やめてよね。俺が准将に転生しても同じように戦えるわけないだろ!   作:よみや

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遂にタイトルの元ネタの場面に来ましたね。


PHASE -20 明けの砂漠

 

 

 

 

 

 

 戦闘終了後の【アークエンジェル】一向の前に、バギーが集まってきた。

 

 ぞろぞろとバギーを降りてくる明けの砂漠の面々をモニター越しに見ながら、キラは溜め息を吐いた。

 

 既に戦闘終了後なので、フェイズシフト装甲への通電は切っており、灰色の無骨な装甲に戻っている。そんな灰色の巨人をレジスタンスの男達は、興味深そうに見上げていた。

 

 先程ブリッジから連絡が来て、レジスタンスと話し合いを行うと言っていたので、おそらく原作と同じような流れになるのだろう。

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

「俺、こっちは得意じゃないんだけどねぇ」

 

 銃の弾倉を確認し、初弾を装填したムウがぼやくように言った。

 

 こちらを見て肩を竦めるムウに、体の力が抜けたマリューは微笑んだ。

 

「あら、いざという時は頼りにしてますよ」

 

 まあ正規の訓練を受けていないレジスタンスなんぞ、ザフトの特殊部隊と比べるべくもない。マリュー一人で、制圧できる。

 

 マリューが艦を降りて、レジスタンスの前に出た。それに合わせて、レジスタンスのリーダーらしき男が一歩前に出た。髭の濃い、頬に傷のある男だ。

 

「自己紹介といこう。俺は明けの砂漠のリーダー、サイーブ・アシュマンだ」

「あら、ご丁寧にどうも。私は地球連合軍第8艦隊所属、マリュー・ラミアスです」

 

 第8艦隊のところで、ざわざわと男達が浮き足立った。

 

「第8艦隊といやぁ、つい先日低軌道で派手に戦ったそうじゃねえか」

「ザフト相手に圧勝とか、どうせデマだろ?」

 

 サイーブの言葉に、まだ若い、幼いと言っていい少年が馬鹿にするように笑った。

 

 舐められたら負けなので、マリューがしっかりとその少年、アフメドを睨むと、サイーブがアフメドを黙らせた。

 

 原作と違ってマリューたちは、バルトフェルド相手にキラの力有りとはいえ、優勢に戦ったので明けの砂漠にもどこか畏れが見えた。

 

 その後、原作通りに二、三話した後にキラに降りてこいとの命令が下った。

 

 キラが【ストライク】を降りて、ヘルメットを脱ぐとざわめきが起こった。

 

 そのざわめきを切り裂くように、黄色い髪が走る。

 

「お前!」

 

 キラはやっぱり来たとげんなりしたような顔で、カガリを見た。

 

「お前がなぜ、あんなものに乗っている!?」

 

 そりゃ、元を辿るとオーブ上層部と君のせいなんだけど。

 

 しかも言葉と同時に殴り掛かるんじゃないよ。

 

 キラは反射的に、カガリを投げ飛ばした。

 

「うわぁ!?」

 

 尻を打って悶えるカガリを見ながら、キラは頭を掻いた。

 

 すぐさまサイーブがカガリを呼び戻したことで、取り敢えずはそれで収まった。ランボーみたいなキサカも、キラが投げただけで、その後に追撃しなかったので特にアクションは起こさなかった。キサカから見ても、あれはカガリが悪い。普通他所のパイロットに殴り掛かれば、投げられるだけでは済まない。全く、とんだじゃじゃ馬姫だ。

 

 場所を明けの砂漠の前線基地に移したマリューたちは、サイーブと深いところまで話していく。

 

「このアフリカだって、大陸中にザフトがいるわけじゃねえ。だが、3日前にビクトリアが落とされて勢力図が大きく変わった」

「ビクトリアが!?」

 

 ビクトリアは、マスドライバーを有する宇宙港だ。これで、また一歩地球連合は追い詰められた。

 

 元々アフリカは、アフリカ共同体と南アフリカ統一機構が対立しており、現在はそれぞれがザフトと連合に寄って争っている。そこに複数のレジスタンスが合わさって、アフリカは混沌の坩堝だ。まあ、今は世界中がそんな感じだが。

 

 ちなみに原作のアフリカはザフトがアフリカから撤退した後、連合側の南アフリカ統一機構が幅を利かし、鬱憤を晴らすかのように圧政を敷いたので、Destiny時代ではザフトに協力するレジスタンスが出てくる始末だ。まるで、コズミック・イラの見本みたいだな。

 

 首脳陣があーだこーだ話し合っている間に、キラはカガリと再会していた。現在は作業が一段落して休憩中だ。

 

「えーと、その、あの」

 

 来たのは良いが、言葉が出てこないカガリにキラは苦笑した。

 

「あの後どうなったかと思ってたけど、元気そうで良かったよ」

 

 しょうがないので、キラから話し掛けるとカガリもつられるように話し出した。

 

「さっきは済まなかった。その、つい勢いで。……そっちも無事で良かった。ずっと気になってたんだ」

 

 隣で不思議そうにしているフレイに説明すると、フレイは珍妙な生き物を見る目でカガリを見た。

 

「え、あなた助けてくれたキラに、問答無用で殴りかかったの? 頭大丈夫?」

「う、うるさいな! 学生やってた奴が、モビルスーツに乗ってたから混乱しただーけーだー!」

 

 自分でもやらかしたと思っていたのか、カガリは目を泳がせながらも何とか言い返した。裏でキサカは溜め息を吐いた。

 

 その後、三人で雑談しているといつの間にか夜になっていた。原作では、有名なやめてよねのシーンが始まるが、今作ではそんなことはない。え、タイトルになってるから、常時やめてよね状態? それはそう。

 

 何となく仲が良くなったあたりで、遠い空が明るくなってきた。まだ、夜明けには時間がある。

 

 心当たりのあるキラは、内心溜め息を吐いた。折角自分一人で勝てそうだったんだから、余計な手出しをしなければ攻撃されなかったのにと。

 

「空が! 空が燃えてる!」

 

 辺りは、蜂の巣をつついたような騒ぎになった。

 

「タッシルの方角だ!」

「タッシルと連絡が取れない!」

「半分は残れ! 別働隊がいるかもしれん!」

 

 明けの砂漠の面々が慌ただしく出発する中、マリューたちは対応に憂慮した。

 

「砂漠の虎は残虐非道とは聞かないけどねえ」

「しかし、この状況は?」

「さあ? だって、俺知り合いじゃないしねえ」

 

 ムウ、お前呑気か。ムウの緊張感の欠片もない言葉に、マリューは肩を落とした。

 

【アークエンジェル】側の対応としては、【スカイグラスパー】でムウが先行して、バギーでナタルたちを向かわせるということになった。

 

 ナタルと一緒にバギーに乗り込もうとしたフレイに、キラが声を掛けた。

 

「フレイ! これ、持ってって」

 

 フレイが受け取ったのはリュックだった。首を傾げるフレイに必要になるから上手く使ってとリュックを押しつけたキラは、【ストライク】で待機することになる。

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 結果から言えば、死者はいなかった。バルトフェルドは町を焼く前に警告を行っており、住民は避難することができた。

 

 家族が涙ながらの再会をしているのを眺めるムウのもとに、遅れて出発したナタルたちが合流した。

 

「少佐、これはいったい?」

「さあ? 取り敢えず全員生きてるみたいだけど」

 

 驚くナタルたちに、ムウは肩を竦めた。

 

「死んだ者はおらん。だが、食料、燃料、弾薬、全て焼かれた」

「くそ、どういうつもりだ虎め!」

 

 憤るサイーブに、ムウが言葉を掛けた。

 

「これは昨夜の一件に対する報復だろう。いや、どっちかと言えばお仕置きか。こんなことで済ませてくれるとは、優しいねえ虎は」

「こんなことだと!?」

 

 ムウの軽口にカガリが、猛然と噛みついた。

 

「町を焼かれたのが、こんなことか!? これのどこが優しいんだ!」

「気に障ったんなら謝るけどね。あっちは正規軍だぜ? 本気だったら、こんなもんじゃ済まないのはわかるだろう?」

 

 ムウとしては、現実を知らしめるつもりで言ったのだが、まわりはそうとは受け止めなかったようだ。ザフトなんてナチュラル憎しで戦っている奴が大半なので、バルトフェルド以外の大半の指揮官なら皆殺しだ。実際、ビクトリアでは降伏した連合兵を皆殺しにしている。ナチュラルの捕虜なんかいるかよ! 

 

「あいつは卑怯者だ! 我々が留守の間に町を焼いて勝ったつもりか!? 我々はいつだって、勇敢に戦ってきた!」

 

 その言葉を聞いたフレイは思った。勇敢に戦ったからなんだと言うのだろうか? そんなことを言ったらキラはずっと勇敢に戦ってきた。そんなキラが守れず苦しんでいるのに、勇敢かどうかなんてどうだっていい。

 

 それにフラガ少佐の言葉は、言い方こそデリカシーは無いが、言っていることは至極真っ当だ。生きていれば、手立てはある。そう、生きてさえいれば。

 

 そうこうしているうちに、明けの砂漠の大半はザフトを追って出発してしまった。

 

 ナタルたちは、それを見送るしかなかった。

 

 

 




カットシーン

休憩中のキラとフレイとカガリ

「お前たち仲良いな?付き合ってるのか?」
「当たり前よ!私、ゆうべはキラの部屋にいたんだから!」
「!?」
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