まんが日本バーンブレイバーンばなし   作:PureFighter00

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本話のイサミの家には代々伝わる作戦がありました。


家伝の作戦

「家伝の?」

「作戦?」

 

ルル太郎と高潔のスペルビアは怪訝な顔をした。

 

「ああ、我が父祖はこの作戦で数多の敵や大蛇を屠って来た。兵は奇道とは言うが……被害を出来るだけ少なくするには有効だ」

「基本、断首作戦で行く。島嶼奪還作戦で一番困難なのは揚陸と兵站維持だ。橋頭堡を築かれている以上、長期戦は奪還側が圧倒的に不利だ」

「不利などものともせず攻め込めば……」

「ダメだスペルビア。彼方には民衆も多い。巻き添えには出来ない」

「スペルビアの話では、島に駐留しているのはポーパルチープムとクーヌス、そしてイーラだろ? ポーパルチープムはともかく……」

 

いや、ポーパルチープムヤバいよ? 爆発するし(筆者注)

 

「クーヌスは先に始末したいな。キモいし」

「お前、優先的に狙われるもんなぁ……(呆)」

「スミス、愛の戦士!」

「では、クーヌスはスミス殿が?」

「やだなぁ。またヤられてしまうような……」

「大丈夫だ、家伝の作戦がある。それに……奴らはまだ進化の途上だ」

 

今のデスドライヴズは、3m程度の鬼だ。

進化とは必要な範囲で最も有利な形質が残る「自然選択」である。今この時代では3m程度の巨躯があれば十分他者を駆逐できる。800年以上経過すれば時代に合わせて変容するが、今この時代には無いはずの20式5.56mm小銃には対応出来ないはず……少なくとも、イサミの作戦が効くならだが。

 

 

【愛の戦士 ルイス・スミス】

「愛(国心)の戦士だし、マリーン・コープス(海兵隊)は皆愛溢れる素敵なナイスガイ揃いだぞ!」

尚、マリンコになるまでは地獄の模様。

 

 

「とりあえず訓練を続けてくれ。スペルビア、十束剣(とつかのつるぎ)は慣れたか?」

「手には馴染みますが……内反りとは面妖な……」

「実家に良いのがなかったんだ。慣れてくれ。ブレイバーンは?」

「えと……僕も戦うの?」

「その剛力が役に立つかもしれないぞ。マサカリなんてどうだ?」

「ん? バーンアックスか?」

「ああ。次回ダイビング・オルトスと一緒に持ってきてくれ」

「んー薪割りならしてたけど……手斧ぐらいなら」

「後はミユがアレを調達してくれたら準備完了だ、やるぞスミス!」

 

ここで、イサミとスミスの双炎の肖像(アカペラ[バージョンが炸裂する。

 

「「ら、ら。ララーララー」」

 

するとどうしたことだろう。スミスの姿が淡雲のように薄くなって行くではないか!

「スっ……スミスー! ガガピー!」

「すぐ戻るから良い子にしてるんだぞルル太郎ー」

「なっ……なんですかイサミ殿!」

「んー、秘術?」

 

 

説明せねばなるまいッ!

現在のイサミとスミスはクーヌスの時間転移能力を条件付きで完全再現できる。まずイサミは時間軸や並列世界などのパラレルワールドを認識出来て、その座標をイメージできる。ブレイドライバーというブレイバーンを解析して産み出された精神だけ過去に送る機械を併用すれば任意の時代の「自分の直系血族に」意識を飛ばすことが出来る。

対してスミスは「イサミが居る場所」へは時空を隔てても自身を送り込むことが出来る。また更に、イサミが望む場所に自らを転送する事も出来る。移転の際に何か荷物を持ち運ぶ事も可能だ。

2人はこの権能を使い幾つもの並行世界を探索している。先ずはイサミが「観測した並行世界」を見据えてブレイドライバーで精神を過去体に送る。そのイサミをターゲットとしてスミスが装備その他を運ぶ。イサミと合流後に更なる資材が必要であれば「双炎の肖像」でスミスを基準世界基準時間に転送、再びイサミの下に飛ぶ。

全てはクーヌスをスミスが巻き込んでブレイバーンを形成した後に、固定化した運命の中で発見されて磨かれた。イサミの精神は該当時代の依代が死ぬと基準時間の身体に帰ってくる……今、イサミは幾つもの生と死を経験し、精神年齢4桁となっている。

 

 

「クーヌスが? そんな事を??」

「今のクーヌスはそこまで使いこなせない筈だ。そうする理由も無いし、あいつはあいつが必要とする範囲内でしか技術を磨かない」

「……では何故、貴方がその力を……」

「……スミスが、食ったのさ」

なんとも形容し難い顔をしつつ、勤めて平静を装ってイサミは答えた。その顔に嫉妬の色があった。

スペルビアは震え上がった。ルイス・スミス、物の怪か。

 

早朝、イサミがスペルビアに稽古を付ける。木銃に木剣を付けた銃剣道用の武器だ。

「その様な面妖な武器では」

「そうか?」

「!」

デスドライヴズの名誉にかけてかろうじてかわしたが、イサミの突きは素早い。

「い……イサミ殿っ!」

「驚いている場合じゃないぞ」

(た……太刀筋が読まれているっ!)

この時代のスペルビアはまだ単純だなと、イサミは独りごちる。まだ若いからか後のスペルビアが繰り出す脚技がない。フェイントもぎこちなく、ところどころに逡巡がある。幾度となく研鑽を積んだスペルビアと推して参ったイサミには「油断は出来ないが脅威はない」

そこで少し教育する事にした。鍔迫り合いから足を払う。超至近距離からのソバット……体術を織り交ぜた後年のスペルビアに近いファイトスタイルだ。

「武器は手足の延長に過ぎない」

「む。むぅ……」

「武器を使おうとすればする程、武器に注力し過ぎてしまう。今のスペルビアは武器だけ注意したら他の部分は全く怖くないな」

「ピガッ! まさか、その様な……」

「手足で4つ。武器は一つ。武器だけに賭けるなら今の4倍は振り回さないとな」

 

「隙ありー!」

着剣突撃してきたルル太郎を軽くいなす。ルル特有のジョンブル魂はこの子の中にも健在らしい。

「ガピー」

「いいかルル太郎、隙を突きたければ相手の隙を増やす事を考えるんだ」

「ピガガピ?」

「やり方を教えてやる。実家に伝わる秘伝をな……」

 

 

スミスが運転してきたダイビング・オルクスはライジング・オルトスの揚陸作戦用モデルだ。自衛隊の水陸機動団とアメリカ海兵隊での運用が予定されており、尖閣諸島を始めとする各国島嶼部の奪還作戦向けにチューニングされている。

背部に強化服を着た揚陸機甲歩兵を4名収容し、通常船舶やAAV7(水陸両用車)では難しい海岸線での兵力展開を可能にしている。対デスドライヴズ戦役の5年後からルイス・スミスとイサミ・アオが主幹となり設計が進められ、最近試作機で訓練と運用を始めたものだ。自走モードではボトムズのATがとる「降着ポーズ」の様なロボの後ろにAAV7じみた重機関砲を備えた船体部が牽引される。

「イサミィ! 下ろすの手伝ってくれぇ!」

「ガピ! スミスー!」

「お疲れ、スミス。アレは手に入ったか?」

「獺祭って高いんだな……ちょっと渋られたよ」

「するりと飲めちゃう酒がいいんだ。本当は生原酒が欲しいところなんだけどな」

「美味いのか、これ?」

「するする飲めて、慣れてないと飲み過ぎちまうんだ」

「ほぅ(ニヤリ)」

 

古い時代の日本酒はみりんに近い味がすると言う。それを酒屋は適度に水で希釈して酒として販売した。現代の淡麗辛口は近代になり流行ったもので、古い時代にはこんなに飲みやすく酔いやすい酒はない。

 

スミスとイサミは酒樽を漁師に託し、鬼ヶ島の近くまで運んでもらう様頼みます。

「鬼に奪われてしまいますよ!」

「危険な任務だな。米一俵で頼めないか?」

「そんなに!」

「ああ、危険を感じたら逃げてもらって構わない。ウチの船で浜まで戻すよ」

 

 

「ひぃやぁっ! でたァ!」

「鬼じゃ! 赤鬼じゃぁ!」

「逃げろ逃げろ! 海に飛び込め! 浜に向かえ!(迫真)」

「くくくっ……雑魚め、我らの島に近付きおって……腹立たしくて頭がはち切れそうだ……死ねぇ!」

(でも、デカ過ぎて海の中では機動力が落ちるんだよなぁ)

イサミは冷静に分析して、拿捕された船の行方を見据えている。策はなった。

漁師たちをダイビングオルクスに収容すると、48式機械化機甲服に着替える。

「じゃあスミス、04:00辺りで行動開始してくれ。こちらは島に潜伏して作戦指示を行う」

「オッケー、ヒーロー。朝日を背にして立てる崖を最初に探すんだぜ!」

「ははっ、派手な爆発でも用意しとくよ!」




宮中秘奥義「酒で潰して急襲」
熊襲も八岐大蛇も酒呑童子もこれで倒した。なんならゴジラも。
記紀神話の昔から伝わる日本古来の作戦である(真顔)
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