ソードアート・オンライン 本能の牙-compassion- 作:Clown42
一応プログレッシブ(原作と漫画)見て書いてますが違うとこも多々あると思いますがご容赦下さい。
ではどうぞー
【ようこそ、トールバーナへ】
「はーい、どうもー」
時は昼過ぎ。件のトールバーナに到着し、圏内表示を確認してから私は少し背伸びした。エギルに「さっきの奴NPCだぞ」って言われたけど、わかってますよーだ。別に見分けつかないからとにかく返事しちゃえとか思ってないし。思って......ないし......
いやーでも安全地帯ってだけで何だか安心するわーこの安心感と外にいるときの緊張感のバランスはどことなく絶妙な感じがするわね、特に基準は無いけど。
「そう言えばリタ、お前あの時のソードスキルは何なんだ?聞いたことも見たこともないぞ?」
「ん?何かしたのか?リタ」
何はともあれ。トールバーナに着いて、とりあえず落ち着けるところまで来た私たち。って言っても座るところはないから立ち話だけど。ここに来るまで、迷宮区でのことやそれ以前のお互いのこと。稀にリアルのことも本っっ当に少し話したりした。で、今思い出したのか、エギルはあの時の私のソードスキルが気になったらしい。そりゃあ、あんなことしたの私が初めてでしょ、多分。
「あー空中でスキル使ったやつ?あれは特に難しいことしてないよ、単純にスキルモーションを空中で起こしただけ。だから、後の動きはアシストなの」
「いや、それは凄いことだよ。やろうと思ってすぐにできることじゃない。でも、その発想は無かったな......」
何気にキリトさん興味湧いてます?
もしかして、この子根っからのゲーマーだったりするのかしら。何か「これをこうすれば......いや、でもな......」みたいな感じの真剣な顔してるからもしかして試そうとかしてる?アスナを守りながら戦ったりしてたし、実はかなり強いのかな?
「ねぇキリト、あんたってもしかしてかなりのゲーマー?」
「え?ああ、まぁ......」
あらま、本当。どことなく言いたくなさそうな感じの顔してたけど、これ以上は特に聞く気ないから気にしないでおく。このまま交流が続けば、いずれ話してくれるかもしれないからそれでいいわよね。
「ところで、シュネルってのは一体誰なんだ?」
「ああ、そうね。まだ会議まで少し時間があるしこっちの話しましょうか......情報共有も兼ねて、ね?」
「そうだな......」
エギルが話題を切り出す。そういえば、後で話すって言ってあったわ。
キリトもシュネルのこと知ってるみたいだし、色々聞かせてもらうとするわ、暗い顔してるキリトには悪いけどね。
「それじゃ、まずは私から話すわね」
私は初めてシュネルと会った出来事から別れるまでの話と、その後の話。そして、今の私の気持ちを話した。
アスナを含め、みんなはただ耳を傾けて聞いていた。
「そっか......だから、少し辛そうな顔してたのか、あいつ」
「どういうこと?」
「リタと始まりの街の広場で別れた後は、俺と一緒に行動してたんだよ。その辺りのこともこれから話す、ざっくりと。だけどな」
そう話すキリトの目には、少しばかりの哀愁のような感じが宿っていた。この会話をしてる時点でお察しくださいだが、キリトもシュネルに関して何かあったのだというのは聞くまでもなくわかった。
「あの時のチュートリアルの後。俺はシュネルと始まりの街を出て、近くの村に向かい、ひたすら自分達を強化し続けてきた。しばしばシュネルと稽古代わりの決闘をしたり、二人だからって少し無茶してえらい目にあったり......しばらくそんな日々が続いた後、レベルもそれなりになったから、クエストで手に入る武器を取るための準備で普段より早めに自由にした日にシュネルはPKをした。そして、シュネルはそのまま俺と別れて、それっきりだ」
............結局、あの子はまた人殺ししちゃったのね......
多分、キリトの所に戻らないでいるのは、私の言ったことを気にしてるからかな。
あの時、私がちゃんと話を聞いてあげていたらこんなことには......いや、よそう。今更あの時のことを考えたって仕方ない。
「そっか......じゃあ今どこにいるかなんてわからないわよね......」
「いや、どこにいるかはわかるよ。ただ会えるかはわからない」
え?な、なんですって?わかるの?
キリトの言葉に即座に反応し、詰め寄る。
とっさにキリトも少し後ずさるけど、お構い無しに私は聞く。
「わかるの!?どうやって!?」
「お、落ち着けって。教えるから......フレンドリストだよ。そこでフレンドの情報を見れば、現在地がわかるんだ。大まかにね」
フレンドリスト?
........................あー!そう言えば迷宮区にアスナを助けに行くときに私フレンドリストでアスナの安否確認してたわ!でも名前のとこまでしか見てなくて......へぇーフレンドの名前押してフレンドの情報が見れるんだーまるでスマホの電話帳ね。
「じゃあ早速、シュネルっと............え?」
「どうしたの?リタ」
ちょっと待って、あの子はPK━後でキリトに教えてもらったけど、Player Killの略なのね。ちなみに、積極的にPKを行う人のことはPlayer Killerって言うらしいわ。混ざりそうね......━をしたってキリトがさっき言ってたわよね?でも、これは......
「ねぇ、キリト。PKした人でも街に入れるの?」
「入れることには入れるよ。ただ、冗談じゃない強さのガーディアンが飛んでくるから実質無理に等しいけど」
実質無理......じゃあ、これは何?
キリトの言葉が正しいなら、あの子は街に入れない。
「でも、キリト......これ......」
私はキリトの隣に移動し、自分のウインドウを可視モードにして見せた。
私のウインドウを見た瞬間、キリトの表情が変わる。
「!?嘘......だろ?何で......何であいつ街の中にいるんだ!?しかも、会議の集合場所の近くじゃないか!」
「Oh......なんていうタイミングだ......」
エギルとキリトはそれぞれの想像に顔を歪ませる。
アスナもかなり複雑そうな顔をしていた。もっとも、私も人のことは言えない気持ちなのだけど。
何で街に入れてるのかとかはとにかく置いといて、今はあの子に会いに行こうと思う。チャンスは今しかないと謎の確信が私にはあった。
「キリト、エギル、アスナ。先に会議に行ってて。私はあの子を探すわ」
「......わかった。でも、絶対にデュエルだけは受けるなよ?圏内でもデュエル中はHPが減るんだからな」
「りょーかい!」
やっとあの子に会える。会える気がする。
もちろん、あっちからしてみたら私なんて見たくもないと思うけど。でも、それでも私は会って謝りたいの。その為にここまで来たのだから。
「リタ......」
「大丈夫だよ、アスナ。別に戦いに行く訳じゃないんだから」
「会えるといいな、リタ。Good Luck」
エギルと拳を突き合わせ、心配そうな顔をしてたアスナに背を向けて、私はフレンドリストが示す方へと走り出す。
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「おかえり、随分と早かったネ」
「..................」
「これで何人目ダイ?」
「..........」
俺は今、第一層の迷宮区近辺の街トールバーナに来ている。
NPCのショップが建ち並ぶ商店街の路地裏にて、しばし行動を共にしてきた人と合流したところだ。
「攻略会議......か......」
「ああ、それが今日の16時から始まる。君を狙ってる奴もいるかもナ」
「だろうな、夜は間違いなく襲われると思っていいか」
「そう思うのはいいけど、返り討ちは程々にするんダゾ?今のタイミングじゃ攻略に支障が出るかも知れないんだカラ」
「だから会議を見に行くのさ。じゃあな」
装備を変え、
会議まで騒ぎを起こすわけにはいかないので、面倒だが変装しなければならない。
「いや『またな』だヨ。シュネル」
だが、その言葉は商店街の人混みに消え、俺には聞こえていなかった。
俺はキリトと別れた後、コウが俺に行き着くために頼った情報屋を探して行動していた。詳しく話すと長くなるので省略するが、紆余曲折あってここまでたどり着き、今別れたところというわけだ。
情報屋の彼女の名はアルゴ。
殆どずっとフードを被っているため、一見しただけじゃ少年と見間違う人もいるらしい━少なくとも、自分は最初あったとき一瞬そう思った━が普通に女性である。本当はすぐに別れる予定だったが、目的地が同じだったので今まで一緒にいたのである。
「アスナさんもキリトもリタもこの街にいるみたいだな......接触は避けないと......」
フレンドリストから位置を把握し、呟く。
会いたい気分ではないというのもあるが、それ以上に、今の俺と再開しても普通に話しかけてくるであろうそれを避けたかったのが一番である。
何故なら、今の俺は争いの火種にしかならず。また、そうであるなら、俺に関連する人物にその火の粉が降りかかることも十分あるからだ。
自分の問題は自分で解決する。そもそも今の俺には味方はいないのだ、単独の方が動きやすいこともあって、いたとしても味方は邪魔になるだろう。
俺は人混みから逃げるように、会議の集合場所であるコロシアム跡を見渡せる場所を探すことにした。
最悪、変装したまま会議に参加してしまえばいいが。名前を見られるわけにはいかない。理由は、ここに来るまでに自分の噂をちらほらと聞いてきたからだ。多くは無いとは言え、噂になってるなら警戒するに越したことはない。必要な情報だけ聞いて退散することにすればいい。
「............これの上が一番いいか......」
手頃な建物も無かったので、仕方なくコロシアム跡の裏にある木々の上で我慢する。隠蔽スキルでは時間制限があるし、会議に参加するよりはマシなので贅沢は言えない。
こんなところに来るのはおそらく自分ぐらいなので変装を解く、フルフェイスの防具は視界に少し干渉してくるので見渡すのにも不便だ。
「おお、以外と多いな......一体何人が......」
実力のあるプレイヤーなのか。
とも思ったが、このSAOにおいては実力者の数よりも気になるのは......
「勘違い勇者様だったりするのかねぇ......」
別にSAOに限った話ではないのだが、オンラインゲームには少なからずそういった類いのプレイヤーはいる。中には言動通りの実力を持った本物の勇者様も稀にいたりするが、本当に稀である。大体はプレイヤーそのものがそういう者であったり、現実とは違う自分になりたいが故にそうなってしまった者であったり、単純に行き過ぎたロールプレイの産物だったりする。
といっても、俺自身はそんなに多くのオンラインゲームを経験してきたわけではないので、あくまで知識としてしか知らないのだが。
「はーい!それでは、これから攻略会議を始めようと思います!」
時間となったところで、主催者であろう剣士が会議の始まりを宣言する。
会議自体がどういったものなのかも気になるので、俺も内容に耳を傾ける。
「皆、今日は集まってくれてありがとう!俺は、ディアベル。職業は気持ち的にナイトやってます!」
自らの胸に拳をトンッと置いて彼はそう話す。
その場の人々が笑いながら相づちをうっているが、ナイトやってますと言えるだけの実力はあるように見える。人望も厚そうだ。
続けて、彼は迷宮区にてボス部屋をついに発見したことを報告。集まっているプレイヤー達の何人かはざわつき始めた。
ついにか、腕が鳴る、必ず攻略してみせる。
皆そういった表情を浮かべながら真剣にディアベルの話に耳を傾けていた。
その最中、一人の男が言いたいことがあるといわんばかりに声を出した瞬間、俺は驚いた。
「ちょお待ってん「「すみません!遅れました!!」」…おう?」
クラインが。そして、始まりの街を出るときのあの人が現れたのだ。
意外だったわけではないが、いなかったので参加しないと思ったが。どうやらただの遅刻だったようだ。
そういえば、別れてからクラインのこと気にしてなかったけど......見た感じうまくやれてそうだな。
その後、会議は多少の騒ぎはあったものの、特に滞ることなく終わった。
内容も聞いたし、参加してる人の確認も済んだ。少なくとも、今まで自分を狙ってきた人の関係者はいなかったので襲われることはまずないと少し安心する。
だが、一つ疑問があった。
先程フレンドリストを確認したときはリタとキリトは一緒に行動していた筈なのに、会議にはアスナさんとキリトと他の人のところに行った外国人の人だけだった。
............瞬間、頭に電流が走ったような感覚を覚え。即座にフレンドリストを確認した。ナーヴギアを被ってるんだからそりゃあ頭に電流流れてるだろという自分自身へのツッコミ━正確には流れてるわけじゃないが━をすることも忘れて。
リタは、もうすぐそこに。目視確認してないからわからないが本当にすぐ近くの位置にリタの位置が表示されていた。
「まずい......速く離れ......」
「待ちなさい!」
どうやらほぼ真下にいたようだ。しかも既に見られてるときた、これは逃げる以外に手は無い。
プレイヤーの動きの一部には任意でステータスに応じた
俺は即座にAGL補正を全開にしてここから立ち去ろうと試みる。
「待って!あんたに話したいことがあるのよ!」
「..................わかった」
話したいこと......か......
今更話すことは無いと思っていたので、リタの言う『話し』が少し気になった。有無を言わさず立ち去ってもよかったが、後からキリトとかを連れてこられても面倒なので一対一の今聞くことにする。
木の上から降りてリタと見合う。
盾持ちの普通の剣士か。アスナさんを守るって言ってたあたり、VITが高いのかな?それにしては少し軽装な気もするけど。
「で?話ってなん......」
「ごめんなさい!!」
..................ん?
一体何のことだ?
そんな俺を置いてリタは話し出す。
「あの時、あんたの話を聞かないで色々酷いこととか言ってごめん!あんたが去って行った後、事情を聞いたの......本当にごめんなさい!」
「............それだけか?」
「え?」
「言いたいことはそれだけか?」
何を言い出すかと思えば、あの時のことだった。
今更謝られたところで、俺の環境に変化が出る訳じゃない。圏外だったら無言で即座に両足か片腕を切り落としてやった所だがもちろんそれはできないので......
「うわ!」
「............許すつもりはない」
俺はリタの防御が間に合わない速さで抜刀。リタを攻撃し、尻餅をついたリタの目の前に剣先を突きつけて静かにそう言い放つ。
圏内では攻撃は通らず、威力に比例した衝撃が攻撃対象に発生するだけである。装備の耐久値は減るが、微々たるものだ。
「俺は俺の行く手を阻む奴を殺す。お前もそうだと言うならリタ......お前を殺す」
「シュネル......」
もう戻れない、あの頃には。
これから先に俺の居場所は無いし、出来ることもない。この命以外に失うものなど無い。
俺はリタに背を向けその場を後にした。
それから時間も経って夜。
俺はアルゴから連絡を受け彼女の借りてるNPCホームに来ていた。
彼女から呼び出しがある時は、必ず何かある。それもどちらかと言うと面倒なことが。圏内にも関わらず、俺は夜のフィールドを歩く時のようにその『何か』を警戒していた。
「な?またなって言ったロ?」
「何のことだ?で、何か用か?」
「用って程でもないよ、今の君のスキル状況を教えて欲しいダケサ」
何が用って程でもないだよ、どう考えても依頼じゃないか......
まぁ、この手の依頼も初めてじゃないし別に気にしないけど。
「はぁ......答える前に一ついいか?」
「依頼主のことは言えないよ、そういう約束だからネ」
「......じゃあ、一つ。何でわざわざ路地裏じゃなくて借宿なんだ」
「深夜になればわかるヨ」
深夜になればわかる?
また襲撃か?ダメージは通らないとはいえ、圏内では勘弁して欲しいんだが......
「......わかった。さて、スキル情報だな?」
「ああ、なるべく詳細に欲しいそうダ」
「了解、スキルは四つ。片手剣、隠蔽、看破、釣りで、片手剣スキルは50までいってる。隠蔽と看破もそれなりに上げてるが、片手剣に次いで高いのは釣り。片手剣スキル50達成のボーナスはソードスキルのクールタイム緩和。これで全部だ」
「相変わらず正直に答えるね、キミハ」
「その方が儲かるだろ?」
よくわかってるじゃないかと言わんばかりのニシシとした笑顔をつくるアルゴ。
今の俺があるのは、彼女のおかげと言うべきか彼女のせいでと言うべきか。これを聞かれた後は大抵襲撃、もしくは決闘を申し込まれる。
「で、相手のスキル......あ、言えないんだっけか」
「ああ、今回は依頼主が依頼主だからネ......」
「知り合いか、そりゃ言えんわな」
だが、それでも売れる情報は売るのが一応彼女の基本スタンスだ。それでも売らないと言うことは、その知り合いも相当な人物だと言うことになる。少なくともアルゴにとっては。
「さて、今日も用心しておくか。夜も遅くなってきたしな~」
「いいや、その必要はないヨ」
そう言うと、アルゴは後輩に知ってることを教える先輩のように俺の知らないことを話してくれた。情報屋ではなく、いちプレイヤーとしての
「ここは鍵をかけられるから安全だよ、パーティメンバー以外鍵の解除は出来ないからネ。まぁ、デフォルト設定だったらの話だけド」
「へぇーそりゃあんし......」
安心だなと言おうとした矢先、扉からノック音が響く。
こんな時間に訪問者?怪しい......
「......来たな......待っていたヨ」
そう言って、アルゴは部屋の鍵を自ら解除し扉を開ける。まさか、さっきの『その必要はない』はこうなることがわかっていたのもあったからだろうか。
扉の先には驚くべき人物が立っていた。
「リタ......キリト......アスナさんまで......」
「......シュネルくん、話しあ......」
きっと話し合おうと言いたかったのだろうアスナさんの言葉はすぐさま遮られた。
「アスナ、それはしないって決めたはずよ」
他でもないリタの手で。
「......キリト、アルゴと通じていたのか」
「前々から知り合いでな、お前といるって聞いたときはビックリしたよ」
この様子だと、依頼主リタだな。
キリトは大まかにではあれど、俺のスキルを知っているだろうし。
「こんな時間に何の用だ?話し合いに来た訳じゃないんだろ?リタ」
「......でなさい......」
「はい?」
そう、俺は後になって。本当に後になってこう思った。何でもそうだけど、最後の最後まで何が起こるかわからないものなんだなと。
「表出なさい、シュネル」
「......それはつまり......」
「ええ、そうよ。決闘よ!シュネル!今度は口じゃなくて......」
そう言いながらリタは腰の剣を引き抜き、自身の前に突き立てる。
「剣で語りましょう!剣の世界らしく!」
変えられないと思っていた未来が。
変わるはずがないと思っていた運命が。
変わったところでどうしようもないと思っていた俺の現実が。
今、変わろうとしていた。
次回に続きます。
次回はもっと長くなる予定。
一層攻略も目の前に近づいて来ました、頑張りますよー