ACVD ヴェニデの剣豪 REvolution   作:D-delta

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第十三話 傭兵生活

 特務隊から脱走、ヴェニデを抜けた一日目。

 傭兵としての新しい日常が始まる。

 

「にしてもバーンズがまともだったらなぁ……もっとヴェニデを堪能出来たのに」

 

 特務隊の基地から遠く離れた名の知らぬ荒野。

 既に時間帯は夜。

 夜闇に焚火の明かりを照らし、四人で焚火を囲って休憩している時にアルスの口から愚痴が飛び出てくる。

 

「堪能って、あれ以上になにする気だったの?」

「そりゃもちろん施設のあちこちを弄り回すとか、フレイドと霧山を色んなところに連れ込むとか!」

「な、なにそれ……エッチ」

 

 アルスが言う、特務隊の基地でまだしたかったこと。

 それを聞いたフレイドがいかがわしい妄想を駆け抜けさせる横で、霧山はなんとも思わないで顔を赤くさせるフレイドを見つめる。

 

「ねぇ、アルスとフレイドはお互いに好き同士?」

 

 そして純粋な疑問をぶつける。

 

「そんなの当たり前っしょ! フレイドのことは大好きだよ!」

「こういうのをこの場で認めるの……結構恥ずかしいけど、俺も姐さんが大好き」

 

 年上として当然といった様子のアルスと少年らしく恥ずかし気なフレイド。

 ベッタリイチャイチャとした様子はなくても相思相愛である。

 

「ふーん? フレイド、俺のことは好き?」

「なんだよ、その言い方。霧山のことは好き……ってより信頼してるって感じ? もちろん心から信頼しているからな、今まで一緒に戦場を駆け抜けてきたんだし」

「じゃあ俺のことは信頼してくれてるだけ?」

「違う、そうことじゃなくてだな! えぇっとな……んー、いやもう好きってことにしてくれ。俺はお前が好きだ」

 

 フレイドが霧山に向けるのは、友としての信頼。戦友の絆。

 では、アルスはどうか?

 

「アルスは俺のこと好き?」

「もっちのろん。霧山のことも好きだよ」

 

 アルスはストレートに好きと告げる。

 ただしフレイドと同じ好きなのか、もしくはそれ以上の感情が背景にあるのか、どういう意味合いなのかハッキリ言わない。

 

「ちょっと姐さん、その好きはどういう好き?」

 

 どの意味合いなのか、霧山を男として好きと答えたのか、フレイドはモヤッして問いかけた。

 

「んっとね……好きは好きってこと。そ、それ以上の意味合いはないかなぁ……って」

 

 動揺が見え隠れする怪しい答え。

 フレイドは浮気を疑い、続けて「じゃあ誰が一番好き?」と問う。

 

「そんなのフレイドに決まってんじゃん。心配しないで!」

「なら良いけど? 姐さんは絶対に俺の嫁にするから。いくら霧山でも渡さないからな」

 

 フレイドは宣言。そんな嫉妬に近い宣言に対してアルスは口角をほんのり上げて頬を赤くしていた。

 

「んー、俺がフレイドを嫁にすれば丁度いい?」

「わぁお、禁断の関係。霧山ってば大胆」

「どうしてそういう話になっちゃうの! ダメダメ、俺には姐さんがいるのにそんな乱れた関係は絶対にダメだってば!」

 

 一方でフレイドとアルスがくっ付くと一緒にいられなくなると思った霧山は、一緒にいるためにフレイドを嫁にする思考に至った。

 

「フレイドはアルスと一緒が良くて、俺と一緒は嫌?」

「全く、さっきお前のことを好きって言ったろ? これからも俺たちは一緒だ。な?」

「うん」

 

 でも杞憂であった。

 今までも一緒、これからも一緒だ。

 

「あーあ。そんな仲がいいの見せつけられると、アタシ嫉妬しちゃうなー」

「あ、ごめん! 姐さんも絶対いつまでも一緒だから!」

「そんなら! おら、こうしてやるわ!」

「んっ?」

「わっ!」

 

 そうしてアルスは霧山とフレイドの肩を抱き寄せて密着。

 

「ふふん! これからも絶対に一緒。死ぬ時も、生き延びる時もね」

 

 三人でいつまでも一緒を示す。

 

「おじいちゃんは?」

「あ、じいちゃんも……って、寝てるわ」

 

 ずっと一人で静かにしているユキムラ。老体だからか、座りながら既に寝ていた。

 三人の話し声など気にせず静かに寝息を立てている。

 

「静かに寝かせてあげよう」

「うん」

「丁度いいね。アタシたちも寝よっか。機体から毛布と寝袋持ってくるね」

 

 寝支度の始まり。

 

「あ、火は俺が見ているから霧山は先に寝てろ」

「ありがとう」

「いい夢見ろよ」

「うん」

 

 二人が話している後ろで、機体から引っ張り出してきた毛布と寝袋をアルスが持ってくる。

 傭兵として生きる最初の一日はこうして過ぎていく。

 

  ※

 

 傭兵としての生活が始まった二日目。

 夜を過ぎて、太陽が地平線より昇る。

 そんな早朝の光景。

 

「ん? んー?」

「おはよう、姐さん」

 

 芋虫みたいに寝袋に身を包んだアルスが誰よりも先に目を覚ますと、ずっと起きていたフレイドから朝の挨拶が来る。

 

「あ、おはよ。そろそろアタシ起きるから、フレイドはもう寝てなぁ」

「じゃあ仕事が入ったら起こしてね」

「あーいよ。座って寝ないで、アタシの寝袋使いな」

「姐さんの……お言葉に甘えてそうさせてもらおうかな」

 

 起床するアルスの代わりに、今度はフレイドが寝袋に入る。

 それまで被っていた毛布をアルスに渡し、寝袋に入った姿はまさに芋虫。寝袋に残る人肌の温もりを感じながら熟睡していく。

 

「さぁてと、仕事仕事! 傭兵の朝は早いってね」

 

 始まった傭兵としての生活。

 身支度と仕事を取ってくるため、アルスは自機のコックピットへと戻っていった。

 

「……ん」

 

 寝袋で寝ている霧山。早朝の光を浴びて薄く目を開ける。

 まだまだ眠たく、開き切らない目に寝ているフレイドの姿が映った。

 

「フレイド」

 

 身体を芋虫のように這いずらせてフレイドの隣に行く。

 そして霧山は二度寝。出来上がる光景は芋虫のように霧山とフレイドが並んで寝る姿。

 戦場に身を置く者たちの穏やかな場所がここにはあった。

 

  ※

 

 彼らの穏やかなひと時。

 早朝から時間が過ぎ、青空に太陽が輝く朝の時間帯。

 

「ん……」

 

 二度寝していた霧山は目を覚ます。

 目を開き切って見える朝の光景。寝袋で身を包んだ芋虫状態のまま上半身を起こし、起床する。

 

「起きたか、小僧」

「うん。おはよう、おじいちゃん」

「寝る子は育つ。枕を高くして寝ておったな」

「ん? 枕はないよ?」

「むむぅ、意味を知らぬか……」

 

 起きて早々に首を傾げる霧山と会話が繋がらなくなったユキムラ。

 二人の間にあっという間に沈黙が訪れ、話すことがないまま目を隣のフレイドに向けた。

 

「寝てる」

 

 フレイドはまだ寝ていた。しかも心地良く寝ており、起こす気にはなれない。

 

「みんなー!」

「ん、あ……?」

 

 そこにアルスの大きい呼び声が来た。

 霧山が起こそうとしなくても、その声でフレイドは目を覚まし始めた。

 

「お仕事取ってきたよ! パパッと支度しちゃってぇ!」

 

 アルスが走りながら告げるのは仕事の話。

 

「フレイド、起きて」

「もう起きたよ。行こうか、霧山」

「うん!」

 

 寝袋を出る二人。自分の足で地面に立ち、いよいよ傭兵として戦場に身を投じる時が来た。

 それぞれは自機に戻って戦いに向かう。死神たちの影が迫るのも知らずして。




大体二ヶ月で四万文字…
色々引っ張りしながらだからこんなもんか
もっと素早く、もっと良いものを書いていきたい
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