ソードアート・オンライン 本能の牙-compassion- 作:Clown42
キャラの言ってることとかおかしくねぇかな?とか思うことが多々ありますが。気にしても仕方ないので気にしないことにしました。(あまりにも違うものはもちろん気にしますが)
はじまりの街を出てから3日、俺はキリトと一緒にキリトが話していた村を拠点に、近くの森でレベリングをしていた。
「シュネル!スイッチ!」
「了解!」
様になってきた連携で狼型モンスター<ジャッカル>を倒す。最初は若干の恐怖があったりしたが今はそこまで恐怖を感じることはなくなった。
「大分マシに剣が振れるようになったな」
「おかげさまでね」
はじまりの街を出てから、俺はキリトにβテストまでのSAOの事と、MMORPGのいろはを教えてもらっていた。おかげで、ソロでも2対1で戦えるくらいに動けるようになったし稀にキリトを守ったりもできるようになった。まぁ、教育方針はかなりスパルタだったけど。
「さて、『いつもの』やるぞ。武器変えとけよ」
「お、おう......」
『いつもの』というのはまあ、練習試合のようなもので、お互いで決闘を初撃決着モードで始めるだけなのだが、いかんせんキリトがかなり強いものだから俺はまだ一度も勝ったことはない。
「いつも通り30秒だけ攻撃しないでやる。その間に仕留められるように頑張れよ」
「はいはい......」
カウントダウンが0になるのと同時にキリトに接近する。そのままの体勢で剣を切り上げるが避けられる。
足払い......避けられる。
降り下ろし......避けられる。
袈裟斬り、突き、回り込んで切り払い......すべて避けられる。
一度距離を離し、すかさずソードスキル《レイジスパイク》で突撃する。
「スキル発動も早くなってきたな。だが、まだ甘いっ!」
「くっ......!」
結局すべて回避されてしまい、30秒が経過した。
だが、まだ終わりじゃない。
「それじゃ、いくぞ!どれぐらいもつかな!?」
話し終わった刹那、キリトは真っ直ぐ突っ込んできた。
(どうくる?切り上げ?突き?それとも《スラント》か?)
「はぁっ!」
きたのはただの降り下ろしだった、すかさず剣で受ける......が、おかしい。剣圧を感じない......まさか......!
そう思い、後ろを向いたときには既にキリトの剣は
水色に輝いていた。
「ホリゾンタルか!」
体を屈めて紙一重で避ける。
そのまま振り向きながら、キリトの手元を狙い切り上げる。
「なっ......」
「よしっ!」
キリトの剣を弾くことができた。
だが、ジャンプして回収される可能性もある。そのまま間を空けることなく《バーチカル》で追撃する。
「もらったぁ!」
「それはどうかなっ!」
キリトのバックステップで《バーチカル》は回避され、硬直で動けなくなってる間に難なく剣を回収されてしまった。
「決まりだな」
「はぁ......リザイン」
攻撃を回避する手段は無いため、潔く降参(リザイン)した。これで46連敗目である。
「反応速度とか判断力はいいんだがな......ソードスキルで決めようとしてないか?」
「だって、決めるならこう......バーンと必殺技で決めたいじゃんか」
「MMOじゃなきゃ共感してやりたいんだがな......」
それじゃあ生き残れないぞと言わんばかりの顔でキリトは言う。
キリトの言う通り、モンスターはともかく対人では到底勝てる戦い方とは言えない。モンスターにだってこの第一層だから通用しているだけかもしれないし。
あまりよろしくないのはわかってるのだけど、どうしてもこの悪癖は無意識に出てきてしまうようで。
「とりあえず昼はこれでやめにしよう。宿戻るぞ」
「はーい」
『昼は』ということはもちろん、夜もあるのである。
ただ、夜でもやることはたいして変わらない。違うと言えば、討伐よりも観察が主になるところだろうか。
これは、単純に昼と夜の視界の違いを明確に把握しておくこともあるが、視界が悪い中でものを探す。特に、動いているモンスターなどの位置や挙動を正確に察知するのは難しいらしく、キリト曰くベータテスターでも出来ない人いて、ある意味センスの問題らしい。
しかし、オンラインゲームでここまで現実に近い要素があるとは茅場晶彦はやはりすごい人だ。まさしく異世界。いや、VRを超えた『現実』と言った方が正しいかもしれない。デスゲームなのが本当に惜しい。
「それと、これからのことも少し話したいからな」
これからのこと?
確かに、ずっとここにいても攻略は出来ないし、強くなるためには各地を転々とするのが一番かな......
「......ん?」
「どうした?」
今茂みがガサガサいってような......
まぁでも、村には俺達以外のプレイヤーもいるし、狩場がたまたま近かっただけだろう。
何でもないと返し、僕とキリトは森を後にした。
「見つけたぞ......」
これから起こることも知らずに。
「それで?話したいことって?」
「ああ、こことは別の場所で受けられる《森の秘薬》ってクエストの報酬に第一層最強の片手剣、アニールブレードって剣がある。それを取りに行こうと思うんだが、そのためにはモンスターと戦わなきゃならないし時間によるが戦う場所はクエストの名前通り森だから最悪真っ暗だ。俺もいるから問題は無いと思うが、どうする?」
宿について、さっきキリトが言っていた話したいことについて聞いてみた。何でも、クエスト報酬の武器を取りに行くのだとか。
ただ、クエストの内容が敵のドロップ品を納品するタイプのクエストな為、火力増強のために取りに行くのはいいけど、死ぬ可能性もあるってことか。クエスト討伐対象のモンスターは大体のゲームで他のとは少し違う挙動なり特徴なりを持っていることが多い。おそらく、キリトがこうして確認をとるのもそういうことなんだろう。
「俺は......行くよ......!」
「わかった。じゃあ明日の朝早くに出発しよう。それまで準備ってことで、今日はもう自由な」
「りょーかい!」
といっても特別準備することは特には無いし、僕は一人で昼にレベリングしてた森へ行き暗闇でものを見る修業をすることにした。
「しっかし、こんなに暗いところで戦闘中に観察なんて、運良く月光でも出てないと出来ないんじゃないの?本当に真っ暗じゃん......」
誰に言うわけでもなく、独り言でそう呟く。
暫く適当なモンスターと戦いながら修業を進め、ふと時間を見ると23時をまわっていた。
「明日朝早くにって言ってたしな......しょうがない、帰ろ......」
だが、そうはさせてくれないわざとらしささえ感じてしまうほどの殺気を、俺は放ってはおけなかった。
「どこの誰かはわかりませんが......やっぱり来るんですね......」
気付かれてたか......と言わんばかりに殺気の正体は姿を表す。それは、あの時はじまりの街で俺の手を勝手に操作して人殺しを暴露したその人だった。
「!あ、あなたは......!」
「久し振りだな......小僧......」
お前を殺しに来た、そう言わんばかりの目で俺を見つめ続けるその人は既に抜刀していた。完全に殺る気である。
「やはり......仇討ちですか......」
「そうだ......そう言えばまだ名乗ってなかったな......俺はKou(コウ)まぁ、覚えなくてもいい......お前の名も聞かん。今ここで、お前は死ぬからなぁ!」
そう言って、コウさんはいきなりソードスキルで突撃してきた。武器を見ると片手剣なのでおそらく<レイジスパイク>だろう。ああ......でも、やっぱり本気なんだ......
「仇討ちに来たということはあの二人の知り合いなんですね......」
「殺人鬼と話す舌などない......さっさと死ね!」
話す舌などない......か......
じゃあ、遠慮は無用だなっ!
「..................できるかよ......!たとえなにも知らなかった時だったとしても、俺が二人を殺したことに変わりはないんだから!」
「ほざけ!それで罪滅ぼしのつもりか!?命を奪った罪は、その命で償ってもらう!」
闇夜の森に二人の剣戟が響きあう。
鋭く、残酷に、俺の命を仕留めるべく、容赦のない一撃が繰り出される。
(暗闇でよく見えない、日の出までもまだかかる......!くそっ......どうする!?)
「どうした!動きが悪いぞぉ!」
「かはっ......!」
一瞬の隙を突かれ、思いっきり蹴りをいれられる。
少しふっ飛び、地面に転がる俺。
HPはいつのまにか黄色くなっていた。
「あれから数日......お前を殺すことだけを考えて戦ってきた。そして待ちに待った時が来た!そこら中のプレイヤーや情報屋に、片っ端からお前のことを聞いて回り、ようやくお前を見つけた!会いたかった......会いたかったぞ!二人の仇!」
「あの二人とどういう関係なのかは知らないが、こんなことはやめるんだ!復讐から得られるものなんか何もない!」
「元凶が何を言う!何も得られないからどうしろと言うのだ!このまま現実に帰ってもあの二人はいないんだぞ!?お前が殺したせいで!!」
くっ......すぐさま起き上がって再び剣戟を交わすが......
ダメだ、体格差でほとんどの攻撃が上から来て重い......それにしてもこの威力、STR型のビルドか......STRよりも多少AGL寄りのビルドの俺にはDEFが少し足りない......
いや、落ち着け。俺の方がAGLは上だと考えろ、攻撃は避け、速さで翻弄してやればいい。
そして、体格が上だということは、ほぼゼロ距離の目標にはまともに攻撃できないということだ。
つまり......
「!?速い!?」
「こう近ければ、俺への攻撃は無理だな!」
接近に成功しそのまま連撃を加える。
途中、コウの右腕を切断し、部位欠損状態にすることもできた。
HPはまだ半分くらいあるが、武器を持っていた手を落としたのでほぼ勝負は決まったようなものである。
「殺すのか......またお前は人を......!」
「!ち、違う......!俺は......!」
人を殺したい訳じゃない。でも、俺が嫌でもそっちから来るなら抵抗するしかないじゃないか。俺だってまだ死にたくない。
「うおおおおお!」
「なっ......左手で!?」
俺が躊躇している隙に、コウは切断されてない左手で剣を拾い、再度襲いかかってきた。
「なんで......なんでなんだ!俺はただ普通にこのゲームを攻略したいだけなのに、どうして襲ってくる!?」
「人殺しに普通の日常なんかあってたまるか!与えてたまるか!どうせお前は、今一緒にいる奴もその内殺すんだろ?自分の私利私欲の為に!」
「違う!!」
そんなことはしない、したくない。
キリトがいなければ僕はもう死んでるし、これから先離ればなれになっても世話になることだろう。
少なくとも今はそう思う。
「何が違う!?何故違う!?そういう思惑であの二人を決闘に誘ったんだろう!?完全決着モードで死から逃れられなくまでして、自分の為に二人を殺したんだろう!?」
「違う!違う!!違う!!!」
あれは、ノスケが言い出してお互いの了承でやったことなんだ。俺がいきなり仕掛けて、不意討ち的に戦った訳じゃない。
だが、そう言っても耳を傾けてはくれないだろう。
こうまで誤解した相手の誤解を解く術を僕は知らない。
「お前は、他のプレイヤーの為に殺さなきゃならないんだよ......そんなに死にたくないなら、人殺しは人殺しらしく、独りでいればいい!」
「っ!?」
(人殺しは人殺しらしく、独りでいればいいのよ!!)
「違う......違うんだ......俺は......!」
「人殺しだろうが!」
その瞬間俺の中の何かが弾けた。
機械でいうところのリミッターが外れたような、そんな感じだった。暗闇だというのに、相手の動きが手に取るように見える。
そして、何故か頭のなかで確信した。
これが俺の誤解を解く術だと
「俺は誘われたから戦っただけだ!それなのに、みんなみんなみんなみんな!人の話も聞かないで、言いたい放題好き勝手にっ!現実から離れたこのゲームの世界に来てまでなんでこんなことにならなきゃいけないんだ!自分だって同じ目に会うのは嫌だろうに!人のことを考えないで、自分勝手に暴走した正義を止めようともしない奴なんか......」
無我夢中だった。
コウのHP残量も、自身がやってることも、頭から離れていた。
今の自分を満たしていたのは、とてつもなく大きくて、黒く禍々しい感情だった。
「俺がここで......殺す!殺してやる!」
「があああああ!!あ......あぁ......」
コウの悲鳴でようやくコウのことを思い出す。
だが、向ける感情は今までとは最早別物だった。
「わ、悪かった......俺が悪かったから見逃してくれ......!」
コウは両腕を切断されてHPはほんの数センチしか残っていなかった。敵ながらしぶとい奴だ。
「は?今更なに言ってんの?ほら立てよ。殺しに来たんだろ?足でも口でも使って向かってこいよ、殺しに来たんだろ!?仇を討ちに、自分の正義に準じて殺しに来たんだろ!!?」
「ひ、ひいぃぃぃ!!」
彼は剣を置き去りに、背中を向けて走り出した。
情けない......これがさっきまで剣を交えていた相手とは......
俺は走り出した彼を蹴り飛ばし、転がせて馬乗りになった。
「や、やめ......」
「......」
いつのまにか夜が明けて、森は明るさを取り戻していた。日向のできた森のなかで、俺は彼に剣を突き刺した。慈悲もなく、彼の断末魔もなく、ただ静かに確かな死を見つめていた。
光のガラスが宙を舞い、彼の遺物が散乱する。
「シュネル......」
「キリト......遅いよ......」
帰りの遅い俺が心配で来たのだろうか。
だが運悪く、キリトは決定的瞬間を目撃してしまった。どうしたらいいかわからないといった顔をキリトはしている。
「キリト、ごめん。俺はこれから独りで行くよ」
「......そうか」
「やっぱり、俺は人殺しだ。独りでいるべきだったんだ............今までありがとう、キリト」
これから先も、今日みたいな事態になることだろう。
それにキリトを巻き込むわけにはいかない、もしそれでキリトが死んでしまうようなことがあったら、一生悔やんでも悔やみきれない。
俺はキリトに背を向けて歩き出す。
これから先何が起きても、独りでいれば迷惑をかけなくて済む。
たとえ限界が訪れたとしても、俺は誰の手も取らないと誓おう。俺にそんな資格はない。
俺は人殺しだから。
「......また会おう!シュネル!いつかまた、パーティ組んで、一緒に戦おう!だから、戻ってこいよ!絶対だからな!」
できることなら、見栄を張らずにキリトといたかった。
キリト程の才能があるわけでもない俺が、ソロプレイなんて無謀もいいとこだ。
でも、これが俺のSAOなら歩き抜いてやるしかない。
たとえそれが、自分の意思とは違う偽りのものだとしても。
シュネル君ダークサイドに堕ちるの巻
次回はリタです。
なるべく原作でやってて本編(新世界のおっさんのSAO)でやってないことはやりたいと思ってるのでその辺もお楽しみに。
リタはダークサイドに堕ちませんよwww