超A級スナイパーは口下手すぎて周囲に誤解を与えてしまうのをなんとかしたい 作:Yuri_____
爆煙の向こうから聞こえてくる、低く楽しげな笑い声。
「はは、やるね。いきなり撃ってくるなんて、なかなか刺激的だ」
煙が晴れると、無傷のままそこに立っていたのは巨大な剣と宙に浮く円形の盾。その姿は少し村神様の攻防方法に似ている。
これはもしややばい相手なのでは…?
「君みたいな子がいるなんて、玄界も捨てたもんじゃない」
「…ビッドが効かない…」
確かに命中はしていた。だが、直前に現れた半透明のトリオン障壁がメテオラの攻撃を受け止めていた。
きっとエスクード、いや黒トリガーだからそれ以上の耐久性のある盾だ。
「僕はアルファルド。君は?」
「……なんでお前に名乗らなきゃいけない?」
「えー、ひど。さっき攻撃してきた時に確信したけど君って冷たいよね」
「……敵に温かく接する必要ある?」
「仲間にも」
うぐッ……。
わ、わざとじゃないもん!!!!
いや、確かに私、吉里隊に対しても言葉足らずだった。
あれは……うん、完全にコミュ障が爆発してただけ。わざとじゃないよ……ごめんね吉里くん……。
「まあまあ、怒らないでよ。僕ってさ、こう見えても気を遣うタイプなんだよ。ちゃんと先に名乗るし。敵でも礼儀は大切、でしょ?」
「……敵は、倒すだけ」
「そう。じゃ、倒してみなよ?」
挑発。分かってるけど……。
もうやるしかない。私は深く息を吸い、脳内でビッドの展開パターンを走らせる。
スターリング、ビッドモード、全機展開。
「──メテオラ」
ビッドから放たれた砲弾が一斉に空を裂き、アルファルドの位置へ雨のように降り注ぐ。
だが──。
「ほらね、そう来ると思った____
ごうん、と音がして、アルファルドの盾が展開された。
それはただの防御装備ではない。広範囲にわたるトリオンの偏光バリア。
メテオラの爆発が、彼を中心に弾けては消えた。
煙の向こうで笑っていた。
「すごいすごい。君のトリガー、まるで花火みたいだ。しかもそのトリガー…玄界にそんな面白いトリガーを作れる者がいるとは」
「……っ」
嘘やん。なんでこっちの攻撃全部読まれてるんすか。
いや、まあ分かってましたよ?黒トリガーだもん。きっと見た目からして村神様の強化版みたいなもんだって、最初から分かってましたけど!!
こっちはただのB級コミュ障陰キャスナイパーなんだが??
相性クソ悪すぎでしょ。私の運勢って、ほんとばか。
頭をフル回転させて、次の配置を描く。
メテオラの一斉射撃じゃダメなら、複数方向から時間差攻撃で。
「盾で防げない角度から……撃つ」
左右のビッドが、タイミングをずらして撃ち始めた。
だが──
「ほいっと」
……動いた。盾を最小限に回転させて、的確に弾いてくる。
なにこれ、弱いものいじめ過ぎませんか?? いじめ反対!!
こっちはハードモード、相手はノーダメージRTAってところか。
………………無理ゲーなのでは?? たちけて、迅さん。影浦くん。
「君、考えるのは上手だけど、攻めはまだ甘いねぇ」
くっ……。言われなくても分かってますぅーー!!
本来の私は中~遠距離支援が専門。近距離の重装型なんて相性最悪なんですーーー!!
言わせんなコノヤロウ。
「…」
「あれ、トリガーしまうの?」
こうなったらスターリングだけでいくんじゃなく、他のトリガーも使ってあの盾の抜け穴を見つけるしかない。
ただ今のトリガー構成だとかなり厳しい。攻撃できるトリガーがスターリングの他にアイビスしかセットしてないから……グラスホッパーを使って出来なくはないけど、ぶっちゃけしたくない。
威力が強いしそもそも機動力が全くないからグラスホッパーとの相性がクソ悪い。
「グラスホッパー」
「!!」
まずはグラスホッパーで相手に急接近し不意をつかせて、スターリングで超高速で攻撃を繰り返すしかない。
上手く、素早く、トリガーを切り替えて攻撃をしなければ。
「メテオラ」
「(───早い!)」
副作用を使い、敵に全て集中させる。
どこに隙ができる。どのタイミングで盾の
盾の他にも腰にかかっている剣にも気をつけないと。まだ引き抜いてないけどいつ、どこのタイミングで抜いてくるかわからない。
四方八方からビッドを展開し、時間差で撃ち込む。
掠めそうになった瞬間、盾が滑るように動き、全部を弾き返した。
どんなチート性能してるんですかその盾。
「さてと…そっちが先に攻めてきたんだから、今度はこっちの番だ」
「!!」
ちかッ──────!!
「グラスホッパー!」
宙に浮いていた盾を持って急接近してくるなんて聞いてない!!
迅さんヘルプミー。こういう時未来視の副作用ほすぃよーーー。
「へぇ、これ避けるんだ。よほど反射神経がいいんだね」
「メテオラ」
「ダメだよ、そんな粗末な攻撃じゃ。僕には当たらないよ」
「…そうみたい」
私の周りに一つの円を作るように浮いているビッドを一斉に敵に向ける。
こちらに意識を向けるために。
「(…待てよ、確かあのトリガーは全部で20機あったはず。残りの5機はどこに)」
「────メテオラ」
「しまっ、」
死角に配置したメテオラは確実に敵の胴体を貫いた、はずだった。
「わぁ…初めてだよ。敵にトリオン体を傷つけられたなんて」
「チッ」
かすり傷程度か。
もうちょっと体に穴空いてもよくないですか!?
は、蜂の巣くらいにはなっててくださいよォ!
もう黒トリガーやだーーーーー!! 誰か助けてクレメンス。
「僕も本気出してもいい?」
「………来るなら、来い」
って、おばかあああああ!!! なんでそんな挑発的なこと言っちゃうのこのお口は!!
ひいいいいいいこないで!!来るって言うな!その剣しまえ!その剣重そうだけど絶対火力お化けだって。
きっとカリバるんでしょ。約束された勝利の剣みたいにビーム出すんでしょ!! 私知ってる!!
地面が、鳴った。
アルファルドが一歩踏み込むと、トリオンが凝縮されたような空気が周囲に走る。
無理無理無理カタツムリ。なんでこんな重圧やばいんですか。助けて、かげえもーーーん!!
「チェックメイト、ってことでいい?」
「……」
この凝縮されたトリオンの塊が放てば私は一瞬でベイルアウトするし、この先はこのまま行くとボーダー本部に直撃する。いや、ボーダーよりも先の市街地にまで届くかもしれない。
そうなると、被害は想像を絶する多さになるはず。
ここで私が食い止めないと。
本来の私はシューターではなく、スナイパーだ。
こんな近距離で戦う役割ではない。けど、
〘
「─!!」
接続機により、ビッドが次々に合体していき最終的に巨大な固定砲台───バレッドモードが起動した。
これを一発放てば、即緊急脱出。
まだ一度も使ったことはないけど、ここで決めないと…!!
相打ちになればいい。これ以上戦えず役たたずになるかもしれないけど私はボーダーだ。
近界民と戦うことより、民間人や仲間を守ることだ!!
「メテオラ
「そうこなくっちゃ、なあッッッ!!!!」
こちらのメテオラと相手の攻撃ビームがぶつかり合い、空が、光に包まれた。
爆音と共に、空間そのものが焼き切れたかのような閃光が視界を覆い、耳鳴りのような重低音が鼓膜を叩く。
吹き上がる土煙、砕けるコンクリート、圧縮されたトリオンが解放される轟音とともに、全てが押し流されていく。
トリオン体が限界を訴えている。でも、ここでベイルアウトするわけにはいかない。
私は歯を食いしばって照準を保った。
───絶対に、通さない。
「っ……………倒した……?」
……煙の中。何も見えない。
トリオン体はギリギリ保ってるけど、もうすぐトリオン切れでベイルアウトすると思う。
でも、サイドエフェクトでわかる。
そこに立っていることが。
「─────まさか、玄界のトリガーに黒トリガーが圧倒されるなんて。想定外だ」
「!」
煙が晴れると、そこには半身が削がれているアルファルドの姿が現れた。
「途中で盾に変えなきゃ確実にやられてたや…ぶっちゃけ、玄界の戦士なんてたかが知れてると下に見ていたけど…ここまでやれるなんてね」
「玄界を舐めるな。角野郎」
「うわ、口悪! 君綺麗なのに勿体ないよ」
匡貴くん仕込みなので仕方ない。
「ねえ、君の名前……聞いてもいい?」
「…」
「いいじゃないか。これ以上お互い戦えないわけだし。減るものじゃないだろう?」
いや、減りますが。
「……立香。瀧原 立香」
「そっか、立香か。いい名前だね……次会う時は僕が勝つ」
「そう」
〘 トリオン体活動限界 緊急脱出〙
「……つかれた」
黒トリガーの案を下さり本当にありがとうございました!