アグネス先輩!よろしくお願いします!~コンパス新人隊員の華麗なる(?)日常~   作:クスクス

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アグネス回です。
好きすぎて逆に難しいなと思いました。
次回は改修後のレイダーMKⅡのお披露目です!



合同演習!

「合同演習…ですか」

 

休暇を終えてミレニアムに戻った私達は思いがけない事を聞かされた。

なんでもザフトの士官学校「アカデミー」の生徒達の卒業を前に、戦技向上とコンパスの活動への理解を深めてもらう機会として先方から提案があったらしい。

 

アカデミーと聞いてシン先輩やルナマリアさんも懐かしそうな顔をしている。

やはり卒業生となると母校は感慨深いのだろう。

アグネス先輩は…心ここにあらずという感じでぼんやりと虚空を眺めている。

 

というか今日のアグネス先輩はおかしい!

いつものトレードマークのツインテールじゃなくて無造作に髪を下ろしているし、化粧もどこかおざなりだ。

そういえば昨日ラクスさんと別れて帰る時から妙に口数が少なかったような…

ラクスさんとの会話で過去の失恋を思い出させてしまっただろうか。

そんなアグネス先輩を気にしていてラクス総裁の話をほとんど聞いていなかった私は…

 

「そして…今回はアグネスさんとリズさんに参加していただきますわ」

 

突然のラクス総裁の言葉に驚きの声をあげてしまう。

驚く私を前にラクス総裁は笑顔で理由を説明してくれる。

 

「先のファウンデーション動乱で、ザフトの強硬派がクーデターを引き起こしました。生徒の中には彼らと直接戦ったキラやシンに対して遺恨を持つ方もいるかもしれません」

 

それに…とラクス総裁は説明を続ける。

人員不足にあえぐザフトではクーデターに参加した将兵についても上官に命じられたなど関与が薄いものについては復帰を認め、かつての分断の修復に躍起になっている。

 

それに対してファウンデーションに参加したにもかかわらず、罪を許されて原隊にとどまっているアグネス先輩をこうした公式行事に参加させる事は元クーデター派に対してのアピールにもなる。

 

なるほど…と納得させられるがちょっと待ってほしい。私は!?

遺恨残りまくりである。

 

もちろん過去の大戦にユーラシアは連合側で参戦している。

私がナチュラルという事で血のバレンタインやロゴスがレクイエムでプラントを焼いたのを思い出す人も多いだろう。

 

そこでキラ隊長が口を開いた。

「もちろん…簡単な事じゃないと思う。それでも、コーディネーターの人達の中には実際にナチュラルの人と会った事のない人もいる。知らないから過剰に恐れたり…憎んだりするんだ。だから彼らにも知る機会を与えてあげてほしい」

 

そしてキラ隊長とラクス総裁が目を合わせて微笑む。

ラクス総裁が笑顔で続けた。

 

「大丈夫ですわ。アグネスさんとリズさんなら。コーディネーターとナチュラル。ユーラシアとプラント。かつて敵同士でも今は手を取り合い、笑いあえる。お二人の姿を見れば皆さんきっとわかっていただけます!」

 

それを聞いたアグネス先輩の瞳に光が戻ったように見えた。

去り際にラクス総裁…ラクスさんがそっと私だけに聞こえるように囁く。

 

「昨日あなたが私に気づかせててくれたあのお花たちのように…あなたとアグネスさんの絆を皆さんにも見せてあげてください…私の共犯者さん♪」

 

私もそこまで言われては断れずに頷くしかなかったのだった。

 

 

 

 

演習の説明を受けた後、キラ隊長とともに格納庫に向かう。

レイダーMKⅡの改修が終わったから見に来てほしいとハインラインさんから言われていたそうだ。

格納庫に鎮座する私のレイダーは以前と比べてどこか精悍に見えた。

 

「外見はほとんど変更していませんがエネルギー系統に手を加えました。高エネルギー砲「フラムベルク」の出力にリミッターを加える事で出力は約8割に落ちますがバッテリーの消耗は従来比40%減、スラスターの出力も1.3割増し…そもそもこの威力の砲をMSに積もうとする事が間違っています。過剰火力であり~」

 

後半の怒涛の技術トークはほとんど理解できなかったが、要するに過剰性能だった高エネルギー砲にリミッターを設ける事で負荷を軽減、その分スラスターの最大出力や加速性能を上げたという事らしい。

 

「OSはリズのデータを基に組んであるから動かしやすくなってると思う。あとはアグネスのデータも入れてあるから連携もしやすくなっていると思うよ…頑張ってきてね」

 

キラ隊長も私に丁寧に説明してくれる。

アグネス先輩が傷心になるのもわかるなあ…と再び納得してしまった。

 

私はお二人にお礼を言うと機体の変更点を知るべくコクピットに乗り込む。

改修の変更点についてはリストを渡されていたがすべて確認するだけでも一苦労だ。

夢中で愛機に取り組むうちに私はいつしか時間を忘れていった。

 

 

 

 

「リズ?少し休憩しましょ?」

 

ルナマリアさんの声で我に返る。

どうやらかなりの時間作業に没頭してしまっていたらしい。

改修後の機体への慣熟が必要という事で一応許可はもらっていたのだが時間をかけすぎただろうか?

 

コクピットを開けるとと笑顔のルナマリアさんが飲み物を差し出してきた。

 

「どう?新しい機体は?」

 

ルナマリアさんの問に私のレイダーが改修でいかにすごくなったかを力説しているとルナマリアさんがほほえましいものを見る目をしている事に気づいて赤面する。

 

「ふふ…本当に気に入ったのね。そんなところ申し訳ないんだけどアグネスの様子を見てきてくれないかしら」

 

確かにアグネス先輩の事は気になってはいた。

しかし、アグネス先輩が失恋の事で落ち込んでいるなら昨日ラクスさんを誘った私と話したくないのでは?

 

私がそう話すとルナマリアさんは悩まし気な表情になったがやがて決意を固めた顔になり、私に耳打ちする。

「そうじゃないのよ…ほら、あなたが昨日ラクスさんと庭園に行った時、私とアグネスでゲストハウスで待ってたでしょ?その時にアグネスが『ちょっと優しくされるとすぐコロッといっちゃうんだから!まるで誰にでも尻尾を振る駄犬ね!』なんて言うものだから」

 

うっ…自分でも自覚があっただけに結構刺さる言葉だ…

 

そんな私の顔を見たルナマリアさんが慌てて手を振って否定する。

 

「あの子も本気で言ってるわけじゃないのよ!やきもちを焼いてるだけよ!それで…私がアグネスに『そんな事ばっかり言ってるとあの子にも愛想つかされちゃうわよ。ラクス様に取られちゃうんじゃない?』って言ったら…」

 

最初は「そんな事あるわけないじゃない!そもそもなんで私があんなナチュラルの事を…」といつもの調子で憎まれ口をたたいていたが段々トーンダウンしていき最後には「ルナ…私嫌われてる?」と泣きついてきたそうだ。

 

「告げ口するみたいで言いたくなかったんだけどね」

 

今日まで引きずるなんて本当に素直じゃないんだから…と嘆息するルナマリアさん。

 

「あんな馬鹿だけど一応同期だしね…悪口をいわれたあなたに頼むなんて変な話だけど…慰めてあげてくれないかしら。私もアグネスがあなたの事をこんなに気に入ってるなんて驚いたわ」

 

「すみません!ルナマリアさん!私行ってきます!」

いただいた飲み物の容器をルナマリアさんに渡すと全力でアグネス先輩のところに向かう。

ちらりと振り返るとルナマリアさんが笑顔で手を振っているのが見えた。

 

 

 

「アグネス先輩?…入りますよ?」

 

アグネス先輩はちょうど作業をしていたところだったらしい。

複数のモニターにザフトの理念、それにユーラシアの歴史やコンパスの活動記録にラクス総裁の演説がところせましと表示されている。

 

「リズ…ちょうどよかったわ…これあんたの分」

デバイスに原稿が送られてくる。

「何ですかこれ?」

 

「演習の後にちょっとしたスピーチが必要になるでしょう?あんたの分も私が書いておいたから気に入らなかったら好きに直して」

 

アグネス先輩は立ち上がると私の肩をつかむ。

…肩に指が食い込んで少し痛い。

 

「それからほら…あんたいっつもシュミレーターの自主訓練やりたがってたでしょ?これからいくらでも付き合うから!あの女には出来ないでしょ!?それに何か欲しいものとかプラントで行きたい場所とかある?私の親は有力者なの!大抵の事ならしてあげるから!他にも…」

 

「ちょっと待ってください!アグネス先輩!わ…私アグネス先輩に無理に何かしてもらいたいなんて思った事ありませんから!」

 

「何よ!どうして?私はもういらないってこと!?

キラ隊長もあんたもそんなにあの女が良いわけ?どうしていつも私ばっかり…!」

 

アグネス先輩が涙ぐむ。

どうも誤解させてしまったらしい。

 

「私にしなさいよ!私は優秀なの!アカデミーでも上位だったんだから!」

 

そのまま激しく揺さぶられる。

 

「なんでもしてあげる!あの人には出来ない事なんでもよ!直してほしいところがあったら直すから!あなたの好きなようになるから!だから…私を見てよ!」

 

「いい加減にしてください!」

 

心を鬼にしてアグネス先輩を平手打ちする。

放心した顔で頬を抑えるアグネス先輩。

 

今度は私がアグネス先輩の肩を掴む。

 

「私は!アグネス先輩が好きです!大好きです!

そもそも…あの程度の悪口で怒るぐらいだったらとっくに絶交してます!!」

 

アグネス先輩の目が驚きで見開かれる。

もうこの際なので思っている事を全部言ってしまう事にする。

 

「それから…アグネス先輩の優秀なところ、確かに憧れてます!

アグネス先輩は私の目標です!

でも私がアグネス先輩を好きなのそれだけじゃありませんから!」

 

そのままアグネス先輩を抱き締める。

 

「優秀であるためにずっと努力しているの知ってますし

…それに!私がコンパスに来て困っている時、いつも手を貸して助けてくれましたよね!

ユーラシアのマニュアルも全部読んで!この船とやり方が違う部分は全部修正してくれて!

整備兵の皆さんにもレイダーのこと、お願いしてくれてましたし!」

 

「あれは…私の評価になると思ったからで…というかはなしなさいよ!

私にそっちの趣味はないの!」

 

じたばたともがくアグネス先輩。声にもいつもの調子が戻ってくる。

 

「いーやーでーす!!…すぐに調子に乗るところも!

不器用でルナマリアさんとか私につい悪口言っちゃうところも!

美しさでラクスさんに勝てると思ってる自意識過剰なところもかわいいと思ってます!

…私は!ありのままのアグネス先輩が好きです!!」

 

「…リズ…ありがとう」

 

もがくのをやめ、静かに涙を流すアグネス先輩。

泣いて乱れた顔でもきれいだなんて…美人はずるいなと思ってしまった。

そのまま数分が過ぎ、泣き止んだアグネス先輩が顔を上げる。

 

「ところでリズ?あんたさっき私の事…自意識過剰って言わなかった?」

 

…あっまずい。

 

「痛い!痛いです!せんひゃい!」

 

「うるさい!これは罰よ!好き勝手言ってくれた事への!」

 

完全復活したアグネス先輩にほっぺたを引っ張られる。

 

そうしてじゃれあっていると心配して来たルナマリアさんも混じってきて…3人で笑いあう事になったのだった。

 

 

 

 

レイダーのコクピットに乗り込む。

うう…さっきつねられたところがまだヒリヒリする…

片手で頬を抑えつつレイダーを起動する。

わっ!OSの起動表示がフリーダムと同じGUNDAM表示になってる!

その事にちょっと感動していると上から重い振動が来る。

アグネス先輩のギャンが搭乗したらしい。

 

「ひよっこどもに負けるんじゃないわよ!…それからさっきはありがと…リズ」

通信を送ってくるアグネス先輩。

トレードマークのツインテールは綺麗に結われているし、化粧もばっちりだ。

やっぱりこっちのほうが先輩らしくて…好きだな。

私も微笑むと通信を返す。

 

「はい!レイダーMKⅡ出撃します!」

 

さあ!見せてもらいましょうか!

生まれ変わったレイダーMKⅡの実力を!




不要なところを削ったほうが作品の質は上がる…それはわかっているんですが…
初めての作品なので割り切って書きたいものは全部書く事にしました。
好きな物を好きなだけ書いた方が…筆者は…楽しい!

そんな作品ですが読んでいただける方には本当に感謝しています。
感想いただけると本当に嬉しいですしUAの数字やお気に入りの数が増えるたびににやにやしてます。
この喜びを味わえるだけでも書いて投稿した価値があったなと思っています。

次はいよいよレイダーの戦闘回ですのでどうかよろしくお願いします。
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