やめてよね。俺が准将に転生しても同じように戦えるわけないだろ!   作:よみや

28 / 28
マリュー「キラくん、心配だなぁ」
キラ「もう、終わったで」


PHASE -28 一の矢

 

 

 

 

 

 

「そのデータディスクは?」

 

 震える指で、データディスクを指すエリカに、キラがドヤ顔で答えた。

 

「俺が作ったナチュラル用OS」

 

 砂漠に落ちた時点で、オーブに行く気満々のキラが準備しないわけがないのだ。

 

「【ストライク】ベースで作ってあるから、【M1アストレイ】のデータを見て調整すれば、すぐにでもテスト出来ますよ?」

 

 優秀過ぎる。目を白黒させているエリカを他所に、キラが近くの端末にデータディスクを読み込ませて、調整を始めていく。

 

「おい、キラ。お前、こんなのいつの間に用意してたんだよ!」

 

 驚いて興奮しているカガリに、キラが端末から顔を上げずに答えた。

 

「宅配便が遅れたら怒られるだろ? だがら、点数稼ぎに作ったんだよ。フレイやトールに協力して貰ったから、ちゃんとナチュラル用になってるよ」

 

 オーブ用であると同時に、無事にアラスカへ着いた時用の保険でもあるのだ。ハルバートン提督も結局オーブ以外の中立国で補給する時しか支援無かったし。流石に、ザフトの勢力圏を突っ切って送る支援は無理だったようだ。

 

 数十分の作業で調整は終わったようで、新しいOSが【M1アストレイ】に移植されていく。

 

 その結果。

 

「すごい!」

 

 パイロットであるアサギが興奮したように叫ぶ。

 

 少し前までのヨボヨボの老人というか、ただの的じゃんとした動きから一転、機敏に動く【M1アストレイ】。

 

 その動きは、機動兵器の名に相応しいものだった。

 

「細々とした調整やデバッグはありますけど、これで依頼は完了ですかね?」

「ッええ! そうね。ありがとう」

 

 自分たちではどれだけ時間がかかったかわからない難題が、爆速で解決したことに混乱するエリカ。

 

 それに畳み掛けるように追撃をするキラ。弱ったら追撃は基本。

 

「じゃあ、これからは個人的な話。ちょっと呼んで欲しい人がいるんです」

「呼んで欲しい人?」

 

 エリカは、呑気にもウズミ様かなと思った。

 

「サハク家の偉い人を。どうせ、どっかで見ているんでしょう?」

 

 エリカの顔がピシッと固まった。

 

「ど、どうしてサハク家を?」

「いや、ネットの掲示板の陰謀論の板だと、後ろ暗いことは大体サハク家だって言われてるので。……その反応だとビンゴみたいですね」

 

 エリカは、冷や汗がダラダラ垂らして動けない。すると、どこからかコツコツと靴音が響いてきた。

 

「ほう、どうやらなかなか頭がまわるようだな」

「ミナ様……」

「ロンド・ミナ・サハクだ。私に何のようだ? キラ・ヤマト」

 

 現れたのは、外伝での主要キャラ、ロンド・ミナ・サハクだ。

 

「追加で仕事をするから、報酬が欲しいと思いまして」

「……何の仕事をするというのだ?」

「その前に、認識の擦り合わせをしたいですね」

 

 キラが、オーブ関係者を見回した。

 

「その【M1アストレイ】は、何の為にあるんですか?」

「はぁ!? オーブの守りだって言っただろ!」

 

 キラの言葉に、カガリが即座に反応した。

 

「いや、どこ守るんだよ。M1は地上用の機体。オーブの領内のほとんどは海だぞ? 本土決戦用か?」

「え、それは……」

 

 カガリが言葉に詰まった。

 

「AMBACが利くから宇宙の拠点防衛には使えるけど、本土防衛には向かないだろ。飛べないし、泳げないんだから」

 

 ミナが、キラの言葉に頷いた。

 

「それは事実ではある。だが、オーブはやっと汎用型のモビルスーツを作れたレベルだ。局地戦向けはまだまだ先だろう。お前は、それをどうにか出来るのか?」

 

 ミナの言葉を受けて、キラが懐から2枚目のデータディスクを取り出した。

 

「追加の仕事は、オーブの防衛に関する兵器の開発」

「なるほど、報酬は何が望みだ?」

 

 面白がるミナの言葉に、キラはニヤッと笑った。

 

「俺はアラスカまで辿り着いたら、地球軍を除隊するので、その後オーブの防衛に関われる仕事に就けてください。出来れば、ある程度権力が欲しいですね」

「いいだろう。私の直属にしてやる。ただし、私の納得出来る兵器を作れたら、だがな」

 

 ミナは興味深げに、キラの持つデータディスクを見ていた。

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

「で、結局どうするんだ?」

 

 カガリが問うと、キラがフレイにデータディスクを渡した。

 

「メインモニターに出して」

「はい」

 

 キラが画面を指差すと、そこには戦闘機が映っていた。

 

「これは【スカイグラスパー】じゃないか」

「そう、【スカイグラスパー】だ」

 

 今さら戦闘機かと言いたげなカガリを無視して、説明を始めるキラ。

 

「オーブ防衛に必要なのは、空と海の戦力だ。当然空は戦闘機だ」

「連合は、【ディン】に負けてるじゃないか」

 

 カガリは不満そうだ。

 

「その通り、主力戦闘機の【スピアヘッド】では【ディン】に勝てない。そもそも、【ディン】は【スピアヘッド】に勝てるように設計されてるからな」

 

 キルレシオが違い過ぎるよ。物量作戦出来ないオーブじゃ、相手にならない。そもそも、連合相手の時点で、物量差で無理ゲー。

 

 そこで、改めてキラが【スカイグラスパー】を指差した。

 

「その点、こいつは単独で【ディン】を落とすポテンシャルがある。実際、カガリも1機落としてる」

 

 みんなの視線がカガリへと集まった。ちょっとたじろぐカガリ。

 

「モビルスーツに拘ると、グゥルのようなもので飛ばす必要がある。それだと数が用意出来ない。それに、戦闘機なら既存の戦闘機パイロットを流用出来るし、モビルスーツのような専門の訓練をしないで済むから速成出来る」

 

 機種転換どころか、兵種転換など訓練に時間がかかりすぎる。

 

「オーブの空軍は凄腕揃いって噂だし、それを活かした方が良いと思います」

 

 キラの言葉をミナは黙って聞いている。

 

「そこで、こいつ」

 

 キラが合図すると、画面が移り別の戦闘機のデータが映し出された。

 

「【スカイグラスパー】をベースに量産を前提に改良した」

 

 全員の目が、画面に集中する。

 

「まず、不要なストライカーパック関係の機能をオミット」

 

【ストライク】と連携するのが前提の【スカイグラスパー】から、主力量産機にするなら当然だ。だって、【ストライク】量産しないんだから。

 

「正直【スカイグラスパー】のコストの大部分はここです。換装システムそのものや、空中換装などに使う特殊なコンピューターは高いし」

 

 試作機は機能盛り盛りだから高いのだ。

 

「武装は基本そのまま。ビームを撃てるアドはでかいので」

 

 この時期、空飛ぶビーム兵器はザフトは作れてないからね。

 

「おおよその外観はそのまま。後は左右スラスターの外側に翼をつけて完成。ストライカーパックが無いなら、こっちの方がバランスが良い」

 

 暫し考え込んだ後、エリカが質問した。

 

「これを量産するとしても、コストが高くないかしら? 【スピアヘッド】よりは大分高いし、どこまで数が揃えられるか……」

「そもそも、【スピアヘッド】じゃカトンボのように落とされるだけです。連合のように数を揃えられるのなら兎も角、オーブでは少数精鋭が求められる。なので、戦闘機売りましょう」

 

 エリカが目をしばたかせる。

 

「幸いオーブの戦闘機も【スピアヘッド】のマイナーチェンジ版。連合に売っぱらって、そのお金を製造費に足しましょう。連合も戦闘機ならいくらでも欲しいだろうし、買ってくれますよ」

 

 ミナが満足そうに頷いた。いくらでも戦闘機が欲しい連合に戦闘機を売れば恩も売れるし、一石二鳥だ。

 

「悪くない計画だ。予算を得る為に、年寄りどもに見せてくるとしよう。こいつの機体名はどうする?」

「なら、日本と絡めて【トキ】で」

 

 キラの言葉に、カガリが首を傾げた。

 

「【トキ】って、時、時間ってことか?」

「戦闘機なんだから鳥に決まってるだろ。ニッポニア・ニッポンだよ」

「年寄りどもが好きそうな名前だ。取り敢えずは、M1のOSの作業の続きをしていろ」

 

 そう言うと、ミナはデータのコピーを取って足早に去っていった。

 

 

 

 

 

 

 




国鳥のキジと名前を迷ったけど、キジは地面にいるイメージがあったのでトキにしました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

キラ・ヤマトになってしまった…(作者:星乃 望夢)(原作:機動戦士ガンダムSEED)

なお、准将みたいに頑張らないと世界が簡単に破滅しそうな戦略兵器がポコポコ簡単に撃たれるマッポーめいた終わらない明日へ目指して「それでもっ、守りたい世界があるんだぁぁぁ!!!!」しないとならない模様。▼将来別嬪なお姫さまが嫁になったり、カッコいいロボットに乗ってオレTUEEEEE!!!!出来るイケメン主人公ではあるが、絶対に転生したくない主人公の1人である。▼…


総合評価:22990/評価:8.46/未完:117話/更新日時:2026年06月19日(金) 18:00 小説情報

アスハ家のハラキリ令嬢(作者:アキ山)(原作:ガンダムSEED)

これはIFの世界のお話。▼ウズミ・ナラ・アスハに実子がおり、その娘がカガリの妹として健やかに生きていた世界。▼オーブは連合に敗北し父は自爆、姉は宇宙に脱出したという絶体絶命の状況。▼国に残された末娘は自らの出自と時代の波に翻弄されることになる。▼しかし娘は一つだけ普通の子供と違うところがあった。▼母親の薫陶によって、民と家の名誉の為なら死ぬ事も厭わない武家幼…


総合評価:2100/評価:8.05/連載:7話/更新日時:2026年10月11日(日) 19:23 小説情報

スーパーコーディネーターの悪友(作者:アオノクロ)(原作:ガンダムseed)

キラの友人に悪ノリする友人がいたら、ってどこかで見たことのあるオリ主ものです。▼※SEED完結しました。▼※DESTINY完結しました。▼※FREEDOM完結しました。


総合評価:9604/評価:8.37/完結:177話/更新日時:2026年10月27日(火) 18:00 小説情報

破滅フラグしかないボンボンに転生してしまった件 〜グフに踏み潰される運命なんて、全力で回避してやる!〜《完結》(作者:kiakia)(原作:機動戦士ガンダム SEED DESTINY)

「なんでよりによって、アイツなんだよぉぉぉぉ!!」▼ 目覚めると、そこはガンダムSEED DESTINYの世界。よりによって視聴者から「無能・姑息・情けない」と叩かれ、悲惨な最期を遂げた御曹司、ユウナ・ロマ・セイランになっていた。▼ 時は本編開始直前。目前にはユニウスセブン落下、大西洋連邦との泥沼の軍事同盟、そしてキラやシンとの敵対という、回避不能な破滅フラ…


総合評価:23752/評価:8.56/完結:177話/更新日時:2026年10月23日(金) 07:21 小説情報

続・黒いガンダムの宇宙世紀(作者:いずりょう)(原作:ガンダム)

 一年戦争は終わった。▼ 黒いガンダムを駆り、多くの者たちの運命を変えたレン・イズミ。しかし終戦後、ニュータイプとして高い軍事的価値を持つレン、アムロ、ララァを、地球連邦軍がそのまま自由にするはずもなかった。▼ 研究対象として囲い込まれるくらいなら、その立場そのものを利用する。レンはゴップ大将のもと、新たな特殊部隊――**BLACK RAVEN〈黒鴉隊〉**…


総合評価:1718/評価:8.39/連載:84話/更新日時:2026年10月31日(土) 12:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>