超A級スナイパーは口下手すぎて周囲に誤解を与えてしまうのをなんとかしたい 作:Yuri_____
何故か従兄の匡貴君の名を言ったら固まられた。な、なじぇ…??
私意外と匡貴君に似てると思うんだけど…主に無表情なところ。あ、これ似てるとか言わねぇわ。
「あ、あの…つかぬ事をお聞きしますが、マサタカって二宮さんのことですか?」
「そう。君の弟子」
「弾バカの弟子なのは事実だけど、瀧原先輩ズバッて言うんすね」
「おい、立香。二宮の野郎とどんな関係何だ。吐け」
「従兄」
私がそう言うと影浦君は宇宙猫になった。
凄い。生宇宙猫初めて見た。
ネコチャンになった影浦君は置いておいて、私は荒船氏を見るとこちらも宇宙を背負ってた。
最近は宇宙を背負うのが流行りなんですね(違う)
取り敢えず私は固まっている皆に「(戦ってくれて)ありがとう」と伝えてその場を去った。また言葉が足りなかった。すまない。
そんな時私は迅さんにメールで玉狛に来ないかというお誘いを貰った。
特に狙撃の訓練も無いし…丁度暇をしたので行くことにした。
玉狛のメンツとは一方的にだけど仲が良いと思ってる。
皆仏並に心優しくて好き…ビッグラブ…烏丸君はちょっと怖いけど。
特に陽太郎君は私の動かない鉄壁の顔をものともせず話しかけてくれるし、なんなら求婚もされた。
その時は何故か烏丸君が陽太郎君の頬を引っ張っていた。
どうした君。
そして私は玉狛の近くにあるバス停から降りて支部に向かう。
長閑なところだからいいよね…本部から異動しようかな…いや、玉狛に迷惑かけちゃうかもだからやめておこ。
私は玉狛の玄関の前に立つと、ドアが開いた。
「いらっしゃ〜い」
「…どうも」
ああ~!! 今日も声が一段と素晴らしい。
優しくてカッコよくて声もいいとかずるい。いつか羽矢先輩に「月刊少年悠一くん」とか描いてもらおうかな。私はベタかトーンでも貼ろう。
というかボーダーの人達皆カッコイイを兼ね備えた人達ばかりだけど。女子には可愛いや綺麗も付け加えられる。今度羽矢先輩と語りつくそう。
「…ねえ、立香。今変なこと考えなかった?」
「なんのことですか」
「今なんか羽矢さんと立香が漫画描いてて…しかも俺が主人公の未来があったんだけど」
「気のせいですよ」
「コラコラ目をそらすな〜…って、まあいいんだけどね。ささっ、中に入った入った」
「お邪魔します」
靴を脱いで玉狛に上がると、私は迅さんをジーッと見つめる。
大丈夫かな、迅さん。昨日のことで風刃渡しちゃったから辛くないかな。
桐絵ちゃんから迅さんの師匠について軽く聞いてるけど、大切だった人の物が自分の傍から離れるのは辛いはずだ。
ジーッと見つめていると、目の下が少し赤くなっているのに気が付いた。
その瞬間、私はギュッと迅さんの手を握る。
「うわっ!? え、え!? どうしたの立香?」
「……大丈夫ですか。辛くないですか」
「…!」
「少しくらい休んでも誰からも文句は言われません。迅さんは凄い頑張ってるから」
「…うん、ありがとう」
今のは上手く伝えられたはず。
迅さんはそう言うと私の頭を優しく撫でる。
この人は去年までまだ高校生だったのに…いや、それ以前より未来視のサイドエフェクトで沢山の辛い未来を見ている。
それは私には絶対に分からない領域。でも、寄り添ってあげることは出来る。
尊敬している迅さんが辛くならないように。
こんな口下手で人の優しさに浸かってるだけの私だけど、少しでも迅さんの負担を減らせるようになりたい。
頑張るぞ私。やればできる。
「みんなー、お客さん連れてきたよ」
「お客さん、ですか?」
「……お邪魔します」
「タッキー!」
玉狛のリビングに入ると一個下の桐絵ちゃんが私のあだ名を呼んでくれた。大好き。
桐絵ちゃんは初め、警戒する猫みたいだったけど時が経つにつれあだ名で呼んでくれるようになった。嬉しいがすぎる。
「瀧原先輩…!?」
バッとソファから立ち上がった烏丸君はいつも私並に無表情なのに、目を見開いていた。
そんなに私が玉狛に来るの驚きますかね?? 結構な頻度───って程でも無いけど、来てると思うんだけど。
「あれ迅さん、なんでタッキー先輩が玉狛に?」
「俺が誘ったんだよ」
「迅さんナイスです」
何がナイスなんですか烏丸君。
私はイツメンから目をそらすと見覚えのない三人組を見つけた。
私が視線を向けた瞬間、三人共ビシッと固まってしまった。
ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!! ごめんねごめんね怖がらせるつもりはないんですこれがデフォルトなんですお願いだから怖がらないでぇぇ!!!
「あの…迅さん。そちらの方は」
「おっとそうだった。こちらの約束された勝利の顔面を持ってるのは本部所属の瀧原 立香。無表情で第一印象は少し怖いかもだけど実際は優しくて思いやりのある凄い良い子だよ」
迅さんにそう紹介されて私は頬が熱くなる(実際は変化なし)。
なんでそういう本人が恥ずかしいこと言うんですか!! しかもそんないい声で言わないで死んじゃう!!
私は迅さんに「お願いですから、恥ずかしいこと言わないでください…!」と言おうとすると、この口は変な事を口走りやがった。
「お口ミッフィーにします」
「それは勘弁」
「は、はあ…あ、僕は三雲修です」
「空閑遊真です」
「あ、雨取千佳です」
「…………雨取?」
「…?」
雨取って確か、匡貴君のチームメイトだった鳩原さんの時の…いや、雨取って苗字は結構沢山いるし、関係は特に無いでしょ、多分。
私は雨取ちゃんに「なんでもないよ」と伝えると少し顔を青くされた。
アッ、またやらかした。
私は焦って目を逸らすと、空閑君と言った白髪? アルビノ? の男の子と視線が合った。
「黒トリガー…」
「…!」
反応からして彼が黒トリガー持ちのネイバーらしい。
前に桐絵ちゃんから近界は戦争が続いている地域があると聞いた。
やっぱり、そういう事態になることがあるということ。
空閑君は守るように指に付けていた黒い指輪を隠す。
な、なんもしないよ!!
「そう…君が」
「……」
「良かった」
「ぇ…」
「大切な人が奪われなくて」
私はぽん、と空閑君のふわふわした頭に手を置いて優しく撫で………あ"ばっ、やばばぼばば!!
初対面で本部所属の訳分からんやつに頭撫でられるとか……陰キャですみません。お母さんのお腹の中からやり直します……
「腹切って微生物からやり直します」
「急にどうしたー?」
「俺、瀧原先輩なら微生物でも愛せます」
「(微生物になった私は)キモい(から愛さなくていいよ)」
「ぐっ…ありがとうございます」
「どうしよ迅、とりまるが壊れた」
「いつものことじゃん。あ、京介は立香の事になるとネジがぶっ飛ぶから気をつけてね」
「恋って凄いね、修くん」
「恋…なのか??」
いやいやいや、烏丸君みたいな超絶イケメンが私に恋とかないない。
良くて憧れ…すいません、調子乗りました。
家帰ったらエアードラムして発狂しよう。
「──ぶっ、立香、エアードラムはやめてっ」
「……………」
迅さんに陰キャの恥ずかしい行いをする未来見られた。
死ねる。羞恥で死ねる。