ヤマトとブルアカの二次が楽しすぎて遅れちゃいました。
――パパパパッ!
ユニオン製自動小銃KAR-86――M27 IARに酷似――から放たれる6.8×37ミリケースレス弾が、標的に設定したモルタル壁に次々と突き刺さる。
普通なら身を守る障害物として申し分ない壁がいとも容易く抉られ、弾切れになるまでフルオート射撃を実施した後には、サイト越しに視認できていた1.5×1.5メートルのモルタル壁(厚さ30センチ)は穴だらけになっていた。
「団長!お見事ですな!」
「俺が凄いんじゃない。この武器が凄いんだ」
ロウリア国境から程近い街『ギム』防衛の任を受けているクワ・トイネ公国西方騎士団団長モイジ・ガルントは、部下の称賛の声に謙虚な態度を崩さず応えた。
(本当に、《烏の巣》がいた世界とやらは恐ろしい…)
標的としていたモルタルの壁は、400メートル先にある。
弓矢は勿論、魔法攻撃の火炎弾や氷の矢、電撃も届かない距離である。しかも、当たった所で効かないか、表面に焦げや僅かな傷がつく程度。
だが、それらの有効射程外からの攻撃で、使用者にほぼ負担をかけることなく、モルタル壁をボコボコの穴だらけにしたのだ。
こんなものを開発・量産し、挙げ句部隊全員に配備できる技術力には、脱帽させられるばかりだ。
同時に、これを配備しなければならないほど《烏の巣》が存在した世界は殺伐としているのか…という畏怖も抱かざるを得ない。
「しかし銃は勿論、あのようなものまで…」
部下が顎をしゃくる方向を見ると、長大な砲身を持った火砲が、頑丈な鉄筋コンクリート製の陣地に据え付けられている。
近未来的な銃火器に比べて古臭さが残る火砲であるが、その太く長い砲身はモイジたちに凄まじい安心感を与えていた。
「確かに、中々強そうな兵器だが…あれは彼らからすれば『型落ち』らしいぞ?遥かに優れたものがあるらしい。《烏の巣》の軍事顧問団の兵士から教えてもらった」
「それは…信じられませんなぁ」
その火砲とは、《烏の巣》の兵装保管庫で埃を被っていた『十年式45口径12センチ単装高角砲』である。重桜製の高角砲だ。
モイジの言う通りの型落ち品であり、余程愛着があるKAN-SENでなければ使っていないような代物だ。
《烏の巣》陸戦隊が配備している最新鋭榴弾砲の追加生産の目処が立っていない為、『取り敢えず』数が揃えられるKAN-SEN用装備の転用という形で、廃棄待ちだった本砲の配備に落ち着いた。
最新鋭榴弾砲の配備が可能になり次第、それらに更新されていく予定である。
しかし、型落ちとはいっても口径120ミリ、最大射程15600メートル、発射速度毎分11発という性能は、大砲や銃を知らない文明にとってはチートアイテムもいいところだ。
また、歩兵集団相手ということで、空中で炸裂し弾片を撒き散らす時限信管内蔵の対空砲弾が多めに持ち込まれており、此方も在庫処分を兼ねた結果である。
本砲はギムの街西側…ロウリア方面へ、地雷原と有刺鉄線、更に深さ3メートルの空堀の内側に築かれたコンクリート陣地へ実に30門が設置されており、攻略しようと突撃してくるであろうロウリア軍へ睨みを効かせている。
「ですが、ワイバーンはどうなさるおつもりですか?確かに、この銃ならば地上からでも墜とせそうなものではありますが…」
ワイバーンとは空の王者だ。基本、地上からの攻撃で墜とせるものではない。堅い外殻は大抵の魔法攻撃を弾き返し、剣や弓矢も通さない。
KAR-86ならば対抗できそうではあるが、レシプロ戦闘機より鈍足とはいえ時速200キロを越える速力で飛ぶワイバーンだ。アサルトライフルをはじめとする小火器には曳光弾が用意されていない為、撃ったところで阻止できる可能性は低い。
「その蜥蜴擬きならば、うちの娘たちが相手をします」
唐突に聞こえたその声に、モイジらは振り向く。
長い銀髪に、桃色の大きなつり目が美しい、黒づくめの女性が立っていた。正確に言えば、ちょうど女性と少女の中間程度の年頃だろう。
しかし、彼女こそがクワ・トイネ公国をここまで生まれ変わらせた存在ということを、モイジたちはよく知っていた。
「おぉ、黒烏殿ではありませんか」
明らかに年下の相手であるが、モイジは上官としての礼儀を以てこれに応えた。
その女性…白銀黒烏は、軍事顧問の任を帯びてここにいる。と言っても、陸戦隊のクローン兵たちが教育を行っている様子を視察に来ただけであるが。
「私の部下が、常時艦載機を上空待機させる予定です。頭上は彼女たちが確実に守りますから、皆様は陸戦に集中していてください」
「それはありがたい。頼もしいです」
今までとは全く違う兵器を振り回せるようになったとはいえ、やはりワイバーンの攻撃は怖いものだ。
軍上層部より、《烏の巣》がどんな兵器を保有しているかは伝えられている。航空機に関しても同じくだ。いずれもワイバーンを軽くあしらえる性能を持つそれらが、常時制空任務に就いてくれるのはありがたい。
空をいちいち見なくては良いのは、それだけでも随分と楽になる。
「供与頂いた航空戦力についても、KAN-SENの皆様方のご指導の下、竜騎士連中が乗りこなせるよう訓練に励んでおります」
「赤城たちからは聞いています。貴軍のパイロット候補者は勤勉で、呑み込みが早いと」
にっこりと笑みを浮かべながら、黒烏はモイジの言葉に内心でホッとした。
《烏の巣》からは、ワイバーンに代わる航空戦力としてユニオン製のF8F-1B"ベアキャット"、AD-4"スカイレイダー"が供与、また教官としてKAN-SENが数人派遣されている。
その中には赤城をはじめ、やや癖の強い面子が含まれているのだが、聞く限りは問題を起こしていなさそうで安心した。
ぶっちゃけ癖が強い面々の中でも、赤城はまだマシなほうであるが…。
また、後ほど創設される陸軍航空隊向けのAH-48"パイソン"、UH-120"マンバ"の操縦・運用教育の為、陸戦隊からも実機と教官役の兵士が数名派遣されている。
「赤城殿からそう言われるとは、誇らしいものですな。竜騎士連中にも伝えておきましょう」
訓練教官として派遣されている赤城は、重桜最強の機動部隊である一航戦を率いる猛者なだけあって、訓練の内容もミスを犯した者に対する態度も厳格だ。
それでも、脱落者なく着実に練度を上げている竜騎士をしっかりと評価しているらしい。
(…後で褒めてあげなきゃ)
私情を持ち込まずに教育の任務をこなしている赤城に、何かご褒美をあげよう…そう決めた。
「後ほど、こちらから機甲部隊及び高射部隊が派遣されます。逆侵攻時の突破力、そして対空能力も更に強化されるでしょう」
「おぉ…!」
『防衛』は無論だが、まさかロウリアへの『逆侵攻』という単語が出るとは思わなかったのだろう。
戦車をはじめとした機甲部隊、対空機関砲及びミサイルで武装した高射部隊の来訪も近いことを告げられたモイジの表情は、見るからに明るくなっていた。
小銃のデザインについては色々とSFチックなものを漁りましたが最終的にM27 IARの口径を変更したものになりました。
個人的に供与するなら米国製兵器って固定概念があるんですけど分かります?