アグネス先輩!よろしくお願いします!~コンパス新人隊員の華麗なる(?)日常~   作:クスクス

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レイダーMKⅡに追加されてる背部高エネルギー砲について名無しのほうが逆にそれっぽいかなと思ってたんですがちょっとかわいそうなので名前をつける事にしました。
「フラムベルク」ちゃんです。



黒いガンダム

レイダーMKⅡを発進させる。

以前と比べて私の操作にぴたりと追従してくる。

まるで翼が生えたかのようだ。

 

武装の操作パネルを開く。

背部高エネルギー砲「フラムベルク」

100mm高エネルギー砲「ツオーン」

2連装シールドビームライフル。

いずれも利用可能な事が表示される。

照準も私の意思を先読みするかのようにスムーズに移動する。

愛おしい感触を確かめていると、アグネス先輩から通信が入る。

 

「来るわよ!リズ!」

 

青いバーニアの光が宇宙にひらめく。

いずれもザクウォーリア。

8機。2個小隊。

 

機体をゆるく旋回させて相手の動きを観察する。

これは私の癖のようなもので…ユーラシアにいた頃は「ユーラシアのとんび」なんて恰好悪いあだ名をつけられていたのは内緒だ。

 

ザクの群れは小隊ごとに分かれると一隊は後退。もう一方はそのまま向かってくる。

 

「向かってくるのはブレイズウィザード装備…機動性が高いタイプね。後ろに下がったのはガナーザクウォーリア。あのオルトロスに当たったら終わるわよ」

 

アグネス先輩が解説してくれる。

そうしている間にもガナーザクウォーリアが配置につきつつある。

ロックオン警報。さすがというべきか…戦闘のテンポが早い。

 

向かってくる4機を再度眺める…後方の機体の動きが鈍い。

 

「私はあの4番機をやります。アグネス先輩はかく乱をお願いします!」

軽く攻撃の手順を打ち合わせると機体を全速力でダイブさせる。

高Gで一瞬目の前が暗くなる。

その瞬間ガナーザクが一斉に砲門を開いた。

 

巨大なビームの群れが先ほどまで私達のいた場所を薙いでいた。

猛然と襲い掛かる私達を見て、向かってきていたザクがとまどったように散開する。

だが…遅い!

 

「アグネス先輩!」

 

「わかってるわよ!」

 

十分な加速度を得たギャンが私のレイダーから飛び立ち、ビームアックスを抜いて襲いかかる。

先頭の機体はビームライフルを捨ててビームトマホークを抜こうとする。しかし…

 

「良い判断ね!褒めてあげる!」

 

アグネス先輩の方が早い。そのまま胴体を両断される。撃墜判定。

私も突撃。

後方の4番機をクローで捉える。

訓練生の悲鳴。

そのまま編隊を突っ切り、機体を放りだすと短距離プラズマ砲「アフラマズダ」でコクピットを射貫く。

撃墜判定。

 

「ジョン…!くそっ!ナチュラルのMAはいい!月光のワルキューレを落とせ!」

 

切羽詰まった声で隊長機が命じるのが聞こえる。

生き残りの2機はミサイルを私めがけて放つとビームトマホークでアグネス先輩に切りかかる。

ガナーザクウォーリアもギャンを狙う。

 

たとえ同士討ちになったとしてもアグネス先輩を落とすつもりのようだ。

学生とは思えない判断の早さに舌を巻く。

だが…嘆息混じりのアグネス先輩の声が響く。

 

「リズ?こいつらに教育してあげなさい。ナチュラルだからって侮るとどうなるかをね!」

 

「はい!」

 

そのままレイダーを変形させる!

 

「ナチュラルに何ができるっていうんだ!?」

 

訓練生の困惑した声を聞きながらモニターの光点を次々とロックオン。

背部高エネルギー砲「フラムベルク」出力80%!

100mm高エネルギー砲「ツオーン」出力100%!

そして2連装シールドビームライフル、射撃位置へ!

 

「食らえ!!これが新生レイダーMKⅡのフルバーストです!!」

 

背部高エネルギー砲「フラムベルク」がガナーザクウォーリアのいる宙域を掃射。

2機が”蒸発”したという判定を受ける。撃墜。

 

ツオーンは私に向かっていたミサイルを爆散させながら、アグネス先輩に襲いかかっている機体の背面に突き刺さり撃破の判定を出す。

ビームライフルで狙った隊長機は…シールドで防いだようだ。

だがそのために態勢が崩れていた。

 

「終わりね…あわせなさい。リズ」

 

私もビームサーベルを抜いて切りかかる。

生き残りの隊長機も私のビームサーベルとアグネス先輩のビームアックスに挟みこまれる。

撃墜判定。

MA形態に変形しアグネス先輩を乗せ、残りの2機を襲う。

 

「くそ…みんな!…セリアは下がれ!」

 

おや…4機ともガナーザクウォーリアだと思っていたのだが、1機はブレイズウィザード装備だったらしい。

接近された時の護衛機だろうか?

果敢にバーニアを全開にして迎撃に来るが…焦っているのか動きが直線的で読みやすい。

かわいそうですが…この子から喰わせてもらいましょう!

ツオーンの照準を合わせる。

 

「アラン君!だめ!よけて!」

 

そこにオルトロスを捨てたガナーザクウォーリアが割り込む。

私は舌打ちするとそのままガナーザクウォーリアのコクピットに照準を修正。

発射。撃墜判定。

残るは1機。終わらせましょうとアグネス先輩に合図するとMS形態に変形。

先ほどと同様にアグネス先輩のギャンと前後から挟み込む態勢になる。

 

「よくも…父さんと母さんを殺したナチュラルが!セリアまでも!」

 

逆上した訓練生…アラン君の声が響く。

 

「演習…!演習ですから!」

 

私も通信で呼びかけるがどうも聞こえていないらしい。

再度私に向かってくるが…速い!

先ほどとはまったくの別人のようだ。

牽制のために2連装シールドビームライフルを連射するが…見切られている!

回避運動すらせずに突っ込んでくる機体には当たらない。

そのまま私のシールドを蹴り飛ばすとビームトマホークを振り下ろしてくる!

 

「…強い!」

 

何とかビームサーベルで受けるがザクはそのまま猛攻をくわえてくる。

 

「野蛮なナチュラルがいるから!戦争が無くならないんだ!」

 

憎しみの狂気に囚われた声が聞こえてくる。

ツオーンとビームライフルを発射し、何とか距離を取る事に成功した私も叫ぶ。

 

「私のお父さんだってエンディミオンクレーターでコーディネーターに殺されました!でも!」

 

「…っ!」

 

通信の向こうからわずかに息を呑む気配が伝わる。

 

「憎しみあうだけじゃ悲しいじゃないですか!まだ私はあなたを…アラン君の事を何も知らないんですから!」

 

「そんな綺麗ごとでえええ!」

 

再びビームトマホークを構えたザクが突っ込んでくる。

私もビームサーベルを構えるが…ふと思う。

これは演習なんだし…それでアラン君の気が済むのなら斬られてあげてもいいのでは?

 

ビームサーベルを下ろす。

 

「どうして…」

 

通信の向こうでアラン君の声が聞こえる。

眼前にザクが迫る。

 

すると…ギャンのヒートロッドが背後からザクに絡みつくのが見えた。

 

「「えっ」」

 

私とアラン君の声がハモる。

 

「あんたたち熱くなりすぎよ…演習なんだから頭を冷やしなさい」

 

そのまま無常にもギャンのバルカン砲で滅多打ちにされるザク。撃墜判定。

 

演習終了。

3色の信号弾がミレニアムとアカデミーの施設から上がる。

 

 

 

アカデミーの施設に降り立った私はアグネス先輩に抗議していた。

アグネス先輩…台無しなんですけど!!

私がものすごい舐めプしたみたいになってるじゃないですか!

そんな私の抗議をアグネス先輩は歯牙にもかけない。

 

「みたいもなにも実際そうでしょ。…それにそんな憎しみの感情だけで生き残れるほど戦場は甘くないわ。変な成功体験を与えない方がいいのよ…」

 

それはそうですけど…と私も沈黙する。

そこに遠慮がちにガナーザクウォーリアのパイロット…セリアと呼ばれていた子が近寄ってくる。

 

「あの…黒いガンダムのパイロットさん…アラン君がごめんなさい…彼…レクイエムで両親を失ってて…」

 

「全然大丈夫です!私こそ辛い事をアラン君に思い出させちゃったんですね…」

 

謝りあった後、アカデミーの事を教えてもらったりして談笑する。

最初こそ態度が固かったセリアさんも私が全然気にしていない事を伝えると年相応の元気さで答えてくれる。

そこに…黒髪の少年がやってくる。

それを見たセリアさんが走っていって彼の腕を取ると私の前に連れてきた。

 

「ほら…!さっきのガンダムのパイロット…リズさんです!謝ってください!」

大人しそうなセリアさんもアラン君には強気なんですね…とほほえましく見ているとしばらく黙っていたアラン君が勢いよく頭を下げた。

 

「ごめんなさい!俺…セリアがやられるのを見て頭に血が上っちゃって…!」

 

「いいんですよ!…肉親を亡くした時の気持ちは私にもわかります。私だったらアラン君みたいに素直に謝れなかったかもしれません」

 

そっとアラン君の手を取って目を合わせて微笑む。

アラン君の顔が少し赤くなる。

怒らせてしまっただろうか…?

セリアさんも少し顔が険しくなったような…

 

「それに…大事な人のためにあんな風に戦えるの素敵だと思います!私…びっくりしちゃいました!」

 

アラン君の手を離してそういうと今度はセリアさんが真っ赤になる。

なんでだろう。困惑していると

 

「あんたねえ…学生をいじって遊ばないの。人の彼氏にちょっかいをかけるのはやめておきなさい」

 

アグネス先輩に肩を掴まれて連行される。

残された二人を見るとお互いに赤面したまま黙って俯いてしまっていた。

ああ…なるほど!青春ですね!

 

 

 

さて…演習が終わり、アカデミーの生徒達の前でコンパスの活動についてスピーチさせてもらう事になる。

こちらは主にアグネス先輩が担当してくれるので気が楽だ。

流石は月光のワルキューレ…完璧な笑顔を浮かべたアグネス先輩がよどみなくスピーチを進めている。

生徒達も大戦の英雄に憧れの視線を向けている。

男子生徒の中にはアグネス先輩の魅力に夢中になっている人もけっこういるようだ。

それを苦笑しながら眺めていると私の担当部分になる。

 

アグネス先輩に代わって壇上に登ると空気が変わるのを感じる。

 

憎悪とか軽蔑を覚悟していたのだが…畏怖されているような?

 

「あんたがさっきの演習で赤服候補の子達を落としたからよ。まあナチュラルだからって舐められなくて良かったんじゃない?」

 

アグネス先輩が小声で説明してくれる。

なるほど…まあこれからのスピーチを考えると都合がいいかもしれない。

 

「皆さん!私はリズ・グレイ!ユーラシアからコンパスに派遣されてきました!さっきの演習ではレイダーに乗っていました」

 

生徒達のざわめきが大きくなる。

本当にナチュラルなのか…とかコーディネーターの俺たちが落とされるなんて…といった声が聞こえる。

 

「かつてプラントと私の所属するユーラシアは敵国として戦いました。その時、私達はあなた方ザフトの事を血も涙もない敵だと教えられてきました。…皆さんも私達ユーラシア軍の事をそう教えられたのではないですか?」

 

私が端末を操作するとザフトの理念とユーラシア軍の理念がスクリーンに表示される。

そして共通する箇所を強調する。

 

「でも!ほら見てください!”市民を守る””国民を守る”どちらの軍も守るための軍ですし…兵士達もきっと大切な誰かを守るために戦ったのだとそう思います。ただ…悲しいすれ違いから守るためには殺さなければならないとそう思ってしまっただけで…そんなすれ違いを無くしたい!あんな悲劇を2度と繰り返さないために私達もコンパスに参加したのです!」

 

生徒達の顔を見る。

納得したような顔をしているのが半分…反発をむき出しにしているのが半分というところでしょうか。

ナチュラルが殺したくせに…!といった恨み言も聞こえる。

 

「もちろん…皆さんの中には先の大戦で大切な人を無くした人もいると思います。私達を憎むのも…自然な事だと思います。そして私達も…大切な人を無くしました。演習で聞こえた人もいるかもしれませんが…私の父もエンディミオンクレーターで戦死しました。その時の憎しみを今も覚えています」

 

どうかこれから言う事が伝わってほしいなと思いながら生徒達を見つめる。

 

「でも!そうやって憎しみあって戦ったらこの連鎖は終わらない!そう…思うのです」

 

そして傍らに立つアグネス先輩を見る。

 

「私は正直複雑な感情をもってコンパスに参加しました。平和という理念には共感しましたが…父を殺したコーディネーターのみなさんの事をよくは思っていませんでしたし…何より怖かったんです」

 

怖い?と生徒達の顔に?マークが浮かぶ。

 

「ナチュラルより優秀だと思って鼻にかけてる奴ら…コンピュータのように冷血非道な人達…そんな偏見を聞かされていましたから!でも!アグネス先輩と出会って…友達になって!皆さんも私達と同じように笑って泣いて…恋をする普通の人達だってわかったんです!」

 

アグネス先輩と手を合わせて微笑みあう。

 

「そして…かけがえのない友人となったアグネス先輩と私は戦いたくないと思っています!それから今日出会った皆さんとも!だってこれから友達になれるかもしれないのに殺しあうなんてもったいないじゃないですか!だから私はコンパスで平和のために戦います!皆さんにもだから…それをわかってほしいんです!そしてナチュラルも同じ人間なんだと!そう思ってほしいんです!」

 

一気にしゃべったせいで息切れしているし、内容が支離滅裂だった気がする!

それでもある程度は伝わった…のだと思う。

先ほどよりも私に向けられる視線は温かくなったように思うし、反発していた人達もしぶしぶとはいえ拍手してくれている。

 

「まあ…作意が無いっていうのは伝わったんじゃない?」とアグネス先輩が半笑いで褒めてくれる。

 

その後の懇親会でも私と話してくれる人はひっきりなしで皆さんと笑顔で話せたのは良かったと思う。

中には話したくないという人もいたけれど…きっと時間が解消してくれる。

 

笑顔の生徒達と記念写真を撮りながら彼らと戦う日が来ないように…そのために戦おうと決意するのでした。

 

 




正直後半のスピーチパートはめちゃめちゃ難しかったし需要ないとは思うんですが…コンパスの活動としてこういうナチュラルとコーディネーターの差別をなくすための活動をしてるといいなあという事で書きました。

次回もレイダーの戦闘がありますのでご期待ください!

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