まんが日本バーンブレイバーンばなし   作:PureFighter00

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ブレイバーンが住んでいた寂れた里山に着いた一行だが……


忠犬(前)

「ブレイバーン、力持ち!」

「米一俵ぐらいは運べないとね!」

ルル太郎の背嚢を、ちっちゃなブレイバーンは軽々担ぎました。

 

【米一俵】

近代まで、つまり機械化がある程度進むまで……日本の農村部では米俵1つを担いで歩けるのが「大人」の指標だった。大量の荷物の運搬は川を使った船輸送で、荷物の積み下ろしやそこまでの運搬は結構人力でこなしていたのだ。

 

(スミス、普通にブレイバーン口からメシ食ってたな?)

(やはりオリジナルは摂食機能あったんだ……オルトスが不味かったのかねぇ)

「あ、見えてきた! あれ、あそこ!」

「……? デスドライヴズサイズならこの距離でも見える筈だが……」

「ねぇ、ブレイバーン。デスドライヴズどんな奴?」

「なんか紫色で、ピューッとこっちに飛んできたの!」

「飛翔して来た……紫色……スペルビアかな?」

「だったら山頂あたりで座ってる筈だが……」

「なぁ、ブレイバーン。偵察にバーンドラゴン呼べるか?」

「いいよ。来いっバーンドラゴーン!」

「……ねぇスミス? ドラゴンって?」

「竜だよ、竜」

「ガピっ……(驚) ……竜、怖い……」

 

てーてーててて ててててーん♪

 

が、来たのはカラスを一回り小さくしたサイズのデフォルメされたバーンドラゴンだった。

「……まぁ、このブレイバーンに併せたサイズだろうしな……」

「へー、オリジナルは可動するんだ。案外可愛いな!」

むしろ大男に囲まれて挙動不審気味なバーンドラゴンを優しく撫でて、ブレイバーンはバーンドラゴンに話しかける。

「バーンドラゴン、空から山を見下ろして来て。視覚共有モードでレンズは広角。僕らが住んでたあたりを中心に」

「くけぇ!」

低高度で滑空して加速してから急上昇。弧を描きながら機体を捻ってそこからまた水平ターン……中々見事なインメルマンターンだ。

「……インメルマンが飛んだの20世紀だから……むしろこれはバンドラターンと呼ぶべきなのでは……」

イサミはちょっと混乱している。

 

【マックス・インメルマン】

第一次世界大戦に於いてドイツ陸軍に所属した飛行機パイロット。フォッカー単葉機を駆りインメルマンターンを考案した。後に受勲したのだが、この勲章の印象的な青色とマックス氏が受勲したことから、後の人はこの勲章を「ブルーマックス」と呼んだ。サラッと見て分かるように、超時空要塞マクロスのマクシミリアン・ジーナスの元ネタとなった人物。

 

「どうだ、ブレイバーン?」

「あれ? デスドライヴズが見つからない……なんか大穴は空いてる……」

「墜落か?」

「デスドライヴズが? 鬼とか呼ばれるデスドライヴズがどうして……?」

「ルル、偵察してみる!」

「いや、皆で行こう。交戦の可能性がある」

 

 

直径3m程度のクレーターの中心部に、それはいた。

「……ルル太郎とタッパ同じぐらいだな」

「……おーい、生きてるかー?」

死んだらデスドライヴズは粒子に帰るし、YouTubeにさよなら動画がアップされる。さよなら動画が出ないならむしろ死んではいない筈だ。

「……俺が行こう」

「オーケィ、バックアップする。気を付けろ、イサミ」

「つ……翼が! 片方折れてる!」

「何の冗談だよ、この時代にジュニアサイズとは言えデスドライヴズと戦える奴がいるだと?」

「天狗かな?」

 

【天狗】

割と日本人、なんでも天狗の仕業にしがち。

 

「……みっ……水を……すまぬがそこの御仁……」

「一口だけにするんだ。急に飲むと危ない」

イサミはくっそ重たいスペルビアの身体を助け起こし、背嚢から水筒を出してスペルビアの口元に持って行き……そういや胸だったなと「胸の出し入れ口」から少しだけスペルビアに水を流し込んだ。

「……(かたじけな)い、大変助かった……」

ぐぎゅう

一瞬スミスとルル太郎に緊張が走る。

「お恥ずかしい音を聴かせた。握り飯の一つも恵んでもらえぬか……」

 

 

【なんかこの話、喫食シーン多過ぎない?】

 

焚き火を焚いて湯を沸かし、ブレイバーンの巣穴から布団や鍋を借りてお粥を作っています。それとは別に飯盒でで湯を沸かしレーションを温める。スペルビアがどの程度の期間不食だったが分からないので、先ずは薄めの粥を与えることにしたのである。どっかのポーパルチープムみたいに食い過ぎで昇天では目も当てられない。

また、お粥や湯漬けは比較的近代までメジャーな喫食方法である。かまどに羽釜で飯を炊いていた頃は基本炊飯は朝の一回だけなのだ。朝に炊き立ての飯を食い、おひつに残った冷飯を「温めて食う」為のやり方がお粥や湯漬けだ。火を起こして温めるのはガスコンロが普及した今ほど楽では無いし、薪や藁も都市部ではただではない。最も、農民は麦や粟や稗を食って居たのだが……

 

パック飯半分程度を鍋に入れてかなり薄い重湯のような粥にする。残りはやたら食うブレイバーンに追加として与えたところ、ペロリと完食した。大体この時代の人間は少量のおかずで大量の穀物を食べる。食べるものが有れば、だが。

「こりゃ、食い伸ばさないと保たないぞ」

「現地調達するしか無いか」

元々訓練の三日分に多少の余分を加えた程度の備えしかない。ブレイバーンとデスドライヴズが加わるなら全然足りない。

「貴重な食料を分けて頂き感謝に絶えぬ。宜しければご尊名をお聞かせ戴けぬであろうか」

「俺はイサミ・アオ。こっちがルイス・スミス。そしてこっちがルル太郎だ」

「ガガピー!」

「イサミ・アオとは……」

 

【イサミ・アオ】

姓名がある→所属する氏族があり、何かの役職があるってこと。もちろんスペルビアはイサミ氏族のアオさんって勘違いしてる。聞いたことが無いから「遠い地のお役人」であり、それはつまり……と。

 

「申し遅れました。拙者スペルビアと申します……」

スペルビアはデスドライヴズである。だから故に何しても死なないのだが、それはつまり飢えや渇きも死でおしまいになる事なく永遠に続くということである。例えば息を一回止めてみよう。段々と苦しくなり1分もすると息を継がねば死んでしまう。デスドライヴズは死なないが故に息を止め続けることが出来、無限に増え続ける窒息の苦しみを死ぬことなく味わい続ける事ができるのだ。

「……故に我らは死を求めますが、困った事に頑強に生まれついておりまして中々死ねませぬ……」

「……大変だよな」

「で、今回は誰と推して参ってたんだ?」

「……何故、ご存知なので?」

勿論スペルビアは察している。「遠い地のお役人」なのだから宜なるかな。

「……ああ、スペルビアの名は風の噂に聞いていた」

ルイス・スミスの答えは半ば嘘だ。彼らは史料から「そうではないか」とあたりを付けて調査に来た。丸太小屋でイサミと過ごしたいというのも偽らざる真実ではあるが。

 

「当地にて拙者、橋の上の武人を気取っておりました……橋を渡る強者に推して参り、比武をしておったのです……そこに奴が参りました……」

 

なんでも、浅黒い肌をした丸顔で赤鼻のニヤけた男であったと云う。

黄金色の小手に赤備えの服。そんなことはやめるんだ!

「……あれ?」

「どうした、イサミ?」

「いや、続けてくれ」

なんでそんなことをするんだ、君は何のために生まれたの?

聞く毎にイサミの眉間に深い皺が刻まれる。スペルビアはその顔を見てやはり……と勘違いした。

「……鎧袖一触でござった。彼奴(あやつ)の拳が拙者の槍を無惨に砕き、拙者の胸を貫くかと思ったその時! その拳は拙者の身体では無く心を砕いたのです……」

「あー……」何か悟った顔のイサミである。

「何か知っているのか?」

「バイバイされちゃったんだなぁ」

「ええ、何か途轍もない力で打ち出されました。途中で内圧に押し出されて拙者の「ルル」がするりと抜け落ち、身体が何故か縮んで制御不能に……」

「ルル?」

「スミス、呼んだ?」

「いや、君はやはりルル太郎だ」

 

話がこんがらがるからネ!




だから彼はとぶんだ どこまでも


天狗にやられたんだな。俺は天狗に詳しいんだ(棒)
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