アンチNTR&BSS活劇 ナローマン   作:べっこう飴02

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割と本気で悩んでいる、裏で奔走する者たち

 どこにであるような、とある事務所。

 そこで二人の男が、今まで、何十、何百と繰り返してきた……ある、案件についての後処理について報告を済ませていた。

 

「……えーと、次の『N』案件ですが。

 こちらでもマークしていた……神の力を持っているとか自惚れてた能力者(アホ)が、いつものようにぶち殺がされてたみたいです」

 

「ああ、うん……たしか、十代のガキだっけ?そいつ。

 局所的な現実改変か、洗脳能力だか持ってたらしい……とかなんとか資料には書いてあるけど」

 

「はい。何かまあ、転校生という体裁で、侵入した高校(さき)で調子に乗っていろいろやってたみたいですが……まあ、最後(けっきょく)はいつも通り。

 ナローマン……暴力(バイオレンス)?に泣いて鼻水たらしながらした命乞い(土下座)の最中に……『二十倍ナローマンブラスター』で、教室ごと消し飛ばされたとか」

 

 報告の内容に、どこから突っ込めばいいのかわからないのはいつもの事だ。

 だから、上司らしき男は……なるべく単純に、新たに判明した事実のみに絞って尋ねる。

 

「えーと……また増えたの?『N』」

 

「みたいですね」

 

 僅かな静寂の後――ふう、とため息をついたのはどちらだったのか。

 

 同一個体が別の姿をとっているのか、もしくは元より別の個体なのかははっきりしないのだが。

 

 (モンキー)医者(ドクター)正義(ジャッジメント)黄金(ゴールド)白金鋼(プラチナメタル)巨人(ジャイアント)忍者(シノビ)歌手(シンガー)……この地球(ほし)には、ナローマンと呼ばれる個体(もの)が異なる名前と姿で能力をふるうケースが、無数に観測されている。

 

 自らそう名乗った個体(もの)も、或いは被害者やら何やらに、畏怖を持って命名された個体(もの)も。

 ぽんぽんぽんぽん増えていく。

 

 ――いやこれ正直どうしろと?

 

「……あの、これはあくまでも個人的な意見ですが。

 『N』の存在は……もう、世間に公表しちゃってもいいんじゃないでしょうか」

 

 どこか疲れ切ったような部下の男は、そこで言葉を切る。

 どうも、自身の反応を待っているらしいと気付いた上司らしき男は、続けて、と言葉を促した。

 

「ええと、その……今までの事例からすると、被害者が自分で報復して……それが邪魔されなかったりすれば、とりあえず『N』のほうからそれ以上動くことはないんですよね?

 だったら――」

 

「まあ、言いたいことはわかるよ。

 でも上の方は……本当に隠し切れなくなって、どうしようもなくなるまでは……現状維持に努めろ、っていうだろうな」

 

「……責任とりたくないからですか」

 

「今からトンズラ決め込む準備まで始めてるやつもいるもかな。

 何なら俺もすぐ逃げたい」

 

 結局のところ――保身である。

 

 いつか必ずやってくるだろう、世間への全バレによる()()()()を、自分以外の誰かに押し付けられないものかと、上の上に収まっている連中は、今頃必死になっているのだと、上司らしき男は吐き捨てた。

 

 国家としてのメンツとか、アレとかコレとソレとかの――あからさまな利権構造の崩壊とか、下手をしなくても私刑が横行して治安が崩壊するとか、肝心のナローマンがどう動くかわからないとか――あまりにも、あまりにもデカすぎる核地雷がてんこ盛りだ。

 

 後は……まあ、ナローマンの存在が地球(せかい)にとって、少なくない利益をもたらしているというのも、更に事態をややこしくしている。

 

 例えば――先の神気取りの能力者(アホ)にしても、既存の治安機構、軍事組織だけで排除を試みれば、かなりの犠牲を――それこそ、ナローマンがもたらした以上のそれを、覚悟しなければならなくなっていただろう。

 頭は悪く、下種な性根の持ち主ではあったが能力()()は本物だった――らしい。

 

 それが、こうもあっさりと排除されたのはナローマンが常軌を逸する戦闘力をもっているからだ。

 というか、ナローマンに今まで消された輩の中には、神気取りの能力者(アホ)など比べ物にならない程強大な力を持った怪異やらなにやら――まで含まれていた訳で。

 

「……本当に『N(あいつ)』ら、なんでこんなことやってるんだろうな」

 

「それがわかれば苦労しませんて」

 

 何にせよ、宇宙は広い。

 だから、その中にはNTRやBSSが絶対悪のような扱いを受けている文明があっても――まあ、可笑しくはないのかもしれない。

 

(転職先、探したほうがいいのかねえ……)

 

 上司らしき男は、割と本気でそんなことを考えたりしたが——それが叶うことは、当分はなさそうである。

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