲み干す。今の奥義でまた消耗したからだ。
分かってはいるが、皆疲れ果てている。すぐに薬を配る。
傷だらけのレントに、薬を渡す。飲むのでは無く、塗る奴。
それは錬金術の薬だ。
塗るだけで、傷は溶けるように消える。
呼吸を整えながら、タオが説明をしてくれた。
「僕達が聖堂についたときには、もう大侵攻が始まろうとしていたんだ。 門の周囲に集まっていたのは、その先発隊だよ。 なんとかキロさんと抑え込みながら、ライザの到着を待っていたんだ。 まずいと判断したら、信号弾を打ち上げるつもりだったけど、その前にライザがついてくれたね」
「アガーテ姉さんのおかげだよ。 みんな耐えてくれてありがとう。 それに水で広域のフィルフサをやっつける装置、間に合ったよ」
「良き錬金術師ライザ。 助かったわ」
「キロさんも、本当に待たせてすみませんでした」
頭を下げる。
キロさんが、うっすら笑顔を浮かべたまま、首を横に振った。
雨が少しずつ弱くなってきている。
周囲のフィルフサの大軍は尻込みしているが。それでも、またいつ突撃を開始してもおかしくないだろう。
さっき、あたしが全力でぶっぱなした奥義。
通称ヘブンズクエーサーは、ヘブンならともかく。クエーサーという言葉の意味はよく分からない。
ウラノスさんと、あたしの奥義ならどんな名前が良いかと相談したとき。
ともかくクエーサーはつけておけと言われたのだ。
意味は伝わっていないが、なんだ凄い光を放つ星らしくて。
あたしにはぴったりだと言われた。
事実、魔術には名前を与えて完成するという事実もある。あたしはこのクエーサーと言う奥義を。
今後も更に磨いていくつもりだ。
ともかく、この奥義のおかげで、空には雲が出来ている。この雲を維持しつつやっていくしかない。
移動開始。
門を守るだけではだめだ。
まずはキロさんの根拠に。雨もちょっときつくなってきた。この土砂降りだと、あたしもダメージを受ける。
洞窟に避難。
フィルフサも態勢を立て直している状態だ。まずは先発隊を砕かないと、どうにもならない。
そうリラさんはいった。
大侵攻を受けた経験があるからだろう。
「既に大侵攻をフィルフサは開始している。 敵は攻撃をする状態に切り替わっていて、先発隊は文字通り全滅させないとどれだけでも進む。 今はあまりにも多い水に尻込みしているが、それも後方から急かされれば、無理にでも突貫を開始し始めると見て良いだろう」
「そうなると……やはり将軍を討つしかないですね」
「そうなるな……」
とりあえず、傷は皆塞いだ。
それはいいとしてもだ。
キロさんに、意見も聞く。キロさんも、相当に疲れている筈だ。まずは休憩を入れるべきか。
それが悩ましい。
「キロさん、休憩を交代で入れましょう。 特にキロさんは、ずっと戦い続けていた筈です」
「そう。 ありがとう。 お言葉に甘えようかしら」
「此方、食べてください。 焼いてきました」
クラウディアが、油紙に包んでいたクッキーを取りだす。
キロさんはしばし見慣れないものを見ていたが。やがて、口に入れてくれた。
「甘いわ。 この味は蜂蜜かしら」
「はい。 ライザが作った、圧縮していつでも使えるようにした蜂蜜なんですよ」
「ふふ、元気が出る」
キロさんが、クッキーを食べると洞窟の壁に背中を預ける。二交代で、一時間ずつ休む事にして。
横になったまま、話をする。
あたしも大概無理をしていたが。
皆も、ずっと戦っていたのだ。雨がどれだけ敵の足を止めてくれるか分からない。だから、まずは一時間だけ。
「現在、将軍はどこにいます?」
「大侵攻が開始されると、フィルフサの群れは編成を変える。 普段は将軍単位で部隊を分けているのが、何もかも踏みつぶす前衛と、管理のための中枢部隊に別れるんだ」
「リラさんは、見たんだな」
「ああ。 白牙の戦士達と、敵の動きはよく見て覚えている。 白牙の戦士は、その中枢部隊に突貫を掛けて将軍をどうにか倒したが……すぐに他の将軍が指揮を代わって、最終的には数に押し潰されたのだ」
悔しそうなリラさんの言葉。
リラさんと同格の白牙氏族の戦士が何十人もいてその結果だったとしたら。多分同じやり方では通用しないとみていいだろう。
力をつけたあたしでも、白牙の戦士何十人分以上の力があるとは思っていない。
実際キロさんの動きは、ゴルドテリオンの武装を手にして。更には錬金術の道具でパンプアップを掛けている現状ですらも、凄いと感じたほどだ。それでも、今までフィルフサを殲滅できなかったのである。
まだ、装置からは水が噴き出し続けている。
なお水の量は、あれが限界だ。
上空で霧状になるように、ある程度装置を使って散らしているが。
それでも、フィルフサがどう動くか次第では、門を突破されてしまうだろう。
見張りに立ってくれていたレントと交代。
あたしが見張りに立ちながら、戦略と、戦術について話していく。
戦略は一つしかない。
まずは大侵攻の状況にはいっている敵の出鼻を挫く。
そのためには、敵の中枢部分となっている将軍「達」を仕留めなければならない。
白牙の戦士による決死の突撃を防ぐほどの陣容だったのだ。リラさんの時でも。
今回の敵の群れは、リラさんが戦った相手の倍以上だという話で。
要するに前衛を統率しているフィルフサの将軍も、一匹や二匹ではないだろう。全部まとめて片付けないと時間すら稼げない。
群れが門を突破したら、全てが終わりだ。
「リラさん、それ以上は分からない感じなのか」
「ああ、すまないな。 我々にも、フィルフサの群れが大侵攻を開始して、それに立ちむかって生き延びた者は殆どいないんだ。 伝説的な氏族の中には、生き延びたり抵抗を続けている者達がいるという噂もあるが……」
「それは恐らく奏波氏族の事ね。 我々霊祈よりも更に古く、文字通りオーレンの民の頂点に立つ伝説の氏族よ。 実在はしているのだけれども、残念だけれどもここ数百年は連絡が取れていないわ」
キロさんがそういう有益な情報をくれる。
そうか、だがいずれにしても連絡は取れないか。
もし此処にいてくれれば、少しは心強かったのだけれども。
とにかく、やるしかない。
休憩を終える。
フィルフサの群れは、既に態勢を整え直しているようだった。あたしは手をかざして、壮観なる群れを見る。
あれで、百万とは思えない。
本当に、あのおぞましすぎる数ですら、前衛にすぎないんだ。そう理解すると、背筋に寒気も走る。
「将軍の居場所、分かりますか?」
「突貫しても返り討ちに遭うだけだぞ」
「分かっています」
「……少し時間をくれ。 割り出す」
リラさんが、目を閉じて集中開始。アンペルさんが、その間に軽く話をしてくれた。
現時点での雨は、強い武器になっている。ただし敵は、門を囲んで全方位から攻撃の準備をしていて。もしも一斉に押し寄せられると、多分雨すら突破される。
そのために、将軍を一刻でも早く全滅させる必要があると。
だがそれには、この状態を崩さなければならない。
「フィルフサは、恐らく今は、空読みが見た天候状態が急に外れて混乱しているだけだろう。 混乱から立ち直れば、すぐにでも仕掛けて来る。 それどころか、雨が人為的なものだと悟れば、ここに将軍級が複数、同時攻撃を仕掛けてくる可能性すらあると見て良いだろう」
「くっ……厄介だな……」
「私が残るわ。 雨の中で弱ったフィルフサだったら、多少数が多くても門を守り抜いて見せる」
「キロさん……ごめんなさい。 頼みます」
キロさんは、やはりうっすらと儚く笑う。
これほど強い人なのに。どうしてか儚げだ。
いずれにしても、この人はもうあたし達のことを信頼してくれている。人間は大嫌いなままかも知れないが。
「ライザ。 その装置の機能について教えてくれ」
「はい。 これをこうして……」
「タオもみておいてくれ。 私が倒れたら、タオが引き継ぐんだ」
「……はい」
今は反発する時間もない。
あたしが丁寧に説明すると、流石に頭脳担当の二人だ。すぐに理解してくれた。まああたしも、自分で使いこなせないような道具は作らない。
それだけの理由もあるのだが。
「よし、理解は出来た。 雨の範囲を拡げることも可能そうだな」
「現時点で、放出可能な水の量、その最大量を常に出しています。 問題は、この忌々しい玉の中に、どれだけの水が残留しているか、ですが」
「それに関しては恐らく問題はないわ。 あの辺りは、大きな湖だったの。 少なくとも、湖がずっと維持されるくらいの雨量はあったし、こんな程度の水の量、数百年分そちらの島の水を供給していたとしても、まだ全然足りないはずよ」
「なるほど……よし」
あたしは作戦を決める。
そうこうするうちに、リラさんが顔を上げていた。
「見つけた。 将軍級、六体。 恐らく前衛部隊の指揮をしている者達だ」
「位置はどの辺りですか」
「あそこだ」
リラさんが指さしたのは、やはり小高い丘だ。
場所としては、門を確認することが出来。なおかつ。門を突破した後は、自分達も突撃できる絶好の位置である。
蟻みたいな生物の癖に、随分と悪知恵が回るものだ。
不愉快だが、とにかくどうにかするしかない。
作戦を皆に話す。
なるほどと、アンペルさんは納得してくれた。
皆も、作戦は理解してくれる。まあ作戦というほど緻密なものではないのだが。それでも、今はこれしかないのである。
装置を操作する。
将軍六体となると、前に戦った時とは比べものにならないほど強くなっている今でも。はっきりいってまともに相手に出来る戦力ではない。
それに、仮に六体倒した所で。
確か今、この「蝕みの女王」だとかいう王種が率いているフィルフサの群れは、六十を超える将軍を有しているはず。
つまり一割の将軍を減らしただけで。
戦力にしても、まだ九割が残っている事になる。
波状攻撃でもされたら、いずれ絶対に門を突破される。
とにかく。大侵攻の第一波を砕く。
それだけしか、出来ないのだ。そこで、命を使い捨てるわけにはいかないのである。
せめてあたし達と同等の力を持つ戦力が、もう十人くらいいれば。
だが、もっとも頼りになりそうなオーレン族はこの場に二人だけ。他の人達には、異界に来て貰う訳にもいかない。
常に「次」を確保しておかなければならないのだ。
敵が圧倒的大軍。
そして圧倒的格上の場合の対処法。
それは、常に先手を取るしかない。
出鼻を挫いた時点で、戦闘の主導権は此方に握り返した。これを、相手に戻してやるわけにはいかなかった。
ライザが立てた作戦は、クラウディアから見ても本人が自嘲していた通りの分かりやすい代物で。
多分ライザは、対人戦には向いていないんだろうなと。クラウディアは思った。
隊商にいたから知っている。
商売は、それこそ騙してなんぼの世界だ。
クラウディアのお父さんは非常に誠実な商売をしていたけれども。それでも基本的に相手が騙しに来る事を常に考え備えていた。
故に値引き交渉などには殆ど応じることはなく。
お金に関するやりとりは極めてシビアだった。
自分は、相手を騙さない。
だけれども、世の中には真面目な人をバカの代名詞として扱ったり。如何に相手を騙すかしか考えていなかったり。
騙す事を格好良いとかんがえているような人までいる。
だから、人間を相手にする場合。
ライザは恐らく向いていない。
そうクラウディアは思っていた。
勿論、ある程度までの相手だったら、そのパワフルさでどうにでも出来るだろう。
だけれども、世の中にいる本当に悪い人達。
例えば、古代クリント王国の錬金術師達。
そういう人達を相手にする時、ライザは絶対に騙されてしまうだろうなと、作戦を見た時クラウディアは思ったし。
誰かが側にいないとまずいとも感じた。
多分、この戦いが終わって。
島の方でも後処理が終わったら。
みんなバラバラになる。
クラウディアも、ボオスくんから聞いている。タオくんと一緒に、王都に留学すると。タオくんも、それを聞いて同意したそうだ。
アンペルさんとリラさんは、これからも門を閉じなければならない。
レントくんは、一人旅に出る。
そしてクラウディアは。
此処での商談が終われば、つぎにいつライザに会えるのだろう。こんな最高の友達、絶対にもう出来ないという確信がある。
だからこそ、ライザが最悪の悪意にズタズタにされるのはつらい。
どうにか、クラウディアがライザを支えたい。
そう思わざるを得なかった。
ライザの操作で、水の噴出が変わってくる。雨の範囲を、広くしていく。
同時に、ライザが魔術をまた地面に叩き込み。クラウディアが空にそれを巻き上げる。それで、更に雲が分厚くなる。
どっと雨が降り。雷も激しく鳴り始めた。
フィルフサの群れが、雨の範囲を避けて動いている。
だがあまりにも密集していることもある。
雨から逃れられず。
そのままもがき苦しみながら溶けてしまう個体も多い。それを見て、ライザは本当に不愉快そうだ。
生態系のバランスさえ崩れなければ。
フィルフサもこんな生物にならなくてすんだのではないのか。
そう考えているのだろう。
でも、クラウディアは懐疑的だ。
そもそも、おかしな事が多すぎる。
フィルフサは、まるで世界を蹂躙するためだけに生まれてきたような生物だ。
ひょっとしたらだけれども。
これも、錬金術で弄られた生物では無いのか。
そう感じてしまうのだ。
水が。
今までこのオーリムから略奪されていた水が戻り。空に大地に水が潤い始めた事で。いっきに水の活動が始まる。
もう、彼方此方に川が出来はじめている。
本来は穏やかなせせらぎだったのかも知れないが。今はどす紫に染まった、おぞましい色の水が流れている。
そんな水でも、フィルフサには猛毒なようで。
何カ所かで、フィルフサの群れが崩れる。
だが、雨が拡がっている分。土砂降りが少しずつ弱まっているのを、フィルフサの群れは察知したのだろう。
凄まじい雄叫びが轟く。
同時に、わっと、突進を開始するフィルフサ。
水に溶けようがどうでもいいという感じだ。とにかく、泥になった土に、どんどん踏み込んでくる。
崩れ、溶けても。
それを土台に次が来る。おぞましい数が動き出す。さっきまで、門近くで捌いていたのとは、桁が二つ、いや三つ違う数だ。
しかもそれだけじゃない。
遠くの地面から、どんどんフィルフサが這い出してくる。
土に埋もれて隠れていたのか。
いや、これは違う。
多分、雨が土にしみこんだことで。嫌がって出て来たんだ。もしも、相当数が地面の下にずっと隠れていたとすると。
フィルフサの群れは、100万どころではなく、もっともっと多いのかもしれなかった。
生唾を飲み込むクラウディアに。いや、クラウディア達に。
ライザが言う。
「行くよみんな!」
「おおっ!」
「もう、やるしかないんだろっ! やるよもう!」
「こうなったら最後は力で押し切るしかない。 覚悟を決めろ」
自棄気味のタオくん。
それをリラさんが諭す。
そして、キロさんが、門の方に跳ぶと同時に。皆、さっきリラさんが割り出したフィルフサの指揮所に向けて、総力で突貫する。
雨の中。
フィルフサはただでさえ装甲が弱くなっている。ただし、それでもフィルフサはフィルフサである。
気付くと、一斉に攻撃を開始してくる。
さっきまでのただ突進してくるだけの雑魚と違う。
それぞれが遠距離攻撃手段を持ち。
また、桁外れに強烈な魔術で、一斉に薙ぎ払ってきた。
物量で平押しするだけではない。こんなふうな、飽和攻撃まで出来るのか。
それも、群れの統率の美しいこと。
人間の傭兵だと、こんな美しい一斉攻撃なんて出来ない。或いは、アーミーだったら出来たのだろうか。
ライザが前に出ると、大量の熱槍をぶっ放す。
激しい魔術同士の衝突が、熱い蒸気を辺りにブチ撒け。蒸気が、フィルフサの殻を灼く。悲鳴を上げてもがくフィルフサを踏み砕いて、ライザが跳躍。
次々にフィルフサを蹴り砕きながら、道を開く。
リラさんも踊り込むと、泥水を巻き込みながら竜巻のように暴れ狂う。レントくんとタオくんが、アンペルさんとクラウディアを守ってくれる。
クラウディアは、冷静に大きいフィルフサを順番に撃ち抜く。
一度に一矢ずつ、確実に。
一射確殺を心がける。
大きなフィルフサには、本来だったら通じる筈がない攻撃だが。大雨の中だ。相手は猛毒に常に蝕まれているに等しい。動きが鈍い。クラウディアの速射も早くなっている。自滅する小さいフィルフサは無視。大物だけを相手にしていける。
それだけではない。
装甲も、水で脆くなっているようで。
クラウディアの矢で次々に貫かれ。
それでも動こうとするところを、前衛で暴れているライザが踏みつぶして、次に行く。
ライザの破壊力は更に増している。
靴にゴルドテリオンを使ったのは聞いている。それで、切り札である蹴り技の火力が更に上がっているのは分かる。
それ以上に、圧倒的な破壊力がなんだか備わったような気がする。あれは、闘争本能だろうか。
試してみる。
大きく息を吸い込むと、一気に魔力を放出。
音魔術と連携して、詠唱を更に増幅。
いずれやれるようになりたいと思っていた事だ。理屈は既に頭の中でくみ上げ終えている。
これから、理屈通りにやる。
ライザは、ぶっつけ本番を二連続でやって見せた。
クラウディアだって。
目を閉じ、集中。
目を開けると、的を一気に把握。そのまま弓を引き絞る。
完璧な立射の態勢を取り、一瞬だけ止まる。
同時に、周囲に。
クラウディアが大好きだったぬいぐるみが多数。みんな、同時に魔力で作った弓を引き。矢を番える。
ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ド。
呟きながら、一矢ずつ。どの矢も、石を核にしている。普段だったら、貫けなかっただろうが、今は大雨でフィルフサの殻が脆くなっている。次々に矢が大物フィルフサの体に突き刺さり。
打ち砕いていた。
レントくんが次々にそいつらを切り倒し。
タオくんが、レントくんが倒し零したフィルフサも倒してくれる。
また、走る。
止まるな。常に動き続けろ。
リラさんの教えてくれた通りにクラウディアは戦う。それは基本にして絶対。止まるとしても、それは必殺のタイミングだけだ。
ライザが更に前に押し込む。
もう少し。
ライザを横から狙って、大きい魔術を撃とうとしている大きなフィルフサ。クラウディアは、無言で其奴を。
三連続で撃ち抜き。
虚空を抉る極太の魔力砲は、それで空中に逸れていた。