やめてよね。俺が准将に転生しても同じように戦えるわけないだろ! 作:よみや
そろそろストックが切れます。切れたら不定期更新になります。
キラは【ストライク】の整備の為に、【アークエンジェル】に戻ったが、マリューたち3人はそのまま話し合いを続けていた。
「正直よく受けたな。断ると思ったが」
ムウがナタルを見ながら言うと、ナタルはフンと鼻を鳴らしてから答えた。ナタルが上官にこのような態度を取るのは、非常に珍しい。
「断って無理矢理乗せたら、何をされるかわからないので」
「まあ、そうだよな。最悪【ストライク】を手土産に、ザフトに投降とかされるかもな」
ナタルもそれに思い至ったから、キラの要求を飲んだのだ。
「バジルール少尉、ごめんなさい。どうにか、私だけですまないかと思ったんだけど」
「いえ……。ラミアス大尉は大丈夫なのですか? お怪我もありますし」
「大丈夫よ。それに元々キラくんのケアは、私がするつもりだったし」
マリューの言葉に、ナタルは訝しげだ。
「ケアですか? それに、女性の体を求めるのは関係無いと思いますが」
「そうでもないぜ」
ナタルの言葉に、ムウが口を挟んだ。
「坊主が言っていた戦闘後にムラムラするってのは、命の危機を感じて子孫を残そうっていう生き物の本能だ。坊主だけじゃなくて、誰にもそういうものはある。軍人ってのは訓練の時に、そういうのも含めて心構えとかを学ぶんだが……」
「キラくんは、民間人ですものね」
「そういうこと。それに、そういうのを溜め込むと心を病むからな。だから、若い隊員なんかは隊長が気を回して、休みにそういう店とかに連れてくんだけどな」
「この状況ですものね……」
「わかりました。一応納得はします」
ナタルが不承不承だが、引き下がった。ただ、マリューの顔は未だ晴れない。
「キラくんだけど、あんな風に軽口を叩いてはいるけどね、結構精神的に追い詰められているのよ」
「もう何かあったのか?」
ムウの言葉に、マリューは頷いた。
「初めての戦闘の時。【ジン】を撃破した後、キラくん震えが止まらなくて、操縦桿から手を離せなかったんです。顔色も真っ青で……」
キラの態度が途端に精一杯の虚勢に思えて、ナタルとムウも心が重くなった。
「バジルール少尉も思うところはあるだろうけど、もしその時がきたら、キラくんを癒してあげてほしいの。確かにキラくんはモビルスーツに乗れるかもしれない。でも、それが戦争ができるということではないから……」
「……わかりました」
私たちは、民間人の子供を戦わせてまで戦争をするのか。まともな感性をしているナタルは、理想と現実のギャップに苦しみ始めた。
◆◆◆
【ストライク】を【アークエンジェル】の格納庫に移動したキラは、整備班と打ち合わせを始めた。
「損傷自体は無いし、受けた攻撃もフェイズシフトで防いだから平気ですよ。それよりも、弾薬、推進剤、バッテリーの補給を」
キラの言葉に、整備班のリーダーのマードックが応えた。
「よっしゃ、任せとけ。超特急で仕上げるぞ!」
整備を任せたキラは、コックピットでOSの調整を始めた。
(次で使うのはソードストライカー。なら、そのモーションパターンを弄っとかないと勝負にならない。あんな、大振りだけで戦えるか)
それから少し時間が過ぎ、【ストライク】の補給が終わった頃に、警報が流れた。
「コロニー内で、Nジャマー増大!」
索敵をしていたチャンドラの声に、ブリッジクルーに緊張が走る。
「やっぱ仕掛けて来たか! 楽だぜ、こっちは撃てない、向こうは撃ち放題だ」
ムウの言葉に、マリューの顔が歪む。
「……大尉のゼロは?」
「まだ出られん」
「なら、大尉はCICを」
ブリッジが慌ただしくなる中、格納庫も大わらわだった。
「3番コンテナ開けー! 装備はソードストライカーだ!」
マードックの指示のもと、【ストライク】に次々と装備が装着される。
「ソードストライカー。格闘主体の装備って言っても極端過ぎるだろ」
キラは愚痴りつつも、発進準備を整えていく。
「ボウズ! 終わったぞ!」
「なら、退避を! 出します!」
「艦長! 【ストライク】発進準備完了しました!」
ナタルの報告に、マリューは脳裏に震えるキラを思い浮かべる。あんな少年を戦わせることしかできない自分に忸怩たる思いを抱くが、それしか方法が無い。
「【アークエンジェル】離床! 【ストライク】も発進させて!」
【アークエンジェル】がエンジンを吹かして飛び、カタパルトが開いた。そこから、発進した【ストライク】が【アークエンジェル】を守るように、前に出る。
レーダーを担当しているブリッジクルー、トノムラがモビルスーツの反応を確認した。
「レーダーに感あり! モビルスーツ4! ……【ジン】が3機、残り1機は【イージス】です!」
「なッ!? もう実戦に投入してきたというの!?」
【ストライク】でも敵を確認したキラが、迎撃に出る。
「原作通りの大型ミサイル装備が2機、ビーム砲装備が1機、それと【イージス】か……」
キラが脳内で素早く計算を行うが、どうやっても全てを相手するのは無理そうであった。
「やっぱりミゲルを速攻で倒すしかないか……」
ミゲルたちは二手に別れ、ミサイル持ちが【アークエンジェル】へ、ビーム持ちが【ストライク】へと襲い掛かる。
「不味いわ! ビーム兵器を持っている2機が【ストライク】に!」
弱点を突いてきた敵に、マリューが臍を噛む。
「艦長! こちらにも【ジン】が来ます! 援護する余裕はありませんよ!」
ナタルの言葉に、マリューも反論の言葉は無い。今の人員では、【アークエンジェル】の火器を十全に使えないし、そもそもコロニー内では攻撃を著しく制限される。
「わかってるわ! 迎撃開始!」
「そーら、行けえ!」
ミゲルの【ジン】が、『M69バルルス改特化重粒子砲』からビームを放つ。
「くっ!」
回避したキラは、思ったよりも大したことないビームに息を吐いた。
バルルスは最初期のビーム兵器なので、銃身が大きく、威力も低く、装弾数も少ないとXナンバーのビーム兵器に比べたら、大したことないのだ。
ミゲルがもう1発放つが、銃身が大きすぎて射線がわかりやすい。キラは、ビームコーティングされたシールドで防いだ。
「なに!? 直撃のビームを防ぐだと!?」
動揺するミゲルに対艦刀『シュベルトゲベール』で斬りかかるが、寸前で避けられる。ミゲルは黄昏の魔弾と呼ばれるエースだし、『シュベルトゲベール』は取り回しが悪すぎる。そもそも、対艦刀の字面の通り、戦艦に使う武器なのだから、モビルスーツには大きすぎる。
ミゲルがビームを放ち、キラが避け、時にはシールドで防ぎ、斬りかかる。それを幾度も繰り返すが、決着は着かない。
「くそ、回り込めアスラン!」
今まで蚊帳の外だったアスランが、【ストライク】の後方から回り込む。それを避ける為に体勢を崩した【ストライク】をミゲルが狙い打つ。
「もらった!」
「やるかよ!」
キラは強引に盾で受け、そのまま突っ込む。
「ふん、そんな大振り!」
ミゲルが今までのように、回避運動を取ろうとするが、【ストライク】は『シュベルトゲベール』を振り上げたまま下ろさずに【ジン】に体当たりする。
「『シュベルトゲベール』は、こう使う!」
そして、至近距離で『シュベルトゲベール』の柄頭からビーム刃を発生させ、『M69バルルス改特化重粒子砲』を貫いた。
「なにィ!?」
ミゲルはすぐに、『M69バルルス改特化重粒子』をパージする。残った武装の『重斬刀』を装備するが、これ1本で『ストライク』に勝つのは不可能に近い。
「ミゲル!」
慌てたアスランが、直撃しないように【ストライク】にビームライフルを撃つ。キラがいることで、デバフのかかったアスランは本気で戦えない。
「まだ、お前のビーム兵器がある。俺が隙を作る。お前が止めを刺せ、アスラン!」
ミゲルが斬りかかるが、今度は逆にキラが距離を取り、『イーゲルシュテルン』で牽制する。
「そんなもので!」
巧みに避けたミゲルが距離を詰めようとするが、キラがすかさず、左肩に装備されたビームブーメラン『マイダスメッサー』を投げつける。
「なんだ、投擲武装!?」
辛うじて避けたミゲルに対して、キラは続けて左腕の盾から、ロケットアンカー『パンツァーアイゼン』を射出した。先端のクローがミゲルの【ジン】の左腕を拘束する。
「この程度!」
強がるミゲルだったが、弧を描き戻ってきた『マイダスメッサー』に【ジン】の右足を切断された。そして、その隙に距離を詰めていたキラが、『シュベルトゲベール』を振りかぶる。
「ミゲルー!」
アスランが絶叫をあげる中、振り下ろされた『シュベルトゲベール』の
「うわあぁぁぁ!!」
コントロールを失って墜落していく【ジン】をアスランが慌てて受け止める。
「ミゲル無事か!?」
アスランの問い掛けに、ミゲルが答えた。体は無事なようだ。
「大丈夫だ」
平然と答えたミゲルだったが、心の中はぐちゃぐちゃだった。ミゲルの優秀な動体視力は、【ストライク】が『シュベルトゲベール』を振り下ろす直前にビームを切ったのを捉えていた。
(なぜわざと切った!? 殺すのを躊躇ったとでもいうのか!)
ミゲルは、明らかに隙だらけの自分たちに何もしない【ストライク】を睨み付ける。
「くそッ、俺は撤退する。お前はあのモビルスーツを!」
撤退していくミゲルを見ながら、アスランは半ば確信していた。【ストライク】のパイロットはキラだと。あの確実に撃破できるタイミングで手を抜く。優しいキラだから、同胞を殺すのに躊躇したのだ。
アスランはビームライフルをサイドスカートにマウントして、【ストライク】に接近する。【ストライク】も『シュベルトゲベール』のビームを消したまま、【イージス】に近づいていく。
お互いに通り過ぎる瞬間に反転。そして、通信が繋がる。
「キラ・ヤマトだな?」
「アスラン。アスラン・ザラ!」
声を聞いたアスランは、やはりという思いとともに、やりきれぬ思いを叫ぶ。
「なぜ、お前がそんなものに乗っている!」
キラがアスランの言葉に返事をする前に、人工の大地に亀裂が走った。
「やっぱり、間に合わなかったか!」
みるみるうちに亀裂は広がり、《ヘリオポリス》が崩壊していく。大気が宇宙へと猛烈な勢いで流れ出し、【ストライク】も【イージス】もその流れに呑まれ、宇宙へと押し出された。
ここすきが多かったのもあるし、本編だといつ触れるかわかんないので、ここでうちのキラくんの身長体重を書いときます。身長は175センチ、体重68キロの細マッチョです。簡単に言うと身長は無印の時より10センチ高くて、体重は運命の時より10キロ重いです。なんと傲慢な体だろう。