朝露が草木を湿らせ朝日が差し込む室内、人体と同じ強度を有する
「・・・心が乱れておるな、はぁ」
数泊後に床へ落ちたソレの頭を見て独り呟く、日課の巻藁斬りで両断後に上部が下に落ちるのは久しぶりの事なのだ、つまり集中しきれていない事の現れと言わざる得ない
「我ながら未熟なものじゃの」
独り自嘲しながら巻藁の台座にあるスイッチを押すと、キラキラと巻藁が光子に変わり元通りの姿へと還る
「全く
座位置の次は立位置からの居合を放ち巻藁を両断し、毎朝の日課をこなし片付けをしてから、鍛錬場を後にし湯浴みをして支度を整え居間に行くと既に食事が用意されていて、
「おはよう2人共、父様と母様は?」
「りーちゃん、おあよー」
「少し前に出勤、大きい案件だって」
「ふむ、そうか致し方あるまいな」
元気いっぱいのソラに癒されてつつウミの言葉に相槌を打つ、我が両親は詳しくは知らないが多忙な人で、今日の様に早朝から出勤したり家を空けたりする事が多いが、ワシ達姉妹に惜しみなく愛を注いでくれる人達だ
「姉さんのソレ、治らない」
「そうじゃの、もう癖がついておって治せぬかもな」
「でも没個性にならない、グッド」
「我が妹ながら、お主はよう分からぬ奴じゃなぁ」
我が家の裏にある祖父母の家で世話になっていた影響か、ワシはこんな口調になってしまっているのだが、別にワシ自身は気にしていない事だから良いのだが、無口な
こいつは独特な世界観を有しているみたいなのだが、それしか分からないのだ
そんな雑談をしつつ朝食を食べてから住み込み家政婦のハジメに焙じ茶を淹れてもらい、啜りつつソラの相手をしてやる
そして時間が来たので身支度をし始めると、ソラも付いて行きたいと言い出したので、ハジメとウミに相手を任せ家を後にする
「・・・会うのは3年振りか」
桜が蕾を付ける春先の冷気を感じながらワシは待ち合わせ場所である篠ノ之神社へと歩を進める
逸る気持ちを抑え、やや早歩きになっている足を進め篠ノ之神社の境内に入り本殿を迂回して居住区と剣道場のある区域へ侵入すると、約3年前より成長し美少女と言って差し支えない者と、ナイスバデーな姉貴分がいた
「すまぬ、待たせたか?」
「・・・リク? お前リクか?!」
「いかにも、ワシが栗田 陸じゃよ」
「その喋り方、変わらないな」
「見た目は少々変わってしもうたがの」
「あぁ、そうだな・・・でも、私には分かる、分かるぞ」
ワシを見て箒は泣きそうな表情になったが、グッと堪えて笑い言う
本音を言うと、再会出来る嬉しさの内には、彼女がワシを認識出来なかったらどうしよう、と言う不安があった
何せワシは約3年前、箒と別れる少し前に生死を彷徨う大怪我を負い髪と目の色素が抜けて別物の色になってしまっているからだ
束姉様のおかげで今は生きているが、当時はかなりヤバい状態だった・・・と聞いている
その影響か、齢13を超えたワシの身長は未だ140㎝代と言う有様で、時々のじゃロリとか言われる始末だったりする
ウミに言わせたら属性マシマシ、グッド とか言いそうだが
「元気じゃったか?箒」
「あぁ、お前のおかげでな」
「ワシは何もしとらんが?」
「・・・誘拐されそうになっていたのを助けてくれたのは、お前だろう? 」
「はて、なんのことじゃ?」
生死の境を彷徨う原因になった事件について箒が気付いていた事には驚愕したが、ひとまず誤魔化す
最後に下手打って、大怪我したとか恥ずかしいからな