やめてよね。俺が准将に転生しても同じように戦えるわけないだろ!   作:よみや

30 / 30
カガリ「儚いだろ?」
キラ「どこが?」


PHASE -30 三の矢

 

 

 

 

 

「ば、馬鹿な……」

 

 呆気なく、何の良いところもなくギナは負けた。

 

「確かに腕は良いけど、俺はクルーゼ隊、バルトフェルド隊、モラシム隊とザフトの宇、地、海のエース部隊と戦ったパイロット。経験値なら世界トップだ! 所詮お前は、井の中の蛙だな」

「だ、黙れェ! もう1回だ!」

 

 その後、何回か繰り返されたが、ギナが勝てることは無かった。無様な踊りだったぜ。

 

「う、嘘だ……。この私が……」

「フッ、男をワカラセてしまったぜ」

 

 失意体前屈をしているギナの横で、キラが前髪をファサってしていた。

 

「なんだァ!? 面白そうなことしてんじゃねぇか!」

 

 そこに能天気そうな声が響いた。

 

「ッ!? ロウ・ギュールと劾・叢雲だと!?」

 

 やってきたのは、外伝アストレイの主役ロウと劾だ。

 

「話は聞いたぜ? ナチュラルOSのデバッグと量産型の改良だろ? 面白そうじゃねぇか!」

「俺の方は、スケイルシステムの使用感だったか?」

 

 ロウはオーブ来るのわかってたし、劾もどうせ近くにいるから呼び寄せたのだ。おら、3色アストレイ揃い踏みで、新型作るんだよ。

 

「もう、量産型の【M1アストレイ】は見た?」

「おう、見たぜ! お前は、さっきの模擬戦のパイロットだよな」

「キラ・ヤマトだ。実はM1を強化した少数量産機を作りたい。手伝ってくれないか?」

 

 キラの言葉に、ロウは頷いた。

 

「任せろ! 腕が鳴るぜ!」

「契約では俺もアドバイザーをすることになっていたな。では、報酬の【ブルーフレーム】のオーバーホールを頼む」

 

 早速仕事に取り掛かるということで、未だに落ち込んでいるギナを引きずりながら移動した。

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 会議室に着いたところで、ギナが暴れだした。

 

「ふざけるな! まだだ! 私と戦え! キラ・ヤマトォ!」

「いや、これから新型アストレイ、名前はそうだな【M2アストレイ】の設計詰めるから。続きは明日な」

 

 駄々っ子を嗜めるような態度に、ギナはヒートアップ。

 

「そんなものはどうでもよい! 私と戦え! 私が世界を統べるに相応しいことを証明してくれる!」

 

 いい加減うるさいギナに、キラがキレた。

 

「うるせえな! 中二病か! そんな大人修正してやる!」

「グハァ!」

 

 キラの鉄拳が、ギナを殴り倒した。

 

「それは私のセリフだろう!」

「口答えするな! おら、もう1発!」

「とびた!」

 

 謎の奇声をあげて、ギナは倒れ伏した。お前はもう少し、大人になった方が良いよ。

 

「さて、【M2アストレイ】の話を進めよう」

 

 しれっと会議を始めるキラ。

 

「【M2アストレイ】はM1の生産ラインを流用したいから、可能な限り共有パーツを使う」

 

 物量はオーブの泣き所だからね。

 

「コンセプトとしては、先祖返りして【ストライク】のような換装タイプを目指す」

 

 要はオーブ版【105ダガー】である。C.E.と言えば換装だ。

 

「バックパック、肩、下腿部を換装対応に変更しようと思ってる。後は駆動系とかジェネレータを強化して」

「換装か! 楽しくなってきたぜ!」

「なるほど、様々な装備に換装した【ブルーフレーム】のデータが活きるわけか」

 

 流石はC.E.のプロとジャンク屋のプロと傭兵のプロ。話はスムーズに進んだ。

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 やっぱ3色トリオがいると話が早い。ロウは技術力があって、劾は経験があって、ギナは立場がある。

 

 キラがアイデアを出し、ロウが試作、劾がテスト、ギナは立場とコネで必要な物を揃える。最強やんけ。

 

【M2アストレイ】は、あっさりと試作が終わった。【M1アストレイ】の性能を向上させつつ、換装機能を持っている。他の変更点として、コックピットのある胴体まわりをフェイズシフト装甲にしている。やはり、生存率は大事。

 

 この間、ギナは毎日キラに勝負を挑んでいたが、ついぞ勝つことはできなかった。

 

 そして、M1のテストと並行してM2のテストが行われる。今後は実機でデータを集めつつ、細かな改良をしていくことになるだろう。

 

 そして、キラとロウが揃っていたので、空いた時間にシュミレーターを改良。より、高精度で高難易度の物が完成した。

 

 そこに、毎日チョロチョロしているカガリをぶち込んでおいた。アストレイ3人娘と共に強制的に訓練させる。君ら将来死ぬから、死ぬ気で訓練しろ。

 

「ちょっ! カガリ様邪魔!」

「何だとぉ!」

「もー、下手っぴなんだから!」

「このシュミレーター難すぎ!」

 

 儚くない声をあげながら、訓練するカガリ。明日どころか、いつでも会えそうだし。実家は古民家じゃなくて、豪邸だわ。

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 順調に作業が進む中、ずっとキラの手伝いをしていたフレイが問いかけた。

 

「ねぇ、キラ。ご両親には、会わないの?」

 

 原作でもあったことだ。キラは予想通りだと、予め用意しておいた答えを返した。

 

「今は会いたくない。まだ軍人だから。決意が鈍る」

「……私に遠慮してるの?」

「それがないとは言わない。でも、会っても辛いだけだし」

 

 そう、今会うわけにはいかないのだ。

 

「そんなことないわ、キラくん」

 

 そこに、どうにか時間を作ってマリューとナタルがやって来た。ムウ? 代わりに責任者として置いてきたよ。

 

「なんだここは? 風紀はどうなっているんだ?」

 

 露出度高めの格好をしている者を見て、怪訝な顔をするナタル。あの、そちらのパイロットくんの趣味なんですけど。

 

「私が言えたことではないけれど、生きてアラスカへ辿り着く保証は無いの……。だからこそ、会うべきだと思う。ご両親の為にも」

「……」

 

 マリューの言葉に、キラは沈黙を返す。それを見て、ナタルも口を開いた。

 

「今も君に負担をかけておいて、こんなことしか言えないのは情けないと思う。でも、会っておくべきだ。会えるうちに」

 

 もどかしげなナタルの様子を見て、キラが答えた。

 

「朝、いつも通りに挨拶をして、家を出た。そして、そのまま軍人になった。人も殺した。……優しい親だった。一世代目のコーディネイターなんて、この時代育てるのは大変だったはずなのに、そんな素振りは微塵も無かった」

 

 マリューとナタルが息を呑んだ。

 

「会って、何を言えばいいかわからない。だって、戦いは終わっていない。……これから、殺し合いに行きますなんて言えない」

 

 キラは、准将と違い真実を知っている。両親が産みの親ではないことは知っている。だから、何でコーディネイターにしたのとは思わない。でも、記憶を取り戻す前の記憶や思いも持っているのだ。優しい両親に、准将と違い明確な目的があって戦っているキラは、自ら進んで戦っていることが後ろめたかった。血塗られた手を見られたくなかった。

 

 マリューとナタルにとって、1番痛いところだった。

 

 マリューとナタルの自認は、自分たちはどこまでいっても巻き込んだ側で、キラは巻き込まれた側だ。実はキラ自身は、戦うつもりがあったとしても。マリューとナタルが、できるだけキラに寄り添っていたとしても。戦争に巻き込んでしまったという自責の念は消えない。

 

 優しい少年を命の奪い合いの戦場に引きずり込んだ。その十字架が消えることは無い。

 

 言葉が出ないマリューとナタル。そこにフレイが割って入った。

 

「キラ、何を恐れてるの?」

「え?」

 

 フレイが、戸惑うキラに詰め寄った。

 

「オーブに来てからずっとそう。何かに怯えて、ずっと焦ってる」

「……」

 

 キラは、目を逸らした。

 

「だからずっと仕事をしてる。何かを忘れるように、振り切るように。ご両親に会いたくないのも、それを思い出すからじゃないの?」

 

 フレイの言う通りだった。キラは恐れている。

 

 キラは、この後の戦いを知っている。知っているからこそ恐い。誰が死ぬのか知っている。誰が死なぬか知っている。でも、原作通りになる保証は無いし、原作を上手く変えられる保証も無い。

 

 原作における、大きなターニングポイント。それゆえ、些細な変化で大きく変わるだろう。

 

 だって、原作は奇跡みたいなものだ。そっくり同じようになるわけがないし、同じでは意味がない。それでは親友が死ぬ。

 

 どうすれば良いのか、どこを目指せば良いのか。キラの中でも、答えが出ていない。

 

 兄弟同然に育ったアスランと殺し合いをするのに、両親に会いになど行けやしない。

 

 世界の命運を分ける戦いが迫っているのだ。しかも、単純に勝てば良いものでもない。むしろ、どうしろというのか。

 

「……」

 

 結局、キラは答えることができなかった。

 

 

 




閃光の刻が迫ってきたら、転生者はストレスで血を吐くと思う。なんだあのお祈りポイントは……。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

キラ・ヤマトになってしまった…(作者:星乃 望夢)(原作:機動戦士ガンダムSEED)

なお、准将みたいに頑張らないと世界が簡単に破滅しそうな戦略兵器がポコポコ簡単に撃たれるマッポーめいた終わらない明日へ目指して「それでもっ、守りたい世界があるんだぁぁぁ!!!!」しないとならない模様。▼将来別嬪なお姫さまが嫁になったり、カッコいいロボットに乗ってオレTUEEEEE!!!!出来るイケメン主人公ではあるが、絶対に転生したくない主人公の1人である。▼…


総合評価:23025/評価:8.46/未完:117話/更新日時:2026年06月19日(金) 18:00 小説情報

破滅フラグしかないボンボンに転生してしまった件 〜グフに踏み潰される運命なんて、全力で回避してやる!〜《完結》(作者:kiakia)(原作:機動戦士ガンダム SEED DESTINY)

「なんでよりによって、アイツなんだよぉぉぉぉ!!」▼ 目覚めると、そこはガンダムSEED DESTINYの世界。よりによって視聴者から「無能・姑息・情けない」と叩かれ、悲惨な最期を遂げた御曹司、ユウナ・ロマ・セイランになっていた。▼ 時は本編開始直前。目前にはユニウスセブン落下、大西洋連邦との泥沼の軍事同盟、そしてキラやシンとの敵対という、回避不能な破滅フラ…


総合評価:23763/評価:8.56/完結:178話/更新日時:2026年11月02日(月) 04:22 小説情報

スーパーコーディネーターの悪友(作者:アオノクロ)(原作:ガンダムseed)

キラの友人に悪ノリする友人がいたら、ってどこかで見たことのあるオリ主ものです。▼※SEED完結しました。▼※DESTINY完結しました。▼※FREEDOM完結しました。


総合評価:9676/評価:8.38/完結:177話/更新日時:2026年10月27日(火) 18:00 小説情報

アスハ家のハラキリ令嬢(作者:アキ山)(原作:ガンダムSEED)

これはIFの世界のお話。▼ウズミ・ナラ・アスハに実子がおり、その娘がカガリの妹として健やかに生きていた世界。▼オーブは連合に敗北し父は自爆、姉は宇宙に脱出したという絶体絶命の状況。▼国に残された末娘は自らの出自と時代の波に翻弄されることになる。▼しかし娘は一つだけ普通の子供と違うところがあった。▼母親の薫陶によって、民と家の名誉の為なら死ぬ事も厭わない武家幼…


総合評価:2129/評価:8.03/連載:7話/更新日時:2026年10月11日(日) 19:23 小説情報

超人スペックで転生させられた俺はせめて正しい敗北を選びたい(作者:正樹)(原作:ガンダム)

夢の中で『何か』と駄弁っていたら、夢で喋ってた厨設定盛り盛りで幼児転生させられていたので、世話になった人のためにも、せめてジオンにはマシな敗北をしてもらいたいと頑張る話。▼1年戦争編終わりました。▼現在グリプス戦役編です。▼注:主人公の設定について一点、万人には納得しがたい年齢設定がございます。この話を書くにあたっての大前提となっておりますので、読む際にはそ…


総合評価:51773/評価:8.61/連載:80話/更新日時:2026年09月17日(木) 11:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>