やめてよね。俺が准将に転生しても同じように戦えるわけないだろ!   作:よみや

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なんかいきなり日間ランキングに入っててビビりました。でも嬉しいから投稿します。


PHASE-04 崩壊への序曲

 

 

 

 

 

「ラミアス大尉! よくご無事で!」

 

 マリューが着艦した【アークエンジェル】に近づくと、降りてきた船員の1人であるナタルが声をかけた。

 

「バジルール少尉! よく【アークエンジェル】を、お陰で助かりました」

 

 マリューがナタルを労っていると、【ストライク】のコックピットが開き、キラが降りてきた。

 

「あーしんど、死ぬかと思った」

 

 ヘロヘロになって降りてきたキラに、トールたちが駆け寄って、口々に声をかけていく。それに対して、ナタル他【アークエンジェル】の乗組員は、目を見開いている。

 

「へぇー、こいつは驚いた」

 

 なんとも言えない雰囲気をぶち壊すように、軽薄そうな声が響いた。

 

「地球軍第7軌道艦隊所属、ムウ・ラ・フラガ大尉だ。よろしく」

「地球軍第2宙域第5特務師団所属、マリュー・ラミアス大尉です」

「同じく、ナタル・バジルール少尉であります」

 

 挨拶が済むと、ムウがまわりを見回しながら話し出した。

 

「乗艦許可を貰いたいんだがね。俺の乗ってきた艦は落とされちまったし。……この艦の責任者は?」

 

 その言葉に、ナタルの顔が曇る。

 

「艦長以下、主だった士官は戦死されました。よって、ラミアス大尉がその任にあると思われます」

「艦長が!?」

「生き残っているのは、私を除けば下士官のみです……」

 

 ナタルの言葉に、マリューの顔がひきつる。マリューは本来ならば、【アークエンジェル】で副長という艦長の次に偉い立場になる予定だったので、この人事はおかしくないようにも思える。しかし、これには大きな落とし穴がある。マリューは技術将校として、新型機動兵器、及び新型特装艦の開発者の知見を生かす為に【アークエンジェル】に乗る予定だったのだ。そもそも【アークエンジェル】は、実戦配備ではなく新型のデータ収集をするはずだったのだから。よって、いきなり実戦で艦の指揮を取れと言われても困るのだ。テム・レイにホワイトベースの艦長やってねと言うようなものだ。

 

「とりあえず許可いいか? ラミアス大尉」

「はい、許可致します」

「あと、俺はGのパイロットになる奴らの護衛で来たんだが、あいつらは?」

「艦長との着任の挨拶の時に爆破を受けたので、共に……」

「そうか……。で、あれは?」

 

 ムウが視線を向けた先には、話についていけずに不安そうにしている民間人たちがいる。1名は眠そうな顔しているが。

 

「見た通り《ヘリオポリス》の民間人です。襲撃の際、工場区にいて、助けられました。先ほどの【シグー】との戦いの前も【ジン】1機と戦い撃破しています。お陰で、最後のGは守ることができました。名前は、キラ・ヤマトと言います」

 

【ジン】を撃破したというところで、驚愕する船員たち。ムウは気にせず、キラの前まで歩いた。

 

 ムウはキラを見つめると、何でもないような口調で言った。

 

「君、コーディネーターだろ?」

 

 途端に、空気が張り詰めるように緊張する。ムウの後ろでは、マリューがこの野郎と言わんばかりにムウを睨み付けている。それに気づいたナタルは、ちょっと引いている。ちなみにキラも気づいているので、ちょっと笑いそうなっている。

 

「はい」

 

 キラが答えると、船員の後ろにいた兵士たちが銃を構えた。キラとしても、黙ってて後でバレる方が揉めそうだから、このタイミングで聞くのは間違ってないけど、言い方ァとか思っている。

 

「なんだよそれは! キラがさっき戦ってるの見てなかったのかよ! どういう頭してんだよあんたたちは!」

 

 トールが、キラの前に立って兵士たちに食って掛かる。友達の為に、銃の前に立つとか良い奴だ。やっぱり准将にとってトールって親友だったんだな。あと、サイとカズイもキラを庇うように、ムウの前に立っている。トールばっかり記憶に残ってたけど、君らもやる時はやってたんだね。

 

 キラとしては、銃を向けられたこと自体は気にしていない。彼らからすれば、つい先ほど仲間たちがたくさんコーディネーターに殺されたのだ。過剰に反応するのもわからなくはない。

 

「銃を下ろしなさい」

「ラ、ラミアス大尉」

 

 マリューが命じると、兵士が銃を下ろした。ナタルはマニュアル人間なので、こういう突発的な事態が苦手でオロオロしている。

 

「そう驚くこともないでしょう? 《ヘリオポリス》は、中立国であるオーブのコロニーですもの。戦火を避けて、ここに移ったコーディネーターもいるでしょうし」

「まあ、俺は1世代目ですしね。《ヘリオポリス》の前は、《コペルニクス》にいたし、《プラント》には行ったことないですよ」

 

 1世代目とは、両親がナチュラルのコーディネーターのことだ。准将は3年前まで、月面都市《コペルニクス》に住んでいて、そこでアスランと兄弟のように過ごしていたのだ。

 

「いや、悪かったな。とんだ騒ぎにしちまって」

 

 騒ぎの張本人であるムウが、悪びれない様子で言った。もうちょい責任感じてもいいのでは? 

 

「俺は、ただ聞きたかっただけなんだ。ここに来るまで、テストパイロットたちのシミュレーションを見てきたが、あいつらは鈍くさ動かすのにも四苦八苦してたからな」

 

 ムウは肩すくめると、マリューたちの方を向いた。

 

「で、これからどうする? 出港の準備は、どれくらいできてるんだ?」

「準備の途中でしたので、殆ど進んでおりません」

 

 ナタルの返答に、溜め息を吐くムウ。

 

「そうか、ならなるべく急ぐしかないな。外にいるのはクルーゼ隊だ。すぐに仕掛けてくるぞ」

 

 ムウの言葉に気持ちを切り替えたマリューが、艦長として指示を出す。

 

「まずは、物資の搬入を最優先とします。【ストライク】のパーツと、航海に必要な物を積めるだけ積みます」

 

 マリューの言葉を受けて、準備を始める船員たち。それを見て、キラがマリューに声をかけた。

 

「マリューさん、必要なら【ストライク】で、物資搬入手伝いましょうか?」

「え?」

「まあ、俺にはどれが必要な物かわからないから、マリューさんから指示は欲しいですけど」

 

 マリューは一瞬考えるが、今は少しでも人手が欲しかった。

 

「ありがとう、キラくん。お願いするわ」

「え、ラミアス大尉!?」

 

 驚くナタルをよそに、マリューはきびきびと予定を立てていく。

 

「【ストライク】関連のパーツは、私が直接指示を出します。バジルール少尉は、艦で全体の指示を」

「は、はい」

「では、各員行動開始!」

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

「で、実際どうする?」

 

 ある程度作業の目処がたったところで、マリュー、ナタル、ムウの3人が集まって会議を開いていた。原作と違い工場区の近くなので、井戸端会議感がある。

 

「外に出るにしたって、戦闘になる。俺のゼロが間に合う、間に合わないにしろ、【ストライク】がないとキツいぜ」

「なら、フラガ大尉が【ストライク】に乗ればよろしいのでは?」

 

 ムウの言葉に、ナタルが当たり前ではと言わんばかりに返答するが、ムウは冗談だろと言わんばかりだ。

 

「あの坊主が弄ったってOS聞いてないのか? あれは俺ってか、ナチュラルには到底扱えないぜ?」

「なら、元に戻させてから使えば!」

「元に戻したら、戻したでまともに動かないだろ。俺に鈍くさ出てって的になれってか?」

 

 ムウの溜め息混じりの言葉に、ナタルも口をつぐむ。

 2人の話を聞いていたマリューが、辛そうに口を開いた。

 

「やはりキラくんに、乗ってもらうしか……」

「しかし、民間人のそれもコーディネーターの子供ですよ!」

「そうは言ってもしょうがないだろ? 他に手はないんだから」

 

 ナタルは反対のようだが、ムウの他に手がない発言に黙り込んだ。ナタル自身も代案は無いのだ。

 

 

 そろそろバッテリー充電しないとなーと考えていたキラをマリューが呼び出した。

 

「どうしたんですか?」

「……えっと、その、脱出の際に戦力が必要で……。キラくんに【ストライク】に乗ってもらいたいの」

 

 マリュー、ナタル、ムウが雁首揃えて何事かと思っていたキラは、ちょっと早いけど原作通りの展開にホッとした。ぶっちゃけキラとしても、【ストライク】に乗らなくてもいいよとか言われても困るのだ。だって、その場合【アークエンジェル】沈むだろうし。

 

「……一応言っとくと、俺民間人ですけど」

「しょうがないだろう。あれは君しか乗れないんだから」

 

 キラとしても、【ストライク】に乗るのはやぶさかではない。准将になってしまった以上、原作に関わらないと絶滅戦争で世界が滅びるから。しかし、だからって原作をそっくりそのままなぞりたくはない。だって辛いし。

 

「しょうがないですか? 俺は、地球連合に加盟していないオーブの国民ですよ? 歴とした独立国であるオーブの国民を強制徴兵する権利は無いはずですよね」

 

 キラの言葉に、マリューとナタルの顔色が悪くなる。実際これは国際問題になる。

 

「また戦闘が始まった時、今度はそう言って死ぬか?」

 

 ムウの言葉もまた真実だ。現状四の五も言っていられない。キラたちもシェルターがロックされていて避難できないし、【アークエンジェル】と一蓮托生なのだ。

 

「死ぬ。そうですね、例えば俺が【ストライク】で戦って死んだらどうなるんですか?」

 

 キラからの何気ない風を装った質問に、マリューは息を飲んだ。

 

「マリューさんたちは軍人だから、2階級特進とか遺族年金とかあるでしょうけど、俺は? まあ、《ヘリオポリス》襲撃時に死亡とかの扱いになるのかな」

「それは……」

 

 マリューは答えられない。そして、それがマリューの良心を苛む。それは、ナタルも同様だ。彼女はお堅いが、決して情が無いわけではないのだから。

 

「マリューさんたちは、職業軍人だ。それで、お給料をもらってる。でも、俺は? 俺は戦って、人を殺して、何を得るんですか?」

「キラくん……」

 

 原作のようにできるから、能力があるからと、ただ戦わせられるのはごめんだと、キラはしっかりと釘を刺しておく。

 

「俺も死にたくはないです。だから【ストライク】に乗るのはいい。でも、対価は欲しい」

「なるほど、金か? 確かに、同じく戦ってる俺らに金が出て、自分に出ないのは不公平に思うだろうが。この場に纏まった金なんて無いし、あー全部終わってからって言ったら納得してくれる?」

 

 唸りながらのムウの言葉に、キラは首を振った。

 

「正直お金はどうでもいいです。先にもらおうが、後にもらおうが、途中で死んだら意味無いですし」

「じゃあ、何だ?」

「俺、戦闘の後から昂ってしょうがないんですよ」

「おい、坊主まさか」

 

 ムウがマリューとナタルを見た。

 

「滅茶ムラムラします」

「キラくん!?」

「女の人とロマンティクスしたいです」

「キラくんッ!?」

 

 驚愕しているマリューを他所に、ムウが額に手を当てながら、頭痛を堪えるように言った。本当に頭痛がするのかもしれない。

 

「つまり、対価は体で払えって?」

「露骨に言うとそうですね。マリューさんとバジルールさんに払って欲しいです」

 

 キラの言葉に、ナタルがまなじりを吊り上げて怒る。そりゃそうだ。

 

「貴様ふざけているのか!」

「大真面目ですよ!」

 

 睨み合う2人に、覚悟を決めた様子のマリューが話し掛ける。

 

「キラくん、私だけではダメ?」

「ラミアス大尉!?」

 

 マリューの発言に、ナタルは愕然としている。マリューは苦笑いしながら、ナタルを見た後、キラに向き直った。

 

「バジルール少尉は勘弁してあげて欲しいの、私ならいくらでも相手するから」

 

 マリューの言葉は、事実上の合意だった。

 

「ダメですね」

「私じゃ魅力無い?」

「そういう意味じゃ。ただ、パイロットをやる以上、真面目にやらないと死ぬので、整備なんかも含めたら、俺が自由に使える時間って多くないと思うんですよ。そんな状況で艦長で忙しいマリューさんと時間合いますか?」

「それは……」

「だったら2人とも魅力的なので、時間が合うどちらかに相手して欲しいんですけど。それに、他国の民間人に体張らせるのに、バジルールさんは体張らないんですか?」

 

 あからさまな挑発だったが、ナタルは逡巡の後、乗った。

 

「いいだろう、その話乗ってやる。ただし、ここまでするんだ【ストライク】や【アークエンジェル】が落とされたら、化けて出てやるからな」

「その場合、俺も死んでますよ」

「ええい、うるさい!」

 

 ムウは、キラを大物とバカどっちだろみたいな顔で見ていて、マリューはあーあみたいな顔でナタルを見ていた。

 

 それに気づいたキラは、ニヤリと笑い。ナタルは、帽子を深く被って目元を隠した。

 

 

 

 

 

 

 




うちのキラくんは欲望に忠実です。というかご褒美がないと准将に転生なんてやってられないです。
よくある神様転生で准将にしてやろうって言われて、喜んで転生するSEEDファンてどれくらいいるんだろう。私はちょっと嫌ですね。
まさに、誰もが望むだろう。君のようになりたいと!でも君にはなりたくないと!って感じですかね。というかモブでもコズミック・イラには行きたくない。
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