アグネス先輩!よろしくお願いします!~コンパス新人隊員の華麗なる(?)日常~   作:クスクス

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あの男がついに登場します。



舞い降りる黒翼

「キラ!ブルーコスモス残党の位置を掴んだ!」

 

アカデミーの訓練生との合同演習を終え、通常の任務に戻ったミレニアム。

いつもの日常を一変させたのは…ターミナルのアスランさんからの通信でした。

 

「ブルーコスモス残党を率いているのはエミール中佐…ミケールの副官だった男だ。

ミケールが帰還を前提としない作戦にあれだけの戦力を投入できたのはこの男の持つユーラシア内のネットワークが大きいと俺達はにらんでいる」

 

ブリーフィングルームに集められた私達を前に通信越しにアスランさんが説明を始める。

うちの国が本当にすいません…!恥ずかしさで私はうつむく。

幸い…私に意識を向けている人はいないようだ。

アスランさんが説明を続け、座標と2隻のハンニバル級陸上戦艦の映像が示される。

 

「放棄された鉱山地帯…かなり内陸ですな。…先のファウンデーションの時のように罠という事はないのでしょうか」

 

老練さを感じさせる声で話すコノエ艦長。

 

「それはないと思います!ユーラシア軍の通信網をハッキングしましたが罠のような内容は発見できませんでした!」

 

メイリンさんが明るい声で説明する。

 

「だが、キラ急いだほうがいい。付近のユーラシア軍が厳戒態勢に入った。名目は臨時演習という事だが実際の目的はブルーコスモスの討伐だろう」

 

おびただしい数のウィンダムが集結するユーラシア軍の基地の衛星画像が表示される。

 

「彼らも正義に目覚めたって事ですか!いやー良かった!彼らと協力してあたれるなら楽ですね!」

 

のんきな声を出すアーサー副長。

だが…ユーラシア軍にいた身としてはそんな事のために今さら軍が動くとは思えない。

むしろ…

 

「目的は口封じという事ですわね」

 

ラクス総裁がつぶやく。

 

「そう口封じ…ってええー!!」

 

アーサー副長が驚愕の声を上げるが全員に無視されていた。

 

「ユーラシア軍はブルーコスモスと深いつながりがある…いやあったというべきか…

ファウンデーション以外にもプラントの支援を受けて独立を図った勢力は多い。そうした勢力、あるいはその地域付近の親プラント勢力をブルーコスモスに攻撃させる事で一帯を紛争地域化、ザフトの支援を封じるとともに介入の口実を得る…独立運動潰しの尖兵として使っていたんだ」

 

「だけどその協力関係が崩れた…レクイエムか…」

 

キラ隊長がはっとしたように話す。

 

「そうだ…関係の深かった上層部はレクイエムで消滅。ユーラシアは混乱状態にあり、コンパスに加盟した事で介入も受けやすくなった。いったん実働部隊を清算して地下に潜るつもりだろう。だが…ほとぼりが冷めればやつらはまた繰り返す。そして第2、第3のミケール大佐を作り出す。だから今やつらのネットワークを暴き全てを白日の下にさらす必要があるんだ!」

 

「うん…わかってるアスラン。僕がマイティフリーダムで出るよ」

 

キラ隊長が穏やかに微笑むが…隣のラクスさんが困った表情になる。

 

「キラ…申し上げにくいのですがユーラシアからは通達が来ています。領内でのコンパスの活動は認めるがキラ准将によるMSでの活動は自衛の目的以外ではこれを認めないと」

 

キラ隊長が顔をしかめて拳を握りしめる

 

「マリューさん達は?」

 

キラ隊長が画面を食い入るように見ながら話す。

 

「アークエンジェルが沈んで以降、新しい母艦を建造中ですが…まだ完成していない以上、陸上基地を拠点とせざるをえません。MSの航続距離の関係上、利用可能な基地はいずれもユーラシア領内にあります。何らかの妨害を受ける確率は89.7%、推奨できません」

 

ハインライン大尉がモニターを操作すると利用可能な基地の情報が表示される。

いずれも係争地域に近く、ユーラシア軍内でもあまり良い噂を聞かない基地だ。

 

「隊長!任せてください!俺が行きますよ!あんな事二度と起こさせません!」

 

「シン…」

 

シン先輩が前に進み出るのをキラ隊長が心配そうに見つめる。

 

「キラ…心配なのはわかる。だが他に手がない。それにシンはファウンデーションの時、ブラックナイツ3機を仕留めてミレニアムを守り抜いた。…また信じてやれよ」

 

静かにキラ隊長を説得するアスランさん。

 

「アスラン!!…隊長!やらせてください!」

 

満面の笑みになり喜びで身体をふるわせると隊長に再び懇願するシン先輩。

黙ったまま考え続けているキラ隊長。

それを見つめていたラクスさんが口を開く。

 

「大丈夫ですわキラ。誰かに頼る事も必要ですし、それに…活動は認めないという条件にも一つ例外がありますわ」

 

「つまりミレニアムを降下させ、やつらに撃たせればそれが口実になる…という事ですか」

 

コノエ艦長が思案顔になる。

 

「ユーラシア軍の介入が間近に迫っている以上、連中の近くに降下せざるをえませんが…大気圏から降下する本艦は恰好の標的になります。どうでしょう…准将以外のMS隊を先行して突入させ敵の対空網を制圧。その後に本艦も降下するというのは」

 

キラ隊長は悩んだ顔をした後、シンの肩に手を置く。

 

「シン…任せたよ。でも無理だけはしないで」

 

「了解しました!隊長!!」

 

そんなシン先輩にぴょんぴょん飛び跳ねる駄犬の姿を幻視する。

ルナマリアさんも同様なようでこめかみを抑えている。

 

「突入部隊の隊長はシンに任せる。他のメンバーはルナマリア、アグネス、リズは…」

 

そこで言葉を切り、困ったように私を見つめるキラ隊長。

私がもしユーラシア軍内部のブルーコスモスのスパイだったら。いや、そうでなくともユーラシア軍の介入の際に私がユーラシア軍に寝返れば不測の事態に発展する可能性もある。

その葛藤はわかるけれど…私も先輩方と一緒に行きたかった。

 

「私はこの子と一緒に行きます」

 

アグネス先輩が私の手を取る。

 

「私はこの子を信じます。隊長も信じてあげてください」

 

アグネス先輩…!胸が熱くなる。

そんな私達をしばらく見ていたキラ隊長は静かに頷くと続けた。

 

「リズ。君を信じる。アグネス…任せたよ。ハーケン大尉はミレニアムの直掩をお願いします」

 

「はい!」

 

満面の笑顔で答える私にシン先輩、アグネス先輩、ルナマリアさんが微笑んでくれたのだった。

 

 

 

 

 

青い地球が目の前に浮かぶ。

少し前まであそこにいたんだと思うとなんだか不思議な気持ちになってくる。

以前は宇宙に上がるなんてとても怖かったのに、地球に戻る今となっては宇宙…というよりミレニアムが私の故郷のように思えてくる。

 

MA形態に変形して大気圏突入に備える。

レイダー制式型では特殊な追加装備が必要になるが、MKⅡは単独で大気圏への突入が可能だ。

システムのガイドに従って機体を操作するが速度計は驚くべき数字を示しているしどこまでも落ちていくという感覚には恐怖を感じる。

やがて断熱圧縮により機体が過熱され大気との摩擦により振動を始める。

 

「大丈夫です!私が改修したのです!失敗などありえませんよ」

 

そう保証してくれたハインライン大尉の顔を思い出して何とか平静を取り戻す。

先行するデスティニーを目印に降下角度を修正。

断熱圧縮も終わり、大気が見慣れた空の色に変わり始める。

 

ルナマリアさんとアグネス先輩もバリュートを捨てる。

今回は敵の対空砲火が予想されるために高高度でバリュートを破棄、高速で地上に降下する作戦だ。

 

「アグネス先輩!」

 

ルナマリアさんのインパルスSpecⅡはともかく…アグネス先輩のギャンは空戦時の機動性に一歩劣るので戦場までは私のレイダーに乗ってもらう事になっている。

 

高高度での搭乗のため懸念したのだが、もはやなじんだ重さが機体にかかった事に安堵する。

だがそれもつかの間…ロックオン警報が鳴る。

 

「もう!?残党のくせに生意気ね!」

 

アグネス先輩が毒づく。

どうやら連中はかなり高度なSAM陣地を構築しているらしい。

回避運動を始めようとした時…通信が入る。

 

「ここは任せろ!シン!お前たちはエミールを!」

 

ミラージュコロイドを解除したズゴックがSAM陣地を襲撃。

眼下の大地で複数の閃光が走り、レーダーの反応が消えていく。

 

「あとは任せるぞシン…やれるな」

 

アスランさんはユーラシア軍に対する電子妨害のためにこれ以上は動けないということだ。

 

「あんたに言われなくったってえ!隊長に任されたんだ!うぉぉぉぉ!!」

 

シン先輩のデスティニーが猛然と加速。

 

それに立ちはだかるように前方に無数の機体が現れる。

ウィンダムだ。

だが…

 

「そんななまっちょろい動きが通用するかあ!」

 

紅い光翼が縦横無尽に機動する度に爆発が起こり、ウィンダムが落ちていく。

まるで、蝿か何かのように叩き落とされていく様子に思わず憐れみを覚える。

 

「シン…!前に出すぎよ!」

 

ルナマリアさんのインパルスが援護に向かう。

 

「…上はシンとルナに任せましょう。私達は本命をやるわよ」

 

呆れた様子でアグネス先輩が言う。

レーダーを探ると大型の反応が2つ。

間違いない。これだ。

 

高度を下げ、目標めがけて加速を始めようとした瞬間、私達めがけて突如複数の敵機が現れる。

先ほどまでレーダに映っていなかったという事は、地形を盾に超低空で接近していた…あるいは偽装した陣地から今まさに出撃してきたのかもしれない。

いずれにしてもここの指揮官は中々手ごわい。

左右に分かれて私達を挟撃しようとするウィンダム。

いずれも数は4。

 

「アグネス先輩!私は左をやります!」

 

「了解!今さらあんた達なんかに!やられないのよ!」

 

アグネス先輩のギャンが跳躍。そのまま盾を回転させ…ウィンダムを両断する。

 

私も身軽になったレイダーを急上昇させる。

 

一瞬遅れて私を追うウィンダム。

 

だが、太陽を背にした私はそのまま猛禽のように急降下。

ウィンダムから闇雲にビームライフルが連射されるが…当たるものではない。

 

そのままウィンダムの背後に回り次々と短距離プラズマ砲「アフラマズダ」で撃ちぬいていく。

2機は当たりどころが悪かったのか爆散したが、2機はそのまま大地に激突した。

 

どうにかパイロットが脱出できている事を祈りつつ機首をめぐらす。

アグネス先輩もウィンダムを始末したらしい。

アグネス先輩が無傷な事に安堵し、再びギャンを乗せて加速する。

 

「アグネス!リズ!大丈夫か?」

 

上空からシン先輩のデスティニーとルナマリアさんのインパルスが降りてくる。

ウィンダムは30機以上いたと思うのだが…

どうやらウィンダムでは足止めにすらならないらしい。

 

4機で編隊を組みなおすと目標の陸上戦艦に向かう。

目標はもう間もなくだ!

 

 




何でもできる男…アスラン・ザラ
何でも出来すぎて逆に難しいですね!動かすのが…


戦闘が長くなったので分割する事にしました!
次回もレイダーが戦います!


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