Angel Beats!に転生したワイ成仏出来ず、31Aに全てを賭ける 作:万能炭酸水
「おかしい……ハブを倒したのに通信が元に戻らない」
ハブキャンサーを討伐して、司令部に連絡をしようとした月歌は未だに通信障害が発生している事に、違和感を覚えた。
「月歌ちゃん、多分あいつのせいじゃ無いかな?」
イッチが指さす方に目を向けると、31AB!が倒したハブキャンサーと同種の個体が榛名山から前橋ドームへ向かっていた。
「おいおい、まだ居たのかよ」
和泉が言った。それと同時に七瀬からの通信が途切れるながらであるが、聞こえて来た。
どうやら状況は一刻を争うようだった。
「全員、直ちにあのキャンサーを追うぞ!」
月歌の号令と共に、全員が行軍を開始した。
「なぁユキちゃん、あのハブキャンサーを前橋ドーム前で防衛する部隊と挟撃した方が良いんじゃないか?」
右から襲いかかってくるキャンサーを確認する事も無く、一突きで撃破しながらイッチは和泉に尋ねた。
「あまり得策じゃないだろうな。前橋ドームを防衛している部隊も手一杯の筈だ。それにこのジャミング……他部隊との連携も困難だ」
「成程ね……だけどこの強行軍は流石に無理しすぎじゃ無いかな?数人に疲れが見える」
イッチに言われて周りを見ると、確かに東城、國見、逢川3人の行動がワンテンポ遅れているようだった。それでも何とかなっているのは、仲村の高火力な射撃をはじめ、立華の遊撃、入江の防御、イッチの援護と4人がフォローしているお陰であった。
しかし、それもいつまで続ける事ができるのか分からない。31AB!は薄氷の上に立っている状態だった。
「月歌!無茶しすぎだ!」
このまま無理な行軍をすれば確実に犠牲者が出てしまう。31Aの参謀としてそれだけはさせてはならないと思ったのだ。
「でもこうしなくちゃ、ドーム住民に被害が出るだろ!」
月歌の言い分も理解できる。しかし、今できる事が自分達の限界なのだと和泉は月歌を諌めた。
「だいぶピンチみたいね…」
その様子を見ていた仲村ゆりは、立華にある事を尋ねた。
「かなでちゃん、あなたのガードスキルって、もう使えないのかしら」
かなでがガードスキルを出そうと試みた結果、普通に出現した。不思議ね…と口では言っているがその表情は特に変わってはいなかった。
それを見たゆりはニヤリと笑みを浮かべた。それは勝機を見出した時に浮かべる笑みであった。
「入江さん、嘉一ちょっと来て」
「どうしました?」
「何?ゆりっぺ。戦場での告白は死亡フラグだよ? 」
イッチに違うわと軽く蹴りを入れたゆりは、自身の作戦を3人に伝えた。
「作戦を思いついたの。今までのキャンサー戦じゃなくて、あたしたちが『いつも戦っていた』ように全力で戦って!」
「わかったわ。そういうことね」
「死後の世界のように…!?やってみます」
「成程…じゃあ僕は月歌ちゃん達の援護に回るとしようか」
三者三様の反応をしたが、あたしの意図は伝わっている様だった。
この3人が居てくれたら絶対に負けない。そんな自信がゆりにはあった。
「茅森さん、あたし達が先行して切り込むわ。少し待って」
月歌の前に立ったゆりは立華と入江に合図を送り一斉に突撃した。入江のセラフで敵の攻撃を逸らし、その隙に接近したゆりがゼロ距離射撃で制圧。立華は空中を舞う様に敵を斬りまくっており、もはや人間の域を超えていた。
31Aは唖然とした。彼女達の戦い方はまるで死を恐れない捨て身の戦い方だったからだ。
「ほら、ぼーっとしてないで…ゆりっぺ達のお陰で道が開けた。この好機を逃す手は無いよ」
全員が戦場にいる事を忘れて彼女達の戦いを見届けていた所をイッチが現実に戻してくれた。
「イッチの言う通りだ。みんな、ゆりっぺの後を追うぞ!」
「待て待て!このまま追うと囲まれるぞ!」
先程、ゆり達は後ろから迫る敵に対して正面突破という方法で回避した為、自分達が着いて行っても敵に包囲される確率の方が高いと和泉は判断しての発言であった。
「その為に、僕が残ってるの」
31Aの前を塞いでいた数体のキャンサーはイッチが放った球によって一瞬で撃破され、前方にいるキャンサーは数える程しか居なかった。
「僕が敵を片付ける!月歌達はできるだけ早くゆりの元へ向かってくれ!」
「分かった!敵はイッチに任せよう!あたし達は最大速度で、ゆりっぺ達と合流する」
他のメンバーの了解という声が合図となり一斉に動き出す。左右からキャンサーが襲いかかって来るが、攻撃は全て後方にいるイッチの打球により届くことは無かった。
「立華の戦い方を見て人間じゃねぇと思ったが、嘉一も人間じゃねぇよ……」
和泉は心底、仲村達が味方で良かったと思うのだった。
イッチが敵を対応してくれている事により、月歌達は安全にトランスポートと走りを併用し、数十分もすればゆり達の戦闘音が聞こえる程までに近づく事ができた。
「ゆりっぺ、大丈夫か!」
「茅森さん!道を切り開いておいたわ」
前方には先ほど倒したハブキャンサーの白バージョン。アラクネブレイドが臨戦体制に入っていた。
「月歌!これならトランスポートで一気にハブキャンサーまで突っ込める!」
「あぁ!31AB!、一気に畳み掛けるぞ!」
イッチの援護を受けた31Aは余計なリソースを使わず、ゆり達を追う事ができた。それにより、ゆりはキャンサーに包囲される事はなく、31Aと合流でき、ほぼ万全の状態でハブキャンサーと対峙することができた。
その様な状況で遅れをとる様なメンバーでは無かった。アラクネブレイドはなす術なく、月歌、ゆり、かなでの3連コンボの攻撃により倒れたのだった。
「所で、嘉一はどうしたの?」
「え?」
戦いが終わり、七海からの連絡でドームへの被害も無いと知りひと段落ついた辺りで、月歌達が後ろを見ると一緒にいた筈のイッチが居なかった。
「そういえば、キャンサーってうちらの事追いかけてたよな?」
逢川がつぶやいた。
「確かに、でも途中からキャンサーの気配が無くなったからてっきり妹ちゃんが襲いかかる前に倒してるとばかり」
東城がずっと後ろをついてきていると思っていた。
「ま、まさかぁ……」
國見は最悪の事態を想定してしまった。
「嘉一さん1人でキャンサーを相手してるんじゃ……」
朝倉が答えを出してしまった。
一時の沈黙後、誰もが思った。あれ、これやばいんじゃね?と──。
捨て奸という戦術がある。関ヶ原の合戦で敗戦を悟った島津家が、敵の追撃から逃れる為に一度だけ行った策だ。
「ゆり達がハブと戦っている時に、雑魚に横槍を入れられちゃ困るんだよね……」
少人数で殿軍を編制、その上で自決も降伏もせず全員玉砕するまで戦い続け、全滅後は再び殿軍を編制して繰り返すという玉砕を大前提とした捨て身の戦術である。
「お前ら、大将が死んだら戦場から撤退するんだってな?」
月歌達は前進する事に集中していた為、気付いていなかった。途中からキャンサーの姿が見えず、イッチの援護も無くなっていた事に。
「ゆり達がお前らの大将を倒す方が先か、お前達が全滅する方が先か……」
周りを見渡してもキャンサー、キャンサー、キャンサー。最早退路は無く、絶体絶命の状況であった。
「覚悟は出来ているか?僕は出来ている」
今、原作的には無駄。イッチ世界のヘブバンなら激アツな戦いが始まろうとしていた。
1:イッチ
さて、ここからどうすればいいかな?
2:名無しの転生者
イッチ馬鹿なのか?
イッチ♂
思った以上に敵が多くてビビった。スレ民達にはこの後何があってもコスモス畑を見に行けと言われた。
31A
ゆりの一言で後ろを見て全員が顔面蒼白した。
ゆり
援護は任せろの意味を深読みして顔面蒼白した。
入江
コスモスとか言ってる場合じゃねぇ!
かなで
イッチの事だから、大丈夫だと思ってる(ハーモニクスによる分身体を合わせても片手で数える程しか殺した事が無い為)