ソードアート・オンライン 本能の牙-compassion-   作:Clown42

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今回は他の話と比べると短いです。
いや、他のが長いだけですが...

一応今回の話はシュネル視点ですがリタも出ます。
さらに、ようやく本編と少し絡みます絡むのは本編1章2話です。


希望を掴む為に前へ

「ちょっと来い、クライン。シュネルも」

 

キリトに促されて広場の外の路地裏についていく。

 

「いいか、2人ともよく聞け。奴の......茅場晶彦の言ってたことが全部本当なら、俺たちは生き残るためにひたすら自分を強化しなくちゃならない」

「レベル上げ......か」

「そうだ。だが、俺たちが得られる経験値や金といったリソースは限られている。ここら辺のモンスターはこの後すぐに狩り尽くされるだろうから、今のうちに次の村に拠点を移した方がいい」

「場所、知ってるの?」

「ああ、ベータテストで行ったことがある。あの時と同じなら、俺は危険な敵も道も知ってるから安全に次の村へ行くことができる。本当は2人連れて行くのはちょっときついんだがこの際仕方ない」

 

キリトの提案に少し悩む俺とクライン。だが、キリトの言うことはもっともだ。それに今の俺はパーティを組む当てもないのでキリトの提案に乗ることにした。

クラインはというと......

 

「すまねぇ。気持ちはありがてぇけどよ。やっぱ、仲間を置いてはいけねぇ。俺はそいつらと何とかしてみせるから、お前ら2人で行ってくれ。それに、2人連れてくのはきついんだろ?」

「そうか......わかったよ。シュネルは?」

 

そうだ、俺にも1人。たった1人、この世界の仲間がいる。

......言うだけ言ってみるか。

 

「俺は一緒に行くよ。ただ、その前に安否確認したい人がいるんだ。少しだけでいい。待っててくれないか?」

「......わかった待ってるよ。でも、できればなるべく早く頼む」

「ああ、ありがとう」

 

俺は、クラインと一緒に広場に戻った。

広場ではまだたくさんのプレイヤーが右往左往しており、キリトみたいに動けてる人間なんていないように見えた。

 

「んじゃ、俺は仲間探してくるわ。またどこかで会おうぜ!......死ぬなよ、シュネル」

「うん、クラインもね。生き残って、いつか一緒に冒険しよう」

 

入り口で俺たちは、それぞれの目的の為に別れた。

安否確認と言っても生死だけならフレンドリストで分かるが、俺が知りたいのはそこじゃない。

アスナさん......俺がこの世界で初めて友達になった人。リストを見る限り生きてはいるが、ゲーム自体殆どやったことないと言ってたあの人がこんな状況に置かれて平気なわけない。せめて様子だけでも見ておきたかった。

 

「えー、迷子のお知らせをします!ケイタさん、テツオさん、ササマルさん、ダッカーさんはいましたら返事をしてくださ~い!サチちゃんが待っています!」

 

そう、こんな感じに普通の人ならこの状況でこんな風に少し錯乱気味になってもおかしくない。ましてやアスナさんは女性で初心者。表しようのない絶望と恐怖に襲われているはずだ。

フレンドリストからの位置情報でアスナさんの居る場所周辺にたどり着く。

周囲を見渡すと、見間違うはずのない一際美しい髪の女性を見つけた。

 

「アスナさん!」

「!?えっと.....君は、誰?」

「あ、えっと僕です。シュネルです。昼頃にあなたをこの広場までお送りした者です」

「え!?君が!?......もしかして年下?」

「アスナさんがおいくつかは知りませんが、僕は14歳です」

「私は15歳だよ。年下だったんだ......それに少し小っちゃくなってるね」

「はい......ってそうじゃないです!大丈夫ですか?その......こんなことになって......」

「うん......最初はすごく怖かったよ、でも友達に励ましてもらったから大丈夫」

「そうですか、よかった......」

 

心配無用だったようだ。

そのお友達の方には感謝しなきゃな、俺じゃ何もできなかったかもしれないから......

話していると、遠くから小走りでアスナさんと同じぐらいの身長の女性がこちらに駆け寄ってくる。もしかしてお友達の方だろうか。

 

「お待たせ、アスナ。って誰?その子」

「シュネルさん。ほらリタがログインしたときに話ししたでしょ?その人だよ」

「ああー......え?この子が?マジで?」

「本当だよ、フレンドリストでも確認してるし。それにあの時はまだ......ね?」

「あーアバターがリアルになる前か、そりゃ分らなくなるよねー」

 

......そんなにあのアバターは今と違うかな?

確かに身長は5センチくらい高くして、瞳の色も銀だったし。髪も男らしく短髪だったけど、そんなにかなぁ......

リアルの自分は、恰好をそれらしくすれば女性に見えるらしく。実際、髪は男にしては長いし何度か本気で女性に勘違いされたこともある。

 

「あ、フレンド登録する?」

「は、はい」

「シュネルくん.....ね。呼び捨てでもいい?」

「あ、はい大丈夫ですよ。アスナさんも、僕のことさん付けじゃなくていいですよ?」

「そうだね、じゃあ普通に話すね。改めてよろしく」

 

とりあえず安否確認ができたところで、キリトと合流するために二人と別れることにした。

だが、その別れようとしたときに事件は起きる。

 

「おい、あんたらこいつの仲間なのか?」

 

見知らぬプレイヤーがいきなりリタさんとアスナさんに話しかける。

 

「なに?あんたら。この子とは今知り合ったばっかりだけど」

「そうか、ならよかった。一緒に行動するならやめときな、こいつは人殺しだからよ」

「......!!!」

 

この人たち、あの時の決闘のギャラリーか!?

しかも、やっぱりあの時の結果はそう捉えられてしまってる。まずい、誤解を解かないと......

しかし、それをするにはもう遅かった。

 

「シュネルくん......本当なの......?」

「違う......僕は......」

「アスナ落ち着きなさい、証拠もないのに簡単に信じないの」

「証拠ならあるさ、殺した時に手に入れた金が所持金にあるはずだ。こんな始まってすぐのゲームで大金持ってれば......それが証拠だろっ......!」

「なっ......!」

 

見知らぬ人はいきなり俺の腕をつかんでメインメニューを操作し、ステータス画面を開いた。

ウィンドウには高額ではないがゲーム開始数時間で手に入るとは思えない金額が表示されていた。

 

「......嘘でしょ......」

「シュネルくん......本当に......?」

「違う、誤解だ僕は......!」

「人殺しだろうが!」

「違う!!!アスナさん、違うんだ......本当は......」

 

誤解を解こうとアスナさんに近づくと、急に何かに弾かれた。

 

「それ以上この子に近づかないで」

「リタ......さん......?待ってくれ、本当に僕は......!」

「黙りなさい。あんたが人殺しであるとわかった以上、アスナに近づけるわけにはいかないわ。わかったらとっとと消えなさい」

「そんな......リタさん違うんだ!話を聞い......」

 

瞬間、目の前に剣先が現れる。リタさんの瞳はさっきまでの黒ではなく、青緑(シアン)色に輝いていた。

 

「私は約束したのよ、必ず二人で現実に帰るって。アスナは私が絶対に守るって。だから、あんたと一緒に行動するわけにはいかない」

「本当に違うんだ‼話だけでも聞いてくれ、リタさん!」

「いい加減にしなさい‼あんたは人殺しなのよ。現実でも同じなのはわかるでしょ!?人殺しに居場所も味方もないのよ‼」

「......!リタ!駄目......!」

「人殺しは人殺しらしく、独りでいればいいのよ‼」

「......!!」

 

もう......駄目だ......

そうだ、理由や経緯はどうであれ他人から見れば俺は確かに人殺しだ。少しでも希望を持ったのが間違いだったんだ、リタさんの言う通り居場所なんか無いのに......

時間も無い、目的はとりあえず果たしたわけだからこの場を去ろう。誤解の方は......もう、どうにもならない......

 

「シュネルくん......!」

「アスナ、やめなさい。あいつは危険よ」

「そんなこと......!」

 

広場を出てキリトの待つ路地裏へ向かう。だが、途中で声をかけられる。

 

「君」

「......はい」

「君は、本当に人を殺したのか?」

「さっきまでのやり取り聞こえてましたよね?ならその通りですよ......」

「嘘だな。それこそやり取りを聞く限りでは、君は本当のことを話そうとしていたんじゃないのか?」

「......」

「今は話してくれなくてもかまわない。だが、いずれ聞かせてもらうよ」

「あなたは......」

「生きていればそのうち会える。見たところ急いでいたんだろ?なら早くいくといい」

「......失礼します」

「?イノ君?どうしたの?」

「いや、何でもない。俺たちもそろそろ行くぞ!準備はいいか!?」

 

さっきとは違う見知らぬ人と会話し少し気が楽になったかもしれない。

たとえ全てを知ってもらえてないとしても、俺がただの人殺しではないことを知ってもらえただけでも十分だ。いや、そう思いたい。

とにかく、今度こそキリトの待つ路地裏に向かう。

 

「来たな。どうだった?............シュネル?」

「......大丈夫だったよ!思ってた以上に平気そうだった」

「......そうか。よし、準備はいいか?」

「ああ、行こう!」

 

俺たちはフィールドへと走り出す。

まだフィールドには、人一人いる気配は無かった。

眩く輝く夕日が、残酷なほどに美しい。

 

「前方、狼形モンスター1体。どうする、キリト」

「もちろん倒す。追ってこられても困るからな、二人同時にソードスキルで片付けるぞ!」

「了解!」

 

俺たちは走りながらモーションを起こしそのままモンスターに接近する。

 

「「うおおぉぉぉぉぉぉ!!!」」

 

それぞれの想いを己の剣に乗せる。

キリトはこの世界を生き抜くために、現実へ帰還するために。

俺は茅場晶彦の真意を知るために。

俺たちはまだ死ねない。

 

「ガアァ!」

「「はあ!」」

 

二人同時に切り抜けた後ろでモンスターは光の欠片となり散っていった。

あの時の二人と同じように......

 

「「うあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」

 

俺たちはこの世界に牙を剝くかのように、獣のように咆哮した。




アニメではここまでで1話ですがこの作品では3話目ですねw
ええ、牛歩ですね。でも大体こんな感じで進むと思ってください。

次回はリタ視点。同じく短くなるかはわかりませんw

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