シャングリラ・フロンティア〜死にゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜   作:マンデラカタログ

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 アニメシャンフロ新OPで二属性シャチが出てくることに喜びを感じている作者です。


刹那に思いを込めて 其の十三

 

「断…風」

 

「パリィ!!からの…天誅ッ!!」

 

「うわでた」

 

 おいサンラク、何だそのゴキブリが出た時のようなリアクションは……

 今行ったのは俺が幕末でランカーと戦う際に使用していた抜刀天誅というものだ。この天誅は言うなればただの居合切りなのだが、俺はそこに一工夫加え、高速で振り下ろされる刀を弾いてから行うことで隙を作りダメージを与えやすくするというものだ。なのだが……

 

「……これでも怯むだけか」

 

「流石にレベル50が2人で倒せるようなデザインはしてないってことだな」

 

 幾度となく攻撃を叩き込み、それなりの回数怯ませてはいるが……流石に俺達2人で倒せるような相手ではない。仮にも天覇のジークヴルムと同じカテゴリに属する奴だ、分かってはいた。だがこちとら爆発で足が消し飛ばされ上半身をブレスで消し炭にされるまでジークヴルム相手に粘ったんだ、ほぼ対人戦で超速フレーム攻撃程度なら恐るるに足らん。

 

「クソゲーレベル足りてないんじゃないのか?」

 

「死にゲーレベルも足りてないな」

 

 死にゲー度合いをレベリングしろとは言わない……うん……言わないぞ。

 命潮蝲蛄の丸盾(デストロブスシールド)の頑丈さもさる事ながら、やはり兎鳥の調子がすこぶる良い。体力MAXで攻撃補正というのは古今東西どのようなゲームでも強力な要素だ。

 

「サンラク、調整の方は?」

 

「もうバッチリだ!いくぜ「クライマックス・ブースト」!そして「餓狼の闘志(ハンガーウルフ)」!!」

 

 サンラクがスキルを発動してウェザエモンに肉薄し攻撃を仕掛ける。

 

「んじゃ合わせますか、「マキシマム・ブースト」!「戦鳥の勇志(ブレイブバード)」!!」

 

 このまま時間終了まで何事もなく、なんてありえない。全体攻撃? さらなるフレーム攻撃? それとも別の何か? 少なくとも時間経過しましたハイ終了、なんてアッサリした終わり方ではないはずだ。蒼炎が虚空に青い軌跡を描きながら振るわれる三連撃をステップと受け流しで対処し、振り下ろされた刃が地面に最も近くなったタイミングで太刀の峰みねを踏みつける。

 

 足裏を焼かれるような痛みは錯覚だ、そこにダメージ判定がないことは承知している。いや、厳密には感覚として焼かれてはいるが体力ゲージはミリも減っていない……リアルに焼かれているわけではなく、痛みと言っても熱いコーヒーが注がれたコップに触れた程度の熱さ、つまりは実質無害。

 ベストステップ起動、地面に置かれている状態ですらない太刀の峰の上で踏み込んだ足が理想的な跳躍を成す。

 

「サンラク合わせろ!スキル「旋風斬」!!」

 

「おうよ!!」

 

 

 俺は兎鳥【鷹】を鞭形態に変形、回転しながらウェザエモンの背中へ落下して切り刻むことで落下ダメージを武器効果の回復でカバーしつつダメージを与える。それと同時にサンラクが下弦を後ろへ投げてインファイトを起動、続けてハンド・オブ・フォーチュンを起動し顔面にパンチを入れる。そして軽く仰け反ったところに上弦の攻撃を叩き込み、胸板を蹴って距離を離す。

 お互い着地し、互いに墓守のウェザエモンの動きを警戒しつつ、サンラクは投げ捨てた下弦を回収する。

 

「大丈夫か?」

 

「痛てて……正直グローブとかが欲しいかな」

 

 まぁそりゃね。素手で金属を殴る、というのはカッツォのようにスキルや魔法のアシストがなければこちらの拳が痛むだけだよな。お互いスタミナを回復させつつ、高揚に反比例して手持ち無沙汰な退屈を紛らわせるために墓守のウェザエモンへと話しかける。

 

「どうしたどうした、ロボ武者流剣術が通用しないのがそんなにショックか?」

 

「俺の幕末流剣術でも教えてあげようか?」

 

 残念だが俺達は他ゲーのアクションも手動である程度再現できる、あくまでもこのゲームのスキルや魔法で調整された墓守のウェザエモンを攻略するにあたって、これは大きなアドバンテージだ。そもそも俺が今使用している蛇腹剣の立ち回りも別ゲー由来だしな。

 

「まぁアンデッドだかサイボーグだか知らないが、そのまま削られて自壊しな」

 

「もしくは、このまま俺達に削られて自壊すら待たずに斬り殺させてもらうぜ」

 

「…………ァ、」

 

「「!!」」

 

 ……違う。これは決して違う。

 ただ立ち尽くし、静かに太刀を握り直す墓守のウェザエモン。こいつはこれまで「声」を出すことは何度もあった、だが今のは明確に違う。今のは……「言葉」だ。

 

「……ァ、リス」

 

「………は?」

 

「アリス…?」

 

「ア、リス……認証キー……断片……アリス、は……紡が、れた…….か」

 

 それはユニークモンスター「墓守のウェザエモン」ではなく、シャングリラ・フロンティアというゲームに登場するキャラクター(・・・・・・)「墓守のウェザエモン」としての言葉。ヴァッシュの言葉、ペンシルゴンの分析、それらから俺達は勝手に「魂は死んでも肉体は未だ動いてるとかそんな感じのモンスター」だと思い込んでいた。だが今、目の前には確たるAIによって言葉を発する鎧武者の姿があった。

 

「悠久は、果てな、く……我が身、朽ち果、て、彼ら、の……行く、末、見ざれ、ど……確かに、「フロンティア」は、為され、成さ、れた……」

 

「おいおいおい、この盤面でそれ(・・)は無いだろう……!」

 

「今の俺にはそっちに割けるほどのリソースはねぇんだよ……!」

 

 墓守のウェザエモンを攻略することに全神経を向けている今の俺達の脳みそが考察にまで考えを巡らせることなんて出来るわけないだろ!? というかこれはイベントフラグか! ペンシルゴンの読みは当たっていたが、俺の読みも当たっていたのか。何か来る、この会話イベントが終わったと同時に何かが。

 

「行くぞ……「二号計画(セカンドプラン)」の、申し子達よ」

 

「こっちはお前の攻略に全神経を使ってるんだ。これ以上脳みそ回らねえよ」

 

「サンラク警戒しとけ、この後絶対何か起きる…」

 

「我が、誓いを……踏み躙る…であれ、ば……我が、「晴天大征(セイテンタイセイ)」にて…………潰えよ」

 

 ぞわりと背筋に雷が流れるような、データの意識に警鐘が鳴り響く。

 

 

 

 

 

 次の瞬間、俺達は墓守のウェザエモンというキャラクターの本気を身を以て体感させられる事になる。

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