アグネス先輩!よろしくお願いします!~コンパス新人隊員の華麗なる(?)日常~   作:クスクス

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完結です!もしよろしければ本作の感想いただけるととても嬉しいです!



アグネス先輩!よろしくお願いします!

あの後、私達はアプリリウス市に戻った。

投降したエミール中佐は憑き物が落ちたかのようにブルーコスモスについて組織、構成員、武器の場所…その全てを証言した。

構成員の中には軍の高官や高名な政治家、資産家も多数含まれており、中佐の証言はかつてのロゴス狩りを思わせる騒動を引き起こした。

結果として、組織としてのブルーコスモスは完全に消滅。

多くの悲劇をもたらした組織はやっとその歴史に幕を下ろした。

 

彼は終身刑を宣告され、プラントの刑務所に収容されている。

刑務所の中で彼は自らの罪を心から悔い…デストロイのパイロットにした自分の娘に懺悔の手紙を書いた。

 

「パパが手紙をくれたの!許してほしいって…」

 

そう泣き笑いの顔で話すアンナさんを私は抱き締めたのを覚えている。

もちろん彼の奪った命は戻らないし、罪は消えない。

それでも…憎しみを抱えたまま自らも憎しみの炎に焼かれるよりはよい結末だったのではないだろうか。

 

そうそう…デストロイのパイロットのアンナさんはプラントの病院でリハビリに励んでいる。

これまで生体CPUの治療は困難と言われてきたが、ユーラシア連邦と大西洋連合が自らの負の遺産たる生体CPU関連の情報を提供し、プラントの優れた医療技術を用いる事で何とか治療のめどがたったのだった。

 

私の事をリズお姉ちゃんと呼んで慕ってくる彼女が可愛くて休暇中、毎日病院に通っていたらアグネス先輩にすねられてしまって大変だった…

 

もちろん、これで全てが終わったわけではない。

自分より優れた存在への嫉妬。劣った存在への軽蔑。

ナチュラルとコーディネーターの溝は依然として深い。

 

2度の大戦やブレイク・ザ・ワールドにモスクワへのレクイエム。

愛する者を失った人々の嘆きと憎しみもまた…消えてはいない。

すでにネオブルーコスモスや新生ブルーコスモスを名乗る組織がいくつも生まれ始めている。

 

それでも…嘆きや憎しみを抱えて苦しむ人々に銃を差し出す巨大な組織が消えた事は大きい。

少なくとも銃を取る以外にも選択肢がある事を、憎しみを癒し手を取り合う道もある事を検討する時間はできる。

 

きっとこれからも憎しみに駆られて銃を手に取る人は絶えないだろう。

でも、いつかきっと、ラクスさんの見せてくれたあの美しい庭園のように。

コーディネーターの人達と私達ナチュラルが手を取りあえる日が来る。

 

だから、私もそのために戦う…はずだったのだが。

 

 

 

 

「うう~私のレイダーちゃんが…ぐすっひぐ…」

 

涙が止まらない。

そう…中佐の証言でブルーコスモスだった軍人はユーラシア軍から一掃された。

問題は…レイダーMkⅡの開発を推進していた高官もブルーコスモスだったのだ!

 

当然計画は凍結。

ユーラシアにあった部品や機体はすべて破棄されてしまい…私の機体を残すのみ。

そしてデストロイとの戦闘でひどく破損した機体は修理する事ができずに廃棄が決まった。

 

「いい加減泣き止みなさいよ…キラ隊長が新しい機体をくれるでしょ。ジャスティスとか…。あとギャンもなかなか良い機体よ。おそろいになるし」

 

呆れたように言うアグネス先輩。

知らせを受けて部屋に引きこもった私を心配して来てくれたのだが…

 

「それだけじゃないんですよ!!見てください!これを!」

 

端末に表示されたユーラシア軍からの通達を見せる。

 

リズ・グレイ少尉を除隊処分とする。

その文字がディスプレイにでかでかと表示されている。

 

中佐の証言で大混乱に陥ったユーラシア軍は、中佐の逮捕に功績があった私を逆恨みして除隊処分にしてきた。

私がコンパスにいるのは、ユーラシア軍から派遣されての事だから…当然放り出される事になる。

 

「もうおしまいなんです!軍では何億もするMSを任せてくれたのに国では駐車場係の仕事も無いんですよ!」

 

「駐車場係の仕事なんていまどきないでしょ…あんた古い映画よく知ってるのね」

 

と感心したように言うアグネス先輩。

いつも通りの態度に段々腹が立ってくる。

 

「先輩には私の気持ちなんてわかりませんよ!青春を捧げた軍からはお払い箱にされて、私のかわいいレイダーMKⅡちゃんがスクラップにされちゃう私の気持ちは!」

 

「そうそう…その事で来たのよ。隊長が話がしたいって」

 

…きっと除隊手続きについての話だろう。

私はのろのろと身体を起こすとコンパスの制服を着る。

私はこんなにも悲しいのに…アグネス先輩はどうして平然としているのだろう。

そう思うとまた泣けてくる。

 

「先輩…本当にお世話になりました。…先輩にとってはただの出来の悪い後輩の一人かもしれませんが…私、先輩の事大好きでした!」

 

「…っ!!ほらさっさと行くわよ!あんたの想像しているような話じゃないから!」

 

アグネス先輩に連行される私。

キラ隊長の待っている部屋に入るとハインライン大尉とキラ隊長が待っていた。

 

キラ隊長が私を引きずるようにして連れてきたアグネス先輩を見て目を丸くし…

それから死んだ目の私を見て困った顔で微笑む。

 

「隊長!この子ずっと泣きどおしで大変だったんですから!」

 

「うん…書類に時間がかかってね…ごめんねアグネス、リズ」

 

いきなり隊長に食ってかかるアグネス先輩といつもの穏やかな声で話す隊長。

そして、隊長とハインラインさんが目を合わせると…ハインラインさんがタブレットを私に差し出す。

そこに映っているのは…MSの図面のようだ。

 

「もしかして…!直るんですかレイダー!」

 

私はいなくなってもレイダーちゃんがコンパスで使ってもらえるならいいかもしれない。気分が明るくなる私にハインラインさんが冷静な声で告げる。

 

「いえ…これはイモータルジャスティスレイダーガンダムMKⅡspec2です」

 

何の何の何!?そもそもMkⅡとspec2が被ってるし!!

よく見ると、脚からビームサーベルが出るようになってるし、そもそもレイダーは変形して飛べるのにリフター付いてるし、鉄球までついてる!あっ…鉄球は原型機要素か。

 

「気に入りませんか?」

 

真面目な顔で聞いてくるハインライン大尉。

 

「気に入るというか…何なんですかこれ!」

 

思わず上官の前にも関わらず叫んでしまう。

 

「あなたが悲しんでると聞いた整備兵と技術者が意気投合しまして…。気に入らない確率は98.7%と予測していましたがやはり…。ご心配なく。設計者には休暇をとらせました。」

 

…どうもからかわれていたらしい。

 

「本命はこちらです…ユーラシアが計画を破棄するという事で我々が計画を引き取る事にしました。すでに可変機としてライジングフリーダムとイモータルジャスティスガンダムがありますが、MSを運搬可能という点は旧型のMSと連携するにあたって大きな利点です。こちらが試作機の計画です」

 

眼を輝かせる私を見てキラ隊長が微笑み、アグネス先輩がやれやれと肩をすくめる。

それから、キラ隊長が私に紙を差し出してくる。

 

「それはコンパスの隊員の募集用紙だよ。知っての通りコンパスは人員不足でね…最近フリーになった良いパイロットがいるって聞いたんだ」

 

!!それって…

 

「もちろん…これからも激しい戦いをしてもらう事にはなるし…隊長はこんな頼りない僕だけど」

 

そこでキラ隊長は言葉を切り、私を見つめる。

 

「良ければ一緒に戦ってほしい…リズ、君の力が必要なんだ」

 

「はい!」

 

隊長から紙を受け取ると一息でサインする。

そして…そんな私を苦笑して見ていたアグネス先輩に抱き着く。

 

「ユーラシア軍改め、コンパス新人隊員のリズ・グレイです!アグネス先輩!よろしくお願いします!」

 

 




本編完結となります。

本作を読んでいただき本当にありがとうございました!
初投稿で右も左もわからない不安はあったのですが、本作を読んでいただきお気に入り、感想、評価をいただいた皆様に支えられて執筆を続ける事ができました。
感想とか評価いただくとずっとニコニコしてたのでここのところの作者はかなり不審者だったかもしれません…

この作品を書いている間ずっと楽しく幸福な時間を過ごさせていただきました!

本作を書く事で色々新しい発見があり、キャラクター達の魅力を改めて再確認してガンダムSEEDという作品の事がさらに好きになりました。

また、タイトルにしちゃうぐらいアグネス・ギーベンラートというキャラクターが好きなのですが、毀誉褒貶あるキャラなので嫌いな方もいるかな~とちょっと懸念していたのですが皆さま温かく見守っていただけてとても嬉しかったです。

これからの作中世界ですがブルーコスモスの命脈が一度絶たれ、ユーラシアもコンパスに加盟しているので、細々とした紛争は続くと思いますがコンパスの皆がいればきっと乗り越えていけると思います。

リズちゃんもアグネス先輩に色々指導されて恋人探して失敗してルナマリアさんとアグネス先輩に愚痴ったり、ルナマリアさんからシンの鈍感ぶりを愚痴られて相談に乗ったり、ラクスさんからキラとのロマンティクスについて惚気られたりと平凡ですが愛おしい日常を送っていくと思います。

もちろん誰一人欠けることなく!

良き読者の皆様に恵まれて本当に作者冥利に尽きます。
感謝の言葉は尽きませんが、あまり長くなってもと思いますのでこのあたりで。
次の作品を書く機会があればぜひ皆さんにまた読んでいただけたらなと思います。
ありがとうございました。
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