その娘は蒼い鬼火と共にやってくる   作:ジト民逆脚屋

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ブルアカ装甲列車実装??!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!

乗せてやる……
乗せてやるからなハイランダー……!
うちの覚悟ガンギマリ主人公乗せてやるからな……!!


抗う末路(3)

「我が部下が無礼を働いた様で、申し訳ない」

 

執務机に座り、そう開口一番に謝罪の台詞を口にしたのは、資料にあった湯瀬ルイカ本人だった。

しかし、謝罪は台詞だけだと解る。整髪料を用い丁寧に撫で付けられた黒髪も、冷徹というよりは老練と表現出来る切れ長の目も、全て下がっていない。

こちらを見下す様に、冷たい視線で二人を観察していた。

 

「で、用件は確か……。ああ、我々自警団の解散でしたか?」

「あと、過去に誤って納入された物資の確認と回収っす」

「誤って納入されたとは、中々に面白い事を仰る。あれはそちらが黙ってこちらに送り込んできた物資。それとも、もう隠す必要が無くなったから今更返せとでも?」

「何の話かは分からないっすけど、事前に通達した内容は決定事項っす。トリニティに在籍している以上、相応の理由も無しには断る事は不可能。理解出来ている筈だと、こちらは認識してるっすよ」

 

どうにも話が進まない。これでは先程までの線路上でのやり取りと変わらない。

やはり、何か裏がある。

 

――もう数人、人手が欲しかったっすね

 

イチカは内心で愚痴るが、エデン条約を目の前にした時期に、正義実現委員会が大きく動きを見せるのは避けたい。下手をすれば、このベルタ駐屯所の件はゲヘナの耳に入っている可能性すら有るのだ。

さて、どう切り崩すか。イチカが手札を確認しつつ、話を考えていると、ルイカから動きがあった。

 

「現状、このベルタ駐屯所近辺でゲヘナもしくは、それに準ずる武装集団の目撃情報がある。この話を聞いてはいないと?」

「……初耳っすね」

「となると、トリニティ上層部はベルタ方面を見捨てた。そうも判断出来るな」

 

迂闊、イチカは失敗したと判断。次策を練るが、判断材料が無い。

ベルタ方面は今は違うが、トリニティの林業における重要拠点だった。

そしてルイカの話が真実だった場合、ゲヘナと思わしき武装集団の目撃情報があり、トリニティ上層部はそれに無反応、それはベルタ方面を切り捨てたと判断出来る。

ゲヘナからベルタ方面は距離があり、地理的にも進攻しやすいとは言えない。だが、出来ないという訳ではない。

入念な準備があれば、十分に可能だ。

 

「どうした? 返答は無いのか?」

「……エデン条約が近い現在、ゲヘナが行動を起こす理由は無い筈っすよ」

「理由は無かろうとも、所詮はゲヘナ。あの連中なら、そうしたいからという理由で動くだろう」

 

否定出来ない。ただでさえゲヘナは統率が無く、温泉開発部を筆頭にテロリストの温床でもある。

ルイカの言い分通りに、そういった連中が事を起こそうとしていてもおかしくはない。

しかし、イチカには疑問もある。

伝え聞くところによれば、ゲヘナでエデン条約を推し進めているのは風紀委員会であり、その中核は委員長である空崎ヒナだ。

その彼女がそこまでの勝手を許すだろうか。

イチカが思案していると、ルイカは意外な続きを口にした。

 

「……しかし、それらの問題が解決すれば我々も通達には従おう」

「……はい?」

「従う、しかし問題の解決が先だ。そう言っている」

 

イチカは思わずランを見上げた。

ランも同じだったらしく、予想外のルイカの発言に目を丸くしている。

 

「我々も一応はトリニティの治安維持機構、その誇りはある。……これからの未来を考えていない。そういう訳ではない」

「あー、では……」

「だが、言った通りに問題解決が先だ。それらが解決され、このベルタ方面の安寧が約束されれば我々は今回の通達に従う。……それが我々の答えだ」

 

その時、何故かルイカはイチカではなくランを見ていた。正確にはランのぼんやりとした瞳だ。

ランも同じくルイカの瞳を見て、ルイカの表情。まるで何かを待つ様な、それでいて何かを決意した目をしている。そう感じた。

 

「では、明日より我々に協力してもらう。異論は無いな」

「まあ、そりゃ無いっすけど、目星は付いてるっすか?」

「あの……、武装集団って勘違いって事は……」

「……無い。断言出来る。それとも我々が虚言を弄し、貴様らを謀っているとでも?」

「あ、いや、そういう訳じゃなくて、勘違いだったらいいなって……」

「……そうであればいいな」

「…………」

 

ルイカの態度にイチカは違和感を覚えた。

自分に対してはやけに刺のある態度なのに、ランにはまるで同胞に対する様な、例えるならハスミや自分達がランに向ける態度に近い。そう感じる。

だが、それに近いというだけで明確な違和感がある。

ランは認識していない、ルイカからの一方的な好意。

 

――ランに惚れたとか、そんなんじゃないっすね

 

思えば線路上でのやり取りにも違和感はあった。

このベルタ自警団は、何故かランに対する態度がおかしい。

 

「駐屯所に宿舎を用意している。今日はそこで休め。ああ、食事は駐屯所内にある食堂を利用するといい」

「……了解っす」

「は、はい」

 

話は以上だと、ルイカは机にある書類を手に取り、それを捌き始めた。

それを確認した二人は、部屋を出る。

イチカとラン、二人は気付かなかったが部屋を出る時、ルイカはランの背を見詰めていた。

それにはまるで同胞を哀れむかの様な、しかし自分達に向けた悔恨の色があった。

 

「……隊長」

「入れ……」

 

そして少しの間を置いて、部屋に入ってきたのは線路上で二人の邪魔をした戦車の車長だった。

 

「ミホコ、奴をどう見る」

「間違いなく、我らの同類かと」

「……そうだな。しかし、同胞ではない」

 

毅然とした態度で車長が言うが、ルイカの表情は曇っている。

それを疑問に思うが、車長は何も言わない。何かを言おうとも、答えは決まっているからだ。

 

「我らはもう戻れない。ならば、同胞の傷は浅い方がいいだろう」

「となると……」

「明後日……、いや奴らの動き次第では明日には行動を起こす。艱難辛苦も生温い我らの罪。……自己満足でも贖わねばな」

 

そう泣きそうな顔で窓に映るルイカ、そして車長の瞳はランと同じ色をしていた。

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