やめてよね。俺が准将に転生しても同じように戦えるわけないだろ!   作:よみや

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期間が空いたのに、待っていてくれた人がいることに感謝!

作者は書く時に、アニメや小説の該当箇所を見ながら書いているので、見れる人はアニメや小説を見直したりすると、この場面はここが違う!などの発見があって面白いかもしれません。みんなもアニメを見よう!


PHASE -15 宇宙を駆ける星

 

 

 

 

「お、俺たち降りられるのかな?」

 

 不安そうなカズイの声に、サイが答えた。

 

「そりゃ、俺たち民間人だし、第8艦隊がラミアス艦長が言ってたしかるべき所の筈だから、降りられるだろ」

 

 それもそっかとカズイが安心したところで、トールとミリアリアが微妙そうな表情をしていることに気がついた。

 

「二人とも、どうしたの?」

「キラとフレイが、格納庫から戻って来ない。第8艦隊とは合流したけど、まだ終わってないのかもしれない」

 

 トールの言葉に、カズイとサイは不安そうに顔を見合わせた。

 

 

 

 

「キラ、どうしてこんなに急ピッチで調整してるの?」

 

 大半の整備兵が、【メビウス・ゼロ】に群がっている中、【ストライク】を弄り回しているキラに、手伝っているフレイが声をかけた。

 

「このまま、すんなり行けるとは思えないからだよ」

「でも、【ストライク】は、整備終わってるじゃない」

 

【デュエル】との戦い後の整備が終わっている【ストライク】を見上げて、フレイは首を傾げた。

 

「せっかく作ったんだ。アレの準備をする」

「え、アレって、本当に使えるの?」

 

 例え種割れが無くとも、今度こそ運命を変えて見せると、キラは作業に没頭した。

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 第8艦隊と合流したマリューたちは、提督であるハルバートンを出迎える為に格納庫を目指していた。

 

「艦長。キラ・ヤマトのこと、どうするおつもりですか?」

 

 他に人がいないのをこれ幸いと、ナタルがマリューに話し掛けた。

 

「彼の能力が本部に知られれば……」

 

 不安そうなナタルの声に、マリューも苦虫を噛み潰したような顔になった。

 

「そうね。言いがかりをつけて、無理矢理戦わせるということもあるかもしれないわ」

「しかし、それは!」

「わかっているわ。キラくんは、オーブの民間人よ。これ以上戦争に巻き込むわけにはいかないわ」

 

 原作では、准将を軍に残そうとしてマリューと揉めたナタルだが、現状では正反対のようだ。模範軍人ではあるが、情が無いわけではないナタルは、キラのことを使い潰そうとは考えられないようだ。

 

「大丈夫よ、ハルバートン提督は、人情家よ。悪いようには、ならないはずよ」

 

 ハルバートンの人となりを知るマリューは、全幅の信頼を置いている上司を信じた。

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

「【スカイグラスパー】? 大気圏用の機体じゃねえか!」

 

 第8艦隊からの補給物資でてんやわんやしている格納庫で、マードックが目録を確認している。

 

「お! おい、ボウズ! ()()、補給の中にあるぞ!」

 

 マードックから待望の知らせを聞いたキラは、調整中のコックピットから飛び出した。

 

「本当ですか!? なら、すぐ出してください! 調整します!」

「おいおい、今からか? まだ、他の補給物資の納品終わってねえぞ!」

「必要になるんですよ! 出してさえくれれば、調整は俺とフレイでやります!」

「わかったよ!」

 

 

 マリューたちとの話し合いを終えて、ハルバートンがマリューとナタルを連れて格納庫にやって来ると、そこは戦場のような様相だった。

 

 なにやら、【ストライク】のまわりで大騒ぎしているが、その中に目当ての少年を見つけた。

 

「君が、キラ・ヤマトくんだな」

「ハルバートン提督!?」

 

 マードック他整備兵が、突然のお偉いさんの登場で固まった。

 

「報告書で見た。君にお礼を言いに来たのだが、こんなところにいていいのか? もうすぐ、地球に降りるシャトルの搭乗が始まるぞ」

 

 アニメで見た通りに、ハルバートンがとてもまともな軍人であることがわかったキラは、ずっと考えていた計画通りに動くと決めた

 

「ハルバートン提督。【アークエンジェル】は、この後どうなるんですか?」

「【アークエンジェル】は、地球に降りる」

「そうですか。なら、行き先はアラスカ辺りですか」

「ほう、よくわかったな」

 

 原作と同じことを確認したキラは動いた。

 

「なら、アラスカまでは一緒に行きます」

「なに? 何故だね?」

「キラくん!?」

 

 キラの突然の宣言に、マリューは頭が真っ白になった。先程まで行っていたハルバートンとの話し合いでも、キラたち学生は艦から降ろすことになっていたからだ。原作と違いナタルが余計なことを言わないのでスムーズに進んだのだが、まさかの張本人がぶち壊した。

 

「キラくん、なに言ってるの!? やっと降りられるのよ!?」

 

 キラの精神状態を知っているマリューは、半狂乱でキラを揺すった。マリューからしたら前回の【ガモフ】との戦闘だって気が気じゃなかったのだ。戦闘後に話してみれば、何やら落ち込んでいたし、一刻も早く戦争から離れて欲しかった。

 

「だって、このまますんなりいく筈ないですよ?」

「なに?」

 

 マリューをあえて無視したキラの言葉に、ハルバートンが興味を示した。

 

「俺がザフトだったら、【アークエンジェル】をこのまま見逃すなんて、絶対にしない。自分達の庭である宇宙にいる間に落としたい筈です」

「つまり、追撃があると言いたいのかね?」

「はい。戦艦とモビルアーマーでは、モビルスーツに勝てません。しかも向こうにはGがあります。クルーゼ隊なら、仕掛けてくると思います」

「だから、自分が戦うと?」

 

 ハルバートンは、じっとキラの目を見た。

 

「はい。マードックさんも第8艦隊と言えど、パイロットはひよっ子揃いだと言ってましたし」

 

 キラの言葉に、マードックがやめろ馬鹿と言わんばかりの顔をしていた。

 

「ハッハッハ! 一本取られたな。確かに今の連合にいるベテランは少ない。しかしだな、例え第8艦隊を犠牲にしてでも【アークエンジェル】と【ストライク】はアラスカに降ろすべきだと、私は考えている」

「閣下!」

 

 今度はハルバートンの言葉に驚くマリュー。さっきから振り回されまくっている。苦労人だなー。

 

「確かに【アークエンジェル】と【ストライク】のデータは貴重だと、俺も思います。でも、連合も一枚岩ではないですよね? 万が一ハルバートン提督が亡くなった場合でも、ハルバートン提督の理想通りに事が運びますかね?」

「……」

「だから、第8艦隊の犠牲も最小限にするべきだと思います」

「それができれば苦労はないが……」

 

 ハルバートンの脳裏に、利権絡みで役に立たない事ばかりに予算をつぎ込む馬鹿共が思い浮かぶ。確かに自分が死ねば、G計画も政治ゲームやマネーゲームに翻弄されるかもしれない。

 

 ハルバートンの憂鬱そうな顔に、マリューも下を向く。今の連合には、モビルスーツとまともに戦える戦力は無い。それを覆す為のGなのだ。まあ、そのGの大半は敵の手に渡ってしまったのだが。

 

「その為の()()()ですよ」

 

 ハルバートンがキラの指差す方を見れば、何やら見たことないパーツがある。G計画の責任者であるハルバートンが見たことがないパーツだ。

 

「なので、アラスカで確実に除隊できるようにして欲しいんですけど。お願いできますか?」

「除隊については、何とかしよう。だが、次の戦闘は生半可なことでは無いぞ。覚悟はあるのか? 意思の無いものに、なにもやり抜くことはできんぞ?」

「はい、覚悟の上です!」

 

 キラの揺るぎ無い目を見て、ハルバートンは頷いた。

 

「そうか、手続きはこちらで、上手いことやっておく」

「ありがとうございます」

「……良い時代が来るまで、死ぬなよ」

 

 良い時代が来るまでじゃない。キラ自身が、良い時代を作るのだ。その覚悟が無ければ、主人公などやっていられない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

【ストライク】の調整が終わったキラが、フレイを連れて避難民のシャトル乗り場までやって来た。

 

「キラ!」

 

 声がした方を見れば、トール達学生組全員が揃っていた。全員不安そうな顔をしている。

 

「お前、残るって聞いたけど……」

「ああ、アラスカまでは付き合うことにした」

「理由は?」

「【アークエンジェル】人手不足だろ? だから降りるまでは、手伝おうかなって」

 

 キラたちの話し合いは、一人の少女によって一時中断された。

 

「お兄ちゃん!」

 

 避難民の少女、エルだ。

 

「いままでまもってくれて、ありがと!」

 

 満面の笑みとともに、折り紙で作られた花がキラに手渡された。どれだけ辛く苦しかろうとも、戦ってきた意味の一つが、確かにそこにあった。

 

「こっちこそ、素敵なお花をありがとう」

 

 母親の元に戻るエルを見送る。それを見たトールが、口を開いた。

 

「……まだ、終わってないのか?」

「このまま終わるとは思えない。この艦には、それだけの意味がある」

「そっか」

 

 ビリビリという音が響いて、全員の視線がトールの手元に集まった。視線の先には、破かれた除隊許可証があった。

 

「お前だけに、良い格好はさせられねぇな」

「トール……」

 

 トールとキラの視線が重なり、笑い合った。

 

「じゃあ、あたしも」

「俺も」

「みんなが残るってのに、俺だけじゃな」

 

 ミリアリア、サイ、カズイも続いて除隊許可証を破いた。そして、全員の視線はフレイへ。

 

「キラが残るなら、私も残るわ」

 

 全員が見合い、一拍置いて笑い合った。《ヘリオポリス》を出てから、初めて心から笑えた瞬間だった。

 

(守ってみせる。あの子も、みんなも。今度こそ、必ず!)

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 ブリッジで、マリューとナタルは苦悩していた。先程のキラの言葉が頭を離れない。しかし、現実は待ってはくれない。

 

 警報が鳴り響き、レーダーが敵を捕らえた。作業が中断され、迎撃の準備が整えられていく。

 

「くっ、この人員では……」

 

 しかし、現在のブリッジクルーでは数が足りない。このままでは、戦闘も儘ならない。

 

「遅れました!」

 

 そこに、トールら学生組が入ってくる。

 

「あ、あなた達、どうして!?」

 

 驚くマリュー達だったか、トールが呆気らかんと答えた。

 

「キラが残るって言うんで、俺たちも」

 

 みんなとアイコンタクトを取りつつ、それぞれの持ち場につく。

 

 その光景に、マリューの目が僅かに潤む。これで、最低限【アークエンジェル】は戦える。

 

 そこに、キラから通信が届いた。

 

「マリューさん、状況は!?」

「敵はナスカ級1、ローラシア級2よ。モビルスーツは10機を越えてくるでしょうね」

 

 マリューは自分で話してみて、改めて寒気がした。【ジン】だけでも厳しいのに、これにGも加わるのだ。はっきり言って壊滅の危機だ。

 

「了解しました。即興で迎撃プランを組んだので、確認をお願いします」

「え?」

 

 マリューが訝しむと、本当に送られてきた。

 内容を確認したマリューとナタルが息を呑む。

 

「キラくん、本気?」

「伊達や酔狂で、こんなプラン組みませんよ。これで、みんなで生き延びます」

「……わかったわ」

 

 マリューとナタルが頷き合った。

 

「ナタル、すぐにこのプランのブラッシュアップを。私は【メネラオス】と連絡を取ります。キラくんは【ストライク】の準備を!」

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

「正気か、貴様ら!?」

 

【アークエンジェル】からの連絡に、副官のホフマンが怒鳴り散らした。全くこの副官は口煩いのが欠点だなと、ハルバートンは長年の右腕に内心文句を言いながら思考する。リスクは大きい。しかし、リターンも大きい。本来なら兵の命を預かる将官が博打などするものではないが、あの少年の目を見てしまったのだ。信じたくなる。

 

「構わん。その作戦でいこう」

「か、閣下! よろしいのですか!?」

 

 ハルバートンは慌てふためく副官に、ニヤニヤと笑いながら悪童のように話し掛ける。

 

「どうせ戦艦とモビルアーマーでは、分が悪いのだ。どうせ賭けるなら、アガリは大きい方が良かろう」

「ハアッ。若い頃から変わりませんな」

 

 溜め息吐いたホフマンだったが、一瞬で切り替えた。きっと彼も苦労人なのだろう。

 

「陣形を組み直せ! 残された時間は少ないぞ!」

 

 

 

 

「フム。陣形を動かしているな。さて、知将ハルバートンどうする?」

 

【ヴェサリウス】のブリッジで、クルーゼが戦況を見ている。

 

「【ツィーグラー】に、【ジン】が6機。我が艦には3機、それにミゲルの【ジンハイマニューバ】とアスランの【イージス】、隊長の【シグー】。【ガモフ】も【ブリッツ】と【バスター】は出られます。戦力的にはいけますが」

 

 アデスの戦力分析に、クルーゼは頷いた。

 

「知将ハルバートン、ここらで退場して貰おうか。足つきは、なんとしてでもここで沈める! 全機発進させろ!」

 

 クルーゼの指示で、続々とモビルスーツが発進した。

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 第8艦隊の陣形は少し特殊だった。密集陣形ではあるが、【アークエンジェル】だけが少し外れていた。まるで、餌のように。

 

 これは、【アークエンジェル】の火力を十全に発揮する為と撒き餌だ。

 

「【ストライク】、【メビウス・ゼロ】発進させて!」

 

 発進前に、最終チェックが行われる。コックピット前にいたフレイが、心配そうにキラに話し掛けた。

 

「必ず帰ってきてね」

「ああ、約束する」

 

 フレイが、名残惜しそうに離れていく。

 キラは、エルから貰った花をコックピットに挿した。

 

「今度こそ、変えてみせる!」

 

【ストライク】が発進した。ただ、今までとは、フォルムが違う。明らかにゴツい。

 

「この【パーフェクトストライクハイマニューバ】で!」

 

【パーフェクトストライク】とは、エール、ソード、ランチャーの各ストライカーを統合した全領域対応型を目指したマルチプルアサルトストライカーを装備した状態を指す。

 

 しかし、マルチプルアサルトストライカーは欠陥兵器だ。武装を盛り過ぎた結果、エネルギー消費が爆増。それを補う為にバッテリーを増設。そのせいで、武装と合わせて重量も爆増。総重量は約2倍となった。

 

 折角のエールの機動性は死に、武装の煩雑さがパイロットに負担を強いる。しかも、重量が上半身に集中しているので、重量バランスも最悪だ。機体への負荷も大きいだろう。原作でも、リマスター版のオーブ防衛戦で使われたきりだ。

 

 そもそも【ストライク】の売りは、ストライカーパックを換装することで、様々な戦況に対応することにある。つまり、マルチプルアサルトストライカーは本末転倒な装備なのだ。

 

 キラは、マルチプルアサルトストライカーが第8艦隊からの補給で受領していたことを原作知識から知っていた。第8艦隊を、ハルバートンを生かすという無茶を通すには、無茶な装備が必要だった。だから、こんな欠陥兵器を使うことにしたのだ。

 

 とはいえ、そのまま使うのは馬鹿がすること。人の夢たるスパコはそんなことしない。【ストライク】自体にもデータがあったので、それをベースに実用に耐えられるレベルまで改造することにした。

 

 だが、マルチプルアサルトストライカーを受領してから戦闘まで時間が無いので、ストライカー自体を改造するのは現実的では無い。なら、他で補うしかない。

 

 先ずは機動性。重量で機動性が死んでいるのは、スラスターを増設する力業で補う。重力下なら兎も角、無重力では重量による負担が軽減される。デブリ帯で残業して集めた【メビウス】や【ジン】のパーツを使い、下半身を重点的に改造。スラスターマシマシで、下半身がゴツくなった。

 

 下半身が増量されたことで、多少は重量バランスが改善された。まあ、マルチプルアサルトストライカーのエール部分の主翼やメインスラスターにもスラスターを増設しているので、雀の涙程度だが。エールストライカーの実物があったお陰で、外付けするくらいなら短時間で出来たのは、僥倖だった。

 

 脚部を包むように、装甲とスラスターを増設。腰部は、サイドとフロントのアーマーにスラスターを増設。胸部は、チョバムアーマーのような装甲を増設。マルチプルアサルトストライカーは、主翼とメインスラスターにスラスターを増設。

 

 増加した重量をスラスターでゴリ押しする。まるで、トールギスのような設計思想だ。

 

 武装は、原作からシールドをソードのものから、エールのものに変更して、『ビームライフル』を装備している。

 

 操作性は元より悪化しているが、そこは人力で補う。ナチュラルとは違うのだよ! ナチュラルとは! 

 

「データとの誤差は、許容範囲内。いける!」

 

 原作にはない、新たなる【ストライク】が、蒼い地球を背に宇宙(そら)を駆けた。

 

 

 

 

 

 

 

 




ずっと出したかったパフェスト。一応前から伏線は出してるんですよね。みんなも探してみてね。
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