シャングリラ・フロンティア〜死にゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜 作:マンデラカタログ
「さてと……ここであってる?」
「はいであります!ここがラビッツの特技剪定所スキルガーデナーであります!」
慌ただしくゲーム間をログイン&アウトを繰り返しつつも、現在ラビッツ。ダブリュアに連れられ、俺はついにシャングリラ・フロンティアをプレイして初めて利用する施設を訪れていた。
というのもパワーレベリングの結果、大量のスキルを習得した為にスキルの整理と強化の必要性が増したのだ。ポイント振りの結果、現在のステータスはこのようになっている。
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PN:アラジオ
LV:53
JOB:騎士(片手剣)
80,020マーニ
HP(体力):50
MP(魔力) :10
STM (スタミナ):65
STR(筋力):60
DEX(器用):77
AGI(敏捷):40
TEC(技量):60
VIT(耐久力):5(1)
LUC(幸運):50
スキル
・ピアッシングファング→疾風突き
・ビーストロア→獣化
・ループスラッシュLv.8
・スライドムーブ→スケートフット
・キャットウォーク→ジャガーレッグ
・レペルカウンター→パリングプロテクト
・ プリサイススロー→ストライクシュート
・アクセルLv.MAX
・ハンドクライム→グレイトオブクライミング
・一艘跳び→五艘跳び
・クイックステップLv.7
・ハウンドセンスLv.6
・筋切りLv.6
・辻斬りLv.3
・断鉄刃Lv.6
・居合Lv.4
・エアリアルハントLv.5
・エネルギースピリットLv.7
・スピンドライブLv.4
・オプレッションキックLv.5
・ベストステップ
・勇猛果敢Lv.4
装備
右左:泥鮫の牙剣
頭:灼滅に焼かれた壺兜(VIT+1)
胴:ジークヴルムの呪い
腰:無し
足:無し
アクセサリー:無し
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「うん、いい加減なんか履くか!」
改めて見ると何だこの装甲は…もはや紙以下だよ、もしくは金魚すくいのポイ並の脆さだ……水の一滴で大穴が開きそう。装備を新調していないのもあるが、一切振っていないVITが貫禄の一桁。まぁどちらにせよ耐久面に振ったところで一撃全損はどうしようもないと諦めたんだが、スタミナをもう少し増やしても良かったかも……まぁ、今考えることでは無いな。
「いい加減スキルがごちゃごちゃしてきたしな。確かに整理の為の施設があってもおかしくないか」
スキルが多いことは悪いことではないが、30も40もスキルがあっては邪魔というものだ。であるならば名前の通り余計な枝を切って本筋を太くする剪定所が存在することはごく自然なことであり、何が言いたいかというと過去の自分を殴りたい。
「街の方にも剪定所はあるであります、でもこっちの方が品揃えがいいんであります!これは内緒でありますよ?」
「いいねいいね、そういう秘密の格差は俺好み」
悪代官と悪徳商人みたいな会話をしつつ、俺とダブリュアは兎御殿内の特技剪定所を訪れる。
「いらっしゃあーい、あらぁダブリュアと壺の人じゃなぁい」
「どうも壺の人です」
ラビッツ内で俺の呼び名は壺の人で定着してるのか?サンラクの奴もそうだが、会うたびにそう言われてる気がするぞ……
やけに間延びした口調の、所謂「おねーさん感」が強い兎が俺とダブリュアを出迎える。なんとなくサンラクが連れてるエムルって娘に似ている。耳がエムルと同じロップイヤーと言うこともあるが、なんというかより姉妹としての印象が強いと言うか。
「エルクねぇ!アラジオ殿、エルクねぇは吾輩の姉であり、エムルねぇとエヌハねぇ……3つ子の一番上のお姉ちゃんなんであります!」
なるほど、ただ上から順番というわけではなく、3つ子だったり双子だったりもいるのか。かがんでエムルちゃんの姉……エルクと握手を交わしつつも本題に入る。
「あー、ここでスキルの合体とかが出来るんだよな?」
「ええーそうよぉ、ワタシぃそういうの得意だからぁ、お父さんにぃ言われてぇ私が担当しているのぉ」
「さいですかぁ」
「ア、アラジオ殿にエルクねぇの話し方が移ってるであります!」
おっといけない。
「じゃあ早速スキルの合体を頼む」
「はいはぁい、じゃあどのスキルを繋ぐか教えてねぇ」
エルクがそう言うと同時、俺の前にウィンドウが表示される。見れば今現在俺が習得したスキルが羅列されており、二つ選べばどのようなスキルが生まれるのかを事前に見ることができるらしい。
成る程、何ができるか分からないみたいなタイプではないようだ。ええと何々、これとこれを混ぜてこれになって……
「ああそれとぉ、スキルはレベルが高いもの同士で組み合わせた方がぁ、より良いスキルになるわよぉ」
「ほうほう」
そう言うこと言われるとスキルを全部レベルマックスにしたくもなるが、スキルのレベルはプレイヤーのレベルアップと合わせて上がるから、今から全部上げるとした場合60……いや、65くらいまで上げなければならない可能性もある。
贅沢は言っていられない、ちゃっちゃと混ぜてしまおう。
「よし、こんなもんでいいかな」
「ふんふん、このレシピでいいのねぇ。因みに7つの連携で費用は7000マーニよぉ」
「オーケー、7000マーニ……と」
お金を払うとエルクが「すぐ作るから待っててねぇ」と言って奥の部屋へ行ってしまった。
すると、ダブリュアがヒソヒソとこちらに話しかけてきた。
「アラジオ殿、エルクねぇはああ見えて銭ゲバだから注意するであります……」
「え?それほn…「はぁい、お待たせぇ完成したわよぉ」……」
ダブリュアの話をもっと詳しく聞こうとしたら不思議な液体と枝が入った瓶を持ってエルクが戻って来た。
「7つ分だからちょっと多いけどぉ、全部飲めば連結したスキルをすぐ覚えちゃうわぁ」
「……うす」
ゲームじゃなきゃ絶対飲まないぞこの謎の液体……ご丁寧にストローまで付いてるし……
とりあえず言われた通り、この液体をチューチューと飲んでいき、全て飲み終えるとNEW SKLL表示され、ステータス画面が開かれた。
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PN:アラジオ
LV:53
JOB:騎士(片手剣)
73,020マーニ
HP(体力):50
MP(魔力) :10
STM (スタミナ):65
STR(筋力):60
DEX(器用):77
AGI(敏捷):40
TEC(技量):60
VIT(耐久力):5(1)
LUC(幸運):50
スキル
・疾風突き
・獣化
・スケートフット
・ジャガーレッグ
・パリングプロテクト
・ ストライクシュート
・グレイトオブクライミング
・五艘跳び
・ハウンドステップLv.1
・マキシマム・ブーストLv.1
・撫斬りLv.1
・斬鉄
・旋風斬Lv.1
・オプレッションキックLv.5
・ベストステップ
・
装備
右左:泥鮫の牙剣
頭:灼滅に焼かれた壺兜(VIT+1)
胴:ジークヴルムの呪い
腰:無し
足:無し
アクセサリー:無し
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うん、まぁまぁ整理できたんじゃないだろうか。とはいえ、実際に使ってみて分かったが、ただ単純に足し算的にスキルを合わせるだけではないみたいだ。
多分だがその時点でのプレイヤーのステータスやレベルとかも参照してスキルが決定されているように思える。なんという検証班殺し、どうりで攻略サイトが重くなるわけだ。
とりあえず実戦での確認は当然として大まかな把握だけしておくか。
疾風突き、獣化、スケートフット、ジャガーレッグ、パリングプロテクト、ストライクシュート、グレイトオブクライミング、五艘跳び……こいつらは名前と多少の効果違いはあるが、おおよそ最初から使っているスキルの諸々だ。
ハウンドステップはクイックステップとハウンドセンスを混ぜた結果出来た、回避能力を強化するスキルだ。基本的に緊急回避ができるようになるから、あらゆる面で輝くスキルだな。
アクセルとエネルギースピリッツを合体させたマキシマム・ブースト。体力が減少していないかつ相手のレベルが自身より高いほど全ステータスに大幅な補正が入る……内容自体は使えるのだが、一発でもダメージが入れば使えなくなるという中々ハードなスキルだ。
撫斬り、敵が自身にヘイトを向けている状態であれば斬撃の威力が上がるスキル、以上。
斬鉄、このスキルは武器の攻撃力に自身のTEC、つまり技量の数値を加算してダメージを算出する。控えめに言っても神スキルだ、ティッシュ装甲かつ筋力と技量に重点的に振っている俺にとって火力を出せる貴重なスキルだ、大切に育てていこう。
旋風斬、剣を扇風機のように回転させて攻撃と防御の両立が出来るスキル。落下しながら使うと身体を縦回転させて攻撃できるらしい。
オプレッションキックはダウン状態の鰻やらロブスターやらをゲシゲシ蹴っていたら覚えていたスキルで、ダウン、ノックバック、その他の行動不能や状態異常の敵に対して威力が上がる格闘スキル。合体できるスキルに良いものがなかったので今回は保留。
ベストステップ、これはダブリュアも覚えていたスキルだな。不安定な足場でも一回だけ完璧なジャンプを成功させるスキルらしいがこれも悪巧みできそうな予感を漂わせる。ほら、壁とか敵の身体の上とか……ね?
そして、俺が個人的な理由で好きなスキル……
「……うん、中々良いね」
現状揃え得るスキルとしては優秀なものが揃ったんじゃないだろうか。いやほんと便利だね特技剪定所! こんな便利な施設を今までその存在すら知らずにいた大馬鹿野郎がいるらしいっすよ! いやぁサンラクの奴には困ったものだよ!
「時にアラジオさぁん?」
「うぉおぉ」
せ、背すじに鳥肌が。いや別に不快感的なものではなく、ウィスパーボイスとでも言うべきエルクの声に不意打ちされたのが原因だ。
何事かとステータスウィンドウから視線を外して見下ろせばレベリング時に見たエムルのふにゃけた笑顔に似た表情をしたエルクが、何やらメモ帳サイズの小さな本を持って……あ、これ営業スマイルってやつだ。
「ラビッツでしか取り扱っていないスキルの秘伝書とかぁ、いかがですかぁ? ダブリュアのお気に入りってことでぇ、お安くしておきますよぉ〜?」
「アラジオ殿!もう一度言うでありますがエルクねぇは基本的に銭ゲ」
ゴンッ!!
「ばっ!!?」
「お安くしておきますよぉ〜?」
状態異常「頭にたんこぶ」なダブリュアに合掌。お前が何を言いたかったのかはちゃんと理解したからな……
と、それはともかく安売りされているならちょっと品揃えだけ見ても良いかもしれない。
「どれどれ……」
・致命剣術【半月断ち】 50,000マーニ
・致命刃術【水鏡の月】80,000マーニ
・致命槍術【月光突き】70,000マーニ
・致命柔術【三日月巴】90,000マーニ
エトセトラエトセトラ………
「いや高!!」
ぼったくりだろこれ!どこが割り引かれてるんだ!そう思ったのも束の間、エルクが俺に圧をかけてくる。
「さぁあどうしますぅぅう?まさか……このチャンスを見逃すおマヌケさんじゃあぁ……ないわよねぇえ」
「そ……それじゃあ……致命剣術【半月断ち】(50,000マーニ)を……」
「お買い上げぇありがとうございまぁす」
これ買わなかったら多分そのまま生皮ひん剥かれてたんだろうな……