シャングリラ・フロンティア〜死にゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜   作:マンデラカタログ

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攻略の先鋭に汝、如何なるを捧ぐ

 

「いやぁ……此処まで我が家がゲームショップの近くで良かったと思ったことはないな」

 

 ログアウトしてすぐ買いに行ったがまさかのラスイチだとは……危うく入荷まで待たなきゃいけないところだった。

 

シャングリラ・フロンティア。

ユートピア・エンターテイメント・ソフトウェア社、通称UESが自ら手かげて去年の春に発売開始、今年の初めに最も多くの人が同時にプレイしたゲームとしてギネス記録に認定されるという偉業を成し遂げた正に神ゲー。

 

 プレイヤー達は、元は宇宙を旅する移民船団がなんだかんだあって滅亡し、新人類を残して数千年が経った、というSFファンタジーな世界観を自由に生きていく事ができる。

評価もアンチとファンが元気に3デブマラソンをしているナンハンリメイクとは違い、僅かなアンチが数万倍のファンに押し流されるほどの高評価である。

 

「ひとまずの間はダークアニマ3の隣にでも並べておこう。」

 

 この前やっていた狩り死にゲーのナイハンを筆頭に、数多の罠やダンジョン、それ以上のボスやNPCイベントがあるVR死にゲーの始まりであり金字塔。そして俺のお気に入り「ダークアニマ」

仕える巫女を人に戻すために、多種多彩なアクションを駆使して強敵やシチュエーションに挑んでいくアクション型アドベンチャー死にゲー「八咫烏」

友の魂を救うべく頼りない木の剣一本を手にして、先の見えない道を進むダンジョン死にゲー「シャドウロード」

ログインに天誅、ログボに天誅、挨拶に天誅、オンライン世紀末クソ死にゲー「辻斬・狂想曲・オンライン」

まだまだあるぞ死にゲーの数々………おっといけない。まるで勉強中にいじってしまうスマホが如く死にゲーに心囚われてしまう所だった。

シャンフロのパッケージの置き場はまた今度考えておくとして、ヘッドギアを装着してベッドに横たわる。

 

「さぁ……始めようか。」

 

ヘッドギアの起動音と共に意識がゲームへと集中していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど……キャラメイクはアニマシリーズとナイハンに似てるな。」

 

 よくやる死にゲーでもそうだが、この手のゲームではお約束と言っていいキャラメイク。しかし想像以上の自由度に正直驚いた。

人種や体格は勿論のこと、角まで選ぶことができる。成る程、これだけの自由度なら余程の偶然でない限り見た目が被る事は少ないだろう。

 

「とりあえず、キャラメイクは後に決めるとして素性…じゃなくて職業の選択を先にするか。」

 

どうやらこのシャンフロ、職業だけでなく出身にもステータスに成長補正が入るようだ。

 

「おお……!スクロールして見た感じでもかなりの種類の職業があるぞ!すげぇ……!」

 

だが、持たざる者通称「素寒貧」が無いというのは少し残念な部分ではあるな。まぁ、素寒貧はプレイスキルがなければ序盤で詰んでしまう可能性を秘めているから当然っちゃ当然か。

うーん……そうだな、俺は基本的に上質寄りのビルドにしてるから……覚えられるスキルも加味して騎士(片手剣)が良さそうだ。

 

「次は出身、これは初体験だから職業以上にしっかり確認しないと。」

 

まず、「彷徨う者」は絶対に無い。行動による好感度上昇値は高いが、NPCの第一印象が「警戒」に固定というのはドMの変態じゃない限り堪ったもんじゃない。

「尊き血」も無しだ、一見NPCの第一印象好感度が高いというのは魅力的だが、カルマ値の高いNPCに狙われやすくなるのは嫌だな。

「在野の雄」はまぁ有りっちゃ有りだが、クエストをやるのは俺のスタンスと違うんだよなぁ。

あとは……おっ!

 

「自然フィールド内での挙動に補正がかかる獣の子か……これだな」

 

次に後回しにしていたキャラメイクだが、俺の場合はリアルに少し工夫を入れ、絶妙に分からない程度にさせている。理由は簡単その方が俺がやってると思えるからだ。

 

というかこのゲーム、初期装備をキャラメイク時に売れるのか…しかも結構な金になるな……って!こ……これは!?

 

「戦の壺兜……だと……!?」

 

説明しよう。

俺が何故壺でこんなに動揺しているのかというとダークアニマ3通称「ダクマ3」に登場したNPC「英壺(えいゆう)アレキサンドロス」がきっかけだ。

彼は何も知らない俺に戦いの基本やダクマ3の生き抜き方を教えてくれた師匠であり、俺のためにわざわざ壺を作ってくれた癒しキャラであり、業火の巨人というクソボスと戦っていた際に突然現れ、共に倒した戦友でもある。

だが彼は業火の巨人を倒した後、自らの欠片を残して砕けてしまい、それ以降、どんなゲームにも壺は現れなくなったが……

 

「あぁずっと、ずっとそこにいてくれたのか……我が師、導きの壺よ……」

 

そして完成したのが、壺を被った半裸の細マッチョという通報されてもおかしくないレベルの変態であった。

 

 まぁ、分かるとは思うが念のために言わせてほしい。

まず、素顔を隠せる上に俺の好きなNPCへの敬意を見せれる戦の壺兜を被るのは当たり前だとして。

俺がやって来た数多の死にゲーにおいて重量はかなり重要な要素なのだ。何故なら重ければ重いほど消費スタミナが増え、回避速度とスタミナ回復速度にマイナス補正が掛かるからだ。

Q.ならばどうするの?

A.脱いでしまえば良い。

そしてシャンフロにも同じく重量の要素があるから防具を全て売る。OK?

まぁ、特殊効果がある装備は別だが……

 

「いやまぁ、システムとしてちゃんと有るんだから俺みたいなプレイヤーも流石にいるだろ……多分!!」

 

まさかそのプレイヤーがサンラクだったとはこの時の俺には知る由もなかった……

 

 次にプレイヤーネームの設定をするのだが、ここはもう決まっている。

俺はどんなゲームでも名前は統一している、故にこれまで数々の死にゲーを制覇してきた名をこの壺男……いや、獣の騎士に与える。

 

「アラジオ……っと。」

 

(アラ)」滝「(ジオ)」治、とまぁ安直ではあるがプレイヤーネームなどこんなものだ。

 

「さぁ……見せてもらうぜ?神ゲーの力を……!!」

 

最終決定、獣の騎士(はんらのへんたい)が遂にシャングリラ・フロンティアの世界へと…………………!!




・戦の壺兜
逆さに被り、頭をすっぽりと覆う壺
誰が、いつ、何処で、なんの為に作ったのかわからないがせっかくなら被るべきだろう。
防御力はあまり無いが、炎への耐性がとても高い。
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