シャングリラ・フロンティア〜死にゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜   作:マンデラカタログ

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今回も短めです


ユニークは連鎖する

 

 と、まぁ意気込んだは良いがデスペナルティが解かれるまではどうしようもないし、致命の鋸剣が壊れかけなのは流石にいただけない。

現状クリティカル威力に補正が入るこれは唯一の火力武器と言っていい。武器の消耗を回復させることができると分かった以上、回復させておきたい。というわけで鍛冶屋のおっさんと随分と早い再会……の、はずだったのだが。

 

「閉店とかあるの……このゲーム………」

 

 いやコンビニでもなし、夜遅くになれば閉まることは別に不思議ではないけど……NPCにも眠ることがあるんだ……

まぁ嵐の中露店で「いらっしゃい!」とか言われてもそれはそれで困るけど。

 

「だとすると、朝まで修復はお預けか……」

 

 壊れかけの武器を抱えたまま動くと言うのは少し不安なんだが……。だが致し方ない、おっさんが営業開始するまで致命の直剣の修復はお預けにする他ないだろう。

 

「うーん……仕方ない。寝るとする……ん?」

 

と、何の気なしに辺りを見回していた視界の端に入り込んだそれに、それまでの思考が全てシャットダウンされる。もし今の俺を第三者が見ていたのならそれはもう見事な二度見であったろう。それだけ今俺の首は滑らかかつ迅速に視界に入り込んだ異物に顔を向けたのだ。

 

「…………」

 

ちょいちょい。

 

 建物と建物の隙間、好き好んで通りたいとは思えない細い路地裏から顔を出し、明らかに俺だけを見て手招きするそれは、ある意味では見飽きる程に見た二足歩行の兎。

 

「なんでこんなところにヴォーパルバニーが?」

 

 このゲーム、街の中でもモンスターが出るのか?

いや、あの服装からしてただのヴォーパルバニーなわけねぇ!ということは……!!

 

「捕まえたら何らかのレアアイテムがもらえる可能性がある!!」

 

 そう考えながら兎を追いかけて壁際に追い詰めた瞬間、突然扉が現れヴォーパルバニーはその中に入った。そして突如ウィンドウが開かれた。

 

『ユニークシナリオ「兎の国からの招待」を開始しますか?』

 

「ユニークシナリオ……ユニークシナリオ……!?」

 

 ユニークシナリオ。

 シャンフロが神ゲーたる所以であり、シャンフロのアンチが最大の攻撃点とする要素。

出現条件不明、受諾条件不明、しかしその恩恵は最大。

 シャンフロは「世界の開拓」が大きなメインのストーリーであるが、それとは別に無数のサイドクエストが存在する。その中でもユニークシナリオは何処でいつどのように誰がフラグとなるのか全く明らかになっていない未知のシナリオだ。

 だが、ユニークシナリオをクリアする事で獲得できる装備、スキル、魔法……そう言ったものはどれも一級品の性能を誇り、ユニークシナリオを血眼で探すクランも存在するといわれている。

 

「こういうのをなんて言うんだっけ?……まぁいっか。」

 

 ユニークシナリオに遭遇できたことはこれ以上ない幸運だ。ユニークシナリオの条件として装備欄二つと考えれば若干萎れたモチベーションもうなぎ登り……とまではいかないが回復すると言うものだ。

幸い致命の直剣は壊れかけでも残弾はある。

 

「よし、朝になるまでユニークシナリオ攻略だ!」

 

 嬉々としてシナリオ開始の「はい」を押した俺は、思えばまだ天覇のジークヴルムとの遭遇からユニークシナリオ発見の連鎖に浮かれていたのだろう。

シナリオ名の隣に書かれたその文字に、気づくことなくユニークシナリオ……魔境に飛び込んだのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シナリオ名

「兎の国からの招待」

 

推奨レベル……80。

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