やめてよね。俺が准将に転生しても同じように戦えるわけないだろ!   作:よみや

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SEEDの人気投票の結果が出ましたね。
オーブ国民が大分多かったようで(笑)
個人的には満足の結果でした。ああいう催し物も良いですよね。


PHASE-09 水不足

 

 

 

 評議委員会から出頭要請を受けたクルーゼ隊は、プラントへと帰投の最中にあった。

 

 そんな中、アスランは浮かない顔でベッドに寝転がっていた。出撃前はいた相部屋の他のパイロットも、今はミゲルだけだ。

 

(「敵じゃない? ならなんで、《ヘリオポリス》を攻撃したりしたんだ! あそこはオーブのコロニーで、俺も住んでたのに!」)

 

 アスランの脳裏に、キラの言葉が思い起こされる。

 

 キラ・ヤマト。アスランにとって、幼少期から共に育ち、兄弟のように過ごした無二の親友。自分がプラントに移住するまで、いつも一緒にいた。そんなキラの言葉が、頭から離れない。

 

《ヘリオポリス》で開発された地球軍の新型モビルスーツ。それを奪う作戦だった。そのことに、アスランは疑問を抱かなかったし、奪ったこと自体は今も正しいと思っている。しかし、アスランはキラと話すまで、民間人のことなど全く気にしていなかった。そして、その民間人の中にキラはいたのだ。キラだけじゃない。キラの両親もいた。幼少期、両親が多忙でヤマト家に預けられていたアスランにとって、キラの両親は特別だ。あの両親だから、アスランは子供らしくいれたのだ。多忙だった両親を恨んだことは無いが、それでも寂しくなかったのはキラたちヤマト家のお陰だとアスランも理解していた。

 

「俺は……」

 

(「コロニーがどれだけ脆いかは、プラントの方が知ってる筈だろ!? 《ユニウスセブン》のことがあったのに、なんでザフトがコロニーに攻撃なんてするんだ!」)

 

 血のバレンタインで、アスランの母は死んだ。コロニーが脆いことなど、知っていた筈なのに。

 

 部屋のドアが開いて、ミゲルが入ってきた。

 

「なんだアスラン落ち込んでんのか? まあ、ラスティやオロールもいなくなっちまったからな」

 

 本当は違うが、違うとも言えずアスランは黙り込んだ。

 

「こないだの戦闘で4機でやって落とせなかったのもあるか。イザークも随分落ち込んだらしいしな。新しい機体も受領出来るみたいだし、次は俺もリベンジマッチだな」

 

 反応が薄いアスランに、ミゲルは溜め息を吐いた。

 

「割り切れよ。でないと死ぬぞ」

「……ああ、そうだな」

 

 あんなに一緒だったのに、キラはもう向こう側だ。

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 その頃のキラたちは、深刻な問題に直面していた。

 

「水が無い」

 

 圧倒的物資不足である。

 

【ストライク】の整備を終えて食堂に戻ってきたキラだったが、食堂に活気はなく雰囲気が暗い。

 

 キラがいつもの面子がいるテーブルに来ると、フレイが立ち上がった。

 

「あ、あの、この間はごめんなさい! 私考えなしに言っちゃって……」

「ああ、あれは別に……」

 

 准将と違って、人種問題は気にしていないキラは、軽く流そうとしたが、突如眉間に閃光が走った。

 

「あー、あれは凄いツラカッタナー。あの後、あのハゲに滅茶苦茶パワハラされたしなー。うーん、クルシイナー」

 

 キラの言葉に、トールとミリアリアは、また始まったよこいつ、みたいな顔をしている。

 

「え、あ、ごめんなさい、なにかお詫びを」

「じゃあ、抱き締めて頭よしよしして欲しいな」

 

 フレイの表情が固まった。ついでに、サイとカズイも固まった。

 

「ちょ、ちょっと待って! い、今はダメよ! 私昨日シャワー浴びてないんだから!」

 

 今? シャワー浴びてない? 浴びてたなら良いの? 

 

「待ちきれませーん」

 

 キラが素早い手付きで、フレイを抱き締めた。そして、大きく深呼吸。

 

「はあああッ!?」

 

 大絶叫したフレイが、キラの頭をぶっ叩く。これも、一種のよしよしか? うーん、ヨシ! 

 

 顔を真っ赤にして、恥ずかしさから涙目になったフレイがキラの腕から身をよじって抜け出した。

 

「シャワー浴びてないって言ってるじゃない! なんで、匂いまで嗅ぐの!?」

「すごい良い匂いだったよ」

 

 親指立てて良い笑顔をするキラに、フレイがグーで殴りかかった。あっさり受け止めたキラが、フレイの手に何かを握らせる。

 

「なに?」

 

 不思議そうに、手を開いたフレイの目に映ったのは、飴玉だった。

 

「飴? こんなの、どうしたの?」

 

 物資不足の【アークエンジェル】では、食事自体は栄養的には過不足なく摂れているが、甘味などは違う。お菓子の類いなんて、当然無い。

 

「それは、俺の私物。カバンに入ってたんだ。あげるよ」

 

 フレイが飴玉に気を取られている間に、キラはご飯を持って逃亡した。

 

「あ、逃げた」

 

 こいつ、いつも逃げてんな。

 

 その後、食事を再開して、全員が食べ終わったあたりで、デリカシーが無いことに定評があるカズイが口を開いた。

 

「トールとミリアリアに聞きたいことがあるんだけど」

「どうした?」

 

 カズイは一瞬サイを見てから、話し始めた。

 

「キラのことなんだけど。キラって勉強出来るし、性格も良いけどさ、女癖が悪いって噂あったじゃん? 実際のところどうなのかなって」

 

 速報! キラ氏、女癖が悪い模様。

 

 あーって感じで眉間を揉むトールもミリアリア。

 

「俺はゼミでのキラしか知らないから、今まで気にならなかったけど、最近はフレイにもセクハラしてるし」

「そうだなー。女癖が悪いって言うと語弊があるな。キラは単純に女好きだ。美人、美少女を見れば、ちょっかいかけに行くし。ただ誰彼構わずってわけじゃない。結婚してる人は当たり前だけど、彼氏がいる娘にもちょっかいはかけねえよ……基本的には」

 

 カズイの視線が、サイとフレイに向く。

 

「え、でもフレイは……」

「あーそのことなんだけど、サイとフレイってどこまでいってんの?」

 

 トールがサイに話を振った。

 

「えーと、親同士で話し合ってて、将来的には結婚するかもとかの話も出てる」

「つまり、まだ正式には婚約してないってことか?」

「うん、まあ。まだうちうちで話し合いの状態だし」

「なら、フレイはキラにとってはモーションかけていい判定になるな」

「えっ!?」

 

 トールの結論に、フレイの顔が赤くなった。

 

「婚約抜きに、お付き合いしてるわけでもないんだろ?」

「ええ、そうよ。パパが話を進めているけど、私が勝手に決めるわけにはいかないもの」

「じゃあやっぱりキラの中ではセーフだな」

 

 えーみたいな顔するフレイ、サイ、カズイ。

 

「ちょっと甘えもあるかもな。俺たち相手なら多少はっちゃけてもいいし。キラもモビルスーツで戦闘なんてストレス凄いだろうし」

「え、まあ、それは」

「あとフレイだけじゃなくてもミリィにも──」

「ちょっとトール!」

 

 顔を赤くしたミリアリアが、トールの口を塞いだ。

 

「え、なに、どうしたの?」

「なんでもない、なんでもない」

 

 フレイが目を丸くするが、ミリアリアは愛想笑いをして誤魔化した。

 

「え、そんな反応されると、気になるんだけど」

 

 またカズイが余計なこと言って、ミリアリアたちと騒いでいるのを横目に、フレイが手の飴玉を眺めていると視線を感じた。隣のテーブルを見ると、小さな子供がフレイを見ていた。正確にはフレイの手を。それを理解したフレイが、少女を手招きする。

 

「あなたお名前は?」

「わたしエル!」

「そう、エルちゃんも飴舐める?」

「え、いいの!?」

 

 流石のフレイもこの状況で自分より小さい子がいるのに、堂々と甘い物食べるほど性格が終わっているわけではない。

 

「どっちがいい?」

 

 幸いキラは2つの飴玉をくれたので、角はたたない。

 

「イチゴがいい!」

 

 赤い飴玉を貰ったエルが、笑顔になった。

 

「お姉ちゃんありがとう!」

「私にこれくれたお兄ちゃんにも、後でお礼言ってね」

「うん!」

 

 満面の笑みで母親の元に戻るエルを見ながら、フレイはふと気づいた。そういえば、キラが飴玉を渡す時に、一瞬あの子供のいるテーブルに視線を向けたような。

 

「もしかして?」

 

 フレイは残った飴玉をじっと眺めた。

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

「え、補給受けられるんですか!?」

 

 サイが驚きの声をあげた。

 現在キラたちは、ブリッジに集められていた。

 

「受けれるというか、勝手に受けるというか」

 

 ムウの返事の声が、どこかぎこちない。それに続いて、感情を殺した表情のマリューが口を開いた。

 

「私たちは現在、デブリベルトに向かっています」

「それって、まさか!?」

 

 キラを除いた学生組で、サイが1番早く答えに辿り着いたようだ。勘の良いガキは嫌いだよ。

 

「デブリベルトには重力の影響で、様々なものが集まっています。当然、破壊された戦艦なども……」

 

 マリューの言葉に、他の学生たちも理解が及んだ。

 

「それって……」

 

 顔を引きつらせるサイたちに、慌ててナタルがフォローを入れた。

 

「出来ればやりたくないのは、我々も同じだ。だが、他に手が無いのだ。どれだけ節約しても、月まで水は絶対に保たない」

 

 ナタルの苦々しい表情に、サイたちも自分たちの置かれている状況が、かなり切迫していることを自覚した。

 

「あなたたちには、その際に作業を手伝ってほしいの」

 

 サイたちが覚悟を決めている中、キラは安堵していた。今のところ原作と大きな違いは無い。だからデブリベルトに行くとは思っていたが、ここで万が一行かなかったらラクスと出会う機会を失うことになる。問題は見つけることが出来るか。キラの悩みは尽きない。

 

 デブリベルトに向かうのが決定したところで、すぐに着くわけではない。エンジン吹かせるならまだしも、敵に発見されないように慣性航行では尚更。

 

 アニメではすぐ着いたような描写されてるけど、年表とか見ると《アルテミス》から1週間とか経ってるんだよな。

 

 話し合いが終わり、各々が作業に戻ろうとしたところで、マリューがキラに声をかけた。

 

「キラくんには、【ストライク】のことで少し話があるから、これから艦長室まで来てくれる?」

「はい」

 

 マリューが席を立ち、それにナタルとキラが続いた。

 

「あれ? バジルール少尉も行くのか」

 

 残されたトールたちが不思議そうにしていると、ノイマンらも確かにみたいな顔をし始めた。

 

「ほら、準備はいくらでもあるんだ。さっさと作業を始めるぞ」

 

 しかし、ムウが急かしたことで、皆気にしなくなった。

 

 

 

「【ストライク】のことって言ってましたけど、何かありました?」

 

 部屋に着いて、キラが口を開くとマリューは目を逸らした。

 

「いえ、それは方便で。今まで色々あって直接話せなかったけど、キラくんの調子はどうかと思って」

 

 アニメだとわかりづらいが、《ヘリオポリス》が襲撃されたのが1月25日。《アルテミス》での騒動が27日で、今日がその翌日の28日。怒涛のイベントラッシュだったので、マリューが時間が取れなくても仕方がない。

 

「それで、あの、大丈夫? 《アルテミス》でもガルシア少将に連れていかれたって聞いたけど」

 

 マリューからは、本心から心配していることがわかるほど自責の念が出ている。ナタルもソワソワしており、言葉にはしていないが、心配していることが窺える。

 

「大丈夫ですよ。あのハゲには、嫌味言われたくらいなので」

 

 堂々とハゲ呼びしているが、マリューとナタルも散々な目にあったので、特に訂正はしなかった。

 

「でも、呼び出してくれたってことは、あの約束のことですよね?」

 

 キラの言葉に、2人の頬が少し赤くなった。

 

「そのことなんだけだど……」

 

 しかし、マリューが申し訳なさそうに話し始めたことで、キラは内心あれ? と思い始めた。

 

「出来ればもう少し待って欲しいの」

「えー」

 

 キラが不満げに2人を見ると、ナタルが恥ずかしそうにモジモジしていた。

 

「その、水不足が解決するまで、待って欲しい。そ、その、する前にシャワーが浴びたい」

 

 指をツンツン合わせているナタルに、キラは萌え死にしそうになった。

 

「軍人だし、非常時だけれども、そういう行為をする前には身綺麗にしたいの。それに、終わった後もシャワーが使えないと、匂いがバレるし」

 

 そう言われるとキラも強く言えない。現在の【アークエンジェル】は、飲料水も制限しているレベルなのでシャワーなど夢のまた夢だ。汗拭きシートや制汗スプレーを使用しているが、シャワーには勝てない。

 

「あー、わかりました」

 

 キラが了承してくれて、ホッとした様子の2人。

 

「でも、マリューさんとナタルさんなら、別に臭くなさそうですけどね」

 

 キラがナタルに近づこうとしたら、シュバッとナタルが距離を取った。

 

 顔を赤くして睨んでくるナタルに、これ以上は無理かなとセクハラを諦めたキラ。マリューさん? 白兵戦トップクラスにそんなことしないよ? 

 

「丁度良いから【ストライク】のことで、相談があるんですけど──」

 

 とはいえ、やる事はいくらでもあるので、暇はないのであった。

 

 

 

 

 




癖になってんだ。フレイとナタルを弄るの。

そして、キラくんロマンティクスおあずけ。ちなみにこれは意味があります。
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