やめてよね。俺が准将に転生しても同じように戦えるわけないだろ!   作:よみや

24 / 24
SEED FREEDOM ZERO 待ってたぜぇ!


PHASE -24 水中戦

 

 

 

 

 

「明けの砂漠に!」

「勝ち取った未来に!」

「じゃあ、まあ、そういうことで」

 

 マリューたちは、サイーブと共に乾杯をした。最後の締まらない言葉はムウだ。

 

【アークエンジェル】一行は、見事バルトフェルド隊を撃破し、明けの砂漠の拠点で束の間の祝杯を挙げていた。

 

「っ!? ゴホゴホ!」

「プハァ!」

 

 酒精の強さに噎せるナタルだったが、マリューは美味しそうに飲み干している。いや、どっかのロボットアニメでも見た光景だな。サービスサービス! 

 

 キラは未成年だが、コーディネーターの身体スペックで酒は飲める。でも他の学生組は飲めないので飲んでない。

 

 死者を送る儀式は、厳かに進んでいく。読み上げられる名前は膨大な数だ。いったいどれだけの人が死に、そしてこれから死んでいくのか。バルトフェルド隊を退けても、ザフトが消えたわけではない。戦いは続いていく。

 

 きっと泣き崩れる遺族がいなくなることはないのだろう。あるいは、遺族ごといなくなるその時まで。

 

 死者を送る儀式の後も、宴会は続く。どこもかしこも大騒ぎだ。騒ぐ気分でない者は、とっくに引っ込んだ。

 

 ザフトに一矢報いたのを誇る為、死んだ者を笑って送る為、自分が生き残ったことを喜ぶ為。戦士たちは酒を飲み、騒ぐ。恐怖を忘れるように、誤魔化すように。

 

【アークエンジェル】の船員も同様に騒いでいる。彼らからすれば、エース部隊のクルーゼ隊に追い回され、やっとのことで第8艦隊と合流すれば、今度は地上で孤立して、またエース部隊のバルトフェルド隊に襲われるという悪夢。脅威が1つ無くなったのだ。どんちゃん騒ぎくらいしたいだろう。

 

 未成年組は酔えないので、早々に引き上げた。キラも艦内に戻ろうとしたところ、マリューたちを見つけた。

 

「キラくん、良いところに!」

 

 マリューに呼ばれてホイホイ来てみれば、ナタルが酔い潰れていた。お酒に慣れていないのに、無理して付き合って潰れたようだ。

 

「ナタルのこと、お願いしても良いかしら?」

 

 マリュー自身はまだまだ飲むつもりのようで、頬を赤らめて酒瓶を抱えている。

 

 酔っ払いに絡まれると面倒なので、キラはさっさとナタルに肩を貸して退散することにした。その際、ムウが俺もと逃げようとしたが、サイーブとマリューに捕まったようだ。

 

「おーい、キラ!?」

 

 ムウからの助けを無視して、キラは艦に戻った。不可能を可能にする男だし、ダイジョブ、ダイジョブー。南無三。

 

「うーん……、水……」

 

 気分が悪そうなナタルを部屋まで運び、上着を脱がせて水を飲ませる。

 

「気持ち悪い……」

 

 ナタルは、ヨロヨロとベッドに倒れ込んだ。

 

「顔色真っ青だし、一人にしとくの危ないかな」

 

 吐瀉物を詰まらせて窒息などしたら洒落にならないので、キラも介護のつもりで同じベッドに寝転がる。流石のキラも、この状態で盛ったりはしない。行為中に吐かれても嫌だし。

 

「大丈夫ですか?」

 

 キラが背中を擦ってやれば、ナタルはキラに体を寄せた。

 

「いつもすまない……」

 

 ナタルも軍人とはいえ、二十代半ば。まだまだ若造で、そんな中敵地で孤軍奮闘するのは、大きな負担だ。部下の前では強く見せても、心の内では不安なのだ。酒を飲み過ぎたのも、それが無関係では無い。

 

「我々は、君に負担ばかり掛けている……」

 

 キラは無言で、背中を撫でる。

 

「私は……」

 

 いつの間にか、ナタルは寝入った。苦しそうな寝顔だ。キラはナタルを腕枕しながら天井を見上げた。

 

「俺が守るさ……」

 

 今後待ち受けるだろう激戦を思い、キラは拳を握った。

 

「……おい……どこを触っている……」

 

 寝言を言いながら更に体を寄せてくるナタルに、キラは笑いながら力を抜いて抱き締めた。

 

「どんな夢見てるんだか」

 

 眠りに落ちるキラの横で、ナタルの寝顔が穏やかなものに変わっていた。

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

「海だー!」

 

 原作通りに、海へ出てインド洋を進んでいる【アークエンジェル】は、現在小休止で手の空いた船員たちは、外に出ていた。

 

 はしゃぐトールたちを尻目に、キラたちは別の場所でしっぽり楽しんでいた。

 

「海なのに水着が無いなんて……」

 

 落ち込むキラに、カガリは呆れたような眼差しを向けた。

 

「お前な……」

 

 結局カガリは原作通りに、着いてきていた。

 

「水着は無いから、これでどう?」

 

 フレイが上着を脱いで、シャツの裾を捲って絞った。健康的なエロスだ。

 

「優勝」

「カガリはやらないの?」

「するわけないだろ!」

 

 鼻の下を伸ばすキラと、カガリも巻き込もうとするフレイ。カガリは顔を赤らめて吠えた。

 

 原作では、キラを取り合って仲が悪かったが、こちらではフレイとカガリは穏やかに過ごしている。たまにカガリは呆れたような顔をしているけど。

 

「呑気だな」

「問題は無いさ。【ストライク】の防水処理はしたし」

 

 キラも遊んでいるわけではない。次の戦いに向けて、【ストライク】に防水処理を施したし、【アークエンジェル】のソナーの設定もした。働き過ぎである。

 

「防水処理をしても、あの機体は水中用では無いぞ?」

「しないよりはマシだろ」

 

 如何に優秀な【ストライク】であっても、飛べやしないし、泳げもしないのである。

 

 暫しの休息の後、警報が鳴り響いた。敵だ。紅海の鯱の異名を持つモラシムだ。

 

「海洋の真ん中は手薄じゃなかったのかよ!」

 

 ぶつくさ言いながら、ランチャーパックを装備した【スカイグラスパー】でムウが発進する。

 

 海の真ん中では、汎用型のモビルスーツなど役に立たないのでムウが主力だ。……普通なら。

 

「【ストライク】出ます!」

 

 キラが、甲板上へ【ストライク】を上げる。甲板に登った【ストライク】には、大型のストライカーパックが装備されていた。

 

「ライトニングストライカー、期待通りの性能なら良いけど」

 

 第8艦隊からの補給に混じっていた、試作ストライカーパックだ。OSが未完成だったものを、キラが使えるようにしたのだ。

 

「敵は【ディン】4に、【グーン】4!? 原作より増えてるじゃないか」

 

 実は原作とは異なり、モラシム隊は潜水艦が2隻となっている。

 

「センサー展開!」

 

 高感度センサーが展開し、敵機を捕捉する。

 

「銃身連結!」

 

 両腕下部にマウントされていた銃身を合わせて、長大な砲身を構える。

 

「ターゲットロック!」

 

【アークエンジェル】に攻撃している【ディン】の1機へと狙いを定める。

 

「墜ちろ!」

 

 ライトニングストライカー唯一の武装である『70-31式電磁加農砲』が吠える。難しい漢字だが、ようはレールガンである。

 

 吐き出された弾丸は見事【ディン】を貫き、爆散させた。

 

 ライトニングストライカーは長距離狙撃を主眼に置いたストライカーだ。その為高感度のセンサーを持ち、大型のレールガンを武装にしている。また、元々は稼働時間の延長を目指していた装備でもある為、大型のパワーパックを搭載しており、稼働時間に優れ、友軍機にエネルギー補給まで出来る。

 

 ただし、大型のパワーパックや冷却機の影響で機動性は高くなく、武装もレールガンのみなので汎用性は低い。

 

 だが、飛べず、泳げもしない現状では役に立つ。水中戦は原作でやった? どう考えても機体が痛むので、キラはなるべくやりたくないようだ。

 

 1機撃墜されたのにも関わらず、果敢に【アークエンジェル】に攻撃を加える【ディン】部隊。しかし、そもそも【ディン】の武装は対艦攻撃には向いてないので、そこまで脅威ではない。エンジン以外は大丈夫。【アークエンジェル】の火砲も強力だし。

 

「もらった!」

 

 また1機、レールガンに撃ち抜かれて【ディン】が墜ちる。

 

【アークエンジェル】にとっては、【ディン】よりも【グーン】の方が脅威だ。下方に対する攻撃能力が貧弱なので。

 

「小型ソナー投下」

 

 キラが、砂漠で仕入れた小型のソナーを海に投げ入れた。無理矢理ストライカーにくっつけたソナーと高感度センサーで、【グーン】の位置を探る。

 

「ソナーの反響とセンサーの熱源探知を合わせて!」

 

 鮫のように群がる【グーン】の位置を掴んだキラが、【ストライク】を跳び上がらせる。

 

「そこだァ!」

 

 弾丸を数発、海面に撃ち込んで、キラは【アークエンジェル】の甲板に戻る。

 

 数秒後、海面が爆発で盛り上がった。

 

「な、ナニィ!? 海中の【グーン】を狙い撃っただと!? ぐわぁ!」

 

【グーン】が落とされたことに動揺したモラシムが、【ディン】の翼をムウに撃ち砕かれた。

 

 その間に、キラがもう1機【グーン】を撃破した。

 

「くっ、撤退だ!」

 

 モラシムは砕けた翼でなんとかバランスを取ると、這う這うの体で帰艦した。

 

 

 

 

 

 

 




ライトニングストライカー映像で見たいなー。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜(作者:台風200号)(原作:ガンダム)

気がつけば、そこは『機動戦士ガンダムSEED』の世界だった。▼だが――転生したのはコーディネーターでも、英雄でも、パイロットでもない。▼よりによって「オーブのアスハ家三男」という、政治と陰謀の渦中に放り込まれる地雷原のド真ん中の最悪のポジションだった。▼未来を知る者として、タイガ・ウラ・アスハは決意する。▼――オーブを守る。▼――プラントの滅びを見届ける。▼…


総合評価:2621/評価:7.21/完結:274話/更新日時:2026年10月15日(木) 06:25 小説情報

キラ・ヤマトになってしまった…(作者:星乃 望夢)(原作:機動戦士ガンダムSEED)

なお、准将みたいに頑張らないと世界が簡単に破滅しそうな戦略兵器がポコポコ簡単に撃たれるマッポーめいた終わらない明日へ目指して「それでもっ、守りたい世界があるんだぁぁぁ!!!!」しないとならない模様。▼将来別嬪なお姫さまが嫁になったり、カッコいいロボットに乗ってオレTUEEEEE!!!!出来るイケメン主人公ではあるが、絶対に転生したくない主人公の1人である。▼…


総合評価:22978/評価:8.46/未完:117話/更新日時:2026年06月19日(金) 18:00 小説情報

スーパーコーディネーターの悪友(作者:アオノクロ)(原作:ガンダムseed)

キラの友人に悪ノリする友人がいたら、ってどこかで見たことのあるオリ主ものです。▼※SEED完結しました。▼※DESTINY完結しました。


総合評価:9426/評価:8.34/連載:175話/更新日時:2026年10月23日(金) 18:00 小説情報

続・黒いガンダムの宇宙世紀(作者:いずりょう)(原作:ガンダム)

 一年戦争は終わった。▼ 黒いガンダムを駆り、多くの者たちの運命を変えたレン・イズミ。しかし終戦後、ニュータイプとして高い軍事的価値を持つレン、アムロ、ララァを、地球連邦軍がそのまま自由にするはずもなかった。▼ 研究対象として囲い込まれるくらいなら、その立場そのものを利用する。レンはゴップ大将のもと、新たな特殊部隊――**BLACK RAVEN〈黒鴉隊〉**…


総合評価:1665/評価:8.38/連載:78話/更新日時:2026年10月25日(日) 12:00 小説情報

破滅フラグしかないボンボンに転生してしまった件 〜グフに踏み潰される運命なんて、全力で回避してやる!〜《完結》(作者:kiakia)(原作:機動戦士ガンダム SEED DESTINY)

「なんでよりによって、アイツなんだよぉぉぉぉ!!」▼ 目覚めると、そこはガンダムSEED DESTINYの世界。よりによって視聴者から「無能・姑息・情けない」と叩かれ、悲惨な最期を遂げた御曹司、ユウナ・ロマ・セイランになっていた。▼ 時は本編開始直前。目前にはユニウスセブン落下、大西洋連邦との泥沼の軍事同盟、そしてキラやシンとの敵対という、回避不能な破滅フラ…


総合評価:23694/評価:8.56/完結:177話/更新日時:2026年10月23日(金) 07:21 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>