ワシには申し訳程度しか無いが箒にはワシの数十倍ある双丘を堪能していると、社の影がかなり伸び陽が大分傾いている事に気付く
それはワシにとって重要事項である事を示している、つまり制限時間が迫ってきていると言う事に他ならない
「本当、名残惜しいが そろそろ
「うむ、これ以上 陽が傾くと、お前は帰るに帰れなくなってしまうな。本当に名残惜しいが致し方あるまい、だがせめて家まで送らせてくれ、もう大分見えていないのだろう?」
「・・・何故知っている?」
「なに、姉さんを締め上げてゲロさせただけだ」
「束姉様・・・お主ぃ」
束姉様が居るであろう方向を睨むと誤魔化す様な口笛が聞こえて来たので合っている事を確信し、更に睨んでおく
さて後遺症の全容の殆ど全てを箒は知っている事が判明してしまい、少し居心地が悪いが、仕方ない
そうワシは1日の内に目がハッキリと見えている時間が限られている、今日の様に天気が良ければ良く見えるが、曇りや雨だと半分程度で夜間などの暗さだと殆ど見えないし、その日の調子次第で見えたり見えなかったり変動する
束姉様のお陰で死には死ななかったので、この程度の後遺症は受け入れる他無いし、反響定位・・・エコーロケーションと言う小技を習得する事で、不自由は無い
書籍のインクの凸凹を指先で感知して認識する術も習得しているので、勉学にも遅れはない
「お主の手を煩わせるのは少々気が引けるが、今日は幼馴染に甘えさせて貰おうかの、仕込みは置いて来てしまったからの」
「そうか、任せてくれ」
「あぁ、任せた箒」
そう言うと箒はワシの手を優しく取り導いてくれる、これは中々歩きやすい
砂利を踏む足音が3つ、ワシと箒に束姉様の3名の足音のみが暫く続き篠ノ之神社の敷地を抜けると、ワシ等3名以外の足音が増える
行き交う数多の自動車や自転車、人々の足音に話し声がワシの耳へと届く
「大丈夫か?リク」
「問題ない、視覚に頼れぬ分を他で賄おうとしているだけじゃよ」
「凄いなリクは、私なら諦めている所だ」
「必要だっただけじゃよ、ワシはしたい様にする、それだけじゃ」
「・・・そうか」
コツコツとアスファルトを刻む足音を聴きつつ箒の先導の元 帰路を歩くと約50m程先のT字路に朝から出掛けていた同居人Aが出て来たのに気付き、声を掛ける
「なんじゃ一夏、奇遇じゃの? 今帰りか」
「あれ? リクに束さんと・・・箒? 箒!? 久しぶりだな!!」
「一夏? お前、一夏か? お前・・・女だったのか」
「おん? 俺は男だぞ? あ〜この格好はアレよ、ちょっと趣味と実益を兼ねたバイト帰りって奴、うんそう」
「何を言ってるかサッパリ分からんぞ?」
昔から のじゃロリだったワシとは違い、キチンと少年をしていた一夏の今の姿を見て箒は勘違いした様だが、一夏は 何処かのセーラー服を着用しているのだから勘違いしても仕方ないのだ
投げやりなのは、特に興味が無いからであり、一夏が何者であろうと 一夏は一夏でありワシの兄弟分でしかなく、それ以上も以下もないのだ
今の時代多様性が認められておるし、ワシと一夏、同居人Bも同性愛者故に両手放しに色々と腹を割った話も出来るのだ
そういえば、同居人Bも出掛けていたが、奴は何処に行ったのやら
まぁ良いか、腹が減れば帰ってくるだろう、多分
「今日は撮影かの?」
「んや、茶会の手伝い」
「あぁ、コミュニティの方か。なるほど」
「茶会?コミュニティ? どう言う事だ? 説明してくれ」
「おぉ、すまぬな箒、ではエスコートの続きを頼む。説明は歩きながら」
箒に謝罪し、止めていた足を動かして帰路を進む
我が家に着くまでに説明が終わると良いが