Angel Beats!に転生したワイ成仏出来ず、31Aに全てを賭ける   作:万能炭酸水

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私に文才を……ちゃんとした小説は私には難しかったですわ……

もうずっと掲示板とト書きがいいですわ……

たくさんの感想とお気に入りありがとうございます。
これからも頑張って投稿していきます!


泣いてイッチ♂を斬る

 イッチが相棒を切る少し前──。

 

 

「ねぇ、ユッキーちょっと言い過ぎたんじゃ無い?」

 

「そんな事言っても事実なんだからしょうがねぇだろ。仲村達だけなら問題なかったかも知れないが……」

 

 地下ギルドの補給場で31Aの隊長茅森月歌と同じく31Aの部隊員である和泉ユキは先程出て行った一人の男性について話していた。

 

「でも独りぼっちは可哀想じゃ無い?」

 

「それにここはキャンサーも居て危険よ」

 

「私もそう思います!」

 

「あいつはセラフが使えんから普通に死ぬで」

 

 残りのメンバーも彼の事を案じていた。出会って数時間しか経っていないが、彼は彼女達31Aと良好な関係を築けている様だった。

 

 現在、このギルド地下には、彼女達が使えるセラフと呼ばれる武器しか通用しない未知の敵、『キャンサー』が大量発生していた。

 そんな所に、セラフを使う事が出来ない人間を置いて行くのは、見殺しにすると言っている様なものだった。

 

「あぁ、分かっているよ」

 

 勿論そんなことは和泉も理解している。出来れば安全な基地に連れて行ってやりたい。しかし、頭の中で『男』というものがチラつく。

 

 彼は男なのだ──。

 

 和泉達が日々過ごしてる基地は人類の生命線であり、重要機密の集合体である。自分達セラフ部隊もドームにいる人間との接触が禁止されている程デリケートな存在なのだ。

 

 そんな所に、セラフが使えない一般男性を連れて行く事がどれだけまずい事なのかは考えるまでも無い。

 

 司令部にバレたら処罰では済まないだろう。最悪、彼は軍によって消されてしまう。私達もただでは済まない。

 

 和泉は目を瞑り、額に手を当てた。頭に少しでも刺激を送れば何か良い案が思いつくのでは無いかと無意識から来る行為だった。口ではきつい事を言ってしまっが、和泉にとって彼は助けてやりたいと思うぐらいには信用していた。

 

(考えろ和泉ユキ。どうしたらあいつを基地に連れて行ける……月歌の姉って事で誤魔化すか? だめだ。あいつの声的に無理がある……)

 

 いくつか案は出てくるがどれも現実的では無い。それにセラフが使えない事も加味すると、基地に男を連れて行く事は不可能であると自分の理性が言っている。

 

「せめてあいつがセラフを使う事が出来たら、多少は置く価値ありと司令部が判断してくれるかも知れねぇけど」

 

 それが31Aの頭脳である和泉ユキの結論だった。

 

 全員の表情が暗くなる。入江を成仏させる為に、一人を犠牲にしなくてはいけない。いくら最前線で戦う兵士だとしても、彼女達は最近まで戦争のせも知らない一人の女の子なのだ。誰かを見殺しにする事はしたく無かった。

 

「ゆりっぺはどう思う?」

 

 重い空気の中、最初に切り出したのは茅森月歌だった。彼女はこの地下ギルドで出会った死んだ世界線戦のリーダー仲村ゆりに問いかけた。

 この中で一番彼の事を知っている彼女の意見を聞きたいと思ったからだ。

 

「和泉さんの言っていた様に、貴女達の住んでいる場所が男子禁制なら連れて行ってはダメだと思う」

 

 ただ、と仲村ゆりは続けた。

 

「入江さんの様に彼にも心残りがあると思うの」

 

「え? でもあの時、未練はもう無いって言っていませんでしたか?」

 

 入江はつい先刻に話し合った時を思い出す。何故この世界に戻って来たのかという議題について、彼は確かに「未練は無い」と答えていた。

 その為、入江は彼の言動に嘘があるとは思えなかった。

 

「理由はいくつかあるわ。まず私たちがこの世界に戻ってきた時、卒業するまでの記憶が無かった。だけど、彼は私達が卒業した後の事を知っていた」

 

「そういえば彼は私に結弦がちゃんと前を向いて卒業したって言っていたわ……あの時は安心しただけで終わったけど、今考えるとおかしい」

 

 ゆりの推理に心当たりがあったのか、かなでが呟いた。

 

「おいまさか……」

 

「何? どういう事?」

 

 何かに気付いた和泉は、何も分かっていない東城に対して大丈夫か諜報員……とジト目を向けた。

 

「私達三人は一度卒業したけど彼は卒業をしていなかった。私達が消えた後もこの世界に居続けていたのよ」

 

 死んだ世界に居続けている──。仲村ゆりの言っている事が本当ならば、彼は次の生を前向きに考えていない事に他ならない。

 

 空気がより一層重くなった。今まで一緒に笑っていた相手がドス黒い闇を持っていたのだ。気まずさレベルMAX状態である。

 

「ゆりさんはどうして嘉一さんが嘘をついているって分かったんですか?」

 

 タマがゆりに尋ねた。

 

「私と彼はこの世界に来た時からずっと苦楽を共にして来たのよ、嘘ぐらいわかるわ」

 

 かつて共に戦った仲間である虎徹丸のメインコンピュータと自分との関係の様に、ゆりは彼の事を信頼していたのだろうと感じた。

 

「ゆりっぺにとって大切な人なんだな」

 

 茅森は微笑みながらゆりに問いかけた。

 

「大切……そうね」

 

 ゆりは目を閉じて死後の世界に来てから彼と出会い、仲間と出会った。死んだ世界で苦楽を共に過ごした日々を振り返りながら噛み締めるように答えた。

 

「じゃあやる事は決まったじゃん。イッチも一緒に基地に連れて行く」

 

 ゆりの言葉を待っていたと言わんばかりに月歌が皆んなに宣言した。

 

「おい、私の話聞いてたか? 本当に連れて行って大丈夫なのかよ」

 

「大丈夫だって。あたしと瓜二つの美少年だぜ? なんとかなるって」

 

 和泉が月歌を諫めようとするが、どうやらもう無駄な様だ。茅森月歌はこれと決めたらテコでも動かない人であった。

 

「違いって言ったら髪型が左右反転してるぐらいやからな」

 

「分かったよ」

 

 月歌や相川の発言で和泉も覚悟を決めた様だった。

 

「じゃあ、イッチが来たらどうやって司令官たちを誤魔化すのか作戦会議だ!」

 

 先程まであった暗い雰囲気が嘘の様に、ここにいる全員が一致団結した。共に戦い(戦ってない)、遊び(金的攻撃)、語らいあった仲間を一人にしない。彼女達とイッチとの間には確かな絆ができていた。

 

「随分と盛り上がっているけど、何事?」

 

 明らかに女性より低い声、170以上はある身長。程よく引き締まった体に不釣り合いな程の綺麗な顔立ち。片目隠れが逆な所以外は、ほぼ茅森月歌の生き写しの様な男。『嘉一』こと『イッチ』がそこにいた。

 

 最初に彼に話しかけたのは和泉だった。

 

「嘉一、さっきは少しきつく言い過ぎたよ。すまなかった」

 

「ユキちゃんの言っているのは最も正論だから、全然気にしてないよ」

 

 イッチは和泉の手を覆うように優しく握って笑って許した。その表情は野球ではっちゃけていた笑いとは全く別で、どこか儚い花のようでだった。

 和泉は自分の体温が少し高くなったように感じた。それも仕方がない。自分よりも大きい手、微笑む顔面茅森月歌。和泉にとっては劇薬だった。

 

「ゆっきーが取られちゃう!」

 

 だから月歌本人がこう思うのも仕方なかった。

 

「取られねぇーわ! てかまだお前のものでもねーよ!」

 

「修羅場ね」

 

「うんうん。しかも"まだ"だって」

 

「そこ二人! 楽しむな! あと、まだってのは言葉の綾ってやつだ!」

 

 動揺してぽろっと失言をした和泉を見逃さず、女子トークに発展する東城と朝倉。突然の昼ドラ展開にワクワクするタマ、めぐみ、かなで。どうすれば良いか分からずオロオロする入江。黙るゆり。この場はもはやカオスと化した。

 

「それよりも皆んなに見てほしいものがあるんだ」

 

「見せたいものってなによ?」

 

 ゆりがイッチに問いかける。

 

「これなんだけど、まぁ見てて」

 

 イッチの手には電子軍人手帳があった。電源が入っておらず、使えない筈であったが今は電源が付いており、液晶画面が淡く光っていた。

 

「私こそ、新の天下無双なり!」

 

 その言葉が合図となり、上空から自分達がよく知っている物が出現する。

 

 セラフだ。

 

 それも、自分達の知っているセラフとは種類が違う。ライトグリーン色の細長い棒状の武器には刃が無く、持ち手に近づくにつれ太くなっていく形状からビリヤードのキューを連想させる。打撃によってダメージを与えるというより何かを打ち出す事で攻撃する為の棍なのだろうという事が分かる。

 

「これはセラフなんか? ……男性でも使えたんやな」

 

「何これ、カッコいい!」

 

 各々様々反応を見せていたが、特に31Aは驚愕している者が多かった。セラフを使える人間は女性だけだと思ったからだ。

 

「和泉さん、これなら嘉一君も基地に連れて行けるんじゃ無いかしら?」

 

 ゆりが和泉に尋ねた。

 

「嘉一の容姿とセラフがあれば男性だと気付かれる確率は減る」

 

 和泉は道が見えて来たと思った。全員で基地に行くという目的はイッチがセラフを使える様になった事で大きく前進した。

 後は、イッチに付いてる棒と玉をバレない様に誤魔化すだけとなった。

 

「あぁ、それについても解決したから安心して」

 

 イッチの言った事に全員が首を傾げた。

 

「解決ってどういうことですか?」

 

 入江がイッチに尋ねる。特に変わった所が無かった為、何が解決したのかわからなかったからだ。

 

「さっき席を外していた時に考えていたんだ。何故、僕は電子軍人手帳を持っているのに、セラフを使う事が出来なかったのか……」

 

 さらにイッチは続けた。

 

「僕と君達との違いを考えた時、ある事に気が付いたんだ"君達には無くて僕にはある物"があるじゃ無いかと」

 

「まさかあんた……」 

 

 ゆりが何かを察して顔を青くした。

 

「この身体は父の精、母の血、棄つるべからざるなり! ってね」

 

 イッチは二人にてへぺろと軽いノリで答えた。

 

「取ったのかよ! てかその言い方だと、食った事になるぞ! どんな夏侯惇だー!!」

 

「あんた何でそういつも変な所で思い切りが良いのよ!?」

 

 和泉とゆりのツッコミが炸裂する。

 

 イッチは2人にツッコミを入れられて何かやりきった様な顔をしているが、相棒とお別れしただけである。

 

「やるやん。その心意気嫌いやないで」

 

「お主、切ったのか!言ってくれたらワシが切ってやったぞ!キャハハ!」

 

「そこまでして基地に行きたかったんだ……」

 

「イッチの覚悟受け取ったぜ」

 

 流石はセラフ部隊のエリート。切り込み部隊31A。狂っているとしか思えないイッチの行動に対しても特に動揺することのなかった。

 

「「まともなのは私らだけかー!!」」

 

 和泉とゆりの叫びが地下ギルドにこだました。

 

 何はともあれ、イッチは棒と玉を取ってセラフが使えるようになったので、皆んなでえいっと基地に行くことになったのだった。

 

 




イッチ♂
名は嘉一。性は無い。元々女が大好きとは言っていたが、未練を思い出して露骨に口説きに行くようになった。顔面とあざとい態度で攻撃してくる。

和泉ユキ
両方から月歌♀月歌♂に迫られる夢女みたいになった。脳が破壊された。

茅森月歌
ゆっきーが取られる……取り返さなきゃ(使命感)
それはそうとイッチと協力してゆっきーの脳を破壊する。

朝倉可憐
まさか、カレンちゃんが棒と玉を破壊したからおかしくなっちゃったのかな……

カレンちゃん
こいつおもろwww

仲村ゆり
え、私の信頼している人……?!

立華かなで
イッチのセラフカッコいい!!厨二心がくすぐられた。
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