アンチNTR&BSS活劇 ナローマン   作:べっこう飴02

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燃えろ、ナローマン歌手(シンガー)!灼熱と思い出の最後

 自宅の自分の部屋で、隣の家の……幼馴染だ(・)っ(・)た(・)女の部屋から聞こえてくるのは何と表していいか困った歌(もの)だった。

 

 ――ざまあの激情が♪拳(ぶつり)載せて潰せば勝利♪――

 

 ポップな曲調の音楽(それ)に合わせた、野太い声で歌いあげられる、やたら物騒な歌詞の合間に……何かがへし折れるよう鈍い音が、あるいは何かが潰れるような音が曲のテンポに合わせて響く、音楽(ミュージック)。

 

 おまけに、

 

『止めて助けて』

『こいつとは別れる』

『何でもするから』

 

 ——とか何とか、聞き覚えのある幼馴染と間男(どこかのだれか)、の悲鳴とか命乞いのそれも、ところどころに混じっていたりとかもした。

 

 ――裏切りは全て♪滅びる~から♪――

 

 非現実的なそれに、一体何が起きているのか、と……酷く醒めた心境で考えて思い至ったのは、

 

(……あー、これが話に聞くナローマンってやつか。

 なんか歌ってるし……確か、歌手(シンガー)って種類(やつ)?)

 

 NTRやBSSあるところに現れる、謎の宇宙人……の話だった。

 

 間男や、寝取られた女を様々な手段で、物理的に抹殺して去っていく……といネットの創作(じょうだん)だと思っていたそれは、どうやら実在する異常(もの)だったらしい。

 様々な種類がいるらしいと聞いてはいたが……本当に歌う奴(ナローマン)とかいるのか。

 

 ――睾丸(たま)は潰し♪間男(ゴミ)は消える♪――

 

 ほんの数日前。

 物心ついたときから一緒に過ごした、幼馴染の恋人が、ちゃらついた上級生に寝取られていた……ということがわかったのは、まあ苦い思い出ではある。

 虚構(フィクション)ならありふれているそれも、自分に降りかかってくると流石に堪えた。

 

 ――ざまあMAX♪断(ダン)・罪(ザイ)・罪(ザイ)・罪(ザイ)♪――

 

 いや……最早、既に終わった事ではあるのだが。

 なんというか、今も野太い声で歌う、件の歌手(シンガー)にボコられているだろう二人の馬鹿は、もう助からないだろうし、死人の事をあれこれ言っても意味がない。

 

 音だ(・)け(・)しかわからないが……野太い歌声の合間に、幼馴染(アホ)が必死に俺の名前を叫んで助けを求めようとするたびに、間男(カス)が泣き喚いて幼馴染(アホ)を罵ろうとするたびに、鈍い音が響き、現在進行形で黙らせられているのを聞けば、あいつらがどうなっているのかは嫌でもわかる。

 

 それについて……特に感じるものはない。

 

――走れ♪無限(インフィニティ)ざまあSPIRITS♪――

 

 多分、ナローマン・歌手(シンガー)とやらが現れなければ、今頃あの馬鹿共の喘ぎ声なり何なりを聞かされる羽目になっていたかもしれないのだ。

 幼稚(ありきたり)かつ、陳腐で頭の悪い虚構(それ)の登場人物でもあるまいし、ここまで虚仮にされて、幼馴染(アホ)に情が残る事など有り得ない。

 

――燃える正義(ざまあ)の歌で♪――

 

 いや、それはそれとして、宇宙人(ナローマン)について、気にならないかと言われれば嘘になるんだが……そもそも、何で歌ってるんだ?

 しかも日本語だよなこれ。

 現地民(この場合、俺か)に、聞かせるために……そうしてるのか。

 普通に怖いんだけど?

 

――焼き尽せ♪最後(おわり)まで~♪――

 

 ってか、これだけ……近所中に響き渡らんばかりのデカい歌声が、騒ぎになる気配がまったくないのはどういう事だ?

 ひょっとして歌(これ)(と、いよいよ反応が鈍くなってきた幼馴染と間男の呻き声)は、他の人間には聞こえてないとか……?

 

 何らかの手段で、音を遮断して、俺だ(・)け(・)に伝えている……?

 いや……やっぱり怖いってこれ。

 

『ナローマン……バーニングヴォォォォォォォォィス!』

 

 ――と、その時……唐突に。

 今までの曲調を無視したかのごとく、錯覚かもしれないが……物理的な熱さを感じる程に強烈な、野太い叫び声が響くや否や。

 

 何かが焼け、煮えたぎるような音と、幼馴染と間男の断末魔と思しき、嫌に耳に残る一際強い苦悶の声を最後に……隣の家から聞こえてきていた騒音(それ)はぴったりと止んだ。

 

「あー、終わった……のか」

 

 音でしか判断できないが……最後のあれが耳に届いた際に俺が感じたそれは、極々わずかな余波に過ぎず、必殺技(?)による大半のエネルギーはあの馬鹿二人に叩きこまれ……体液が煮えたぎるような効果(それ)を引き起こして、とどめを刺された……のだろうか?

 まさしく……体の中から焼き尽くされるような苦痛とともに。

 

(……いいや、もう知らん)

 

 眠くはなかったが……俺は、ベッドの上に寝転んで現実逃避気味に布団をかぶって瞼を閉じた。

 

 正直、(怖かったし)このまま全部夢オチとかにならねえかな、マジで。

 

 

◇

 

 

 ……そこから、少し時間が経った後の話となるが。

 

 いろいろあって、あの幼馴染(アホ)の部屋で、幼馴染と間男の遺(・)体(・)が発見されて、大騒ぎとなった。

 部(・)外(・)者(・)である俺は、ずいぶんと奇怪な死にざまであった、くらいの事しか耳に届いてはいないが……あれは残念ながら。現実の出来事だったらしいと確信を持つには、それだけで十分だった。

 

 幼馴染の両親……おじさんとおばさんは、間男の事については知らなかったようで、間男(あれ)こそが、今回の元凶であると信じ、娘の仇と言わんばかりにボロカスに罵っていたが……まあ、真相は知らない方は幸せだろう。

 

 俺も正気を疑われてまで、ナローマン・歌手(シンガー)とやらの話をするつもりもない。

 

 ただ……他にもいろいろとやらかしていたらしいあの間男(カス)の死にざまが、きっかけとなったのか、通っている高校では、まことしやかに、グルチャやらLIMEやら……で、次のような噂(おとぎばなし)が流れているようだ。

 

 ―—裏で間男と浮気(NTR)かませば、宇宙人(ナローマン)が来襲(く)る、と。

 

 既にネットで似たような話が出回っているとはいえ……一応、誰にも話とかしてないはずなんだが……偶然かこれ?

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