やめてよね。俺が准将に転生しても同じように戦えるわけないだろ!   作:よみや

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最近出たユウナに転生する作品が面白い!
YouTubeのあにまんネタの頃から好きだったんですよね。
もっとSEEDの二次が増えるといいな。


PHASE -19 凍てつく砂塵

 

 

 

 

 

 キラとフレイが気持ちを伝え合って、最初にしたのはサイへの説明だった。

 

 正式な婚約者ではないとはいえ、筋は通すべきだし。フレイは、父親が死ぬまでは散々サイに甘えてたしね。

 

「サイ、ごめんなさい」

 

 フレイとキラの話を聞いたサイは、一瞬瞑目した後に口を開いた。

 

「……正直、いつかはそうなると思ってた」

 

 サイは口惜しそうではあるが、どこか腑に落ちている様子だった。

 

「普段の様子を見てれば、遅かれ早かれって感じだったし。それに、婚約は正式なものじゃないしさ」

 

 サイとフレイは口にしないが、フレイの父親が死んだことで婚約の話は白紙になる可能性が高い。ジョージ・アルスターのいないアルスター家に、どこまで価値があるのかは不透明だ。

 

「キラ、フレイのこと頼むな」

「ああ、必ず守ってみせるよ」

 

 これで表向きはフレイと付き合いながら、裏ではマリューとナタルにも手を出しているスーパーコーディネイターが爆誕した。合意の上とはいえ、書き出して見ると刺されそうなクズ男だな。これが人の夢! 

 

 キラとフレイが去った後、遠慮がちにカズイが口を開いた。

 

「サイ、いいの?」

 

 ちなみに、サイ以外にも学生組は全員いた。

 

「そりゃ、キラとフレイが最近仲良いのは知ってたし、キラが駄目とも思わないけど、サイだってずっとフレイのこと支えてたわけだし。これでいいの?」

 

 カズイの言葉に、サイは下を向いた。

 

「……俺だって、完全に呑み込めたわけじゃないよ。でも、キラのあの叫び声を聞いて、俺はフレイの為にあそこまで必死に、それこそ命懸けで何かしたことあったかなって思ってさ」

 

 サイの声には、僅かな羨望が混じっていた。

 

「それに、状況が変わって婚約もどうなるかわからない。……俺は親の意向を無視して、フレイと一緒になる自信が無いよ」

 

 寂しそうなサイの言葉に、カズイは何も返すことができなかった。でも、下手な慰めは辛いだけだから、それで良かったのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 夜中、ロマンティクス後のキラとフレイがベッドで、ピロートークをしていた。

 

 キラとフレイの仲は濃くはあるが、まだ短い。いくらでも話すことはあり、話しているだけでメンタルが上向いていった。

 

 しかし、そのまま幸せに浸ってなどいられない。何故なら、ここはコズミック・イラなのだから。

 

 警報が鳴り響き、敵の攻撃が知らされた。

 

 キラが【ストライク】に搭乗した段階では、敵の攻勢は散発的で小手調べであることは明らかだった。

 

「状況は?」

「敵ミサイルは砂丘の影からの攻撃で、発射位置特定不能。他には戦闘ヘリ【アジャイル】が、散発的に攻撃を仕掛けてきてるわ」

 

 ミリアリアに確認した限りでは、原作から外れてはいないようだ。

 

「【ストライク】の発進許可を! 敵の反応を見ます」

 

 キラの意見に、マリューは一瞬思案するが、【アークエンジェル】では小回りが利かず、戦い辛い。【ストライク】を出すよりなかった。

 

「【ストライク】発進! フラガ少佐は、【スカイグラスパー】にて待機!」

「【ストライク】発進了解。ストライカーはランチャー。あと試作ライフルを」

 

【ストライク】の発進準備が整えられていく。【バクゥ】と戦うならば、機動性に優れるエールが良いのだが、原作通りなら【レセップス】の艦砲射撃を撃ち落とす必要があるので、ランチャーで出撃するしかない。

 

「【ストライク】発進、どうぞ!」

「キラ・ヤマト、【ストライク】行きます!」

 

 カタパルトから発進した【ストライク】が、重力に引かれて地上に降りた。

 

「……これで、どうだ?」

 

 キラは()()()体勢を崩すと、よろめいて膝をついた。

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 砂丘に紛れていたバルトフェルドと副官のダコスタが、発進した【ストライク】を観察していた。

 

「あれが噂の【ストライク】か。見たところ、砂地に対応できていないようだな」

「そりゃヒト型のモビルスーツですからね」

「クルーゼ隊をコテンパンにしたと聞いたからどんなものかと思えば過大評価か? 装備も例のやつではないしな」

「データにあった装備は重武装ですし、砂漠での戦闘では使えないのではないでしょうか」

「まあいい、【バクゥ】を出せ。反応が見たい」

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

「釣れたな」

 

 接近してくる機影に、キラはブラフが効いたことを察した。

 

 四足歩行の獣のようなモビルスーツ。砂漠では王者と言って良い【バクゥ】が5機、【ストライク】へと迫る。

 

 砂地をものともせず、砂を蹴散らしながら走る姿は非常に安定しており、確かに強そうだ。しかし、そんなことは最初からわかっていた。原作知識は活かしてなんぼ。

 

 あっさりと立ち上がった【ストライク】は、不安定な砂地の上でも、しっかりと大地に立っていた。

 

 しっかりと昼間にテストを行い、接地圧の調整やら重力に対する調整やらを終わらせた【ストライク】にとって、砂漠など敵ではない。

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

「テストだあ?」

 

 寝起きのマードックは、キラの言葉に頭ボリボリしながら答えた。

 

「砂漠なんてデータ無いんですから、実地テストして調整しないと戦闘なんて無理ですよ」

「まあ、確かにな」

「なので、まず防塵処理お願いします」

「おう、任せとけ」

 

 さくっと決まったので、どんどん準備していく。

 

「つっても砂漠での運用なんて想定外だから、どこまでやれるもんだか。砂漠での整備マニュアルなんて無いしな」

「そこはマードックさんの腕でなんとか」

「できるならラミアス艦長をお呼びしたいくらいだっつーの」

 

 準備が終わっていざ発進となったが、手の空いている皆が興味津々で待っていた。特に開発者であるマリューは、今にもツナギに着替えて現場に飛び出して行きそうだ。隣でナタルが必死に止めている。

 

 取り敢えずストライカー無しで発進してみる。カタパルトも使わない。

 

「【ストライク】行きます!」

 

 スラスターを吹かして、空中に飛び上がる。重力に引かれて砂丘に着地したが、そのまま盛大にコケた。

 

「あ、コケた」

 

 見ていた全員が同じ反応をした。

 

 その後、起き上がっても【ストライク】は、よぼよぼの老人のような挙動でもがいていた。

 

「やっぱり流動性が高い砂地に対応できていないんだわ。接地圧の問題ね」

 

 皆がキラでもこれってやばくね。みたいに思っていたところに、マリューが専門家のように生き生きとしだした。流石本職は技術者。

 

「わかってたけど砂漠はキツいな。接地圧が逃げるなら、合わせりゃいいんだろ! 逃げる圧力を想定し、摩擦係数は、砂の粒状性をマイナス20に設定!」

 

 キラがキーボードを使いOSを調整すると、グラグラしていた【ストライク】が安定した。

 

「ヨシ! これを基準に、細かいところを調整だな」

 

 原作と違って戦闘中では無いのだ。調整が捗る捗る。接地圧だけでなく、『ビームライフル』を試射して熱対流もパラメーターに反映させた。実弾もバッチリだ。

 

 これなら、本番は最初からきちんと戦える。

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

「武装はミサイルポッドが4機、レールガンが1機か」

 

 キラは、第8艦隊の補給品の連合が試作した実弾ライフルを構えた。これは、【ジン】の『重突撃機銃』と同程度の性能だ。

 

「『アグニ』を撃ちすぎるわけにはいかないからな」

 

【バクゥ】がミサイルで攻撃してくるが、キラは回避行動を取りつつ、ライフルで撃ち落としていく。

 

 原作と違い、攻撃が当たらなければ、『アグニ』を撃ちすぎなければ、バッテリーが切れそうになることはない。

 

「意外とイケル! なら、プランBだ!」

 

 プランBとは、なるべく殺生をしないプランだ。こいつ懲りないなと思われるかもしれないが、相手がバルトフェルド隊だと少し話が変わる。

 

 原作でバルトフェルドは後にクライン派になり、ラクスと供に准将達と三隻同盟を結成することになる。もし、バルトフェルド隊の精鋭が生き残っていたら、この時に貴重な味方になるかもしれない。

 

 バルトフェルド隊はザフトでも珍しく統率が取れており、無駄な虐殺もしていない。隊員もバルトフェルドを心酔しているので、生かせば後々味方になる可能性があるのだ。

 

 その点が、砂漠編後の海編のモラシム隊との違いだ。モラシムはナチュラル憎しで戦っているので、キラも遠慮なく殺すつもりだが、バルトフェルド隊はできれば殺したくない。

 

宇宙(そら)じゃどうだったか知らないがな、ここじゃこの【バクゥ】が王者だ!」

「抜かせ! コズミック・イラの王者は俺だ!」

 

 キラが『アグニ』で、地表を舐めるように薙いだ。

 

「うわぁぁ!」

 

 狙われた機体は跳び上がって避けたが、躱しきれずに左前腕部が融けた。

 

「メイラム! こいつ!」

 

 味方がやられて激昂した奴が、突っ込んでいく。しかし、運動プログラムさえ調整できていればどうということはない。

 

 迎え撃つように、自分も突っ込んだキラは左サイドスカートから『アーマーシュナイダー』を抜いた。

 

「こ、こいつ!?」

 

 明らかな砲撃機が、インファイトを仕掛けてきたことにビビった【バクゥ】の動きが、一瞬鈍る。

 

 キラはその隙に、頭部に『アーマーシュナイダー』を叩き込んだ。

 

 キラの使う『アーマーシュナイダー』はゲーム風に言えば、確定急所、防御無視、確率即死くらいは能力ついてそう。

 

『アーマーシュナイダー』を刺された頭部は爆発し、これで2機の【バクゥ】が大幅に戦闘力を落とした。

 

 その様子を見たバルトフェルドは苦虫を噛み潰したような表情にしていた。

 

「やられたな。最初の様子はブラフか」

 

 砂地に対応している【ストライク】の動きに、バルトフェルドは驚愕する。

 

「舐めていたつもりは無かったが、クルーゼ隊をボコボコにしただけはあるということか。ダコスタ君、【レセップス】に主砲で足付きを攻撃させろ」

「了解です!」

「確かに脅威だよ、あのモビルスーツは。しかし、モビルスーツの性能差が、戦力の決定的差というわけでは無い」

 

 遠方の【レセップス】より、砲弾が発射された。

 

「緊急離床! 回避!」

 

 油断して地に降りたままだった【アークエンジェル】が慌てて回避しようとするが、全ては避けられず一発当たった。

 

 衝撃が艦を揺らす。マリューの乳も揺れる。ダメージエフェクトかな? 

 

「敵攻撃地点、南西20キロと推定! 本艦の装備では、対応できません!」

 

【アークエンジェル】のレーダーでは、【レセップス】が捕捉できないので攻撃が届かない。元が宇宙艦であるが故の弱点だ。

 

「俺が出る!」

 

 ムウが【スカイグラスパー】で緊急発進した。原作と違い、テストこそしていないぶっつけ本番だが、弾薬の積み込み等整備は終わっている。

 

「俺が行ってレーザーデジネーターを照射する! それを照準してミサイルを撃ち込め! それまで沈むなよ!」

 

【アークエンジェル】単独では無理だから、【スカイグラスパー】を中継役にする作戦だ。

 

「それまで何とか持ちこたえて!」

 

 マリューの激励にみんな奮起するが、【レセップス】の第二射が迫っていた。誤差を修正している二射目の方が精度が高い。

 

「直撃来ます!」

「衝撃に備えて!」

 

 直撃すれば最新鋭の【アークエンジェル】といえども撃沈の危険がある。

 

「一射目で射線はわかってるんだよ!」

 

 キラがライフルを地面に撃って、砂煙で煙幕変わりにすると空中に飛び上がった。

 

「SEEDが無くても!」

 

『アグニ』を最大出力に設定して、照射する。放たれた『アグニ』は夜空を駆け、砲弾は見事に『アグニ』に当たり爆発した。

 

 敵味方共に驚愕して、思考停止した隙をついて、キラが上空から残った【バクゥ】を急襲する。

 

『アグニ』が、1機の【バクゥ】のミサイルポッドを掠めた。パイロットは誘爆を避ける為に、慌てて切り離す。これで戦闘能力の大部分は消失。残り2機。

 

 キラは、右サイドスカートから『アーマーシュナイダー』を取り出すと突進してきた【バクゥ】を避けつつ、ウイングのスラスターに刺し込んだ。スラスターは火を吹き、爆発した。

 

 五体満足の【バクゥ】は、あと1機。【ストライク】のバッテリーには、まだ余裕がある。ライフルのマガジンを、コンボウェポンポッドのバインダー裏に懸架されている予備マガジンと交換した。

 

 ここからもう一押しというところで、【ストライク】のレーダーが複数の小さい反応を拾った。

 

「ここで来るのか!」

 

 砂漠を疾走するバギーの群れから小型のミサイルが発射され、【バクゥ】に降り注いだ。

 

 散開したバギーは、歩兵用のロケットランチャーを発射しながら果敢に攻め立てる。

 

「隊長! 明けの砂漠の奴らです!」

「チッ、連中勝ち馬に乗るつもりか」

 

 原作ではエネルギー切れ寸前の准将を救っていたが、キラはまだまだエネルギーに余裕があるので、ぶっちゃけ邪魔まである。ちょろちょろされると、攻撃し辛いのだ。

 

「ここまでだな。総員撤退!」

 

 見切りをつけたバルトフェルドは、目的である戦力評価は達成したとして撤退した。

 

 逃げ去るザフト軍に勝利の雄叫びをあげるレジスタンスを、キラは苦虫を噛み潰したような顔で見つめた。

 

 

 

 

 




そのうち閑話みたいな感じで、カットしてたイチャイチャシーンとか書きたいなー。
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