どこにであるような、とある事務所。
そこで二人の男が、今まで、何十、何百と繰り返してきた……ある、案件についての後処理について報告を済ませていた。
「……えーと、次の『N』案件ですが。
こちらでもマークしていた……神の力を持っているとか自惚れてた
「ああ、うん……たしか、十代のガキだっけ?そいつ。
局所的な現実改変か、洗脳能力だか持ってたらしい……とかなんとか資料には書いてあるけど」
「はい。何かまあ、転校生という体裁で、侵入した
ナローマン……
報告の内容に、どこから突っ込めばいいのかわからないのはいつもの事だ。
だから、上司らしき男は……なるべく単純に、新たに判明した事実のみに絞って尋ねる。
「えーと……また増えたの?『N』」
「みたいですね」
僅かな静寂の後――ふう、とため息をついたのはどちらだったのか。
同一個体が別の姿をとっているのか、もしくは元より別の個体なのかははっきりしないのだが。
自らそう名乗った
ぽんぽんぽんぽん増えていく。
――いやこれ正直どうしろと?
「……あの、これはあくまでも個人的な意見ですが。
『N』の存在は……もう、世間に公表しちゃってもいいんじゃないでしょうか」
どこか疲れ切ったような部下の男は、そこで言葉を切る。
どうも、自身の反応を待っているらしいと気付いた上司らしき男は、続けて、と言葉を促した。
「ええと、その……今までの事例からすると、被害者が自分で報復して……それが邪魔されなかったりすれば、とりあえず『N』のほうからそれ以上動くことはないんですよね?
だったら――」
「まあ、言いたいことはわかるよ。
でも上の方は……本当に隠し切れなくなって、どうしようもなくなるまでは……現状維持に努めろ、っていうだろうな」
「……責任とりたくないからですか」
「今からトンズラ決め込む準備まで始めてるやつもいるもかな。
何なら俺もすぐ逃げたい」
結局のところ――保身である。
いつか必ずやってくるだろう、世間への全バレによる
国家としてのメンツとか、アレとかコレとソレとかの――あからさまな利権構造の崩壊とか、下手をしなくても私刑が横行して治安が崩壊するとか、肝心のナローマンがどう動くかわからないとか――あまりにも、あまりにもデカすぎる核地雷がてんこ盛りだ。
後は……まあ、ナローマンの存在が
例えば――先の神気取りの
頭は悪く、下種な性根の持ち主ではあったが能力
それが、こうもあっさりと排除されたのはナローマンが常軌を逸する戦闘力をもっているからだ。
というか、ナローマンに今まで消された輩の中には、神気取りの
「……本当に『
「それがわかれば苦労しませんて」
何にせよ、宇宙は広い。
だから、その中にはNTRやBSSが絶対悪のような扱いを受けている文明があっても――まあ、可笑しくはないのかもしれない。
(転職先、探したほうがいいのかねえ……)
上司らしき男は、割と本気でそんなことを考えたりしたが——それが叶うことは、当分はなさそうである。