シャングリラ・フロンティア〜死にゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜   作:マンデラカタログ

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色々落ち着いた


刹那に思いを込めて 其の七の二

 

「ぐわぁぁぁ負けたぁーーーーーっ!!」

 

「だから言っただろう?前と同じだとは思わぬように、と」

 

 エントランスにリスポーンした俺は、周囲のプレイヤーの視線を一点に浴びるのを気にすることもなく衝動のままに叫ぶ。

 ああ畜生、最後の最後でまーーーーた攻撃を優先し過ぎてしまった。向こうが超高速機動に対応してくる以上、右ブースターと左脚が破損した事で機動力がガタ落ちしたグレイバードでは勝ち目は無かったとはいえ、思い返せば誘い込まれていた。

 せめて脚部が無事ならまた引き分けに持ち込めたかもしれないが、やはりプレイ時間の差かな?

 

「切り返し強襲は上手くいったんだがなぁ……まさか避けられるとは」

 

「あれには驚かされたぞ」

 

 よく言うよ、某兵長並みの立体起動を空中でやって避けるとは誰も思わないだろ。お前が言うな案件ではあるが、あんな動きして平衡感覚大丈夫なんだろうか。

 

「まぁ、色々良い練習になった。ありがとなLuna」

 

「どういたしまして…………さて」

 

 そう言うとLunaは俺に詰め寄ってきた。

 

「なぜこのゲームを引退していたのか、理由を聞かせてもらおうか?」

 

「あっ……」

 

 まずい……「大会が終わってすぐ新しい死にゲーをやり込んでいたらすっかり忘れてた」だなんて言ったら……絶対ブチギレ案件だ!

 

「えー…それは…そのー……」

 

 ここは何か言い訳を……

 

…………

 

 あっ、ダメっぽいですね〜。

 なんか震えだしたんですけどぉ?まさか気づいていらっしゃいますか?怒りで震えているのかな?

 

「…その…実は新しい死にg…」

 

「アラジオォォォォォォォォ!!」

 

「ルストちょっと待って!」

 

「「…!?」」

 

 諦めて素直に事の顛末を話そうとした時、ドタドタと走る音と共に俺の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。

 その方向に俺とLunaは顔を向ける。そこには左目の下に傷をつけた女性アバターとバイザーをつけた随分とタッパのある青年、ルストとモルドだ。

 

「あー……大丈夫か?」

 

「ハァ…ハァ……はい、大丈夫…です」

 

「そんなことより、何で戻って来た!!」

 

「えぇ……」

 

 なんでか知らんがすんごい怒ってない?戻っちゃなんか悪かったのかな……

 俺が疑問に思っていると息を整えたモルドが申し訳なさそうに説明してくれる。

 

「すいません。ルストはこんな感じですけど貴方がこのゲームに復帰したのを喜んでいるんです」

 

「………あぁ、そういえばルストは「ツンデレ」と言われるものだった、な」

 

「あ"あ"!?」

 

「さいで……」

 

 なんと言うか、骨を見つけた犬みたいだな……さながらモルドは飼い主だろうか。

 

「いいから速く……決闘……!」

 

「いや本当すいません……ちょっとはしゃぎ過ぎてるみたいで」

 

「モルドうるさい……!」

 

「あいったぁ!?」

 

 脛を蹴られて悲鳴を上げるモルドと、脛を蹴ってドスの効いた声を上げるルスト。夫婦漫才に目が向きがちだが、要するにランキング1位から直々の決闘の申し込み、と言う事だろう。

 であれば俺の答えは言うまでもない。

 

「悪いがまた今度な」

 

 その言葉を放った瞬間、ルストが燃え上がったかのように錯覚する。一瞬で雰囲気がさらにトゲトゲしくなったルストの目が細められ、静かに問うてくる。

 

「何故?」

 

「実は俺、とあるゲームでロボ武者と戦わなくちゃいけなくてな、復帰したのはそいつを倒す実戦的な練習をする為」

 

「ロボ武者?」

 

 個人的にこういうゲームに人生捧げたようなガチ勢は嫌いではない。入れ込み過ぎて自分のルールを他者に押し付けるアレな手合いもいるにはいるが、少なくとも斜に構えて本気でゲームプレイしないよりは好ましい。

 

「何より、お前との決着は俺も万全の状態でやりたいからな」

 

「なら私を練習台にすればいいだろう!」

 

「いやだよ、お前の場合容赦ないじゃん」

 

「何が悪い…!!」

 

 悪いよ!戦闘を始めて即破壊なんてされたら練習も何もなくなっちゃうだろ。

 ルストが明らかに嫌な視線でこちらを睨みつけてくるが……何やかんやあってモルドとLunaが説得してくれたおかげでなんとか納得してもらった。

 

「………次ログインするのはいつだ?」

 

「うーん……大体再来週くらいになるかな?」

 

「……ならその時に決着をつけよう……逃げるなよ?」

 

「もちろん」

 

 さて、残る問題である引退していた理由だけど…どうするか……

 

「Luna、引退した理由なんだが……また会った時に改めて話させてくれると有難いんだが……いいか?」

 

 今の状況だとルストもブチ切れる危険があるからな、とりあえず今は保留にしておこう。

 

「………仕方ない」

 

「あざす!」

 

 Lunaの顔が更に赤くなった気がしたが、んなこたぁ気にせず俺はネフェリム・ホロウをログアウトするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(引退理由を聞きたかっただけなのに…荒滝君の顔をあんなに近くで見つめちゃったぁぁぁ!?うわぁぁぁぁ!!?何をしてるんだ私ぃぃぃ!!?)

 

「……何してんだLunaの奴?さっきからずっと固まって」

 

「考えごとかな?」




 
アラジオがネフィリム・ホロウを始めたのはサンラクが始める前なのでランキングにサンラクは入っていません。

 後、Lunaちゃんはリアルのアラジオ君の素顔を知っている為、アバターの顔を隠していても見えてしまいます(サイガ-0並のキラキラフィルター付きで)
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