アンチNTR&BSS活劇 ナローマン   作:べっこう飴02

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復讐は虚しいとかやり過ぎとか、他人事だから言える話だよねえ……と思っていました、さっきまでは。

 別に、悟った訳ではないのだが。

 見慣れた高校の教室の中で、銀の巨漢(ナローマン)が拳を、次から次に元級友達に拳を叩きこんで、物言わぬ肉塊に変えていく光景を見ると、何というか……思う事がある。

 

 人間、自分以上に怒っている奴の事を見ると。いろいろと醒めるというか、冷静になるものなんだなあ……と。

 

「助け、たすけて、俺が、俺達が悪かっ――ごびゅっ!」

 

 始まりは……まあ、世間では有り触れた話だったのかもしれない。

 一言で纏めてしまえば、付き合っていた幼馴染(やつ)が、面だけはよろしいイケメン先輩に寝取られた、ってやつだ。

 無論、それについての報復(ケジメ)自体は、俺自身の手でキッチリとつけてはやった。

 

「か、海人(かいと)……お、俺達、友達だよな、なぁ―――あごばっ!」

 

 今振り返ると、その為に選んだいろいろとヤバい橋を渡ったものだ、と思うが。

 結果的には二人とも退学に追い込む事が出来たし、ついでに新しい彼女だってできた。

 そこで終わっていれば、俺としてはめでたしめでたし、って奴なんだろうが……

 

「な、何で、俺達までぇ……!?

 浮気したのは、来沢(くるさわ)とあのヤリチン野郎だけだろ、おかし――げびゅっ!」

 

 何故か、現在進行形で銀の巨漢(ナローマン)()られつつある、元友人やら、級友(クラスメイト)やらが、やり過ぎだ何だ、といちゃもんを付けてきやがったのだ。

 あの幼馴染(クズ)が浮気をする前は、俺達の事を、面白半分にやれ夫婦だのなんだのと……

 鬱陶(うっとう)しいくらい、(はや)し立てていた癖に、あれがやらかして、俺が復讐(ざまぁ)に走ったとたんに正義面ときた。

 

「待って、待ってよ、反省します、しますからぁ!

 海人(かいと)君も何か言って――うげぶっ!」

 

 しかも後から聞いた話だと、あの幼馴染(ゴミ)と俺とじゃ釣り合いがとれないだの、女子連中も抜かしてたらしいからな。

 つい先ほど、銀の巨漢(ナローマン)に踏みつぶされた奴もその一人だ。

 

 まったく、ふざけた話だ。

 こっちは純然たる被害者だというのに。

 

「あがばっ!」

 

 ああそうだ――だから、今、目の前で起きている()()は俺の所為(せい)では……無いはずだ。

 俺は悪くない。悪く、ないんだ。

   

「そげびっ!」

 

 いやだってそうだろう?

 いくらなんでも()()なる事なんて、予測できてたまるか。

 

「たがぼっ!」

 

 確かに、こいつ等纏めて死んでほしい、くらいの事を思っていたのは事実だけど、それが文字通りの現実になるだなんて想像もしてなかったんだ。

 ネットの与太話だと思っていた存在(ナローマン)が実在していて、しかも自分のところにやってくるとか思ってなかったんだよ。

 

 ――と、葛藤するこちらの内心も(つゆ)知らず。

 教室内に残っていた、俺を攻め立てていた連中が完全に沈黙すると、野太い声で、銀の怪人(ナローマン)が……きっと、いつものように必殺を叫ぶ。

 

『纏めて吹き飛べ――ナローマンフローティングマイン!』

 

 銀の怪人(ナローマン)の周囲に、ピンポン玉程の大きさの、無数の光のエネルギー玉を生み出される。

 それらは、一つ一つが凄まじいスピードで、異なる方向へと飛び去って行った。

 

 少し遅れて、学校中のあちこちで悲鳴が混じった爆音が聞こえ始めたのは……多分だが、他のクラス、学年にいる偽善者(れんちゅう)があの光のエネルギー玉に狙われているのだろうか。

 

 まあ……今、この教室で生き残っている面子から考えれば、あの幼馴染(カス)イケメン先輩(ゴミクズ)に肩入れしていたやつ以外は……多分、無事だろうけど。

 

 いや、やっぱり相当な数死ぬんじゃねえのこれ。

 ……普通に、ヤバくねえ?

 

 ふと銀の怪人(ナローマン)が、ぐっと親指を立ててつつ、こちらを見つめているのに気づいて、自然と乾いた笑いが漏れてきた。

 

「あ、ははは、ははははは……」

 

 いやもう笑うしかないだろ。どう収拾つけるんだよこれ。

 目の前の現実に頭を抱える一方で、当の銀の怪人(ナローマン)は。何かに満足したように頷いて、ふっと消えた。

 

 幼馴染(クソ)やら間男(ゴミ)を始末しにでもいったのだろうか。

 或いは、学校(ここ)に来る前に、もう――?

 

 いや、あいつらのことはどうでもいいか。

 何はともあれ、たった一つだけはっきりしている事がある。

 

 今日はもう何も考えずに早退したい。

 現実逃避と言われようが何だろうが――やってられるかこんちくしょう。

 

 

 

 

 ナローマンはこの日――猛烈に感動していた。

 この地球(ほし)にも、正義(ざまあ)を執行しようとする若き意志が、確実に育っている事に。

 正直、やり口その物は手ぬるかったが、まあ未開の惑星であるし……何事も初めてはあんなものだろう、と微笑ましく見守っていたのだ。

 

 しかし、程無くして、激しい怒りと失望も同時に抱く事となった。

 (あろ)う事か、正義(ざまあ)を執行した彼を非難し、反吐が出るような偽善を振りかざした上で、集団で迫害する連中が現れたのだ。

 

 何と邪悪で(おぞま)ましい連中だろうか。

 NTRという、許されざる大罪に見て見ぬふりを決め込んでおきながら、肝心なところで()()だとは。

 

 今日のノルマは既に達成していたし、何より男の花道(ざまあ)に横槍を入れるような真似は、なるべくしたくなかったが――これを放置しておくことは、ナローマンの正義(ざまあ)が許さなかった。

 よって、外道共にはナローマン自らの手で天誅を加えたのだ。

 

 結果的に獲物を横取りする形となってしまった事を、心から申し訳ないと思いながらも――あの少年には、どうか健やかに残りの学生生活を過ごして欲しいものだと、ナローマンは切に願った。

 

 輝いて()せよ、ナローマン。

 お前の(きら)めく白銀(しろがね)で、迷える正義(ざまあ)を照らすのだ。

 

 全てのNTRとBSS(じゃあく)が物理的に消えるまで――燃やせ、心の(ともしび)を!

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