シャングリラ・フロンティア〜死にゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜 作:マンデラカタログ
前の話はなんか違和感を感じたので消しました。
あとナイトレインの新情報が出てめちゃくちゃワクワクしています。
墓守のウェザエモンが先程と同じ居合の構えを取る。
そのことに疑問に思ったアラジオは様子見も兼ねてウェザエモンへと突っ込み、いつでも避けることが出来るように体制を整えるが、それは無意味に終わる。
「
「はっ!その技はもう見切って「大時化」ウッ……!?」
神速の居合をブリッジの様な姿勢で避けたと思った次の瞬間、アラジオの首がガシッと掴まれる。
「アバーッ!!?」
そして、そのまま地面に叩き付けられ、アラジオの視界がどんどん暗くなっていき……
「アラジオ!!」
サンラクside
さて問題です、ゲームを作るにあたって……この問題では「ボスエネミーの調整」におけるやってはならないこととはなんでしょう?
理不尽攻撃? 40点、イベントに繋げたり特殊なアイテムによって打ち消せるのならば、それは世界観の彩りでありむしろ率先して入れるべき要素だ。
バグらないようにする? 0点、それは当たり前の要素と言うのだ馬鹿め。
正解は「ボスの攻撃に間隔を入れない」だ。
ターン制バトルであれ、アクションであれなんであれ、ボスを攻略して初めてゲームはクリアされる。 そして強敵たるボスとの戦いにおいて、レベル差以外での「一方的」は容認されてはならない。
ずっと攻撃し続けるボス、ずっと回避し続けるボス、どれだけ攻撃を叩き込んでも防御が破れないボス……強さとクソさは表裏一体、世界観という縛りが絡むからこそ、強くし過ぎたボスキャラがゲームをクソにすることはままあることだ……フェアクソとか、フェアクソとか、フェアクソとか。
であるならば、「ずっとボスのターン」をゲーム性を破綻させることなく導入する場合どうすれば良いか……簡単だ、制限を設ければいい。濃すぎる原液は薄めればいいのだ。
例えば「特定の部位に攻撃を当てさえすれば行動を封じることが出来る」であったり、前述の「特殊なイベントやアイテムによって解除される」であったり、「時間制限を設ける」なんてのもいいかもしれない。
その点で言えば、墓守のウェザエモンが放った「
問題なのは、「三十秒間、あらゆる技をノータイムノーリキャストでぶっ放す」という超ド級の理不尽攻撃であるということだ。
アラジオの奴はなんとか蘇生できたが……これは結構不味いかもな。
アラジオside
「復活っ!!」
落ち着け…こういう時こそ冷静に、だ
リキャストタイムが無くなった。考え得る結論は1つ。この化け物は晴天大征というスキルを使って技のリキャストタイムを無くしたのだ。冗談じゃない、何処の世界にノータイムで即死攻撃を放つ馬鹿野郎がいるんだ!!死にゲーのボスでもそんなの居ねぇぞ!?
「……って!そんなこと考えてる場合じゃねぇ!!」
目の前でサンラクが必死にウェザエモンの攻撃を避け、受け流し距離を離す光景を見て現実に自分の意識を引き摺り戻す。しゃんとしろ俺、今するのはやられたことに対する考察をすることじゃねぇ!!
「すまんサンラク!ヘイト稼いでおくから今のうちにスタミナ回復しとけ!!」
「分かった!!」
サンラクをウェザエモンの攻撃範囲の外に逃がし、逆に俺はウェザエモンの方へ駆け出す。
「さぁ来やがれ!もう一回遊んでやるよ!!」
「断風」
「つぉお!?」
「
「うぉお!」
「
「だぁあ!!」
超速の居合を回避した直後、転ぶように回避した俺を雷の雨がホーミングし、雷を突き破って俺の頭を掴まんとする掌を咄嗟に蹴って弾きつつ反動で距離を稼ぐ。
「
「あっぶねぇぇえぇええ!!?」
薙ぎ払う腕の動きに合わせて背後に回り込み、スタミナを回復させる。既にマキシマム・ブーストと
「断風、断風、断風、断風」
「んなぁ!?」
頭狙い、胸狙い、首狙い、脚狙い。
頭がそれを理解するよりも先に身体が反射だけで超速の4連撃を回避する。くそ、同じ技でも連続で使えるのか、リキャスト概念どうなってんだよぉ!?
「
「サンラク新技だ!範囲攻撃ならやばいから注意しろ!!」
「了解!!」
「龍」
太刀を逆手に握り、杖をつくように地面へと突き立てる。太刀が突き立った場所を基点に地面が赤く発熱する。それは蛇が地を這うように捩くれた直線で地面を赤く熱く染めながら俺へと迫る。
「まだ死ねねぇぇぇぇえ!!」
赤熱を越えて白熱した地面がスライムのように隆起し、地面を食い破るようにして炎の柱が発生する。
見ようによっては天へと昇る龍にも見えるそれをギリギリまで引きつけてからバックステップで回避した俺は、火柱に隠れて見えない墓守のウェザエモンを視界に入れるべく立ち上がることもそこそこに火柱を迂回するように回り込む。
視界に入ったウェザエモンは、地面に突き立てた太刀を引き抜いて空に掲げ……その刃の先、気味が悪いほどに真っ白な上空を覆うように黒い雲が発生しているのを目撃する。
「組み合わせるの前提の攻撃かよ!?」
「
「うおぉぉぉお!?こっちにも来たあぁぁぁ!!」
俺の言葉を肯定する分身体のウェザエモンの言葉をトリガーに、上空へ滞留する黒雲が意思を持つかのように俺とサンラクへと殺到する。一瞬確定即死攻撃かと硬直しかけた身体を無理やり動かし、蜷局を巻く蛇の如く俺を包囲せんとする黒雲の、僅かに残った切れ目に身体をねじ込むように取り込む。
体力が削られるのを自覚しつつも、なんとか灰の包囲網から抜け出すことに成功する。
「アラジオ!回復済んだから交代だ!!」
「分かった……ってサンラク危ない!!」
「大時化」
「おんどりゃあ!!」
交代間際にサンラクへ手を伸ばす墓守のウェザエモン。しかしサンラクはウェザエモンの手首を掴み、横へと押し出すことで躱わす。捕まりさえしなければその技は怖くないがそれをあの一瞬で見切れるあたりやはりサンラクは変態なのだろう。
(何秒経った? 幾つ技を使った? 何がトリガーで終わる?)
考えることすら億劫だ、だが考えなければ。これが時間経過で終わるならまだいいが、なんらかのアクションをしなければ終わらない場合はそれを見つけ出さなくてはジリ貧に追い込まれる、というか追い込まれている。
第1、第2段階で受けた全攻撃を圧縮したような怒涛の攻撃に追い詰められているのがわかる。
だが、全身の亀裂から炎だけではなく、黒煙が上がり始めたことから向こうもノーリスクで理不尽攻撃をかましているようではないようだ。
「
「っ!?速………!」
瞬間、ウェザエモンが敏捷へかなりステを振っているサンラクの全力ダッシュに意とも容易く追い付く。何か嫌な予感がした俺はヘイトをこちらに向けるためにもう一度開いて武器を取り出すが……間に合わなかった。
「
「明らか必殺技って感じの其れを、食らうほど甘くはな……っ!?」
サンラクは武器をインベントリへと放り込み、万が一に備えて再誕の涙珠を取り出した。瞬間、脚がドス黒い墨に塗りつぶされたかのように変色し始め、縫い付けられたかのように動けなくなる。
「どうしたサンラク!!」
「動け…ねぇッ!?」
サンラクは手に持った再誕の涙珠を空に放り投げて、どうにか戦角兜【四甲】による、不安定な状態での頭パリィを試みる。
「我、龍をも断つ……
「こなくそぁ!!」
そして頭パリィを繰り出したが、戦角兜の象徴たる四角が見事に砕け散り、サンラクの胴体を切り裂き、腰に纏う命湖色の腰当を仏陀斬って破壊した。
「サンラク!!」
「究極奥義「
「いや凄っ!!」
上空へと放り投げた、自前の再誕の涙珠が投擲エネルギーを使いきったことで重力に引かれて落下し、直下でポリゴンと化したサンラクへと命中する。
値段が値段故に実証無しの賭けではあっただろうが、「自分自身への使用」も可能であったらしい。
サンラクはありったけのスタミナを使ってウェザエモンから距離を取り、俺はサンラクを真っ二つに斬り裂いた一撃の攻略を大至急で考える。
(天晴あの技はヤバい)
あれだけウェザエモンの攻撃をパリィしてもほぼ無傷だったサンラクの兜が、あの一撃だけで破損したのだ。
(装備破壊、おおかた装甲貫通もセットだな。それにあんまりにもあっさり死にすぎてる……まさか即死か?)
自慢じゃないがこう言った突然の行動変化やダメージ変化には慣れっこだから分かる。あれは普通に当たった時とも、おそらくクリティカルによるオーバーキルとも違う。
もっと根本的にプレイヤーをぶち殺しに来ている。仮にフル装備で防御を固めたレベル99のプレイヤーが盾を構えてあの一太刀を受け止めたとしても、サンラクと同じく豆腐でも切るかのように真っ二つにしてしまうだろう。
出来れば考えたくないが、当たった時点でシステム的な問答無用の死は確定していると断定していいだろう。
(だが、一番やばいのはそれじゃあない)
回避行動を阻害する謎の金縛り。あれの条件を見つけなければ、恐らくこの戦闘そのものを終わらせる最後の一撃であろうあの斬り捨てを攻略できない。
(サンラクは今ので再誕の涙珠は1つ、生命の神薬は4個。対して俺は其れら全てをフルで持っている……だが)
サンラクが行ったセルフ蘇生は片手間で出来るようなイージーなテクニックではない。相手の攻撃に対して死ぬ前に上へと放り投げなければならない、ということは死が確定した攻撃かどうかを判断した上で行動しなければならない。
兎にも角にもあの攻撃をなんとかするまで、何度か死を前提とした特攻をしなければなるまい。
そう判断し改めて墓守のウェザエモンを見れば、丁度そろそろ一分前になるくらいかそれくらいの過去に見た構えをとるウェザエモンの姿。
「しからば、わが窮極を超えぬ限りこの身は斃るることあらず…………晴天大征」
「
「ですよねぇ……」
「火砕龍」
龍の火柱を回避しながら、俺とサンラクは果たして何回最後の一太刀まで辿り着けるか懸念しなければならないのだった。