シャングリラ・フロンティア〜死にゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜 作:マンデラカタログ
あの後、俺は装備できる武器が無くなってしまった為、ビィラックに泥掘りの素材を渡して、「泥鮫の牙剣」を作ってもらった。
この「泥鮫の牙剣」は頑丈な部位に攻撃した際に弾かれ難いという効果を持つ。
そして、サードレマで未確認生物騒ぎを起こさない為に最短コースを最速で走り抜けて今現在サードレマの裏通りにひっそりと開店しているペンシルゴンオススメのNPCカフェ「蛇の林檎」の中で、ペンシルゴンとカッツォが待っていた。
「お、どうやらギリギリ間に合ったみたいだね」
「何その変態ファッション…趣味?」
「んな訳ねぇだろ!!」
今のところ良い感じの防具が見つからねぇんだから仕方ねぇだろ!…まぁ、着ても半裸には変わりないんだけど………ん?
「オイカッツォ?」
「ん? あー、シャンフロの垢はこれだよ」
「……成程、追い鰹か」
相変わらずネーミングセンスがしょーもねぇなぁ。そもそも魚と臣と慧(圣)で鰹ってのが既にシャレなんだよなぁ。
「お前が俺のプレイヤーネーム聞いて数秒くらい考え込む時は大抵「つまらんシャレだなぁ」とか考えてるんだろ?」
「ははは、何を馬鹿な」
「はいはい漫才はそこまでそこまで、ところでアラジオ君、サンラク君から何か連絡来てる?」
「いや無いな……」
「「「あいつ、誰にも連絡せずに遅刻してるのか……」」」
そして大体3時間くらいが経過した後、店の出入り口から鳥の覆面を被った半裸の変態……サンラクが入ってきた。
「えー…というわけで……すまん遅れた。一応謝意もなくはない」
………グチャッ!
「何か言い残すことはあるかな?」
「もう3時間近く過ぎてんだよな!この大遅刻は簡単には許されないよぉ?」
「連絡くらいはできたよな!連絡くらいは!」
「実は…「こっちのユニーク」関連を進めていたらウェザエモンについての言及がありやして。もしかしたら何かの足しになるやも」
「よし、吐くなら不問とする」
「同じく」
「え!?お咎めなし!?」
まぁ、ちゃんとした情報なら…「しかし、アラジオよぉ」…?
「まさかお前が、俺と同じユニークシナリオをやっていたなんてなぁ?全く気付かなかったぜ^ ^」
……………は?
「ちょっと待て!?お前のユニークってまさk…「「アラジオくぅーん?」」………」
「あの時の作戦会議でサンラク君は「自分はユニークをやってます」ってちゃんと言ってたのに、なぁんで君は黙ってたのかなぁ?」
「秘匿は大遅刻以上の大罪だよなぁ?」
「………………マジメンゴ」
「「許さん!!」」
どうやら、ダブリュアが言っていた鳥の殿という人物はサンラクだったらしく、俺の事はヴァッシュ師匠から聞いたらしい。
現在俺は、ユニークシナリオの事を秘匿していた罪で天覇のジークヴルムに出会ったことを吐かされ、椅子に縛られている。
そして、マントに擬態していたダブリュアはというと、ユニーク関連に凄い感心を示しているカッツォによって捕まりモフモフされている。
「成程、「墓守のウェザエモン」を「死に損ない」や「生きる屍」と形容した……と」
「アンデット系のモンスターってこと?」
「…確かに思い返してみれば戦闘開始時は動きが固かった……そうか、てっきりサイボーグ系とばかり思っていたけどアンデットなら納得できる点が……」
「なんか攻略に使えそうか?」
あっちで3人が話していると、ダブリュアが疲れた様子でカッツォの顔を見た。
「あのー……そろそろ我輩とアラジオ殿を離して欲しいであります……」
「えー……まぁいっか」
「ダブリュアまじ天使」
ダブリュアの言葉に不服そうなカッツォだったが、すぐに俺とダブリュアを解放してくれた。
ダブリュアにはあとでニンジンを買ってあげよう。
そして、熟考し始めていたペンシルゴンだが、思ったよりも早く思考の海から浮かび上がってきたのか、バッと顔を上げると俺とサンラクとカッツォを交互に見る。
「私ちょっと用事ができたから夜まで別行動かも」
「いいけど、じゃあこれからどうするかな…」
「とりあえずこれを渡しておくから、夜まで「神代の鐵遺跡」でレベリングしてて」
そう言って手渡されたのは、地図と……釣竿? 思わず2人と顔を見合わせる。
「行けば分かるから……来た時からずっと思ってたんだけど…サンラク君、それは擬態させてるつもりなのかな?」
「ハテ?リュウコウノサイセンタンデスガ?」
「え?なになに?」
あー…やっぱりそのマフラーはヴォーパルバニーが擬態したやつだったか。……ていうかカッツォよ、これは流石に気付くべきだろ。
「まぁいいや、それじゃあまた夜にここでね」
「おう」
サンラクが着けているマフラーもとい、擬態した白兎のことをあまり深く触れず、ペンシルゴンは店から離脱した。
「よーし、早速俺達も行こうぜ!」
「「神代の鐵遺跡」だっけか?」
「街中の安全な裏路地ルートは覚えてるからな、道案内は任せてくれ」
「マジか!それは助かる!」
「えー…面倒、俺までコソコソしないといけないの?」
しょうがねぇだろ……俺とサンラクは目立つ見た目をしてるんだから……
色々ルートがあるからどのルートからにしようか悩んでいると、サンラクの首に耳を巻き付け、マフラーに擬態している白兎がモゾモゾと動き出した。
「サンラクサン、サンラクサン、そろそろお耳がおつらいですわ。ちょっとくらい動いていいですわ?」
「うおおマフラーが喋った!?」
「あ、エムルねぇであります!」
そんなやり取りをした後、俺とサンラク、オイカッツォも店を出て安全な裏路地ルートを通る。
サンラク曰く段々サードレマにもプレイヤーが増えてきたらしい、少なくともここで面倒ごとは御免だ。
そしてようやっとサードレマを出て、神代の鐵遺跡へと続く森の中に申し訳程度に作られた道を俺達は進む。
「いいなーユニークいいなー」
「お前そればっかだな」
「さっさと行くぞー早くレベル50にしたいんだよ俺は」
サンラクがエムルを紹介して、それがユニークに由来するものだと知ったカッツォは神代の鐵遺跡に到着するまで終始この調子だった。
エムルとダブリュアはと言えばサンラクと俺の頭にへばりついて歩く労力を削減中、そのうち俺らのステータスの職業がウサギノコシカケとかになるんじゃないか?
「はいはい…ってか俺、シャンフロではパーティ組むの初めてだよ」
「俺もプレイヤーとは初だ」
「俺も……っと、もしかしてあれかな?」
俺の指した方向に2人が視線を向ける。そこには風化し劣化しているものの、これまでに見てきたエリア、文明とは完全に趣きを異なるSFの気配漂わせる「扉」があった。
「へぇ…ここまでの世界観と雰囲気が違って、ちょっと面白そうじゃん」
「だな」
「あぁ…「神代の鐵遺跡」か」
ウェザエモンのことを話した後、鍛冶場へ向かっているヴァッシュとサンラクの会話
ヴァッシュ「そういや聞きてぇんだがよぉ、おめぇさんはアラジオっつう奴の友ぃなのか?」
サンラク「え、まぁ、へい、そうですね。ヴァッシュの兄貴は彼奴のことを知ってるんです?」
ヴァッシュ「おっと、そういや言ってなかったな。彼奴はお前さんの次にこのラビッツの名誉国民になった人間でなぁ」
サンラク「え?」