「おめでとうっ!」
「おめでとうー!!!!」
ヒラヒラッと沢山のフラワーシャワーが舞う歓声の中で、幸せそうに照れた花婿と『世界中で今は自分が一番幸せだ』とばかりに微笑む花嫁。間違いなく今この瞬間の世界は二人の物だった。
「シャラ、凄く綺麗だよ」
「あ、ありがとうリュカ。結婚本当におめでとう。でもね花婿さん、わたしを人前で先に誉めちゃうと貴方の綺麗な花嫁さんに怒られるわよ?」
「ん…そうかな?」
「うんうん。オレもそう思うぞリュカ!それにな、良いか、もう今日から、いや今からシャラは、名実共にオレの奥方になったんだから、これからはあんまベタベタすんなよ!」
そう言ってシャラの肩を徐に抱き寄せたヘンリーをリュカは冷めた目で見つめていた。
「よく言うよ。お前誰のお蔭で結婚出来たと思ってるんだよ。大体、誰かさんは泣かせてばっかりだったじゃないか」
「はーん、それはそうだけど、でもオレだけの所為とは言わせないぜお兄ちゃん!」
「お前がお兄ちゃんとか呼ぶの気持ち悪いんだよっ」
「ちょ、ちょっとお二人さん?」
白いタキシードを着たリュカとヘンリーが額をくっ付けて歪み合っている。どちらの花婿にもそれぞれ花嫁がいるのに行われた世にも珍しい花婿同士のいちゃつきぶりにシャラは怒るよりも笑いが込み上げて来た。でももう一人の花嫁はそうではなかったらしい。わなわなとリュカに近付いて来て一言。
「ちょっとリュカ!なにやってんのよ!」
言うが早いかリュカにゴチッと鉄拳を一発喰らわした。それを見てシャラは『うん。常識的で気が強く、しっかり者の奥さんはお兄ちゃんにぴったりだ』と頷きながら拍手を送っていた。
「あら?シャラ!結婚おめでとうっ」
「ビアンカ!ビアンカも結婚おめでとう!そしてリュカと結婚してくれて本当にありがとうね。これから末永く宜しくね」
「やだありがとう、勿論よ。リュカだけじゃなくシャラともこれから一緒にいられるかと思うと凄く嬉しいわ。私こそ、これからお邪魔するから宜しくね。末永くお願いします」
「うんっ!仲良くしましょ」
そう、今日の結婚式は予定通りの【リュカとビアンカ】の式と【ヘンリーとシャラ】の式の二組がサラボナの教会で同時に行われていた。なので花婿も二人で花嫁も二人いる。
これに伴う準備とシャラが身に付けているドレスやアクセサリー一式等はリュカとヘンリーとルドマンの三人が共謀してシャラに送ったプレゼントだった。ヘンリーの分は参列出来なかった弟のデール王が用意したのだ。そしてそれらの全てをリュカがルーラを使ってこっそり行った。
「僕だってシャラに絶対幸せになって貰いたいんだよ。好きになった相手がヘンリーなのは気に入らないけどね。でもま、アイツなら間違いは無いんじゃない?」
いつぞや思っていた事様な事をリュカに返されてポカン、と呆気に取られたシャラだが、すぐに笑顔になりリュカに抱き付いた。
「ありがとうお兄ちゃん。……大好きだよ」
その後からはヘンリーとビアンカの「仕方無いなーシャラは」と「リュカもデレデレしてんじゃないわよ」と言う真逆の反応の言葉だった。そしてそんな二人に見せ付けるかの様にリュカがシャラの頬に口付ければ乱闘の様に騒がしくなる。
『これからの日々が頻繁にこんな感じだったらどうしよう』とシャラには一抹の不安が過ったけれど皆の笑顔が『大丈夫』だと言っていた。
「ね、ヘンリー…」
「どした?」
「……ヘンリーが一番大好き」
ちゅっ
そう言いながらシャラがヘンリーの頬に口紅の痕が付く様にキスをすれば、嬉しそうに笑ったヘンリーがシャラに甘い甘い口付けを降らせた。
「もう、一生離さないからな」
約束の果てにあったのは
幸せな皆の笑顔と笑い声
約束の果て Fin