シャングリラ・フロンティア〜死にゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜   作:マンデラカタログ

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一カ月も投稿が遅れてしまって申し訳ございませんm(_ _)m
遅れた理由はエルデンリングのDLCが大半で残りが大学の課題とかです。
次の投稿も多分遅れますが、それでも応援してくれたら嬉しいです。


刹那に思いを込めて 其の五

 

『ユニークシナリオEX「此岸より彼岸へ愛を込めて」を開始しますか?』

 

  来た。俺とサンラクとオイカッツォは迷う事なく「はい」を押すと、セツナは一つ頷き、言葉を紡ぐ。

 

「彼……ウェザエモンは私の恋人。ちょっとしたすれ違いで私が死んで……それからずっと、彼はずっと……ずっと私のお墓を守り続けているの」

 

「墓を……」

 

「成程なぁ……」

 

「それで墓守……ね」

 

「私が死んでから、どれだけの時間が経ったのかは分からないけれど、気づいた時にはこうなっていた……死んだ事を未練に思っているわけじゃないのにね」

 

 セツナの見上げた先には、枯れ果て葉の一つもつけていない、生命力の塊のような千紫万紅の樹海窟の抜け道から彼岸花が咲き誇るこの場所に至るまでで異彩を放つ枯れ木。

 

「死とは終わり。終わってしまったものは過去であって、誰かの今を……未来を縛るものではないわ。だから、私はあの人が今も私の(過去)に縛られ続けていることが耐えられない……」

 

 だからこそ、とセツナは枯れ木からそのまま夜空を照らす満月へと視線を動かす。

 

「彼は私が構築したプログラ……ん……魔法を使ってここに結界を構築した。月光が宿す魔力を利用し、座標を次元の裏側に「反転」させることで誰にも干渉出来ないようにしたの」

 

 地味に気になる単語が聞こえたが、要するに今俺達がいる場所がコインの表なら墓守のウェザエモンはコインの裏側にいる、という認識で合っていると思う。

 

「でも新月の夜……月が光を失ったその時、彼のいる…裏座標へと通じる結界の綻びが生まれるわ」

 

「次は新月の夜を待つってことか?」

 

「んで、結界の向こうにウェザエモンがいるってわけだ」

 

「そして、そこに飛び込んで戦う……ってことだね」

 

 オイカッツォの言葉にセツナは頷くと、居住まいを正して俺を、サンラクを、オイカッツォを、そしてペンシルゴンを見据える。

 

「どうか、ウェザエモンを……あの人を、眠らせてあげてください」

 

 セツナはそう言って頭を下げた。ていうか、阿修羅会の奴らはこのこと知っててウェザエモンをレベリングの材料にしてるとか……人の心とか無いんか?

 阿修羅会が思ってたより外道で言葉を失っているとペンシルゴンがニッと笑みを浮かべる。

 

「任せてよセッちゃん、私達は今までのへたれ共とは違う。セッちゃんを悩ませるあんにゃろーを必ず張り倒してくるからさ!」

 

 いつもの口調、いつもの仕草、されどペンシルゴンの言葉に込められた真摯な感情に俺とサンラクとカッツォは目を丸くして顔を見合わせた。

 

「聞いたかおい」

 

「聞いた聞いた」

 

「あれ本当にペンシルゴン?」

 

「ユナイト・ラウンズでNPCの王を馬車で引き摺り回してエネミーをおびき寄せる生き餌にしたり……!」

 

「NPCの姫をシャンデリアに吊るしてプレイヤーをおびき寄せる生き餌にしたり……!」

 

「NPCの王子を門に括り付けて別のNPCをおびき寄せる生き餌にしてのけたあの鉛筆戦士(ペンシルゴン)が……!」

 

「NPCと談笑してるぞぉぉお!!遂に人の心を取り戻したというのかっ!?」

 

「バ、馬鹿な…!?こんなの僕のデータに無いぞ…!?」

 

「コノキモチ……コレガ、ココロ……?」

 

 数秒の沈黙の後、ペンシルゴンが振るったヤリの衝撃によって俺たちはぶっ飛んだ。

 

「ギャーーーーッ!!」

「ぬわーーーーっ!!」

「おがぁぁぁぁあ!!」

「うひゃあああ!!」

「うわぁぁぁあ!!」

 

「………流石にそれは失礼ってやつじゃないかなぁ?キミたち…!!レベル上限の暴力を脳髄に刻み込んであげようか…!?」

 

 微笑ましげにこちらを眺めるセツナの表情といい本当にNPCなのか? とか様々な考えが頭をよぎる。

 数々の強敵との戦いが頭をよぎり、それはシャンフロのみに留まらずこれまでプレイしてきたゲームの記憶に……あ、これ走馬灯だな。

 

「待て待て!今のでもう瀕死になっちゃんてんだよ!」

 

「雑魚3人に本気出してんじゃねぇよ!流石に大人気ないぞ!」

 

「まずいよ2人とも目がマジだよあれ!PKする気だ!」

 

「ヒャッハーー!!」

 

 そんな俺らの様子を、セツナは楽しげに……本当に楽しげに目を細めて見つめていた

 

 

 

 

 

 

「はぁ全く……墓守のウェザエモン挑戦前じゃなかったら5回はリスキルしなきゃ気が済まなかったところだよ」

 

「どうやらいつもの無情なペンシルゴンに戻ったようだな」

 

「急にいなくなったもんだからびっくりしたよ」

 

「ちょろいもんだね」

 

「やっぱ殺っとこうかな」

 

 俺らとM&Wが両手を上げて降参のポーズを取っていると、ペンシルゴンはため息をついて武器をしまう。

 

「たまにはこう……NPC相手にカッコつけたいっていうかさー……セツナって名前とか背景的に他人事に思えなかったりして……えぇ、えぇそうですぅー!私だってねぇ!ゲームに本気で感情移入することくらいあるわけでぇーっ!」

 

「おう、良いんじゃね」

 

 顔を赤くして白状するペンシルゴンだが………それを俺たちに言うか?どうやらサンラクとオイカッツォも同じ事を思ったらしくご丁寧に3人してペンシルゴンを鼻で笑う。

 

「ゲームに本気になる」大いに結構だろ。何事も本気で取り組んだ方が楽しいに決まってる」

 

「こちとら死にゲーで何回も感情移入してんだぞ?そんだけ本気なんだよ」

 

「そうそう……本気で遊ぶからゲームは楽しいのさ、というかプロゲーマーの俺はそれがお仕事なんですけど?」

 

「プッ、え?プロかつ本気で取り組んでユニークの1つも自分で発見できていないんですかぁw?」

 

「プロかつ本気でも運という実力が足りてないからなw」

 

「上等だコラッ!テメェらまとめてぶっ飛ばしてやる!!」

 

「ちょっ…カッツォやめろ!あと一撃で死ぬ死ぬ!」

 

「ケンカはやめてくださいですわ!」

 

「正当防衛!!」

 

「アラジオ殿もやめるであります!」

 

 なんかこう、いい感じの流れにしたのにこの程度の煽りジョークも流せないとか大人気ないぞプロゲーマー。本気で取り組む場所間違えてるぞプレミかプロゲー……あっクソ避けやがった!

 俺とサンラクが一切の躊躇いなく目を狙う人差し指を押しとどめていると、くつくつと笑う声が。

 

「ふ、ふふ……ああ、そうだった……君達も大概大馬鹿だった、ふふふふ……あははは!」

 

 晴れやかな笑みを浮かべたペンシルゴンは両手で頬を叩くといつもの表情、ド派手な花火を打ち上げる刹那主義らしく不敵に口の端を歪めて宣言する

 

「相手は古今東西どんな大ボスもびっくりなレベル差150を強制するユニークモンスター……墓守のウェザエモン。それでも私達ならできる!本気でやって勝ちに行こう!」

 

「「「おう!」」」

 

 その言葉に俺たち4人と……ついでに流れ的に乗ってきたのかエムルとダブリュアも無言でグータッチに参加する。

 

「馬車馬の如く扱き使って死んでも休ませないから覚悟してもらうよ!」

 

 決戦まで残り2週間を切り、俺たちは慌ただしく動くことになる。

 

「まぁ3人ともレベル50になるまでは魚釣り続行だけどね」

 

 デスヨネー

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