やめてよね。俺が准将に転生しても同じように戦えるわけないだろ! 作:よみや
【アークエンジェル】の前に陣取った【ストライク】に、【アークエンジェル】からケーブルが伸ばされた。
「給電ケーブル接続ヨシ。……コンジット接続、補助パワーオンライン」
『アグニ』の砲身下部に、ケーブルが接続された。これは給電ケーブルで、【アークエンジェル】から電力供給を受けることで、【ストライク】本体のエネルギーを消費せずに『アグニ』を撃てるようになる。
「センサーを【アークエンジェル】とリンク」
【アークエンジェル】とセンサーを同期させたことで、本来【ストライク】では探知出来ない範囲まで、索敵が可能となる。
準備が整ったキラが、ハルバートンが乗船している【メネラオス】の方を向いた。そして、徐に通信を開いた。全周波で。
「【ストライク】より、第8艦隊へ!」
予定には無い行動に、皆が驚き耳をそばだてる。
「もう間も無く戦闘が始まります。敵は多数のモビルスーツを擁しています。戦艦とモビルアーマーでは、厳しい戦いになるでしょう。しかし、そういった戦局を打開する為に、【アークエンジェル】とGは作られました」
自分が計画を立ち上げた時を思い出して、ハルバートンは拳を握り締めた。
「【アークエンジェル】と【ストライク】がアラスカに辿り着けば、地球連合のモビルスーツ開発は飛躍的に進むでしょう。この一戦は、今次大戦のターニングポイントです」
怯えていた第8艦隊隊員の目の色が変わった。
「戦艦とモビルアーマーでは、【ジン】に勝てない。これは事実です。故に、その為の連合のモビルスーツ。その為の【ストライク】。計画発案者であるハルバートン准将の前で、その自説を証明して御覧にいれましょう」
思わず、ハルバートンは身を乗り出した。
「勝利の栄光を閣下に!」
【ストライク】は敬礼をすると、所定の位置へと移動した。
「か、閣下」
余りの発言に戦くホフマンを他所に、ハルバートンは腹の底から笑い声をあげた。
「ハハハッ! ならば見せて貰おうか! 我が地球連合のモビルスーツの性能とやらをな!」
◆◆◆
キラの通信は全周波で行われたので、当然ザフト側にも聞こえている。通信を聞いたザフト兵は、怒り狂った。
たかが一機のモビルスーツ如きが! と気炎をあげて突っ込んでくる。
「敵機が予定ポイントに入るわ! ファーストフェイズ開始!」
マリューの指示で、【アークエンジェル】が動き出した。
「『ローエングリン』一番二番起動! 斉射用意!」
ナタルの指示と共に、【アークエンジェル】が射角を調整していく。
「てぇ!」
【アークエンジェル】から放たれた陽電子砲が、漆黒の宇宙を切り裂き、敵モビルスーツに迫る。
「全機散開しろ!」
ザフト側は、ミゲルの指示で慌てて回避行動を取った。幸いにも距離が遠かった為、全機無事である。しかし、隊列は崩された。その上、モビルスーツ隊を通り過ぎた陽電子砲は、ザフト艦隊へと襲い掛かり、艦隊も陣形が崩された。
「続いて艦尾ミサイル斉射! 弾頭は近接信管にセットしろ!」
【アークエンジェル】から大量に吐き出されたミサイルが、モビルスーツ隊に襲い掛かる。
咄嗟に各々で回避や迎撃をするが、下手に近づけば爆発する為、困難を極めた。
「一機やられた!」
遂に【ジン】を一機落とした。しかし、【アークエンジェル】のミサイルは捌ききった。これから! とザフト兵が思ったところで、第8艦隊からのミサイル攻撃に晒された。
【アークエンジェル】に気を取られたところに、時間差攻撃。個人のスタンドプレーを重視し、組織的行動を苦手とするザフトにとって、艦隊の連携攻撃は脅威と言えた。
「チッ、【ジン】部隊は、艦隊を叩け! アスラン達は足つきを! イザーク、無理矢理ついてきた根性見せて貰うぞ!」
ミゲルの指示で、モビルスーツ隊が二手に別れた。しかし、動き出した【ジン】の一機が、赤いビームに撃ち抜かれた。
「なッ!? この距離でだと!?」
驚いたミゲルが【アークエンジェル】の方を見れば、【アークエンジェル】の近くに佇む【ストライク】から、赤い極太ビームが、雨霰と撃ち込まれていた。
「狙い撃つぜ!」
【アークエンジェル】のセンサーと同期している為、通常よりも遠くを狙える。それを最大限に活かし、『アグニ』を撃ちまくる。
多少威力が減衰しようが、元がコロニーの隔壁をブチ抜ける代物だ。【ジン】など一溜りもない。
キラの狙撃で二機の【ジン】が撃墜され、【ジン】の残りは6機。
「ここまでだな」
ケーブルを抜いたキラは、スラスターを吹かしモビルスーツ隊へ向かう。
「【ストライク】!」
憎悪に燃えるイザークが、キラを迎え撃った。
しかし、キラはそれを無視するように、【ジン】部隊の先を押さえる。
「第8艦隊は、やらせない!」
右手の『ビームライフル』、左手の『アグニ』、右肩の『120mm対艦バルカン砲』と『350mmガンランチャー』、頭部の『イーゲルシュテルン』を一斉に放つ。
「当たれッ!」
擬似フルバーストで弾幕を張り、また二機の【ジン】を撃墜した。
「クソッ! 囲め!」
ミゲル達ネームドがキラを囲もうとするが、そこに再び【アークエンジェル】のミサイルが殺到した。
「撃ち落とします!」
近接信管だと回避が困難な為、ニコルが撃ち落とそうとするが、ミサイルは途中で開き、中から榴弾が放たれた。
「対空榴散弾頭!?」
ニコルは、慌てて『トリケロス』のシールドで防御体勢を取った。
◆◆◆
「ここまでは、プラン通りね」
ナタルと頷き合ったマリューは、声を張り上げた。
「ファーストフェイズ終了。セカンドフェイズに移行する! フラガ大尉に打電!」
合図を受けたムウが、猛然と敵に迫る。
「ひよっ子達の前だし、格好つけないとねえ!」
「くっ、モビルアーマー如きが!」
攻撃を受けたディアッカが激昂した。
ムウの役目は、戦艦を一撃で沈めることができる【バスター】の相手だ。こいつを自由にさせると、戦艦が簡単に沈む。この時期のディアッカは残忍で狡猾らしいので、ちょっかいを掛ければ簡単に釣れる。グゥレイト!
「逃げるな、【ストライク】! でないと傷が疼くだろうが!」
イザークが【デュエルアサルトシュラウド】で、キラに襲い掛かる。
『ビームライフル』と『シヴァ』を連射しながら、『5連装ミサイルポッド』からミサイルを放った。
「しゃらくせい!」
キラが、『アグニ』を薙ぎ払い。ゲロビで相殺した。そのまま、お返しとばかりに『ビームライフル』と『アグニ』を連射して、イザークを押し返す。
「クソォ!」
『アグニ』は直撃すれば、PS装甲機だろうと一撃で撃破できる火力がある。イザークも回避するしかない。
【ジン】四機は抜けられたが、ここまで減らせばそうそう酷いことにはならないだろう。後は火力の高いGを何とかするだけだ。
「ッ!」
キラが咄嗟に背後にシールドを向けると、ビームを防いだ。
「【イージス】! アスランか!」
「キラ!」
背後から奇襲したアスランが、『ビームライフル』を連射しながら、距離詰める。アスランの脳裏に、キラやラクスの言葉が掠めた。
「うおおおッ!」
キラはシールドを掲げて、突っ込んだ。重たい機体を推力で誤魔化す。宇宙では、一度加速してしまえば、こっちのもんだ。
「チィッ!」
見た目の重量から、ぶつかれば不利だと悟ったアスランが避けるが、キラは『シュベルトゲベール』を持って猛追していく。
「その装備で、これだけのスピードを!?」
見た目とのギャップに、虚をつかれたアスランは何とかシールドで受けた。
「くっ、押し込まれる!」
しかし、勢いに乗った【パーフェクトストライクハイマニューバ】には、【イージス】の推力では対抗できず、吹き飛ばされた。
「アスラン!」
【アークエンジェル】を狙う動きを見せていたニコルが、アスランのピンチに慌てて戻ってきた。
「こいつ、今日こそ!」
ニコルが『ランサーダート』を発射するが、キラは『シュベルトゲベール』で切り払った。
反撃の『アグニ』は、『トリケロス』に防がれた。しかし、いくら対ビームコーティングが施されていたとしても『アグニ』の直撃は厳しい。『トリケロス』の表面は歪んでしまった。
「どけ! ニコル!」
再びイザークが迫るが、キラは慌てずに迎え撃つ。
「でぇい!」
互いに相手の剣をシールドで受けた。変則的な鍔迫り合いのようなものだが、まるで相撲のがっぷり四つのようだ。
「アサルトシュラウドが貴様に屈辱を晴らす!」
イザークはスラスターを全開にして、なんとか押しきろうとするが、総推力では【パーフェクトストライクハイマニューバ】が上。むしろ押し返された。
「クソッ!」
体勢を崩したところに、追撃のキックを食らってイザークは吹き飛んだ。
次のターゲットを【ブリッツ】に定めたキラは、『シュベルトゲベール』の切っ先を向けた。
「こいつ!」
ニコルとアスランが『ビームライフル』で狙うが、キラは『シュベルトゲベール』を八相に構えると、スラスターを全力で吹かせた。
あまりの出力に、スラスター光が一瞬羽のように広がり、爆発的な加速が【ストライク】を押し出した。
ビームを置き去りにするように宇宙を切り裂き、【ブリッツ】に『シュベルトゲベール』を振り下ろした。
「チェストォォ!」
「うわぁぁッ!?」
辛うじて『トリケロス』で受けたニコルだったが、先のダメージもあり、『トリケロス』は真っ二つに切り裂かれた。
「ニ、ニコルー!」
今度はアスランがニコルのフォローに入るが、スピードに乗ったキラを捉えられない。逆に『アグニ』をバラ撒かれ、ニコルを守る為にシールドで守るしかなくなり、シールドが溶けて砕けそうだ。
そこに復帰したイザークが攻撃を仕掛けた為、何とか窮地を脱したアスランとニコル。
「すいません、アスラン。僕は武装を失ったので撤退します」
【ブリッツ】の武装の殆どは『トリケロス』に集約されているので、『トリケロス』を失うと攻撃能力を喪失する。アンカーである『グレイプニール』だけじゃ戦えない。
◆◆◆
「……やられたな」
「……はい」
クルーゼの呟きに、苦々しくアデスが答えた。
「まさか、これほどとはな。知将ハルバートン、思いきった策を取ったものだ」
「初手で【ジン】を落とされ過ぎました。四機で艦隊を相手取るのは……」
「奪ったGもニコルは撤退、ディアッカはエンデュミオンの鷹と戦闘中。アスランとイザークは【ストライク】と戦闘中か。ミゲルも足つきと艦隊の連携の前に苦戦中だ」
一瞬考え込んだクルーゼだったが、即座に判断を下した。
「私も出る。【ヴェサリウス】は任せるぞ」
「はっ!」
原作と違い劣勢な為、クルーゼが出撃することになった。
◆◆◆
「手こずらせる!」
たった一人で【アークエンジェル】と戦うことになったミゲルだったが、大いに苦戦していた。
相手がミゲルの【ジンハイマニューバ】一機ということもあって、【アークエンジェル】は奮闘していた。
従来の連合の戦艦を上回る火力を遺憾無く発揮し、ミゲルを寄せ付けない。
「『ゴットフリート』一番てえ!」
モビルスーツでは、掠めただけで大ダメージのビーム砲を避け、果敢に攻め込む。
「『コリントス』てえ!」
しかし、ミサイルの弾幕が張られ、回避と迎撃を強いられる。
「『バリアント』てえ!」
それを凌げは、今度はレールガン。【アークエンジェル】の豊富な武装は、エースと呼ばれるミゲルであっても容易には突破できない。
「足つきだけならまだしも!」
しかも、時折艦隊からビームやらミサイルやらの援護射撃が飛んでくるし、離れたところには【メビウス】が陣取っており、こちらも時折レールガンやミサイルで援護射撃をしてくる。
「鬱陶しいんだよ!」
一対一ならば、【ジン】に軍配が上がるが、【メビウス】の武装でも直撃すれば【ジン】を撃破できる。機動戦では勝てないが、安全圏からの射撃戦を行えるならば【メビウス】も十分な脅威となる。
先程ミゲルが先に【メビウス】を落とそうとしたところ、艦隊の中に逃げられ無駄骨となった。徹底的な引き撃ち。これを【アークエンジェル】を囮にして行う。キラの作戦の一つだ。
「クソ、アスラン達はどうした!?」
◆◆◆
キラを相手取っているアスランとイザークだったが、仲が悪過ぎて連携できていなかった。消極的なアスランと頭に血が上っているイザーク。噛み合う訳がない。
「何なんだ、あのふざけた装備は!」
イザークはいきり立つが、火力に圧倒されている。
キラは使いきった増設バッテリーを一つパージしつつ、状況を確認する。
「戦況は理想通り。あともう少しだ!」
もう少しで勝ちきれるというところで、キラに冷や水を浴びせるようにレーダーが接近してくる機影を捉えた。
「新手!?」
「このまま見逃すというわけにはいかないのでね」
劣勢の為、自ら出撃したクルーゼがキラに迫る。
「確かに火力は脅威だが、その大型の装備や増加装甲はPS 装甲ではあるまい」
クルーゼが、マルチプルアサルトストライカーを『重突撃機銃』で狙い撃つ。
「気づかれたか!」
銃撃を大推力に任せた強引なターンで躱したキラは、機体正面を【シグー】に向けつつ『ビームライフル』を連射して牽制する。
「大分高度が下がっているな。あまり時間が無い。イザーク、アスラン回り込め!」
クルーゼの指示でイザークとアスランが、キラの背後に回り込む。しかし、アスランに勢いが無い。三機で連携すれば、キラを落とせてしまうかもしれない。アスランは、一瞬躊躇した。
「アスラン、ごめん……」
その隙に急加速したキラが、アスランに『シュベルトゲベール』で斬り掛かる。
シールドごと左腕を切断された【イージス】に、イザークが慌ててフォローに入った。
「貴様、何をやっている!?」
「すまない……」
キラは追撃はせずに、すぐに離れた。
「アスランは帰投しろ。その損傷では戦えまい」
「……隊長」
「私は言った筈だぞ。撃たなければ、次に撃たれるのは君かもしれんと」
「……はい」
過去の想いは振り切った筈だった。何故なら言ったのだ。次に会う時は、自分が撃つと。……そう言ったのだ。
「俺は……」
アスランは静かに、【ヴェサリウス】へと帰投した。
◆◆◆
「この傷の礼だ! 受け取れえ!!」
キラは、イザークの猛攻をいなしつつ、クルーゼの嫌らしい攻撃を注視する。
「チッ、随分と反応が良い」
戦場を縦横無尽に駆け抜け、撃ち合い、斬り合う。
それを第8艦隊の皆が見ていた。
「ザフトのモビルスーツに、なんとか対抗せんと作ったGだったが」
【ストライク】が、ザフトの最新鋭機である【シグー】を圧倒している。ハルバートンは、地球連合はまだ戦えると確信した。
「ッ!? ローラシア級が一隻、突出してきます!」
オペレーターの声と共に、【メネラオス】が揺れた。
「特攻のつもりか!?」
「狙いは本艦ではない! 【アークエンジェル】か!」
ホフマンが敵の覚悟に腰が引けるが、ハルバートンは冷静に敵の狙いを看破した。
「やっぱり来たな!」
それを確認したキラが、コンソールを弄った。すると、増設スラスターのリミッターが外れ、出力が上がる。
イザークとクルーゼを振り切ったキラが、【ガモフ】に吶喊する。
「こいつで、ダウンだ!」
機関部と砲台を『アグニ』で撃ち抜き、艦橋を『シュベルトゲベール』でブッタ斬った。
大きく軌道が変わった【ガモフ】は、しばらく力無く重力に引かれた後に爆散した。
「そろそろ潮時か……」
クルーゼが戦場を確認すると、【ジン】は更に数が減って残り二機。モビルスーツによる圧が減ったことにより、艦砲が【ヴェサリウス】と【ツィーグラー】を襲っており劣勢だ。いくらアデスが優秀でも数が違い過ぎる。第8艦隊側も損傷多数ではあるが、沈んだ艦は無い。まだまだ火力は健在だ。
「こいつ、よくも【ガモフ】を!」
今まで【アークエンジェル】と戦っていたミゲルが、キラへと攻撃する。実体弾しかない【ジンハイマニューバ】でもやりようはある。
ミゲルの【ジンハイマニューバ】が放った弾丸が、【パーフェクトストライクハイマニューバ】の右肩のコンボウェポンポッドを撃ち抜いた。
咄嗟にコンボウェポンポッドをパージしたキラは、左肩の『マイダスメッサー』を投げつけ【ジンハイマニューバ】のシールドを切り裂いた。
「まだだ!!」
ミゲルが、正確にPS装甲を避けて狙い撃つ。
「くっ!」
ピキーン! ときたキラは、咄嗟に増設バッテリーを全てパージした。想定外の加速に、ミゲルの放った弾丸は外れ、『シュベルトゲベール』が【ジンハイマニューバ】の両膝から下を切り裂いた。
「ミゲル! おのれぇ!!」
イザークが追い縋るが、決定打は与えられず、どんどん高度が下がっていく。
「間も無く、フェイズ3に突入します! 融除材ジェル展開!」
【アークエンジェル】が、赤く染まる。それを見届けた第8艦隊は離脱を始めた。
「行け【アークエンジェル】。君達こそが、我々の希望だ」
原作と違い損害こそ出ているが、大部分が無事な第8艦隊。これが、世界にどういった影響を及ぼすかは、まだ誰にもわからない。
◆◆◆
「も、戻れない!」
重力に捕まった【バスター】が、大気圏に引き摺り降ろされていく。
それを横目にキラとイザークは、激しくぶつかり合っていた。
「キラくんは!?」
「【デュエル】と交戦中!」
ブリッジにいる皆が心配そうに見つめるが、既に大気圏に突入している為、【アークエンジェル】にできることはない。
「しつこい!」
互いに剣をぶつけ合い、シールドを削っていく。大気圏への突入は始まっている為、動きが鈍重だ。
「この、いい加減に!」
【ストライク】の蹴りが、【デュエル】の右手を捉え、『ビームサーベル』を弾き飛ばした。そのまま加速して、追撃の蹴りを食らわせる。
反動を活かして【アークエンジェル】へと向かうが、増設スラスターはリミッターまで解除しているので、悲鳴をあげている。
「保つか!?」
キラの意識がスラスターに取られた隙に、イザークが【ビームライフル】を構えた。
「逃げるな! この腰抜けがァ!!」
【ビームライフル】下部から放たれたグレネードが、【ストライク】へと飛ぶ。
「しまった!」
反応が遅れたキラが、咄嗟に『イーゲルシュテルン』で撃ち落とそうとするが当たらず、シールドに直撃した。
大きな爆発が起き、【ストライク】は大きく軌道を外れた。これにはイザークも追撃はできず、戦闘は終了となった。
「不味いわ!」
「【ストライク】の突入角度大きくずれます!」
【ストライク】の状況を把握した【アークエンジェル】側も慌て出した。
「キラ、戻って! キラ!」
「無理だ! もう、【ストライク】の推力では!」
ミリアリアが必死に呼び掛けるが、無理なものは無理だ。無理だと言ったナタルも必死に頭を巡らす。
「【アークエンジェル】のスラスターなら、まだ間に合うわ! 寄せて!」
即断で指示を出したマリューに、ナタルが静かに問い掛けた。
「その場合、【アークエンジェル】の降下地点もずれますが」
「【ストライク】を失ったら意味が無いのよ」
マリューの答えに、ナタルも頷いた。
キラ側も何とかしようと足掻くが、強大な重力の檻の中では、ちっぽけなモビルスーツではどうしようもない。
「結局こうなるのかよ!」
シールドを構えつつ、キラは保険で用意した装置を起動した。胸部周辺の増加装甲に仕込まれた冷却装置が起動して、コックピットの温度を下げていく。
キラは、近寄ってくる【アークエンジェル】の甲板目指して【ストライク】を操縦しつつ、降下予測地点を計算した。
コンピューターが算出した降下予測地点は、原作通りアフリカ。良いのか悪いのか、原作通りであった。
これは定めか、それとも必然か。舞台は、苦難待ち受ける砂漠の地へと移った。
地上ではもっとイチャイチャ書きたいなー。