やめてよね。俺が准将に転生しても同じように戦えるわけないだろ! 作:よみや
いやーすごい!このままもっとSEEDの二次が盛り上がると嬉しいです。
「キラ、整備だったんじゃないの?」
ミリアリアの問い掛けに、キラは肩を竦めると椅子に座った。
「被弾が無かったからね。すぐ終わったよ。ちょっと休憩」
「この船一度進路変えたよな。どこ行くのかわかるか?」
「ああ、ユーラシアの要塞に行くらしい」
サイの質問に答えて、ぐうーと伸びをしたキラは、保存食を食べると席を立った。
「もう行くのか?」
「いつ敵が来るかわかんないからね」
心配そうなトールたちに手を振ると、キラは食堂を後にした。
【アークエンジェル】のブリッジでは、少し緊張が弱まっていた。
「ここまでは順調ですね」
ナタルも思わずこんな言葉が出るくらいだ。
「あと少し、このまま見つからなければ」
ナタルの言葉に、マリューとムウが顔を見合わせる。
「バジルール少尉、それはフラグだぞ」
「フラグ?」
ムウの言葉に、ナタルは不思議そうな顔をした。
「そういうことを言う時に限ってなんかあるんだよ」
「そんな非科学的な」
ナタルの言葉の直後に、ブリッジ警報が鳴り響く。
「わ、私のせいではありませんよ!」
慌てるナタルを他所に、情報が集められる。
「大型の熱量感知! 戦艦のエンジンだと思われます」
全員の顔に緊張が走った。
「艦特定、ナスカ級です! 本艦を横軸で追い抜きます」
「先回りして、こちらの頭を押さえるつもりだ!」
「ローラシア級は!?」
焦ったナタルの声で、索敵を担当するパルがコンソールを弄るとハッとする。
「本艦の後方300に大型の熱源!」
2艦に挟まれたことで、クルーの顔が強張る。
「クルーゼの野郎読んでやがったか。このままだとローラシア級に追いつかれる。だが、エンジンを使えばナスカ級が転進してくる。……こっちに2艦のデータと宙域図出してくれ」
そんなクルーの緊張を解すように、ムウはいつも通りのトーンで話す。それが効いたのか、ナタルがやっとのことで口を開いた。
「な、何か策が?」
「それは、これから考えるんだよ」
マリューとナタルは顔を見合わせた。
◆◆◆
艦内に響き渡る警報を聞いたキラは、慣れないノーマルスーツを身に纏い【ストライク】のコックピットに座った。
暇潰しにOSを開くが、弄るところは特にもう無い。キラの頭は、これからのことでいっぱいになっている。記憶を思い出してから、色々と今後のチャートを考えてきたキラだが、どう考えても《アルテミス》でのあれこれはいらなかった。どうせ補給を受けられないのだから寄る意味が無いし、ハゲに色々言われるだけマイナスだ。しかし、今のキラに、マリューたちを説得する言葉も無い。大西洋連邦とユーラシア連邦は仲悪いから止めようと言っても聞き入れてはくれないだろう。
この後の作戦もすでにムウから聞かされていて、特に原作と違いは無い。
キラの視線の先で、【メビウス・ゼロ】が出撃した。これから慣性航行で、【ヴェサリウス】に迫るのだ。キラはムウが【ヴェサリウス】への攻撃を成功させるまで、【アークエンジェル】を守らなければならない。
(俺なら出来る、出来る筈だ。俺はスーパーコーディネーターなんだ)
緊張で喉を鳴らしたキラの元に、通信が入った。チャンネルを開くと、そこには軍服を纏ったミリアリアが映っていた。どうやら、原作と同じく手伝いを申し出たらしい。
「以後、私がモビルスーツ、モビルアーマーの戦闘管制を担当します。よろしくね♪ ︎」
キラの緊張を解す為に、ウインク付きで挨拶してくれたミリアリアにキラはホッと息を吐いた。ちなみに通信映像では、ミリアリアの後ろでナタルがじっとりとした視線でミリアリアを見ている。
「ナスカ級より、モビルスーツの発進を確認! 【イージス】です!」
「【ストライク】発進させて!」
「キラ!」
「了解」
カタパルトハッチが開いた。
「キラ・ヤマト、ガンダム行きます!」
操縦桿を握り締めたキラは、漆黒の宇宙へと【ストライク】を発進させた。
◆◆◆
「後方より熱源3。モビルスーツです」
【アークエンジェル】の武装が、次々と起動していく。
「機種特定、ッこれは!? Xナンバー、【デュエル】、【バスター】、【ブリッツ】です!」
チャンドラの報告に、ブリッジが凍りついた。
「奪ったGを全て投入してきたというの!?」
マリューの言葉が、空しくブリッジに響いた。マリューの額には脂汗が浮いていた。
【アークエンジェル】の前方に展開したキラは、アスランの【イージス】を捉えていた。
「アスラン……」
高速で接近してくる【イージス】が、『ビームサーベル』を発振させる。それを待ち受けるように、キラも【ストライク】の『ビームサーベル』を抜いた。
「キラ!」
至近距離ですれ違ったところで、アスランから通信が入った。
「止めろキラ! 剣を引け! 僕たちは敵じゃない、そうだろう!?」
必死なアスランの声が、キラを叩く。3年前に記憶を思い出したキラだが、その前の記憶が無くなったわけではない。当然、思いも。准将同様、アスランとは親友で、兄弟のように育った。アスランの言葉は、キラの心にくる。
「同じコーディネーターのお前が、なんで僕たちと戦わなくちゃならないんだ!?」
【ストライク】のレーダーが、【アークエンジェル】に接近するモビルスーツを捉えた。もうすぐ【デュエル】が来る。ゆっくりはしていられない。溜まった思いを吐き出す為に、キラはフットペダルを踏み込んだ。
【ストライク】が『ビームサーベル』を振り上げ、【イージス】に叩きつける。大袈裟な動きだったので、余裕を持ってシールドで防ぐことが出来たが、キラから攻撃されたことで、アスランは動揺した。
「キ、キラ!?」
その後も執拗にシールドを狙って攻撃しつつ、キラもアスランへ通信を繋いだ。
「敵じゃない? ならなんで、《ヘリオポリス》を攻撃したりしたんだ! あそこはオーブのコロニーで、俺も住んでたのに!」
キラの言葉に怯みつつも、アスランは反論する。
「状況もわからぬナチュラル共がこんなものを作るから。それに中立だと言いながら、地球連合とモビルスーツを作ったのはオーブだ!」
アスランもわかりやすい動きでキラを攻撃して、キラもそれを防ぐ。
「《ヘリオポリス》には、民間人がたくさんいたんだ! それを事前勧告も無しに!」
「それは……」
「コロニーがどれだけ脆いかは、プラントの方が知ってる筈だろ!? 《ユニウスセブン》のことがあったのに、なんでザフトがコロニーに攻撃なんてするんだ!」
「ッ……」
これは、キラの一種の甘えだ。対等に言い合えるアスランなら、溜まったものを吐き出せると。
ピーピー
2人の3年ぶりの会話を切り裂くように、警報が鳴った。【デュエル】が近づいていた。
「なにをモタモタやっている!? アスラン!」
イザークが『ビームライフル』を連射しながら、急接近してくる。
「チッ」
回避運動を取ったキラは、避けられないものはシールドで防ぎつつ、距離を取る。
「逃げの一手かよ!」
イザークは撃ちかけながら追い回すが、損傷は与えられない。そもそも、【デュエル】の武装では、守りに入った【ストライク】にダメージを与えるのは難しい。『イーゲルシュテルン』はフェイズシフト装甲に通用せず、『ビームライフル』と『ビームサーベル』は、耐ビームコーティングされたシールドを突破出来ない。機動性もエールストライカーを装備した【ストライク】には敵わないし。
今度は、『ビームサーベル』を抜いた【デュエル】が迫る。
「ハァッ、ハァッ!」
今のところ損傷も無く順調に進んでいるが、キラの消耗は大きい。今のアスランは、絶対に自分を殺さないと確信出来ていたが、イザークは違う。今も自分を殺さんと、猛烈に攻撃してくる【デュエル】は、キラの精神を削る。
「ああああッ!!」
このままだと押し切られると感じたキラが、反撃に出る。『ビームライフル』を使うと、原作のようにエネルギー切れになる可能性があるので、『ビームサーベル』で斬りかかる。
しかし、【デュエル】の武装が【ストライク】にダメージを与えづらいように、【ストライク】の武装も【デュエル】側は防ぐことが可能だ。
互いに『ビームサーベル』を振るい、シールドで防ぐを繰り返していく。
「くそッ!」
埒が明かないとキラが、『イーゲルシュテルン』を発射するが、イザークはフェイズシフトに任せて突っ込んでくる。
「でえぇい!」
「くっ」
何度目かの攻撃をシールドで受け止めたキラは、至近距離で『イーゲルシュテルン』を【デュエル】の頭部に叩き込んだ。
「小賢しい!」
【デュエル】が【ストライク】を跳ね退けるが、【ストライク】は後退しながらも『イーゲルシュテルン』を放ち続ける。
それを無視して攻撃を続けようとするイザークに、アスランが通信を入れた。
「イザーク、フェイズシフトだって無限じゃないんだぞ! それに、装甲じゃない部分には、普通にダメージが入るんだ!」
「うるさい!」
アスランの言葉を無視して、攻撃を続けるイザーク。距離が空いたので、『ビームライフル』に持ち変えて攻撃するが、すぐに舌打ちした。
【ストライク】の『イーゲルシュテルン』で、カメラアイにダメージが入った為、センサーが低下して照準がぶれるのだ。
キラも『ビームライフル』に持ち変えて、控えめに射撃しながら更に距離を取った。イザークは距離を詰めつつ、精度を補う為に連射する。だが、機動性は【ストライク】が上、全力で逃げられたら追いつけない。
「なにをやってるんだイザーク! 頭を押さえる!」
いつの間にか【アークエンジェル】の近くまで来ていた2機に気づいたディアッカが、【ストライク】の進路を塞ぎにかかった。
「囲まれた!? でも、そろそろ!」
【ブリッツ】までやって来て4機に囲まれたところで、アスランたちに通信が入った。
「【ヴェサリウス】が被弾!?」
「撤退命令だと!?」
【ストライク】にモビルスーツが集中している隙に、【アークエンジェル】が陽電子破城砲『ローエングリン』を発射し追い打ちをかけた。
「しまった!」
動揺した隙に包囲を抜けたキラが、【アークエンジェル】に戻ろうとする。
「させるか! あいつだけでも!」
「止めろイザーク! 撤退命令だぞ!」
「うるさい腰抜け!」
アスランの制止を振り切ったイザークは、【ストライク】を猛追する。それを確認したキラは、【アークエンジェル】に通信を入れた。
「ナタルさん、ミサイルの準備を!」
「なに!?」
「【デュエル】を引き付けます!」
キラがわざと【ストライク】の速度を落とすと、後ろから『ビームライフル』で攻撃していたイザークは、『ビームサーベル』に持ち変えて、勢いのまま斬りかかった。
今まで一番スピードが乗っていて、シールドで受けても押し込まれるが、キラはあえて逆らわずに【デュエル】を引き込む。
「よし、このまま!」
イザークがこのまま押し切れると思ったところで、自分が随分敵艦に近づいていることに気がついた。
「今だ!」
キラは、『イーゲルシュテルン』を【デュエル】の頭部に放ち、怯んだところで、蹴りを入れて距離を離す。
「ナタルさん!」
ナタルは半信半疑で準備していたが、絶好の機会にすかさず指示を出した。
「『スレッジハマー』、『コリントス』、『ヘルダート』てぇー!」
【アークエンジェル】から吐き出された大量のミサイルが、【デュエル】を呑み込もうと殺到する。
「なに!?」
イザークは慌てて回避運動を取りつつ迎撃しようとするが、艦に近づきすぎたのと、『ビームライフル』ではなく『ビームサーベル』を持っていた為、迎撃手段が『イーゲルシュテルン』しかない。当然大量のミサイルを全て迎撃出来る筈もない。
「うわああぁぁぁッ!!」
フェイズシフトにミサイルは効かないが、衝撃は通る。コックピットは揺れまくった。そして、フェイズシフトは攻撃を受けると莫大な電力を消費する。ミサイルを受け切った【デュエル】のフェイズシフトがダウンした。エネルギー切れだ。
「イザーク!」
慌てたアスランたちが、イザークの援護に入るのを他所に、【ストライク】は悠々と【アークエンジェル】に戻った。
「このまま【アークエンジェル】は全速前進! 《アルテミス》へ向かいます!」
撤退するGを見送り、キラたちは《アルテミス》を目指した。
今回はこんな感じですね。キラくんは原作知ってるので、エネルギーに関しては滅茶苦茶気にしてます。イザークは頭に血が上りやすいし、初めてデュエルで戦うならこんなこともあるかなと。